■ 2003.05.03
sat 〜 2003.05.05 mon「脳内オフ」
「最初に言っておきますが、カレーはおやつに入りません」
シエル先輩が断言した。
遠足か何かと勘違いしているらしい。
「あの、先輩先輩」
「なんですか」
「これは『脳内オフ会』なので、おやつは300円までとか、そういう決まりは特にないんですよ。そもそもカレーはおやつの概念にはかからないでしょう。というかその場合はバナナです。あ、そうそうシエル先輩、誕生日おめでとう」
ゴールデンウイークの5月 3・4・5日にかけて、天野は初参加だが、通算で第三回といわれる「脳内オフ会」があった。
参加者および同伴者は以下の通り(参加表明順)である。
とくそんさん
七瀬留美さん(リリアン女学園からの転校生。電話帳など簡単に引き裂き、前回は停泊中だった米軍の空母「カールビンソン」を制圧した)(ONEより)仲の良い出発前の御様子
くわねさん
HMX-12 マルチさん(来栖川重工のメイドロボット。膝からロケットランチャー、肘からはドリルミサイルが射出される)(To
Heart より)
Beeさん
知佳さん・ゆうひさん(念動力の使い手と音大生のコンビ。しかし、ゲームよりかなり解放された性格になっている)(とらいあんぐるハートより)
phantomさん
楽(かぐら・電波ヒゲをもつ未来猫)・震電(しんでん・猫の使役するロボット)(猫の地球儀より)
紺瀬さん
シエル先輩(神のカレーライスによって不老不死を得た戦士)(月姫より)
天野
柏木千鶴さん(鬼の血を引く狩猟者の末裔。声は井上喜久子さん)(痕より)
サンフェイスさん
遠野美凪さん(駅で寝泊まりする孤高の少女。戦闘ロボット「みちる」の操縦者)(AIR)
manieraさん
HMX-12 まるちさん(来栖川重工のメイドロボット。ふだんはダミー(枕)の中に隠蔽されている)(To Heart )
らむださん
彼の妻の長森瑞佳さん(ONE)・娘の未来ちゃん(ママは小学四年生)・妹の可憐(シスタープリンセス)・その妹の雛子(シスタープリンセス) ※ここの場合は脳内家族の一家総出。たのしげな出発前夜の様子(レポートは長森瑞佳の左足首)
なにか。さん
長谷部彩さん(実力がありながら作風のマニアックさゆえに売れない同人作家。お嫁さんにしたいキャラランキング12位)(こみっくパーティー)
美森さん
里村茜さん(生命維持に常人の20倍のカロリーを必要とする体質の甘党少女。同人種にみさき先輩などがいる)(ONE)
利休さん
神奈様・裏葉さん・柳也殿(幽閉されていた天女と、気配を断って無音で行動できる特殊能力を持つ侍女官(声:井上喜久子さん)と、彼女らのボディガード)(AIR)
MK2さん
みさき先輩(盲目の闘将。現在では、手術の後に視力の回復を得ている。無限内積の胃袋を持つ)参加表明・ほほえましい出発前の御様子1・2
※ 以下強制参加
文月さん
天野美汐さん(ビニール袋も包装紙もスタンプカードも使用済みテレホンカードもいつか使えるかも知れないと決して捨てない主婦感覚少女)(Kanon)
入江さん
倉田佐祐理さん(問答無用の魔法少女)(Kanon)
せつな(shun)さん
美早ちゃん(なぜか名雪(Kanon)萌えのメイドさん)(チャット)
参考資料:より切れ味のスルドイ参加者情報
この段階で、なにが起きているのか理解できずに振り落とされる読者は相当な数に上ると思うが、このメンツが日取りと場所のみを決めて、あとは参加者が好き勝手に野放しでオフを想定するのが「脳内オフ会」というイベントである。
参加者は、まえもって同伴するキャラを告知し、自身の日記サイトに、このときそれぞれの脳内で展開されたオフ会の模様を、事実として記すことを義務とする。だが、初期設定以外は放りっぱなしなので、そのまま全員の足並みが揃うことはまずない。したがってより早くアップされた内容、もしくはより面白い事実こそが、優先的に真実の称号を獲得するとゆー、言った者勝ちの恐るべきイベントである。
参加者の中には、当日記初登場の方も多いが「萌え」を中心にほぼ同じ人種なので、さして違和感はないだろう。
同伴について、既知でないゲームや小説のキャラは適当に読み飛ばしても問題ないと思う。紹介などを見て、ああこういう人なのか、と思ってもらえればいいだろう(いいのか)。ちなみに、マルチがふたり(「マルチ」と「まるち」と)いるが、これは同型の別機という扱いである。
「しかし、戦闘力の充実したオフ会だなあ」
集まったメンバー表(とくに参加表明初期)を見て、以前にとくそんさんがうなっていた。
「女性陣が強いですね」と、Beeさんが見たままを語り「男性陣がイタイですね・・・」と、天野が本質を語った。
そうした準備段階から数日後の5月3日。
岐阜県の金山(かなやま)にある、道の駅温泉「かれん」のパーキングエリアに、メンバーが集合した。
名前にちなんで建立された、全長50メートル以上ある黄金の可憐(シスタープリンセス)像の足下へ、ある者は電車で、ある者は車で、そしてある者は、戦術戦闘電子偵察機「戦闘妖精・雪風邪」を旅客機がわりに乗り付けて、続々とあつまってくる。実に15組・40名の大所帯となった。旧交をあたためあったり、自己紹介などしながら、温泉にむかって歩く。
「あなたが彩さんですか、はじめまして。『こみパ』はさわりしかやったことなかったんですが、お顔を拝見したことありますよ。なんでしたっけ、あの、えーと、あ、思い出しました。『SNOW』!」「・・・・あの」「七瀬さん、令さまはお強かったかしら」「ぎくぅ!」「留美ちゃん、転校前ってリリアン中等部の剣道部だったってほんと?」「ところでBeeさんたちが乗り付けた雪風邪って、あれ復座の戦闘機じゃなかった?」「はい、ちょっと改造を施して、五人乗りにしました。あと車も積んできてますよ」「それじゃまるでガッチャマンのゴッドフェニックスだなあ」「いつも思うんですけど、phantomさんと楽(かぐら)は会話できるんですか?」「震電は、楽の言ってることが分かるみたいだけど、震電は喋れないしな」「お、でも今日はマルチがいますよ」「はい、楽さんがデジタル波でなにか言ってるようなんですが」「なーおーぅ」「じゃあ、マルチ、震電とは接続できるか?」「規格が違うので難しいですが、なんとかしてみます」「・・・・」「ピーガガガガガキーギョゴゴゴゴゴゴ(声帯音効:堀江由衣)」「おお」「その手があったか」「なんか、FAXが出てきそうですねえ」「はい、はあ・・・なるほど、そうですか」「でも、会話が弾んでるみたいだぞ」「あの、楽さんは『大雨洪水警報です』と言ってるみたいなんですが、これどういう意味でしょうか」「あー」「クリスマスの」「・・・たぶんこのメンツが恐いんじゃないかな・・・」
そうこうするうちに、一同は温泉に到着した。
荷物を置いてから、どういうわけか天野の家を見物しようという話になったので、すぐに「かれん」を出発する。
Beeさんが「すぐ近くですから、歩いていきましょう」と言ったのと、必ず裏目に出る野生の勘を誇るゆうひさんの道案内が失敗の原因だったと思うが、一同は山道で迷子になったり、十二単衣を着てきた神奈様がかなりお辛そうだったり、途中で熊に襲われたり、それを通りすがりの神尾晴子さん(AIR)がくねくね踊って追い払ったり、迷った挙げ句に「大丈夫です、地図をもってきてますよ〜」と美早ちゃんがメイド服の懐から出したのが「埼玉県の地図」だったり、結局「鉄砲光三郎」がどう関係するのか誰もわからなかったりしながら、なんとか一行はクロカワに到着した。(ちなみに、実際には歩いていける距離ではありません)
その途端に、楽が町内会の猫狩りに追われたり、電波を発するという理由で白装束の一団に襲われたり、山からの清水を見て「わあ、綺麗な水だねー」とらむださん御一家の御子女さんたちが喜んだのを聞いて「マルチの方が綺麗な水だ!」とmanieraさんが本気で張り合ったり、その場で証明しようとしてゆうひさんに高密度ハリセンで力一杯ひっぱたかれたりしながら、なんとか一行は天野の家に辿り着いた。
せっかくだから「化け石」を見ておこうという話になって、一同が件の祠(ほこら)にむかう。一目見るなり、シエル先輩が叫んだ。
「こ、これは!」
「なにー!? 『化け石』の正体を知っておるのか、シエル先輩!」天野が宮下あきら調の顔で聞く。
「スピードワゴン財団で管理されているはずの柱の男・サンタナ!」
「・・・・」
「いままた、かなりの数の読者をおいてけぼりにしたような気が」
「今回ターゲットせまいですねえ」
「ジョジョネタが分かる人、何人くらいいるかなあ」
「あ、裏葉さんが神奈様に説明してる」
「第二部以降、まったく出番がなかったから、どこにいったのかと思っていたが」
「まさかこんなローカルなところに」
「たしかに戦後どこかから移されてきたとは聞いたけど。町内会長、何か騙されてるな」
全員で勝手なことを言っているうちに、通りすがりの美坂栞嬢が化け石の上で激しく吐血してサンタナが復活したり「これだけ戦闘力がそろっていれば、なんとかなるかも」と今回だけは平安なオフ会を希望していたとくそんさんがヤケクソ気味に叫んだり「こんなこともあろうかと」と天野が鉄工所で旋盤をまわして密かに作っていた合体巨大ロボット(分離状態)が発進するものの、どうしても合体できず雄々しきその名はついに分からなかったり「やはり異種族の敵に対する先制攻撃には、ミンメイアタックが有効」とBeeさんが歌姫・ゆうひさんに提案したり「では、ぜひこれを」とサンフェイスさんがあるフラッシュをノートパソコンにダウンロードして再生したり「女がうたえるかあ!」とゆうひさんがキレたり、フラッシュをみて思い出した天野が「しまった! 萌えキャラ使いたい放題なら、志摩子さまを連れてくるんだった!」と本気で残念がったり、対処しかねて現実逃避したマルチ二人はひたすら窓枠に対面して鏡拭きの寸劇を続けたり、言葉を覚え始めたサンタナが、らむださんが頻繁に口にしていた「ヒンニュウ」という言葉をこともあろうに千鶴さんに向かって呟いたり、1秒で鬼になった千鶴さんに蹴飛ばされてサンタナがそのまま虚空に消えたり(イメージ:うる星やつら)「セリオさんからの連絡によると、軌道速度を出して衛星になったそうです」とマルチが報告したり、空を見上げた美凪さんが「こうしてサンタナは星になりましたとさ」と呟いたりするうちに日が暮れてきた。
茜色の夕焼けに、明けの明星が輝く。
ややあってそれがだんだん大きくなってきたり「レギオン!?」とmanieraさんが比較的難しいギャグでボケたり、その間に星が隕石となってぶち落ちてくるのを七瀬が素手で受けとめたり、その衝撃で少林サッカーよろしく袖が破れたり、隕石を見たシエル先輩が「こっこれは!」と叫んだり「なにー! 知っておるのかシエル先輩!」と天野がやはり宮下あきら顔で聞いたり、それに答えて「地球外周を生物と鉱物の中間になってさまよっていた究極生物・カーズ!」とシエル先輩がしつこくジョジョ第二部しってる人しか分からないネタで断定したり「サンタナとぶつかって軌道が逸れて落下したようです」とマルチが報告したり「まずい、町内会のみなさんに化け石がなくなっていることがばれる」と天野が人類の存亡をさしおいて変な心配をしたり「ではこの究極生物を適当な大きさに切り出して」とハンバーグでも切るように美凪さんと瑞佳さんが包丁を奮って化け石のレプリカをつくってくれたり、佐祐理さんが切り刻まれたカーズが復活しないように必要以上に強力な石化魔法で封印を施してくれたり、この三人はとても見た目が似ていたり、特にモノクロにして目線を隠すと見分けがつかなかったり、天野もむかし絵に描こうとして苦労したことを思い出したりしたが、人間が猫に食われたくらいでは特に動じないクロカワの住民が騒ぎ出すより前には、あらかた状況を元通りにすることができ、どうにか事なきを得た。知佳ちゃんの念動力により祠も修繕され、以後ながきに渡って、化け石を祀るクロカワの伝統行事が絶えることはなかったという。
そしてmanieraさんが、沈む夕陽を昇る朝日に見立てて「おめでとう諸君。どうやら、究極生物の脅威は去ったようだよ」と、成原博士よろしく感慨深い表情で語ったのを締めに、一同は「かれん」に戻った。
明けて5月4日。
昨日の疲れもいざ知らず、せっかくの温泉なのでと屋根裏をほっかむりして匍匐(ほふく)前進し、天井裏から室内風呂を覗くという、王道作戦が立案、敢行された。ちょっと前に10tダンプに体当たりされ愛車が大破、本人も車窓を突き破って100メートルほどバウンドしながら名古屋の路上を華麗に舞ったものの「打撲が痛いです」の一言で参加し、到着直後に安心したせいか「ああ、野麦峠」よろしくダウンしたBeeさんと、一日36時間勤務という、どこをどう切りつめても余暇の取れない殺人スケジュールをさらに加速させて連続108時間勤務の末(ここだけノンフィクションらしいですよ)ついに参加にこぎつけたのも束の間で、到着と同時にやはり野麦峠よろしく崩れ落ちた利休さんを残し、男性陣が自室の天井板を外して出陣する。「FFでこういうのあったなあ」「このダクト、せまくて腰がはいらん」「もう少しで女湯ですよ」「あ、スケッチブック出しておかなきゃ」「ちょ、天野さんこんなところでカバンを開けないでってうわー!」忠告した美森さんと、健康的なオタクという自然界ではありえない種族として進化を遂げたエヴォリューダー天野がバランスを崩して天井板を破ってしまい(三ヶ月で9キロの減量に成功したものの、思えばいまだ86キロあるので無理もないが)女湯に落下した。「うわあ、天野さんたちが大変なことに!」声を潜めて叫ぶ入江さん。天井組はとっさに身を隠したが、眼下ではすでに大騒ぎになっているのが聞こえてくる。「ど、どうする? 助けに行く?」「・・・・」「・・・・」「・・・・」「わ、我々は!」「とくそんさん・・・」「我々は、自ら犠牲となって、我々が逃げるための貴重な時間を作ってくれている彼らのことを、生涯わすれないだろう」サンフェイスさんがアンデルセン神父よろしく十字を切った「アーメン」ややあって怒り狂った千鶴さんに惨殺された二人の「うわー! ケッコウ!」「ぎゃああああー♪」という叫び声が「かれん」に長く長く反響したのを聞きつつ、残った一同が音を殺して逃走する。「なんか嬉しそうな悲鳴でしたねえ・・・」「じゃあ、この割れた天井板の切れ端に『Bee、参上!』と書いて女湯に放り込んで帰りますか」「って、manieraさん、帰っちゃうの?」「そもそも、わしにはのぞきの趣味などない!」「まるちの目にカメラが搭載されていて最高画質で記録してあるから?」「・・・くわねさんも?」「考えてみればあの女性陣の風呂を覗きに行くっていうのは、消防署に放火しに行くようなものだしなあ」「ああ、らむださん、あなたはなんて残念そうな顔をするんだ」「それより、すぐに再出撃というのはどうかしら」「おおう、蔦子さん、いつの間に」「まさか、すぐに帰ってくるとは、ターゲットも思ってないでしょう」「一理ある」「よし、行くか、美森さんや天野さんたちのためにも!」「ああ、らむださん、あなたはなんて嬉しそうな顔をするんだ」こうして、再度挑戦しどうにか成功した彼らも「我々は死ぬまでこの感動を忘れることはないだろう!」とみんなで叫んだ瞬間に「ならもう死んでも未練はありませんね」と背後に出現した千鶴さんに全員惨殺(脱出した蔦子女史を除く)され、この作戦は強制終了した。
温泉の後は、お食事である。男性陣全員が包帯だらけのままで、たまにうめき声が上がったりするとゆー、見放された野戦病院のようなテンションの宴会場は、カラオケ大会まではなかなか盛り上がらなかったが「そ、その声で『おねえちゃんだぴょーん!』と恥ずかしげもなく言ってください! あと『柏木千鶴30才(マイシスター検索システム調べ)でーす』とか!」と千鶴さんに「ぼくらの味方だお姉ちゃん(井上喜久子さんの名曲)」を命がけでリクエストした天野が公開処刑されたり、マルチに「LOVE DESTINY」を無理矢理うたわせたり「もっと狂ったように髪を振り乱して!」と演技指導が入ったり、美汐さんが坂本真綾ばりに「ヘミソフィア」を歌ったり、それがまた実にうまかったり、上手すぎて文月さんがラーゼフォンに取り込まれたり、裏葉さんが自ら「レッツゴー裏葉さん(「レッツゴーエレクトラさん」(不思議の海のナディア)の替え歌と思われる)」を熱唱したり、ここにまた異様に実感がこもっていたりして、歌とともに場も高揚していく。一方で茜さん同伴の美森さんに嫉妬した某T氏が、スパイラルの某H嬢に人知れず刺殺されたり、先ほど覗きを幇助しつつ、自分だけ赤い彗星のごとき脱出の上手さを披露した女性、サンフェイスさんが「モニターから抜け出したような可愛い女の子がたッくさん参加(するから)」と説明して連れてきた記録係の蔦子さん(マリア様がみてる) (参考資料:もう一件の裏事情) に「君はいさぎよくリリアン女学園写真部をやめて『スポーツ新聞部』をつくり『リリスポ』を発行しなさい」と天野が詰め寄ったり「そのときはぜひ一部送ってくれ」とか「もちろん駅売りの方な」などと定期購読予約をとりつけたり、酒の席でゆうひさんが意外や酒乱と判明したり、最後には宴会を抜け出したサンフェイスさんと美凪さんが、廊下でちょっといい雰囲気になるも、ふすまの向こうで聞き耳を立てていたり、日記メモに記録をとったり、ノートパソコンでIRCに実況したりしていた一同が、デジカメをもった少女「黒場チェキ子」(密かに潜入していた彼女の活躍はこちら 0・1・2・3 参照・注:破壊力抜群
)の陰謀で向こう側に押し出されて、どどどーっと倒れ込んできたり、サンフェイスさんが驚いたり、美凪さんが照れたり、みんなで「てへっ☆」と笑ったりして宴は終了した。
そんな夜も明けて5月5日。
バイキング形式の食堂から逃げるようにして飛び出してきたMK2さんと、彼に手を引かれながら「うーん、まあ腹八分目っていうしね」と、カレースプーンを握りしめたままでニコニコしてるみさき先輩が最後に一同に合流し、来たとき同様に再び「かれん」のパーキングに全員がそろった。
かのバイキング食堂のドアに「食材切れにつき臨時休業」の札と「みさき禁止」という札が貼られるのを尻目に、みんなで名残を惜しむ。思えば、かつてないほどの大規模オフ会だった。
「うむ、素晴らしいオフであった」「ただ眼鏡率が低かった」「考えてみるとシエル先輩しかいないじゃねえか」「それにしても参加者待ちの初期段階だと、ほとんど『人でなし』オフ会の様相」「さざなみ女子寮なみの人外魔境だったな」「しかも凶器準備集合罪で訴えられそうな戦闘力ばっかだし」「うう、こんどこそまともなオフ会をって思ったのに・・・」
「次回は穏やかでまったりしたオフにしましょうね」と確実にこころにもない提案をして、オフ会にあつまった一団がほどけていく。それぞれの交通手段で、自宅に帰っていく参加者を、唯一地元の天野が見送った。
最後に、鶴来屋に帰る段になって、千鶴さんが天野に聞いてきた。
「それで天野さん」
「はい」
「さきほどある方から話を聞いた内容で、是非とも確認したいことがあるのですが」
「はあ」
「どれが千鶴山なんですか?」
「えっ え、ええとやはり女性の胸は大きさよりも形であろうと私などは思うわけでして」
「どれが千鶴山なんですか?」
「あ、あの、あれです」
「・・・・」
長い長い沈黙の後、冷凍マグロが凍死しそうなくらいの冷たい声で、千鶴さんはぼそりと呟いた。
「最近、いのちを大事にしない人が多くて困りますね・・・」
精神感応能力を持つ知佳ちゃんが、生命危機の信号に反応して振り返った。
彼女の証言によると、さっきまで手を振っていた天野は、そのときすでに満足な形も残していなかったという。
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■ 2003.05.04_1
(under) holy「東京実体オフ・1」
5月4日。天野の事情で、急遽東京に行くことになったため、そのついでに、新宿でオフ会がひらかれた。
先の脳内オフと並行しての実体オフである。
開催決定が5月3日だったあたり、急も急だが、それでもかなりのメンバーが集まった。みなさん凄い機動力である。
先の脳内オフに参加したメンバーは、そもそもどういう繋がりかというと「可憐アンテナ」という更新情報取得システムに登録されている顔ぶれだ。接点になってくれたのは文月さんであり、現在では「夜想曲」もここに加わっている。
ああ、ここ一年くらいで夜想曲の痛ましさが急に増したのはそーゆーわけか、と思った人もいると思うが、だいたいその通りであろう。(もしくは、私がそのレベルに追いついただけかもしれないが)
先の更新は、ここのメンバーによる、わりと定例化しつつある行事の「脳内オフ会」
そして今日は、都合のついた一部のメンバーによる「実体でのオフ会」だ。
しかし、東京へ行く前に名古屋まで出るわけだから、いい機会なのでBeeさんと会うことにする。
名駅で待ち合わせた後、店の扉があくまえに客が表で待っているアニメイトを遠巻きに観察していろいろ語らい、入店して出てきた時には、ついする気もなかった買い物をしていたのに気がつく。店内にかかっていた聴いたことのないCDドラマに井上喜久子さんの声を聞き取ってしまった瞬間にレジへ歩いていたらしい。他にも久しぶりの下界ということもあっていろいろ買った。
持ってきた東京宿泊荷物と同じくらいのアニメイト袋をさげて、その後、三井ビルの「ラケル」へ。
ギンガムチェック(とは微妙に違う気もする模様)のエプロンを着けた給仕さんを愛でながら、オムレツのセットを注文。美味いと評判のラケルパンをいただいた。コスチュームが魅力の店でもあるが、パンもやわらかくて美味い。思えばBeeさんとは、月天にも行った仲である。コスチュームに縁があるのだろうか。
コスといえば、名古屋にはメイド喫茶もあるが、ここにだけはいまだに入る気にならない。
なんというか「お帰りなさいませ、ご主人様」と出迎えてくれる実物のメイドさんには、正直なところ引いてしまうのだ。
たとえば巫女さんなら、神社で会ったときのように(思えばそんな経験はないが)会釈するなりすればいい。店に行くのも、お参りに行くのも、割合と似た感覚でできる。
だが、メイドさんは本来お屋敷の中にいる存在であり、その主人としてどのように接したら良いのかが分からないのだ。
それに服装の問題もある。お屋敷の主人の位置に立つ者としては、カーゴパンツに綿のシャツというわけにもいくまい。やはり、こう、TPOを考えると、シルクハットと燕尾服くらい着ていくべきだろう。
ただ、仮にそこまで整えて行ったとしても、電気街を抜けて、ギャルゲーグッズの並ぶフロアをその格好で通るというのも、確実に間違いな気がする。
「だからいったいどうすればいいんですか!」
「いや、そんな難しいこと自分に聞かれても・・・」
Beeさんも困っているようではある。
死ぬ直前に「メイド喫茶に・・・行って・・・みたかった・・・」とか言い残すような未練にはならないと思うが、気になるスポットではある。しかし、実際行くとなると拒絶反応が出てしまうのだ。
耽美系のコミックや小説、同人誌などを読み漁っていた女性でも、ホンモノを見た瞬間に激烈な拒絶反応を出して逃走するというのは、よく聞く話である。トップ絵にメイドさんなんか描いてるわりに、わたしが実体のメイド喫茶に抱いている引いたイメージや拒絶も、それにちょっと近いのかも知れない。
メイドさんは、二次元の世界の方が、やっぱり安心して萌えられると思うのだがどうだろう。
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■ 2003.05.04_2
(under) holy「東京実体オフ・2」
Beeさんと別れて、一路東京へ。
名古屋−東京間で、都合の良い路線が発見できなかったので、けっきょく新幹線をつかい(しかし、高速バスと新幹線以外にいい交通手段はないものか)時間通りに新宿駅に到着した。
ここで待ち合わせるのは、おなじみの文月さん、サンフェイスさん、そして、先日の日記でも書いたが、「可憐アンテナ」登録者のつながりで知り合った、phantomさん、美森さん、とくそんさん御一家(4名)である。この方々とは初対面であるが、話をしていくうちに、ああ、たしかにチャットや日記で受けたイメージの人格だな、という感じに納得していけるのが面白い。ネット上の、特にチャットでは、やはり人柄というものが出る。
関東在住のメンバーで、先日カレーオフ会をやった(天野はさすがにいけなかった)ときに集まったというカレーショップ「ボンベイ」に、いきなり9人も詰めかけたせいでウェイトレスさんが困っているのを申し訳なく思いながら、実体での再会をよろこぶ。同時進行的に「脳内オフ会」でも会っているので「やー、いまごろ天井板を踏み抜いて惨殺されてるころですね。はじめまして。」とかなんとか、変な挨拶だった。その後で Shunさんも合流し、いよいよ座る場所がなくなる。
ところで、このころ話題になったのが、サンフェイスさんの
50000ヒット記念「マリア様がみてる
−豚のような悲鳴−」だ。
「マリみて」と「ヘルシング」と、あと冗談がわかるひとには爆笑ものだと思う。天野も途中から息ができなくなった。
あちこちのニュースサイトに取り上げられ、瞬間的に時速500ヒットくらいまでいったらしい。(正確な数値は不明)
50000ヒット記念のはずが、あっというまに60000ヒットに達し、賞讃のおたよりと、お叱りのおたよりがいろいろ来たと聞く。それにしてもニュースサイトの影響力というのはスゴイ。夜想曲もそのあおりを受けて、にわかにアクセス数があがった。
「アレも、最近ようやく沈静化してきましたよ」
「大変でしたね」
「お疲れさまでした」「お疲れさま」「お疲れさまがみてる」
「最近『〜様』とつくとぜんぶ『がみてる』ってつけたくなります」
「ご苦労様がみてる」「ご愁傷様がみてる」「将軍様がみてる」
「ああ、もう何が何だか」
「しかし、いまごろ岐阜で死んでるはずの人が東京でカレーを食っている、って変な感じですね」
「ドッペルケンガーというやつだ」
「ちなみに、ドッペルケンガー必勝法をお教えしましょう」
「勝つ必要があるのか」
「ドッペルケンガーに遭遇したら、とにかく先に『俺がドッペルケンガーだ!』と叫ぶ。すると相手が死ぬ」
「定義の問題だったのか」
「サンフェイスさんによれば、こっちに来てるのはニセモノらしいですよ」
「よく見ると眼鏡や靴の爪先がとがってたり、マフラーが黄色かったりするのだな」
「天野さん体重減って小さくなっちゃったからニセモノっぽーい」
「あー、痩せた私みてBeeさんが打ちのめされていた」「『信じてたのに・・・』ってかんじで。あずまんがの智ちゃんみたく」「で『重モビルスーツとしての自覚がない』って言われた」
「あはは」
「Beeさん来たがってましたよ」
「らむださんも来られたらいいのになあ」
「ねえ」
「あ、失礼してちょっとメモ帳を・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「どうして突然、話が止まるんですか」
「いや、そのウワサに聞くメモ帳が恐くて・・・その・・・」
「天野さんのメモは立派な特殊能力だとおもう」
「さすがメモ座の聖闘士」
「メモ座・・・」
「聖衣の面積ちいさそう」
「胸ポケットに入るくらいのサイズでどこを防御するんだ」
「特殊能力:書かれた相手は行動・発言をネタ化される」「人によっては何度も殺される」
「どちらかというとスタンドだな」
「みなさんの星座は?」
「文月さんはニーソックス座」
「父王の帰還を祈る王女がゼウスに捧げたニーソックスが、天に昇って星座となった」
「ネビュラニーソ!」
「ぶるまー座が消滅して、代わりにすぱっつ座が登場」
「勝手に星座を作るなよう」
「いや、星は固有運動をしてるから、何万年後かには、いまの位置とはぜんぜん変わってるんですよ」
「せっかくだから、いまから予約しておきましょう」
「にーそ座、ぱんてぃー座、がーたーべると座で、『春の大絶対領域』」
「眼鏡座」「メイドさんの頭のアレ座」「ねこみみ座」「つるぺた座」「百合座」「一人称が『ボク』座」
「なんて素敵な夜空だろう」
「目眩がする」
「最後の方はどういう星の配置なんだろうな」
「天空八十八属性と名付けよう」
「そして、王道12星座を定める」
「12といえば、アレしかあるまい」
「占いとかすごいことになりそうだな」
「今日のラッキー星座は『花穂座』、転職やアルバイト探しのチャンスがあります。でも足下に注意。『四葉座』のあなたは仕事運がいまいち。上司の発言には気をつけて。あわてずのんびりいきましょう」
「ぬう、属性の違うひとには屈辱かもしれないな」
「でも、こんな星の下に生まれたかった・・・。で、できれば『千影座』に・・・」
とりとめもなく野放しで話している途中で、文月さんの携帯に入電があった。どうも、入江さんまで来てくれたらしい。ところで、前日に呼びかけただけなのにこうして集まったメンバーの機動力もすごいが、入江さんの神出鬼没さは群を抜いている。先日、サンフェイスさんが私用で盛岡まで行った際、それを追いかけて現地で合流するという離れ業をやったのが記憶に新しい。なにが凄いのかというと、二人の現住所が東京都と神奈川県だということだ。なぜ盛岡で合流する必要があるのだろう。山本周五郎風に言えば、茶漬けを食いに天竺まで行くようなものである。もっとも、入江さんの移動力に関しては、佐祐理さんの魔法で転送してもらったのではないか、という説が最近有力なのだが。
ややあって、その入江さんが新宿についた。だが、ボンベイの場所が分からないと再度携帯に連絡が入る。
「入江さん、この間のカレーオフのとき来たでしょ、この店」
『うん、でも一度いったところは覚えてないから(断言』
「・・・・」
「どういう意味でしょうね」
「たぶん、彼が一度いったところは彼の中から消滅するんですよ。ブギーポップみたいに」
「やはり移動には転送魔法を使っているという線は確かなようだ・・・」
「じゃあ、ここにもさゆりんの魔法で送ってもらえばいいのでは?」
「精度に問題があって、広い場所とかでないと転送できないんじゃないの?」
「柱の中とかに転送されるかもしれないと」
「ウィザードリィか」
「それ以前に対消滅して爆発するのでは・・・?」
勝手なことを言っているうちに、駅まで迎えに行った文月さんが入江さんを連れてきてくれた。
結局テーブル三カ所に分割して収まることになったので、たまに席替えしながら、初対面の人といろいろ話す。
大学生のphantomさんが通う某M科という学科は、モビルスーツのMか、マルチのMか、と言われるくらいによく分かった連中ばかりがあつまっているところで、学食の大テーブルで食事とかしていても、その食卓を囲む全員がKEY作品を通過していたりするとか、そういう学科だという話である。いい環境なのか悪い環境なのかよく分からないが、とりあえず羨ましいような気はする。
天野の大学時代は、高校時代にあれほどのめり込んだにも関わらず、思えばアニメゲーム関係とほぼ無縁の生活で、今の状況に復帰したのは大卒就職後にエヴァンゲリオンに出会ってからだった。したがって「げんしけん(月刊アフタヌーン連載のオタクライフ漫画)」みたいに学内サークルで萌えを語ったりする生活をスッポリ欠かしている。毎日きらくに友人の家に遊びに行ってマラソンでアニメ観たり、何度もクリアしたはずのゲームで無駄に時間をすごすというのは、やはり青少年時代に過ごしておきたかった憧れのライフスタイルでもある。そういう学校がうらやましくもあるが、自分の学生時代にも満足しているので、ただの欲張りというものだろう。
こうしてカレーを食べながら、いまそれに近い感触のオフ会などができるのが嬉しい。
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■ 2003.05.04_3
(under) holy「東京実体オフ・3」
その後、脳内オフのスケジュールに導かれるようにして、カラオケに行く。
天野と文月さんがトイレに寄ってから部屋に入ったとき、すでに
「んなはじゃ〜キミのひーとみーにわーなはじゃナニがみえーる〜」
と歌う美森さんのおかげで、方向性はだいたい決まっていた。
その「ナージャ!」に続き、サンフェイスさんがリクエストしていた「ロボット刑事」(またか)を天野が歌い、「ストラトス4」の「1st
priority 」を美森さんとphantomさんが。最近、文月さんに贈りつけて見てもらったガオガイガーエンディングの「いつか星の海で」の後「円盤皇女ワるきゅーレ」の「愛しいかけら」と続く。
そして、サンフェイスさんが歌った岡村靖幸の「だいすき」は例によって秀逸な替え歌だった。
※ 以下Kanon栞シナリオネタバレにつき緩く迷彩。
「だいすき」
黒いニーソとやけにすれすれのミニ ストール羽織って
かなり可愛い娘さ 寿命が消えるよ もうすぐ
中庭で出会った時 アイスいきなりザッザーザと大食い
まるで責めてるみたいだ 動機が不純なぼくを
ねぇ 三週間 恋人のふりをして街に出よう
もう 病気なんかぶっとんじゃうくらいに熱いくちづけ
君が大好き あうーのキツネよりも 大好き あのいとこよりも
こんなに大事なひとはそうはないよ
君が大好き あの先輩より 大好き 羽根リュックより
シオリストのために今日は歌うよ
再会した新学期 ほほよせたら 生きてたぬくもり
僕は拍手を送りたい 計算ちがいの あゆに
ねぇ 一生涯 恋人のふりをして街に出よう
もう お姉ちゃんぶっとんじゃうくらいに熱いくちづけ
君が大好き あうーのキツネよりも 大好き あのいとこよりも
こんなに大事なひとはそうはないよ
君が大好き あの先輩より 大好き 羽根リュックより
シオリストのために今日は歌うよ
毎度のことだが、神様はなにを考えてこんなステキな才能を彼に与えたのだろう。
その後「シスタープリンセス・リピュア」の「まぼろし」、身に覚えのある人が笑う「アニメ店長〜完全燃焼版〜」とくに「でかいポスター飾らんと、勇気だし買う君がいる。絶対こんなの貼れないはずだが、君が買うなら俺も売る! もってるだけでも意味がある!」のあたり。みんな笑っていたような気もするが。それはともかく。つづいて文月さんが「To Heart 」の「Feeling Heart
」を日本語バージョンで歌う。日本語なのに、ハングル空耳のアスキーアートの方がまざまざと脳裏に浮かぶのはもうどうしようもない。テレビでいつも気持ちよさそうに歌っている「仮面ライダー555」の「Justiφ's
」を続けて文月さんが。それにしても「φs(ファイズ)」と読むのは分かるが「555」を「ファイズ」と読むのはどうも納得できない。誰かも言っていたが「555」ならむしろ「仮面ライダーゴーゴーファイブ」の方がまだ通ると思うがどうだろう。忙しい湖さんもむかし言ってたが「326(ミツル)」もむしろ「サブロー」と読むべきだな、とかそんなことを考えているうちに、またサンフェイスさんが替え歌を入れた。
NAZOJAM HOLIDAY
(DRASTIC HOLIDAY:THE YELLOW MONKEY)
なぜか子持ちのVIRGIN
誰よりも君が好きさ
サブキャラ好き 年上が好き COURSE OF LOVE
胸にあふれた萌えが
飛び散る豪華な晩ご飯
たいらげれば君は喜び COURSE OF LOVE
DON'T MAKE ME BLUE
頬に手を当て NAZOJAM HOLIDAY
悪夢の様な恋をしましょう
笑い顔にかくしてる
HURRY UP! 君の仕事は?
さあおいで素敵な奥さん
こっち向いて可愛いお母さん
ダンナないし 名雪いないし COURSE OF LOVE
DON'T MAKE ME BLUE
頬に手を当て NAZOJAM HOLIDAY
悪夢の様な恋をしましょう
裸の君が舞い散る
HURRY UP! もう年増じゃないよ
シナリオないよ シナリオないよ
ありがとう 誰の恋人? 抱いてください
君のジャムも微笑みも 愛ととりましょう
苦い NAZOJAM HOLIDAY
目をうるませて
恥ずかしいよ 声はいらない
スレスレにタッチミー
ゆっくり真琴を寝かすように……夜は深まり
不味い NAZOJAM HOLIDAY
目をうるませて
頬に手を当て NAZOJAM HOLIDAY
悪夢のような恋をしましょう
貴女の読めぬ設定
HURRY UP! ジャムの中身は?
胸に手を当て NAZOJAM HOLIDAY
あなたとならば 恋をしましょう
失言は死を招く
HURRY UP! 君の年齢は…
TWENTY EIGHT
TWENTY EIGHT!
もう、どうしようもないくらいさすがである。(この言葉自体は文月さんに天野がいわれたことだが)
最近の日記は一般読者を完全に置いてけぼりにしているが、まあ一種の悪夢だと思って、先日の脳内オフの流れあたりから読み飛ばしてほしい。参考までにこの替え歌は、Kanonの最強キャラ・水瀬秋子さんネタであり、彼女への愛情においてある程度以上歪んだ人間なら誰もが通過するココロの世界を見事に歌っている。分からない人は安心しよう。
そろそろ諄(くど)くなってきたな、と思った「真っ赤なスカーフ(二番が『眼鏡の委員長』)」、そして非常に恥ずかしい間奏の語りパートを完璧に演じた美森さんに、かつて与えられた「静かに最強」という称号をこころから納得しながら聴いた「トキメイテG-on
G 」(G-onライダース)、「どっか〜ん」の方のエンディングがカラオケの曲目に無いことをしつこく嘆きながら次善策として文月さんが歌った「たからもの」(おジャ魔女どれみED)、桃井はるこの、あの妙に平たい歌い方が印象的な「小麦ちゃん」の「愛のメディスン」では、男連中(というか野郎しかいねえのだが)が「フィーバーフィーバー!」と一生懸命に歌う姿が自分を含めてなんか笑えた。その後、すでにヘビーローテーション気味の美森さんとphantomさんが「まほろDEまんぼー(まほろまてぃっくED)」を正確にパート分けして歌う。菊池由美が美森さんで、水野愛日がphantomさんか。真田アサミパートが無いが「あ、歌える」と名乗りを挙げる勇気が、私にはなかったことを告白しておこう。そして、鬱アニメ「無限のリヴァイアス」から「dis-」、脳内オフにシンクロするように「LOVE
DESTINY」、あずまんが大王の「Raspberry Heaven」と続く。そして文月さんがうたう「七人のナナ」からの「success,
success」は、こんな替え歌だった。
「Access , Access」
オタクのために 役に立つ オタクになりたいな
そのために毎日をダメに生きよう
今は なにができるかわからない
でも未来は閉ざされてる
いつもクラスじゃ浮いている
私にだって
家に帰ればすぐさま 更新だ
Access Access
明日にむかって とりあえず
Access Access
元気なく
いろいろ身につまされそうな歌である。
ゲームのオープニングしか見たことがないため、間奏に語りがあることを知らずに天野が入れてしまった「檄!帝国華撃団」を美森さんが助けてくれて、しかもその際「ウェディングピーチの間奏よりもよっぽど楽ですよ」という比較的聞き捨てならない類のコメントをいただく。さすがだ。秋元康の「アニメじゃない〜夢を忘れた地球人よ〜」をいまさら矛盾だとか言っても仕方がないので歌い、OVA「ああっ女神さまっ」のOP「My
Heart 言い出せない Your Heart 確かめたい」では文月さんが二番の歌詞で反射的に「愛がみなぎれば無敵になる〜」と強調。「二番みるの初めて」という割には反応速度の魔人ぶりをしめした。ここまでくるとみんなそういう脳味噌になっているのでさすがである。先のZZ繋がりで「一千万年銀河」をいい歌だなあと思いながら歌っていると、サンフェイスさんが「今日明日のうちにしか歌えないから」と「HOTEL宇宙船」を選曲し、こう歌った。
道の宿かれん
(HOTEL宇宙船:THE YELLOW MONKEY)
「鍵」「リーフ」
Beeさんの連れてきた 知佳 知佳
脳内の合言葉「メチャクチャしよう」
顔を合わせないオフがしたかったの?
「道の宿かれん」は可能 可能
もうだめ萌えてる メラメラ
横須賀港なみだよ カールビンソン
戦闘のないオフにしたかったの?
このメンツでは不可能 不可能
メキメキ増えてゆけ参加者たちよ
ときどき不安になる我が生死よ
人間外の集うオフ会が好きだよ
ずっとこれがやれればいいな いいな
クロカワで熊さん くねくねと踊ろう
銀河へサンタナ 化け石で飛んでゆく
ビリビリ破れてけ 七瀬の袖
ドキドキ覗いてる露天風呂よ
バキバキ鳴っている千鶴の指よ
やっぱり惜しくなる我が生死よ
リアルタイムで変わるオフレポが好きだよ
ずっとこれが読めればいいな いいな
ずっとこれが続けばいいな いいな
アハハ 死にたくない
アハハ しにたくない
爆笑の渦。酸素の欠乏による記憶の混乱。まるで見てきたように歌うサンフェイスさん。「いいのかなあ」と思いながら書いた日記の内容がここまで受け入れられる幸せ。
なにか脳内と実体が一体化したような、そんな共時性を感じたりなどするうち、サンフェイスさんに捧げる意味か「ハートをチェキ!」を美森さんたちが歌う。「カラオケで憶えましたよ、この歌」と文月さんも。「そんなにメジャーだったのか」というか「友好関係がしのばれる事実だなあ」と天野。そして「SILENCE
WIND」と「THE REAL FOLK BLUES」(カウボーイビバップ)のあたりで刻限まで一曲となる。「うーん、じゃあ・・・」と美森さんが選んだのが
「花右京メイド隊の歌」だったあたり流石だよな俺ら(やや、すてばちに)としかいいようがない。
美森さんなどは、アカペラで、しかも完璧な合いの手を入れるし、野郎共の声で無理矢理カワイク歌う金田朋子パートとか、いろいろ凄かった。「御奉仕させていただきます(はぁと)」の締めも完璧に、いろいろひっくるめて参加者のこれまでの人生の嗜好とか象徴したような最後の歌が終わった。
ゾロゾロとカラオケボックスを出る一同。
思えば「ボンベイ」では席が足りずにテーブルが別れたり、久しぶりに会えて嬉しかった入江さんや、去年の夏以来で語り合いたいことはまだまだ山ほどあるサンフェイスさんや、なにより天野は初対面の人が何人もいたこともあって、もっとみなさんと話がしたかったが、時間も遅かったので、残念ながらここでオフはお開きとなった。
もっとゆっくり話せる時間を前もって準備できなかったのは、どうしても悔やまれる。でも、また機会はあるだろう。
再会を約し、新宿で皆と別れた後、文月さんの部屋に泊めてもらう。東京に来るといつも宿にさせてもらっているのが、申し訳なく、またありがたい。新宿からの帰り、ずっと歩きながらいろんな話ができたのが楽しかった。
( 蛇 足 )
文月さんの部屋に泊めてもらってから、翌朝5月5日の早朝に、上京目的の用事に向かう。
上の日記にも描いたオフ会は、毎度の、楽しくて馬鹿馬鹿しいものだった。
それは、いわば上京の「ついで」に開かれたものだったと思う。
でも私は、その夢のような時間のおかげで、その後の悪夢のような試練を乗り越えることができたのではないだろうか。
わたしは東京へ、ある試練をうけに来た。そして、それはなんとか乗り越えることが出来たのだ。このオフのおかげで。
まだ笑い話にならない状況なので、詳細を記すことはできない。
だが、これだけは、書いておく。
みんな、ありがとう。
おかげで、たすかった。
オフ会にあつまってくれた人に、深い感謝をこめて。
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■ 2003.05.06
tue 「脳内オフ後日談・1:その舞台裏」
黒天野「脳内オフやら実体オフやら、ようやく終わりました」
白天野「しかし無茶な企画だったな」
「最初に話を聞いたとき『温泉』という舞台設定でもあったし、できれば全編会話文だけのドラマCD仕立てにしたかったのですが」
「温泉は番外編ドラマCDの定番だからな。でもそれだと、状況説明とかわざとらしくなるし、かなり辛い文章量になるだろう」
「いや、男性陣を、ジャンプマンガにおける解説役と、蹴散らされる被害者役として利用すれば無理なくいけるはずだった」
「ひでえ扱いだな、おい」
「いやー彼らとて、千鶴さんになら何回殺されても誰も文句を言うまいという目論見で」
「千鶴さんといえば、天野は『ねりこちゃん』を連れてくる、という話も最初はあった」
「でも、なんか楽(かぐら:猫)に食べられそうだったというか」
「あー」
「むかし見た、瀕死の蛾をもてあそぶ猫の姿とイヤな感じにダブったので、やめておきました」
「楽といい、今回の参加キャラは葉鍵系に限らず多岐わたったな」
「そう。ドラマCD仕立てをあきらめたのは、未履修のゲームがあったり、キャラの口調が把握できてなかったせいでもあります」
「実際には口調どころか設定ごとかなり好き勝手に書いてたけどな・・・」
「で、今回が第三回なので、第四回は、先日かいたように「リリアン女学園潜入オフ会」か、ここはやはり番外編ドラマCDの定番「江戸時代番外編」か「スペースオペラ番外編」がいいと思うなー」
「もう『まったりと平安なオフ』は永遠に不可能そうだ」
「異世界のお姫様に緊急召還された萌え戦士たちが、宇宙の存亡をかけて帝国軍と戦うオフ会! おお、燃える!」
「もうすでに、オフ会でもなんでもないような気がするが」
「あと、全長50メートルの可憐像が、実は戦闘用のロボットだった、っていう話を混ぜたかった」
「と思っていたら、だいたいみなさん(こちらとか、こちら)そうしてくださっているし」
「可憐ロボ・・・。『K・A・R・E・N 』か」
「Kanayama」(道の駅「かれん」の所在地)
「All 」
「Round 」
「Enfoser 」
「Nがないぞ」
「じゃあ、Nuclear てことで」
「核までつんでいたのか!」
「金山町自治体所属・核融合による全領域起動兵器」
「いや、いろいろ間違ってるなとは思うけど」
「主武装:超振動アイスピック」
「いつものことだけど、何人わらえるんだろう、このネタで」
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■ 2003.05.07
wed 「脳内オフ後日談・2:シエル先輩」
脳内オフ会は、可憐アンテナつながりで、某IRCに通うメンバーが集まって行うものである。
だが、ふだんそこでどんな会話がされているか、興味があるというメールがあった。
ちょっと前にBeeさんたちと話していて、シエル先輩(月姫)の話になったときのことを、参考までに書いておこう。
「脳内オフにシエル先輩、でてますよね?」
「おお、月姫では一番すきな人だ。でも琥珀さんもいいぞー♪ 不幸で」
「実は月姫のキャラって、シエル先輩以外全く知りません」
「なにー!? 貴様それでも軍人以下略ー!?」
「かーしか略してない」
「むしろ増えてる」
「ですから軍属じゃありませんってば」
「あ、でもわたしも分からない。むー、シエル先輩がどんな人だか簡素に語ったページってないですか?」
「キーワードをあげるなら・・・」
「カレー」「黒鍵」「埋葬機関」「無限回復者」「GoFに出場」
「最後のはちょっと違うと思うが」
「脳内オフ会(夏草戦記版)での解説とは一言もかぶってないな・・・」
「真祖最強ともいわれるアルクェイドとタイマンできるくらいですから、参加メンバー中ほぼ最強かと」
「千鶴さんより強いだろうなあ。本気なら圧倒しそう」
「いやいや、そんな」
「シエル先輩よりも、千鶴さんに殺されるほうが・・・」
「強力ですか?」
「うれしい」
「うれしさは聞いてません」
「えー」
「でもシエル先輩の声が井上喜久子さんだったら、ちょっと迷うな。うふふ」
「天野さん、あいかわらずきっこさんが絡(から)むと見境なしですね」
「そうだ、シエル先輩といえば、前に紹介したフィギュア。(参考画像) 偶然にもBeeさんと某友人から引越祝いとして連続でもらっちゃって、いま部屋にふたつあるんですよ。なんかコレクターになったみたいで嬉しい。でも、こういう買い方ってしたことないから新鮮です」
「へー」
「ホラホラ、こうやって二つ並べて、ちょっとだけ角度をかえて目の焦点をずらすと立体的にみえるヨ!」
「立体だ」
「立体だよ、天野さん」
「そういえばみさき先輩の参戦で、MK2さんが食費の心配してましたが、このオフに限っては、あまり考えなくていいですよね」
「そうですか? かなり深刻な事態になってるみたいですが」
「大丈夫、最後にはシエル先輩がお得意の催眠術で、会計については、なにもかもうやむやにして終わるから!」
「そうか!」
「どうりであれだけ騒いでも、報道とか官憲の介入とかなかったわけだ!」
「シエル先輩便利だなあ」
「つ、つまりこの人さえいれば、どこでどんなオフ会やらかしても不問になるということか・・・」
「な、ならば次こそは、リリアン女学園アニメ研究会との交流オフ会を・・・」
「それはちょっと正統派ファンの方からのお叱りがこわいなあ」
前後のつながりなどのため、かなり加筆修正してはあるが、おおむねこんな感じでお喋りしている。
さあ、第四回の明日はどっちだ。
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■ 2003.05.08
thu 「脳内オフ後日談・3:猫の日の話」
書くのが非常に楽という理由で、今回もIRCログの引用日記である。
日記で書いた猫が人を喰ったという話はいろいろ衝撃的だったようで、チャットとかでも後を引いてたのしかった。
「えー、チベットには鳥葬というのがありますが、クロカワでのアレは、いわば『猫葬』と言えましょう」
「うひー」
「猫好き究極の夢・猫葬」
「………どう想像しても、悪夢でしかないんですが」
「ハンニバル状態というか」
「やがて、その人間を食って太った猫を、さらに人間が食べるという文化に発展するかも」
「ねこーねこー。ねこ食べて学校行くよー」(声:国府田マリ子)
「そう言う食物連鎖は嫌だ」
「ちゃんと循環してるんだよー」
「あ、あとクロカワに来て、猫に近づこうとしたとき『あぶない!』って言われて突き飛ばされるかも知れないけど、それはたぶん親切心から来るものだから」
「ううむ、やはりすごいところだ」
「我々は脳内とはいえ、そんなところに行ってたのか」
「よく無事に帰ってこられたなあ」
「いや、無事でもなかったけどね・・・」
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■ 2003.05.10
sat 「男の子の目」
鉄工所の社長は男前だ。
64才だが、背筋がシャンとしている。身長も170センチ以上あって、脚もながい。見た感じ、パトレイバーの榊さんに似ているが、性格は温厚で、なにかと気を使ってくれる。
だが、わたしが一番気に入っているのは、社長の目が「男の子の目」なことだ。
前に見せてもらった納屋には、農機具とともに、大型バイクがあり、ラジコンヘリがあり、ラジコン飛行機があった。非常に趣味度の高い納屋である。
鉄工所はこの社長が一代目ではじめたらしい。先述の趣味もあわせて、機械が好きなのだろうなと思う。日々の働きぶりを見ていても、そう感じる。
社長であるからには、機械いじり以外の様々な仕事をこなしてこなければならなかったろう。
好きなことだけやって暮らしていけるわけはないが、それでも 好きなことを切り捨てない往生際の悪さが「男の子」なのだと思った。
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■ 2003.05.12
mon「感覚の復帰」
ジャガイモの芽が20センチくらいになってきたので、追い肥(芽の周りにだけ少量の肥料をまく)と土寄せ(雨などで平らになる畝をかるく起こして、ジャガイモの周りの土を厚くする。イモが陽に当たると緑化して苦くなるのをふせぐためだ)を行う。
このころは雑草もすごいことになっているので、草刈り機を借りてきて処理した。小さな草は、土寄せのとき一緒に掻き取ってしまうので問題ない。
先日から、休み休み畑仕事を行うようにしているおかげで、翌日に襲う体の痛みもなくなってきた。仕事を終えてからだが、ここちよく、畑仕事をしていられる。
午後六時。最近は日が長いので、まだ昼のように明るい。
一面の土寄せが終わったので、鍬をふるう手を休めて、土手に身体を投げ出すように座った。
目の前には、冬に耐えた深緑に、ぽつりぽつりと若葉色がまじりだした山。汗がひいてくるころに、渓流の水音と、遠くからウグイスの鳴き声が聞こえてくる。眼下に、苗の植わった水田を風がなでていくのが見えた。
すごく気持ちいい。
いっぱいに吸い込む空気は、もう若い葉からでた春の味がする。
甘く強い空気。そして工場が終わると、人工音のまったくない世界。
そこにいるだけで、身の裡になにかが満たされていく気がする。
畑をやることで、何かを取り戻しているかのような充足感があるのだ。
仕事は辛くなく、時間にゆとりがあり、金銭の心配もない。
天国というのは、こういう生活をいうのだな、と思った。
■ 2003.05.17
sat 「『まこみし文庫・夏』の中部圏オフ会」
まこみし文庫という企画がある。
「まこみし」というのは要するに「真琴」と「美汐さん」のことで、Kanonというゲームの、一般に言う「真琴シナリオ」のヒロインとサブヒロインふたり略称である。そして、この二人オンリーの小説同人誌が「まこみし文庫」だ。(かのシナリオを何と呼称するか、あるいはどっちが真のヒロインかという、一部の熱心なファンにとっては重大な問題はさておき)
企画の発起人は、せいるさん。
先日のおねSSこんぺ(ONEのSS(サイドストーリー、という意味が適切だと思う)の投稿によるコンペティション(勝負))で堂々一位になったSSの名手である。
参加者は、せいるさん、風見由大さん、桜木克典さん、そして天野。私以外は、みな小説担当の人だった。
この企画へは、文月さんに誘われたのがきっかけで(なんか最近こればっかだな)、絵描きが足りないとのことなので百合彦さんを引っ張り込んだりしての参加となる。4月末に製本も完了し「まこみし文庫」は、無事にレヴォ(即売会)にて初出された。東京の会場に行くことのできた人はそこで購入でき、またオフ会もあったときく。
今日は、当日会場に行けなかったスタッフの、特に中部圏に住むメンバーによるオフ会だ。
岐阜駅で集まり「アクティブG」で昼食と茶会を催す。
しかし、そもそもが真琴と美汐が好きなあまりに本までつくる野郎共のあつまりなので、必然的に話題も痛ましいものに傾倒していったようだった。
「わたくし、もう、真琴と美汐さんが好きで好きで」
「オンリー本がつくれるのは幸せなことです」
「・・・わたし(天野)はたしか『佐祐理×舞・純愛カップリング至上主義者』だったはずなのに、なんでこんなオマツリに参加してるんだろうと、ふと思うのですが、たぶん文月さんのせいですね・・・」
「せいるさんは真琴と美汐さん、どっちがすき?」
「せいるさんは、それ以前にぱんつが好き」「とにかく好き」
「さすが『こっとんぱんつのえらいひと』と言われるだけはある」
せいるさん、必死に否定。
でも、もっともそうなことを言うので削除。(← 暴力の一種)
「その上、せいるさん、ついに『こっとんぱんつ』好きが高じて本までつくった」
「製作期間中じつに楽しそうだったよね」
「せいるさん、ぱんつ好き。にはは」
「ぱ、ぱんつは、つかみですよ、つかみ!」
「でも、そのまま貫きましたねー」
「ぱんつはネタです! あくまでもネタなんです!」
「またまた」
「そもそもこの企画の基本方針が「真琴と美汐のこっとんぱんつな本」だったじゃないですか」(注:エロではありません)
「そ、それは読者の方に喜んでもらうために、しかたなく! しーかーたーなーくー!」
「でも全員がSSの中にぱんつ(もしくは乳バンド)をまぜこんでますよ。(一部のぞくけど)」
「天野なんかぱんつの絵までかいてしまったし」「しかもよく見たら、私以外ってラックラックさんしか描いてないじゃん、ぱんつ」
「参加者は、ぱんつ大好きせいるさんの本質がよくわかっている、ということでしょう」
「ちがいますって! ボクはべつにそんな」
「ところでせいるさん、次回も挿絵には、やはりぱんつの絵があったほうがいいですか? それともスクール水着とか? せいるさん好きでしょ、スク水」
「いやスクール水着とかはべつに。ぼくは 原則ぱんつのひと
だから」
「ニヤリ」
「ニヤリ」
「ニヤリ」
「はっ」
「ひっかかりましたね」「しぶとく否定してたけど、えらい簡単に誘導されたなー」
「この日記にはウソが含まれていますが、先の台詞はノンフィクションです」
「ご、誤解なんです! ぼくは・・・」
「もっとすごいんです!」
「桜木さあん!」
「ところで『まこみし文庫・夏』のオーラスを飾った、せいるさんによるSS内に、実に象徴的な一文があります」
「天野美汐さんの声を務める坂本真綾さんに朗読してもらいましょう」
「あの真っ白いコットンのさわさわしゅにしゅにとした感触。うっすらとにじみ出る布目の模様。ゆっくりと触れた場合の微妙なとっかかりとぴたりと張りつくあの肌触り。コットンぱんつ、もとい綿の下穿きの魅力に取り憑かれ人としてどこか間違った道に歩まんとする下着ふぇてぃっしゅな部分は殿方の誰もがもつ私からみれば理解しがたい若いパトスのありがちな暴走といえなくもないではありません」
(せいる氏の作品『しっぽなまことなぱんつ・シーカー』作中、天野美汐の独白よりごく一部抜粋)
「ぼぼぼぼ、ぼくは無実だー! いまの文章は絵師のラックラックさんに『イラストの都合上もっとたくさん言って』と頼まれてしかたなく書いたんだー!」
「でも自分で書いたんでしょ?」
「しかも、実際にはこの引用部の三倍くらい」
「これだけ語っておいて何をいまさら素人でもあるまいに」
「中の人が、中の人がかってに! あああ天野さん、いかにも邪悪な人をみるような目で見ないでください! ってものすごい速度でメモとらないでー!」
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■ 2003.05.19
mon 「二次創作・サイドストーリー(SS)への感想を書くということ」
SSを書くと言うことは、同じ文筆活動でも、日記を書くこととは、ぜんぜんちがうようだ。
だから、SS書きさんのオフ会に参加したときなど、わたしは自然と読み手の立場、感想を述べる立場にまわることになる。
「SSの評価は、ただ単に好きか嫌いかでいい」ともよく聞くので、たとえば「すごく感動しました」というごく大雑把な感想でもいいかもしれない。だが私は、気に入った作品(あるいは何か引っかかる作品)については、もっと具体的で事細かな感想を書きたいと思うのだ。特に最近、そう思うようになった。
「夜想曲」の、絵や日記に対する感想に、たまにものすごいものが届く。
それは、よくこここまで読み解いてくれたものだと驚かされるものや、あるいは、コンテンツをベースにして自分なりの考えを書いてくださったもの、描いた私ですら思いもしなかった角度から絵の見方を教えてくださる、などといった非常に濃ゆい感想で、そういうお客様に、わたしは恵まれているといえる。管理人冥利につきるというものである。
なかでも一番すごかったのは、2002年の誕生日に届いたCD−Rで、これには「夜想曲」のギャラリーを模したHTML形式のファイルが入っており、サムネイルをクリックすると「気に入った絵」と「絵に対する感想」が展開した上「絵にあうと思うBGM」が流れる(感想の下には選曲の意図も記されている)とゆー代物で、これはもうほとんど感想の類としては極めつけである。そして私の自慢だ。
こういう経験もあって、わたしも感想は大雑把ではなく、できるだけ、こまやかなものを送りたいと思うようになった。
しかし、SSの感想を書こうと思ったとき、感動した箇所の説明や気になるところについて、どういう基準で評価をすればいいのか、わからなくなってしまうことがある。
わたしの場合、小説の評価基準といえば、今までよんできた商業小説だ。「素敵な物語だと思いました」というSSに対する感想に続いて、いままで読んできた小説の最高レベルの位置から、いいかえればプロの作家と比べた基準からの評価・感想を加えて送ることになる。「ここがわかりにくい」「ここで文章に力が欠けている」など、感想は自然と厳しいものになるだろう。山本周五郎や秋山瑞人クラスを横に並べて評価され、無事でいられるSSなど、そうあるものではない。だから下手をすると、読み手としては感動しているのに、実際に送るのは、酷評でしかない感想になってしまうかもしれない。
ここで考える。
多くのSS書きさんに、プロになるつもりはおそらくはあるまい。
ならば、そもそもSSの評価にプロの基準を当てはめることは、はたして作家さんにとって有益なのだろうか。単にへこませるだけではないか。同人は同人のレベルと割り切って書いた方がよくはないか。
だが、そんな迷いを持ったまま参加した、先の「まこみし文庫」オフ会で、SS書きさんたちと話をするなか
「好きなように書いていきたいのが根本だが、もっとよいものを生みだしていきたい」
という気持ちが、プロもアマも関係なく、ライターとして共通する向上心だと気がつく。そして彼らもそれを持っていた。
ならば、と私は思った。
わたしは、優れた読み手としての自負をもち、SSとしての完成度向上を願って、自らの言葉に、相手がへこむであろうことも含めた責任を持ちながら、自分が感じ取れる限りの最高の基準と視点で、作品に対する厳しい意見を、容赦なく言っていきたいと思う。プロとしてどうか、という問いがあったら、それにも同じ条件で答えよう。(この場合、多少の商業主義観がはいるが)
感想を書きたい、と思わせるほどのSSだから、感動した場面などについても書くだろう。だが、なんとなく感じる違和感や、漠然とした不満も、SSにはかならずある。その違和感と不満、あるいは感動した部分を自己分析し、具体的に、なぜ感動したのか、どの点が拙(まず)いのか、それを解決するにはどういじればいいのかまで考え、形にした感想を送りつけたい。
読者の具体的な視点を得ると言うこと。それはSS作家さんにとって、おおいに役立つと思うのだ。
SSと日記、あるいは絵という異なるジャンルではあるが、
真に描きたいと思っているものを描けるようになる
というその喜びを、私はすこしだけ知っている。
わたしは細かく細かく感想を書くだけだが、SS作家さんたちがその喜びをえる手助けになれば、幸いだと思う。
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■ 2003.05.20
tue「『ゴルフと同人誌』のお話」
SS作家に限らず、同人活動をしている人や、非常に入れ込んだサイトを運営をしている人たちは、アマチュアという立場でこんなに頑張って能力を高めて、それでどうなるんだろうと悩むこともあると思う。
プロになるでもないのに、時間を費やして技術を磨く必要があるのかと。
わたしは、ひたすらに絵を描いたり文章を書いたりしていた学生時代に、母親から「勉強の方もちゃんとやりなさい」とか、仕事に就いてからも「それで食って行けたらいいのにねえ」と(皮肉ではなく)よく言われたものだった。
仕事に生きてきた母には、趣味をもつという概念が実感として希薄である。だから、文筆も絵描きも、プロになるため、あるいは、収入にかかわる道としか価値を見いだせなかったのも無理はない。(そうして働いて育ててくれたことには本当に感謝している)
とはいえ、プロを目指していたわけではなかったのだが、私はその言葉に強い違和感を憶えたものである。
頑張って絵を描いたり、文章を考えたりする行為は「プロになるという目的」に具体的に結びつかなければならないのだろうか。言い換えればプロにならない、つまり収入につながらないという行為は「無駄」なのだろうか、と。
そして漠然と「そうではない」という気持ちがあった。
ずっとこの疑問はモヤモヤとこころの中にあったが、以前に百合彦さんの日記(2002.06.02)で紹介されていた話が、この答えになってくれた。いろいろ参考になると思うので引用させていただこう。
二人ともかなりハマっていて、楽しそうに道具を買いそろえて、日曜はいそいそと朝早く出掛けたり、昼下がりにショップに行ってみたり。小さな即売会でも新刊が売れればうれしいし、仲間内のコンペでも悪いスコアだと滅入る。でも仕事を投げ出す程じゃないし、仕事にするほどでもない。同人もゴルフも、そんな人間が大多数を占めてる。プロじゃないから、プロより上手いと「本気で」自負するとヘンに思われる。プロじゃないから、生活に支障をきたすほどのめり込むとバカと呼ばれる。プロじゃないから、理解のない奥さんをもらうと苦労する(幸い二人とも伴侶には恵まれたようだ)。でもそのお陰で、白紙を目の前にして編集に苦しい言い訳を言ったり、来年のシード権を決める試合前日に眠れなくなることもない。
さすがに「接待同人」という言葉は聞かないが、打ちっ放しで練習してるサラリーマンに「いい年してゴルフなんかして、なんであなたプロにならないんですか?」という言葉が無意味なように、同人もそういう観点があっていいと思う。いや、あるべきだ。漫画家になるのに明確なプロテストはないけど、「プロになる」という目標だけがそのジャンルに手を染める理由では、ないはずなので。「玄人はだし」という誉め言葉があるけど、この国で素人が素人であり続けるのは結構難しい(学生の頃やっていた部活や趣味を社会人になっても続けられている人が、どれだけいるだろうか?)からこそ、そう思う。
この引用部分と、それに対して百合彦さんの書いている
素人として、きちんとした素人になって趣味を全うすることにすごく意義を感じている。
という言葉がいい。(強調効果は勝手につけました)
趣味をまっとうする、ということは、生活に困窮していないものだけが口にできる言葉であり、大変な贅沢(ぜいたく)だと思う。
生きていくだけで精一杯な状況において、趣味にうつつを抜かすのは、むしろ生活にとって害悪ですらあるだろう。
でも私も、その「うつつを抜かすという豊かさ」に意義を感じている。
趣味をまっとうするというその精神は、決してただの逃避ではなく、ささやかかもしれないが、自身の精神をたすけ、また、人の心をうつものだから。
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■ 2003.05.27
tue「鉄工の技術」
鉄工所に勤めて、もうじき三ヶ月になる。
掲示板にも書いたが、このころ作っていたのは、あろうことか
原子力発電所で使う部品だった。
素人同然の自分が、なんでこんな高品質を要求される部品を旋盤まわして拵(こしら)えているのだろうと、当時は途方に暮れたものだった。
原発用の部品は、かなりの精度を要求される。
正確な数値は隠すが、かりに部品の一部分が、35.5ミリの寸法で図面を引かれているとしよう。
これに対しての公差(公式に許容範囲として認められている誤差)は、−0.03ミリから−0.04ミリ。
つまり100分の1ミリ以内だ。
しかも切削時には、機械の熱膨張によって刃物の位置が上下するので、それを修正しながら作業しなければならない。
実際に、気を抜いているとすぐに公差をはみ出すことが、何度もあった。
結果としてその中間、つまり1000分の5ミリを狙う集中力のいる戦いが続く。
問題のある部品をつくっては、原発だけに大変だと覚悟はしたが、技術が未熟なせいもあって、いくつも失敗部品を作ってしまう。
規定を1000分の1〜2ミリオーバーしたものがたくさん出る結果となってしまった。
やむなく社長のところに謝りに行く。
社長は温厚な人だが、仕事の失敗に関しては、とうぜん責任を追及する。
最初は、叱られるのを恐れていた。
だがそれよりも、叱られるような仕事をしてしまうことの方を、いまは恐れよう。
そう思って、部品を持っていく。
社長はひょいと加工品を持ち上げ、マイクロ計測器で寸法をみると「ふむ」と唸り、旋盤にむかった。
どういう判断なのかわからず、とりあえずついていく。社長の行動に注目しながら、頭の中では思考がぐるぐる回る。
どうしたんだろう、ダメならダメと言って欲しいものだけど、社長にはなにか意図があるのだろうか。
いちど固定爪から外してしまった部品は、もう旋盤加工できないはずだけど。
え、あ、あの社長、その手に持っているのは、ひょっとしてアレですか。
紙やすりですか。
部品をもう一度固定しなおして、830回転で、お背中のせいでよく見えませんが、ひょっとしていま、
手で削ってますか!?
ややあって、社長が部品を外す。
「測ってみて」
おそるおそるマイクロをあてがってみると
キッチリと1000分の7ミリだけちいさくなっていた。
0.002ミリオーバーだったのと、公差の間(0.005ミリ)をとっての修正である。
失敗した分を、ぜんぶ処理してもらったが、全部品が、公差のど真ん中という完璧な修正だった。
「失敗すると指が四本とも持って行かれるから、あんたはまだやっちゃだめだよ」
と御親切なアドヴァイスまでいただいたが、わたしはあっけにとられていた。
手作業で1000分の7ミリだけ、狙って正確にコンスタントに削る腕前。
他の鉄工所がどんなところかは知らないので、これが凄いことなのか、業界では当たり前のことなのかわからない。だが、鉄工関係の市場が中国に持って行かれている昨今、それでも仕事がたくさんくるのは、単純に高度な技術と人材がここにあるからだと確信した。
こんな猫が人間を食うような田舎に(いいかげん忘れろ)、すごい技術があるものだと驚いた。
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