2008年03月10日
「バイバイ!」
2007.09.01 ちいさな手
書店にいた頃、とにかく嫌いだった言葉、「バイバイ!」
子連れできたお客さんが、どこかの売場で本や文具やオモチャにひっかかって着いてこない子供にそう言い放つ。
店舗勤務を経験したことのあるひと(子連れ客のありうる店舗という条件はあるが)なら、けっこう見かけたことがあるのではないだろうか。
すくなくとも、愛知でも岐阜でも、ウンザリするほどあった。
怒気と苛立ちを込めて皮肉っぽく「バイバイ!」
「あたしは、いつでもあんたを捨てる準備がある」
そう言っているように、見えてしまう。
これは、強迫だ。
そうやって言うことをきかせてきた結果に、なにが残るというのだろう。
先日も、ドラッグストアで同じ光景を見かけた。
子供が、ゼリー飲料(ヴィダーインゼリー?)の売場でひっかかっている。そして先行していた母親が「バイバイ!」
その子は、自分が捨てられるなんて考えることもできないほど母親を信頼しきっているみたいで、何を言われているのかまったく分からない様子だった。
ややあって、その子が母親に駆け寄る。手にゼリー飲料を2個もっていて、1個を母親に差し出していた。美味しそうだったから、お母さんの分ももってきた。そんな感じだった。母親は2個ともむしりとって売場に突き返し、子供をひっぱって歩いていった。
書店時代だけではない。やっぱり、いまでもある。よくあることなのだろう。
書店時代「バイバイ!」を言わない母親も、もちろんいた。
ちゃんと子供のところまで戻ってあげて、むしり取るようにでも手を引いて、泣き叫ぶのも辞さずに店から引きずり出す母親の、なんと頼もしいことか。子供に、ちゃんと向き合っている。
その母親は、無言で言っていたのだ。
「わたしは何があってもあんたを見捨てない」
と。
自分たちも、そうでありたい。晶ちゃんがお外についてくるようになっても「バイバイ!」とは言うまい。
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- at 22:18
comments
ずきっ
普段何気なく使ってしまう一言が
こんなに重たいなんて
思った事もなかったです
天野さんのブログは子育てままのそれよりも
為になる気がしてしまいました
今日は我が子が熱を出していて
あんありぐずぐず
ぐずるので
ちょっと嫌になってしまっていました
私にしか頼れないからこそ
こんなにも泣いているというのに
反省
お初です。
子どもの成長は、こういう少しのことの積み重ねによって
方向が定まっていくんだなあ、と、ふと思いました。