オフセットA5サイズ
表紙デザイン:Teddy's Cage
総頁数:96ページ
価格:500円
発行:Progressive
発売:ジャンク・ヤード
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こちらの「大怪獣 高橋ひより、××市にあらわる!」の表紙・挿絵を描かせていただいた。どんな話かというと
まあ、だいたいこんな感じである。
「女子高生が巨大化した際のあるあるネタ」と書くと実もふたもないが、ちゃんとした馬鹿SFになってて、草稿の時点で絵描きに立候補させてもらった。最初のころ、キャラがうまく掴めなかったが、描いた絵の方に小説の描写を近づけていただくという、非常に申し訳ないフォローがあって、どうにか描き上げることができた。
以下は、挿絵とあとがき。
マコりんが手にした拡声器を「ギャワン」と鳴らしてまた叫ぶ。最大出力にしてるせいでわんわん鳴りっぱなしっぽいのだけど、それでもか細くしか聞こえない。 「いいか、ひより。落ち着いて聞け」
あとがき用カット
それと、合作で一冊だす従来の形式とは異なり、単独で短編を一冊だす「#」ナンバーのシリーズがある。これの「#4」の表紙も描かせていただいた。
タイトルは、以下の通り。
この大陸・マヨヒガを幾世代にもわたり埋め尽くす荒涼たるスクラップの大地を、二つの可憐な脚で踏みしめるひとつの影が伸びていく。 身にまとった黒のエプロンドレスは裾がほつれ、かぎ裂きだらけ。頭にはフリル状の髪飾り。そして左目を不似合いな眼帯が覆っていた。 その眼帯は男もののクロノグラフをしつらえ直したもので、眼窩の上で時間を刻み続けていた。(中略)機械虫の大群が一斉に飛び出し、スクラップの坂を滑り降りていく。それはさながら黒い波だった。 その波が、鉄くずの山の谷間にどうにか埋もれずに建っている古いビルに押し寄せる。中にいる、二人の少女めがけて――
(クリックで拡大します)
あとがき用カット
ところで、録画したアニメなどを見ながら絵を描くのが常なので、我が家ではPCの横に液晶テレビがある。
そして、PCで絵を描いたりするのはたいてい妻子が寝静まった深夜なのだが、今回に関してはなかなかその時間も取れず、やむなく「篤姫」を見ている妻のその横で、メイドさんのストッキングのしわなどを偏執狂的に描いたりしていた。思えば、先の「高橋ひより」も同様だったと思う。
表紙を描き終わって、画力がついたかどうかはともかく、変な度胸だけは鍛えられたと思う。
以上二冊がこの夏の新刊である。
おそらく夏コミでも並ぶと思うが、昨年の冬にでたProgressiveにも絵を描かせてもらっているので、これも紹介させていただこう。
去年(2007年)の12月、冬コミがおそらく初出だったと思う。
本のタイトルは「図書館へいこう」
オフセットA5サイズ
表紙デザイン:村山慶
総頁数:86ページ
価格:500円
発行:Progressive
発売:ジャンク・ヤード
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こちらに収録されている「図書委員長VS外道祈祷書 -図書委員長と図書館-」の表紙絵と挿絵を描かせてもらった。
(クリックで拡大します)
表紙。過去に手がけた同人誌や仲間内の本など、あとは実在しない奇書(「強化外骨格『宮武』」とか「戦艦綾波零号」とか)の名前を書いて遊ぼうと思ったが、気がつけば、当時すきだった電脳コイル系や、ガンダム関係の実在しない歴史書などのタイトルが多い。「EGコンバット・ファイナル」とか、昔聞いた話ではこれくらいまで刊行されて完結すると聞いていた「アップルシード8巻」など、若干の恨みがこもったものもある。
以下、挿絵を紹介していこう。
「足をどけろですって?」
ともかく、小学校卒業の頃には俺が淡い想いを抱いた女の子はすでに影も形もなくなり、残ったのは問答無用で図書館や古本屋に俺を連れ回す横暴な偏書狂の変人女だけだった。
「まだよ!この本を早く隠さないと!」
更新していなかった範囲だと、3冊の本に関わらせていただいている。
直近の販売は、
コミックマーケット74(8月17日(日)3日目)
西地区れ-05ab「ジャンク・ヤード」
にて。
手にとっていただけたら感謝である。
ところで、「図書館」の絵を描いていたころは、まだ長女の晶ちゃんは生後半年ほどだった。
それが、「高橋ひより」の頃にはもう靴をはくようになったし、「マヨヒガ」を描いてるときには外で遊ぶようになった。
子供の成長は早い。
「図書館へ行こう」のあとがきに使ったこの画像を見ながら、しみじみとそう思った。
このときの内容をうけて、絵も進行していく。
表情を無邪気に
落ち着いた表情に
「また連れ戻しに来たの?(実は勘違い)2度も来て……あなたはしつこいですね。」といっているみたいなかんじに。
とりあえず、こんな感じでクライアントにお伺いを立てているが、どうなるだろうか。またリテイクかなあ。ちょっとわくわく。
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こんな感じだ。
実はこれはすでにtwoさんに見てもらっている。気に入ってもらえたみたいで、こちらもペンが加速する。
「タイトルに続いて、霊夢カットインもかけた」
「はやっ」
「そして、いま魔理沙かいてる」
チャットしながら描いたので、微妙にリアルタイムである。
もしモニターの先にtwoさん本人がいればいいのだが、そうもいかないので父親にいろいろ聞いてみた。
「どない?」
「うわっ、わしの好みなんですが<魔理沙」
「おおっと」
「霊夢は、斬新」
「これ、斬新なのかー」
予想してなかったタイプの絵だったのだとは、思う。
東方公式のカットインは、どれもただ立ってる絵とか普通のポーズが多く、戦闘中のカットインなのに迫力に欠ける、といろいろ拝見して思った。そんなわけで、御覧のとおりに、ややポーズを付けてある。
黒い枠の中を、160×320に縮小して切り取るつもりだ。
ついでにエンディングのラフも見てもらう。
「あと、霊夢。リクエストの『やっちゃったーって感じの顔』これは以前にお見せしましたね」
「ほうほう。いいですね」
「霊夢は、ほんとにキャラが掴めなくて『やっちゃった感』むつかしゅうございました。真面目じゃない真行寺さくらみたいなイメージでとりあえず書いてみたんですが」
「この絵をもらったとき、かなりじーっとみてたんで、自分のイメージとのすり合わせ自体はやってる……と信じたいところ」
モニタの向こうにいるのは父親である。
肝心の本人さんにとって、この絵はどうなのだろう。
ラフの段階では、最終的なゴールへ着地する「感触」がはっきりしない。
父親ウケから判断する限り、とりあえず大ハズレなところに着地することは無いと思う。でも、できればピタリの位置に着けたい。
親子で好みが似通っていれば、それほどハズレな絵にはならないはず。
モニターの向こうにいるとくそんさんの、さらにその背後にいるtwoさん本人に向けて、さぐりをいれてみた。
「とくそんさん、twoさんの好みを聞きたい。
ハルヒ vs みくる どっちの勝ち?」
「む、どっちだろう」
「ハルヒだったら思った通り」
「ハルヒな気はするが」
「ん、了解。ではその線で」
深夜のチャットなので、本人はすでに就寝中。父親との会話からその向こうにいるクライアントの感触を読みとるのがちょっと楽しい。そうこうしながらペンは進む。
「ところで、魔理沙も描けました」
「ぉ」
「みくるよりは、ハルヒの方向性で描いてみた。ちょっと不安だけど」
「魔理沙は、タイトルを非常に気に入ってたので、かなりはっちゃけで大丈夫と思います」
「了解」
「エンディングの魔理沙/霊夢のせいせいした/やっちゃった感が判りやすくて良いと思うんですが、わしとしても、彼のイメージまでは判らんからなぁ…」
「こんな感じなんですが」
「どうすかね?」
「母親が羨ましがるほどイイ出来映えです」
「よしッ!」
ラフでざっと全体像が見えてきたので、ペンを置いて一休みする。
チャットの場で、先回の日記でも書いた「依頼文」について、あらためて「ちゃんとした、趣旨が明確な文章でした」と伝えた。twoさん本人にも伝えたが、やはり父兄にも言っておきたい。親というのは、我が子を過小か過大か、どちらかの評価しかしないことがあるからだ。第三者的にみて良いところは示しておくべきだろう。
その上で、以前にも日記で書いたことのある、リクエストのことを話す。
依頼した絵がイメージと違ったら遠慮なく言って欲しい、ただし、どこがどう違うのか、ちゃんと伝えて欲しいのだ。
これは、実際のところ大人でも難しいことだと思う。小学生に要求するのは酷だろうか?
「まあ、わしの血を引いてることから推測すると、難しいとは思うんですが、そこはちょっとでも出来ないと、色々困る(っか、困ってきた)んで、なんとか自分のイメージとの差異を出すように突付きます」
とくそんさんは、このことで子供にそういう能力を得させようとしている。
こういう能力を身につける機会は貴重だ。その種の能力は、よほど意識して過ごすか、訓練されなければ身につくものでもないからだ。
「ま、絵は文字と種類の違う情報なんで、絵に対する違和感を的確に言葉にするのは結構むつかしいことかと。でも、一言でも違和感を言葉にできたら素晴らしいですね。苦労すると思いますけど、その扉が開くと『言葉として表現する』面白さが分かるんじゃないでしょうか」
「そう言って頂けると助かります」
「ほいでは、そろそろ落ちます。・・・お父さんは大変だなあ」
「だが、それがいい」
「ふふふ。そうですね」
ところで、twoさん本人のこと。
あとでとくそんさんから聞いた話だが、
「今日は、1つ進んだらしいですが、作ろうとしている弾幕の数が思ったより多くて、スケジュールがタイトになってる様子。口出ししてぇが我慢」
本人もがんばっているようだ。あと父親も。
このあと、永琳と輝夜さんもラフをかくことができた。
この二人はイメージつかめてないので、心配ではあるが・・・。
この日に描けたラフは、全てサーバーにアップして、URLをメールで送っておいた。
彼が、絵をみて返してくれるだろう、その返事を楽しみに待ちたい。
博麗霊夢
霧雨魔理沙
お手数をお掛けしますが
両方描いてもらえないでしょうか。
魔理沙は城を壊してせいせいしたような感じで、
霊夢はつい調子に乗っちゃったなーみたいな感じで、
お願いします。
コンテニューは無いのでバッドエンディングはありません。
お返事お待ちしています。
twoより
************
ちょっと驚いたのが、ちゃんとした文章になっている点。
多少のアドバイスを母親にもらったと聞くが、頑張って殆ど本人が書いたらしい。
言いたいことが、具体的で、ちゃんと伝わってくる、簡潔でよい文章だ。
ちゃんと画像のサイズとか指定してくれてるあたり、過去に依頼画かかせてもらってきた方々とくらべても、ぜんぜん遜色ない依頼内容である。
先日、仕事先で面倒をみた大学生よりも、下手をすると文章になっているかもしれない。
なにより、この子が、小学生でありながら本気でゲームを作っちゃおうとしてるところがおもしろい。
うれしくなったので、すぐに返事を書いた。
************
twoさんへ
絵の依頼についての丁寧なメール、ありがとうございました。
正式な依頼として、引き受けさせていただきます。
さっそくですが、絵の内容について、確認したいことがあります。
たくさんありますが、以下の質問にお答えください。
Q1:
「エンディングの絵」は「両方描いてもらえないでしょうか」とありましたが、同じ背景の絵に、自機キャラそれぞれを一枚ずつ、という意味でしょうか? それとも二人が並んでいる絵を一枚という意味でしょうか?
Q2:
「バックにある壊れた城」という指定の「バック」とは、背景という意味でしょうか?
この「壊れた城」についての資料をください。具体的には、誰が住んでいる城かを教えてください。正式な設定があれば、そのとおりに描きますので、参考画像や参考になるサイトを教えてください。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
************
などなど。
このほかにも、解像度の指定や、おそらくはあるだろうテロップの表示位置、絵の締切とゲームの締切、完成したゲームの受け取り方、エンディングで流れる
BGMはあるかなど、「好きなように描いてくださいという指示も可」という自由度も残しつつ、とにかく厳密にクライアントの求めている絵を絞っていくため
の質問を連ねる。この初回の返信だけで10問を数えた。
答えにくい質問は飛ばしてください。
いま決まっていることだけお答えいただければ十分です。
と締めくくり、こちらも、できるだけ具体的に書いてみた。
返信後、とくそんさん(くどいようだが父親)からメールがあった。
彼は、直接手をださない監視役みたいなポジションで、たまに仲保に立ってくれる。
************
天野さんへ、とくそんです。
丁寧なお返事ありがとうございます
リクエストへの質問ですが、みゅんさん(母親)経由で本人に伝わりました。
> あの手紙読むや否やなにやら部屋に引っ込んでいったTwoだが
> エンディングの音楽を作っていたようだ
>
> 短い音のループっぽい
>
> 「それをくり返して最後the endが出てくる時みたいな、
> コーダの部分があればエンディングの音楽らしくなるんちゃう?」と
> いってみた
>
>今また引っ込んでいった
と、親が思っている以上に良い契機になってるようです。
本人にもぼやっとしたイメージしかなかったものが、天野さんの質問で具体化してきてるのではないかと思います。
日程については日記でのみゅんさんのコメント通り、1~2週間の猶予ありと考えていますので、無理なさらないよう晶嬢のごきげんにあわせてください。
投げ出さずに最後まで作り上げられれば彼の大きな財産になるのだと思います。
お忙しい時期に申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。
************
ほどなくして正式な解答書がとどく。
************
あまのさんへ
こんばんは。
遅くなって済みません。
依頼を受けてくださってありがとうございます。
さっそくですが、下の質問に、お答えさせて頂きます。
・・・・・・・
・・・・
・・
************
記載されていたのは、どれも簡潔で明確な指示。
自機キャラをそれぞれ1枚ずつ描いていただけませんか。はい。背景です。公式設定にはありません。かぐや姫が住んでいます。だけど洋風の城です。などなど。
参考画像のURLまで貼ってあったし、こちらからの提案にもハッキリした決定をしたうえで返答してくれている。「解像度の指定はありません」「キャラク
ターを右に」「全体の締め切りは9月14日です。絵の締め切りは9月12日です」「喜んで送らせていただきます。方法についてはまた後日にお知らせしま
す」
そして、
エンディング曲は自分で作って送ってきた。
************
Q9:
エンディングで絵とともに流れるBGMが決まっていれば教えてください。
その曲に合うように描きますので。
この曲です。
東方っぽくないですが……
以上です。
今日は時間が無いので、ストーリーは明日書きます。
では、おやすみなさい。
twoより
************
正直すごい。ちゃんと仕様を決定して返してくれる。
悩むのは当然としても、その結果をだしてくれるのがすごい。
それは、彼の能力という以前に、彼自身がこの「宿題」をすごく楽しんでいるところにあるのだと思う。
彼の母親からもメールをいただいた。
************
件の少年の母です。ミクシーでははじめまして。
息子の宿題の手伝いをご快諾下さいましてありがとうございます。
宿題としては学校に提出するものではなく、
(学校に提出してもそれはそれで面白いのですが)
父親からのアレなので、
期日は恐らく帰省日数分伸びるのではと思います。
息子には、苦しみを越えたところにある達成感と
プラスの経験を感じてくれればと祈りながら、
天野さんの日記からもなんだかわくわく感を感じとって
しあわせ感じております。
ありがとうございます、宜しくお願い致します。
************
父母公認なところが心強い。
彼はいろんな才能をもっているとおもう。
それを現実に適用できる形に導き実体化する、その訓練の手伝いができれば「まぜてもらった」者として、こんなに楽しいことはない。
ここから、いろんな質問や追加の絵を提案しつつ、この宿題は進行していく。
最終的には、
オープニング用画像
霊夢エンディング
魔理沙エンディング
霊夢カットイン
魔理沙カットイン
永琳カットイン
輝夜カットイン
を描くことになった。
とりあえずラフを描いてみる。
これを送って様子を見よう。
「出産費用がういた」という産後の第一声を聞かされた家に帰ってきた旦那は、死ぬほど驚いたらしい。
「自分は妊娠している」という強烈な自覚が、女性のお腹を大きくする、と彼女のことを語ってくれた知人は言っていた。
なので、本人にそれがないと、世の中でテクテク歩いている妊婦さんみたいなわかり易い体型には、ならないケースがあるらしいのだ。
六ヶ月くらいまで気づかずにいる人、というレベルならけっこういる。さすがに出てくるまで無自覚というのはめったにいないと思うが、それでも「わたしは妊娠していない(していたくない)」という強烈な自覚が、女性の体を妊婦らしくしないのかもしれない。
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2007.09.01 ちいさな手
書店にいた頃、とにかく嫌いだった言葉、「バイバイ!」
子連れできたお客さんが、どこかの売場で本や文具やオモチャにひっかかって着いてこない子供にそう言い放つ。
店舗勤務を経験したことのあるひと(子連れ客のありうる店舗という条件はあるが)なら、けっこう見かけたことがあるのではないだろうか。
すくなくとも、愛知でも岐阜でも、ウンザリするほどあった。
怒気と苛立ちを込めて皮肉っぽく「バイバイ!」
「あたしは、いつでもあんたを捨てる準備がある」
そう言っているように、見えてしまう。
これは、強迫だ。
そうやって言うことをきかせてきた結果に、なにが残るというのだろう。
先日も、ドラッグストアで同じ光景を見かけた。
子供が、ゼリー飲料(ヴィダーインゼリー?)の売場でひっかかっている。そして先行していた母親が「バイバイ!」
その子は、自分が捨てられるなんて考えることもできないほど母親を信頼しきっているみたいで、何を言われているのかまったく分からない様子だった。
ややあって、その子が母親に駆け寄る。手にゼリー飲料を2個もっていて、1個を母親に差し出していた。美味しそうだったから、お母さんの分ももってきた。そんな感じだった。母親は2個ともむしりとって売場に突き返し、子供をひっぱって歩いていった。
書店時代だけではない。やっぱり、いまでもある。よくあることなのだろう。
書店時代「バイバイ!」を言わない母親も、もちろんいた。
ちゃんと子供のところまで戻ってあげて、むしり取るようにでも手を引いて、泣き叫ぶのも辞さずに店から引きずり出す母親の、なんと頼もしいことか。子供に、ちゃんと向き合っている。
その母親は、無言で言っていたのだ。
「わたしは何があってもあんたを見捨てない」
と。
自分たちも、そうでありたい。晶ちゃんがお外についてくるようになっても「バイバイ!」とは言うまい。
2007.07.28 生後二ヶ月の赤ちゃんは、ふつう笑わない。これはそんな中での、奇跡のような一枚。
晶ちゃんは、もう百発百中だれにどう見せても「お父さん似だね」と言われる。
自分としては、女の子が産まれると分かったとき「私の知らない、ゆきこさんの小さい頃が見られるなあ」とホクホクしていたので、かすかに残念な気がしないでもなかった。
でも、最近わかってきた。
お父さん似の女の子が産まれるのは、
お母さんがお父さんのすべてを、
ありのまま素直に受けいれているからだ。
だから、そっくりに生まれるのだ。
晶ちゃんの顔を見て思う。
よくこんなに綺麗にコピーしてくれた。
女性が女性を産むのだから、女性の形質が影響すると考える方が自然だと思う。
なのに、それをこんなにも、実に素直にそのまんま受け入れてくれた。
晶ちゃんを見るたびに、ゆきこさんが私を、実に純粋に愛してくれていることがわかる。
それは、何の不純物も、自らの「我」すら包含しない信頼。
晶ちゃんは、その名のとおりに、ゆきこさんの、わたしに対する気持ち全ての結晶だ。
その愛の結晶を真ん中において、わたしたち夫婦は愛し合い、暮らしていく。
そういう家庭で育った女の子は、だから幸せになるのだ。
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2007.07.23
写真は、出産育児雑誌の「たまひよ」でもらったおもちゃ。振るとチャラチラと音がしたり、押さえると「ぷぅ」と鳴る。公式名称は「たまちゃん」「ひよちゃん」だが、とりあえずピンクの方はシグナムと名付けた。青い方はザフィーラ。うちの守護騎士。
晶ちゃんは、まだ「あー」とか「あぅー」等しか喋れないが、声自体はいろんな声音出すし、泣き方もバリエーションが増えてきた。最近では「なにか喋ってるんじゃないか」と思うくらい複雑な声を出すこともある。
紹介しようと思ったが、赤ちゃんの泣き声というのは、ほとんど言語ではなく音声なので、これを日記でもわかりやすいように擬音語として文字化するのは難しい。
とはいえ不可能ではない。要は「どうきこえたか」であって、このへんはもうセンスの問題だ。音声の文字化成功例はいくつもある。爆発を「ちゅどーん!」としたのは古くから有名だし、静寂すらも「シーン」という言葉で表現してしまったケースすらある。(これはたしか手塚治虫が元祖)
個人的に好きなのは、ザクのモノアイが点灯する様を表現した
「げぽーん」
で、ガンダムつながりで言えば黒い三連星が攻めてくるときのBGMを
「でっこんでーでー、でっこんでーでー」
とかいうのもあった。これはたしか島本和彦がやってた。そう言われると、なるほどそう聞こえる。
で、赤ちゃんの話に戻るが、うちのとなりには生後半年の男の子がいる。
母親が限界いっぱいまで放っておく教育方針らしく、泣くときはかなり全力気味に泣く。で、この男の子が極限状態で泣いたときの声は、たしかに
「ぎのーーーーーーーーーー!!!」
と聞こえた。
いや、ホント。赤ちゃんは「ばぶー」とか「おぎゃー」なんて泣かない。
ちなみにうちの晶ちゃんもかなり不思議な声で泣く。先日、あれはお腹が減ってきたものの、オムツもぬれてるので交換しなければならない状況で後者が優先されたため、いっこうに空腹が解消されず、そのひもじさが極限まで達したときのこと。うちの娘はたしかに
「ゼノギアーーーーーーース!!!」
と叫んでいた。
いや、ホントに。お父さんには、そう聞こえました。
「おぎゃあああ!」とか「ほんぎゃーー!!」とか、よく聞く赤ちゃん泣きとは明らかに違って、うちの晶ちゃんが叫んだのは、スクエア(当時)の「裏FF」とか「クロノトリガー2」とか言われてたアレのタイトルだった。
これを人に話すとたいてい怪訝そうな顔をされるか笑われる。とはいえ、ドラえもんに「コエカタマリン」(声を物質化する秘密道具)をだしてもらうことも、ましてやあんなものを飲ませるわけにもいかず、もう一回いってくれないだろうかと、がんばって耳を傾けていた生後二ヶ月ごろの話だった。
とりあえず生後九ヶ月たったが、ゼノギアス級の不思議絶叫は、いまのところ聞けていない。
お世話がうまくなってきて、あのころほど泣かせなくなったからかもしれないし、あるいはあれは、この時期だけの一瞬の輝きだったのかもしれない。
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EGコンバット、というか全作品を通じてもはじめて秋山作品の絵を描いた。
彼の小説には、ほんとに絵が描けない。その骨からして「絵を添える必要がない小説」であり、私が絵を描くよりもずっとうまく、彼はその世界を文字だけで描いてしまっているからだ。
彼の小説を題材に絵が描けないのは、技術的な問題ではなく、ひょっとしたら嫉妬によるものかもしれない。
ワンシーン、あるいは情景はさっさとあきらめて、キャラ単体を描くしかない。
EGで一番好きなキャラといったら、やはり彼女だろう。
カデナ・メイプルリーフ。
最初は包帯だらけの絵も考えたが、ふつうの彼女を描いてみた。
ルノアの前ではデレデレだが、おそらくは自信に満ちているであろう彼女。
ある意味、もっとも秋山らしいこの子がどうなってしまうのかも、続巻を切望する一因だ。
2007. 07.08 寝るときは王者のポーズで
「乳幼児突然死症候群(SIDS)」というものがある。(晶ちゃんは、大丈夫ですので。念のため)
「寝てると思ったら死んでいた」というイメージでだいたいあっていると思うが、本当に、突然に死に至るらしい。
これを聞いてからもう、毎日どこかで恐怖心がぬぐいきれないところがある。
原因は正確には不明。ただ、減少させる対策としては
・うつぶせ寝にしない。
・できるだけ母乳で育てる。
・乳児の近くで喫煙しない、妊娠中に喫煙しない
・過度に暖めない
などがある。
逆に言えば「うつぶせにする」「誰かが近くで煙草を吸っている」「寒かろうと厚着をさせたまま時間がたった」などでも、可能性によるが簡単に赤ちゃんは死ぬのだ。
「親がちょっと目を離したすき」さえあれば、悪魔は簡単に赤ちゃんの命を奪うことができる。
水深が2センチあれば赤ちゃんは溺死する。ある程度の衝撃が与えられれば脳に異常が起こる。誤飲、転落、本当にどこにでも、この子の命を奪いうるものが潜んでいるように思える。
戦慄とともに、ほんの少しだが、親のありがたみがわかる。
そして、街中を歩く人々見るにつけ、これだけの人が、多くの危機の乗り越え、あるいは護られて、こうして生きていることが、奇跡に思える。
いま、生きて、息をして、歩いているひとりの背後には、襲い来る悪魔から、四六時中目を離さずに護ってくれていた存在の戦いがあったのだ。
わたしも戦おう。
大丈夫。そこらへんのオバサンとかでもできたことだ。
なめてかからなければ、かならずこの子を護りきることはできる。
かならず。
今度こそ。
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