■ 2005.04.02 「なぜかうちに送られてくるせいるさんについての質問メール」 質問 せいるさんってサッと一嗅ぎするだけで身長体重髪型口癖キライな食べ物まで分かるって話をどこかで聞いたような覚えがあるのですが本当なのでしょうか? 回答 面白いので本当でいいと思います。
■ 2005.04.24 「叩く魂」 いきなりですが、 公式設定とか完全に無視して響鬼さん描いてみました。(描いてから更新までにずいぶん経ってしまいましたが)(あと現時点で10話までしか見られてないので、いろいろ話が変かもしれませんが、御了承ください)(あと、そのうち普通にコンテンツ化します) で、 「仮面ライダー響鬼」が、たまらなく面白い。 かつての「クウガ」なみの名作になる予感がある。よく聞くように「番組内で漢字とか多用してるし、内容も幼児むけでない」とか「仮面ライダーなのにバイクにのってない」とか「それ以前に、響鬼さんバイクに乗れない(正確には止まることができない)じゃん」とか、いろいろツッコミ所はあるが「仮面ライダー響鬼」には、仮面ライダーの原点を踏まえている印象と、なお、それを超えようとする姿勢が見える。 わたしはそこがすごく気に入っているのだ。 思えば、平成ライダーシリーズは、クウガより後、ライダー同士の争いや裏切りが描かれてきた(・・・と思う。アギトはちょっと違うらしいが)。 その姿は「正義のために戦う」という位置ではおそらくなく、私怨であったり、巻き込まれての戦いであったり、本人の戦闘動機がイマイチ不確かだったりと、ちゃんと全話みたのがクウガだけな私には確信をもっていえないが、チラチラみた範囲では、そんな印象を受けてきた。 クウガが素晴らしいと思えたのは、主人公の戦闘動機が私的なものでなかったことだ。みんなの笑顔を守りたい。その一心で、クウガは戦ってきた。 そして今回の「響鬼」である。 飄々としてみえるが、その実は修羅場を潜ってきたであろう大人の余裕と、あくまで前向きな姿勢。一度やぶれた敵にも「鍛えたりなきゃ、鍛えるだけだ」と再起をはたし挑む姿。 両者から得られる共通点は、子供の前にあって、ヒーローが立派な大人であることだ。 ライダー同士の争いや裏切りのドラマはもういい。いまいち尊敬できない人格の、人間的に未熟なライダーが主人公というのはもういい。「仮面ライダー」は、子供たちが憧れる対象なのだ。もちろん子供たちが単純にひかれるのは「ヒーローの強さ」すなわち「戦闘能力」なのだろうが、私はそこに「こうありたい」という人間的に魅力のある強さが備わっているべきだと思うのだ。そうでなければ、ヒーローとして安心して憧れることができない。 ヒーローもので安心して見られるのは、やはり「クウガ」や今回の「響鬼」のような、立派でカッコイイ大人というものを描いてくれる作品こそなのだ。 「仮面ライダー」初期のエピソードのことは、わたしは実はそれほど憶えていない。だが、それでも厳然と正義のために戦っていた彼らの姿は、頼もしく、安心して憧れることができ、またファンであることをほこりに思えるような立派さだった。クウガで得られたであろうヒーロー像から、昨今のいがみ合うライダーを経て、そういう意味でも「響鬼」は原点に返っているのだと思う。 ヒーローに、安心して憧れることができる。 そして、その姿から正しい何かを学ぶことができる。 それが、真のヒーロー番組というものだろう。 「響鬼」は、商業的にはちょっとどうかと思うが、その根本において、まちがいなく上質なヒーロー番組だ。先が楽しみである。 ところで、響鬼さんのパーソナルカラーは、赤。威吹鬼さんのはブルー。赤・青ときたら、次は黄色だろうとわたしは思う。というか思いたい。(と思ったら、情報によると轟鬼さん? は、ええと、緑色? じゃあ斬鬼さんを期待する) わたしは昨今の特撮ものに「カレーの好きな黄色いデブ」がまったく出てこないことを常々残念に思ってきた。(ハッキリ自覚したのは「おたく大統領」を読んでからだが)。せっかくの原点回帰である。今度でてくるであろう斬鬼さんのパーソナルカラーはぜひイエローで、カレーが好きで、かつデブであってほしい。そう、切に切に願うのだ。もうここまでやってくれたら個人的には評価:完璧である。イケメンライダーとか言って若手ばかり起用してきたなかで、いきなり時代劇俳優を使った度胸で、ぜひ、ぜひコレをやってほしい。とりあえず、まいにち石田秀範カントクに「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄(以下エンドレス)と電波を送っておこうと思う。 絵について。 はじめて響鬼さんを描いてみた。あと野郎を描いたのも実に久々で、キンニクとなるともういつ以来か記憶にないくらいだ。 下書き、および着色の段階まで、ほとんどまともな資料を見ないで描いたため、あちこちおかしい響鬼さんである。 ところで、絵を描くために、あらためてビデオを何度も繰り返し見たのだが、今回のスーツは非常にデキがいいことに気がつく。背中から胸にかけてのアーマーが、横から見たシルエットを非常に肉厚にしてくれるのが素敵だ。 それで思い出したのだが、私は以前に藤岡弘氏(仮面ライダー1号:本郷猛役)をナマで目撃したことがある。彼は、実に私の目の前を横切っていったのだが、その瞬間に目を奪われたのは、ものすごい厚さの胸板と背筋であった。防弾チョッキでも着用してるんじゃないかと思うくらいに上半身の筋肉が隆起していたのである。そのときのビジネススーツはおそらくオーダーされたものだろう、氏のその鍛え抜かれた体格にピタリと合っていて、そのシルエットはすごくかっこよかった。で、響鬼さんのスーツは、これにやや近い印象をうける。先の体験もあって、一発で気に入った。 あと真っ赤なグローブはよく見るとエナメルっぽい黒(ムラサキ?)色の袖からグラデーションで赤に至っているとか、下半身も色的に目立たないが布地の構成が凝っていて面白いとか、手首・足首のアクセントがいいとか、あと何と言ってもマスクの造形がすごく立体的で「鬼」というモチーフを上手く消化しまとめていることなど、とにかく絵に描いていて飽きない。他の鬼となると何故か急に描く気が失せてしまうのだが、響鬼さんだけは、ホントに好みのデザインである。 そういいつつ、実際に描いたのはかなり現物を無視した感じなのが申し訳ない。 紫炎をまとっての変身。そして、彼の炎のような打撃。先端に据え付けられた鬼の彫り物が遠目には炎をかたどって見えることなどから、絵のようなイメージがうかび、それをそのまんま描いた。 そして、立花妹の「鍛え抜かれた心と体を、さらに鍛えて鍛えまくって、はじめて鬼になれる」という言葉である。そんなわけでスーツによる秘匿性とか完全に無視した、肉体言語の実に雄弁なる有様に仕上げた。(ちょっと上半身がポンプアップしすぎてる感もあるが) ここ数年、美少女か美女ばっか描いてきたせいか、その反動もあって、スゴク楽しく描かせてもらった。それにしても、ヒーローとしてとても安心して描けるモチーフである。デザイン的にも素晴らしい。(クウガは、あの地下足袋みたいな足元とか、甲冑のような上半身がイマイチ気に入らないのだ) これからも、あくまで個人的にだが「仮面ライダー響鬼」を応援していきたい。 そして、日々「カレーの好きな黄色いデブを出せ」とカントクの寝床に向かって電波を送ろうと思う。
■ 2005.04.24 「叩く魂」 いきなりですが、
公式設定とか完全に無視して響鬼さん描いてみました。(描いてから更新までにずいぶん経ってしまいましたが)(あと現時点で10話までしか見られてないので、いろいろ話が変かもしれませんが、御了承ください)(あと、そのうち普通にコンテンツ化します) で、 「仮面ライダー響鬼」が、たまらなく面白い。 かつての「クウガ」なみの名作になる予感がある。よく聞くように「番組内で漢字とか多用してるし、内容も幼児むけでない」とか「仮面ライダーなのにバイクにのってない」とか「それ以前に、響鬼さんバイクに乗れない(正確には止まることができない)じゃん」とか、いろいろツッコミ所はあるが「仮面ライダー響鬼」には、仮面ライダーの原点を踏まえている印象と、なお、それを超えようとする姿勢が見える。 わたしはそこがすごく気に入っているのだ。 思えば、平成ライダーシリーズは、クウガより後、ライダー同士の争いや裏切りが描かれてきた(・・・と思う。アギトはちょっと違うらしいが)。 その姿は「正義のために戦う」という位置ではおそらくなく、私怨であったり、巻き込まれての戦いであったり、本人の戦闘動機がイマイチ不確かだったりと、ちゃんと全話みたのがクウガだけな私には確信をもっていえないが、チラチラみた範囲では、そんな印象を受けてきた。 クウガが素晴らしいと思えたのは、主人公の戦闘動機が私的なものでなかったことだ。みんなの笑顔を守りたい。その一心で、クウガは戦ってきた。 そして今回の「響鬼」である。 飄々としてみえるが、その実は修羅場を潜ってきたであろう大人の余裕と、あくまで前向きな姿勢。一度やぶれた敵にも「鍛えたりなきゃ、鍛えるだけだ」と再起をはたし挑む姿。 両者から得られる共通点は、子供の前にあって、ヒーローが立派な大人であることだ。 ライダー同士の争いや裏切りのドラマはもういい。いまいち尊敬できない人格の、人間的に未熟なライダーが主人公というのはもういい。「仮面ライダー」は、子供たちが憧れる対象なのだ。もちろん子供たちが単純にひかれるのは「ヒーローの強さ」すなわち「戦闘能力」なのだろうが、私はそこに「こうありたい」という人間的に魅力のある強さが備わっているべきだと思うのだ。そうでなければ、ヒーローとして安心して憧れることができない。 ヒーローもので安心して見られるのは、やはり「クウガ」や今回の「響鬼」のような、立派でカッコイイ大人というものを描いてくれる作品こそなのだ。 「仮面ライダー」初期のエピソードのことは、わたしは実はそれほど憶えていない。だが、それでも厳然と正義のために戦っていた彼らの姿は、頼もしく、安心して憧れることができ、またファンであることをほこりに思えるような立派さだった。クウガで得られたであろうヒーロー像から、昨今のいがみ合うライダーを経て、そういう意味でも「響鬼」は原点に返っているのだと思う。 ヒーローに、安心して憧れることができる。 そして、その姿から正しい何かを学ぶことができる。 それが、真のヒーロー番組というものだろう。 「響鬼」は、商業的にはちょっとどうかと思うが、その根本において、まちがいなく上質なヒーロー番組だ。先が楽しみである。 ところで、響鬼さんのパーソナルカラーは、赤。威吹鬼さんのはブルー。赤・青ときたら、次は黄色だろうとわたしは思う。というか思いたい。(と思ったら、情報によると轟鬼さん? は、ええと、緑色? じゃあ斬鬼さんを期待する) わたしは昨今の特撮ものに「カレーの好きな黄色いデブ」がまったく出てこないことを常々残念に思ってきた。(ハッキリ自覚したのは「おたく大統領」を読んでからだが)。せっかくの原点回帰である。今度でてくるであろう斬鬼さんのパーソナルカラーはぜひイエローで、カレーが好きで、かつデブであってほしい。そう、切に切に願うのだ。もうここまでやってくれたら個人的には評価:完璧である。イケメンライダーとか言って若手ばかり起用してきたなかで、いきなり時代劇俳優を使った度胸で、ぜひ、ぜひコレをやってほしい。とりあえず、まいにち石田秀範カントクに「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄色いデブを出せ」「カレーの好きな黄(以下エンドレス)と電波を送っておこうと思う。 絵について。 はじめて響鬼さんを描いてみた。あと野郎を描いたのも実に久々で、キンニクとなるともういつ以来か記憶にないくらいだ。 下書き、および着色の段階まで、ほとんどまともな資料を見ないで描いたため、あちこちおかしい響鬼さんである。 ところで、絵を描くために、あらためてビデオを何度も繰り返し見たのだが、今回のスーツは非常にデキがいいことに気がつく。背中から胸にかけてのアーマーが、横から見たシルエットを非常に肉厚にしてくれるのが素敵だ。 それで思い出したのだが、私は以前に藤岡弘氏(仮面ライダー1号:本郷猛役)をナマで目撃したことがある。彼は、実に私の目の前を横切っていったのだが、その瞬間に目を奪われたのは、ものすごい厚さの胸板と背筋であった。防弾チョッキでも着用してるんじゃないかと思うくらいに上半身の筋肉が隆起していたのである。そのときのビジネススーツはおそらくオーダーされたものだろう、氏のその鍛え抜かれた体格にピタリと合っていて、そのシルエットはすごくかっこよかった。で、響鬼さんのスーツは、これにやや近い印象をうける。先の体験もあって、一発で気に入った。 あと真っ赤なグローブはよく見るとエナメルっぽい黒(ムラサキ?)色の袖からグラデーションで赤に至っているとか、下半身も色的に目立たないが布地の構成が凝っていて面白いとか、手首・足首のアクセントがいいとか、あと何と言ってもマスクの造形がすごく立体的で「鬼」というモチーフを上手く消化しまとめていることなど、とにかく絵に描いていて飽きない。他の鬼となると何故か急に描く気が失せてしまうのだが、響鬼さんだけは、ホントに好みのデザインである。 そういいつつ、実際に描いたのはかなり現物を無視した感じなのが申し訳ない。 紫炎をまとっての変身。そして、彼の炎のような打撃。先端に据え付けられた鬼の彫り物が遠目には炎をかたどって見えることなどから、絵のようなイメージがうかび、それをそのまんま描いた。 そして、立花妹の「鍛え抜かれた心と体を、さらに鍛えて鍛えまくって、はじめて鬼になれる」という言葉である。そんなわけでスーツによる秘匿性とか完全に無視した、肉体言語の実に雄弁なる有様に仕上げた。(ちょっと上半身がポンプアップしすぎてる感もあるが) ここ数年、美少女か美女ばっか描いてきたせいか、その反動もあって、スゴク楽しく描かせてもらった。それにしても、ヒーローとしてとても安心して描けるモチーフである。デザイン的にも素晴らしい。(クウガは、あの地下足袋みたいな足元とか、甲冑のような上半身がイマイチ気に入らないのだ) これからも、あくまで個人的にだが「仮面ライダー響鬼」を応援していきたい。 そして、日々「カレーの好きな黄色いデブを出せ」とカントクの寝床に向かって電波を送ろうと思う。
■ 2005.04.27 「BGV」 最近は、絵を描くときに、なんらかのBGMもしくはBGVを流している。 シスプリ考察大全の挿絵を描いてるときメインで流していたBGMは「伊集院光の『深夜の馬鹿力』」というか録音された「自虐(ギャグ)の詩」だった。自分でもたいがいどうかと思うが、実は先日更新した「叩く魂(仮面ライダー響鬼)」も、描いてる間中エンドレスリピートで流していたのは、知人から借りた「撲殺天使ドクロちゃん」のアニメ版ビデオである。 なんというか、聴いてるものと描いてるものの差がすごい。 いつだったか、ほんわかした絵を描くときに虐殺映画を流すと調子がでると人格を疑われそうなことを書いたが、それはまあ「優しい気持ちになるから」とか理由がつくとしても、先の二件については何の言い訳も成立しないだろう。 だが、たしかにあの響鬼さんはドクロちゃんで描いたのだ。 千葉妙子がノリまくって歌う「メインテーマを表す」という意味では完璧すぎる出来映えの主題歌。 天使の輪っかをとられての下痢状態を、そこまで女を捨てられるのかと感動すらする声で演じきった釘宮理恵。(そういや最近みはじめた「鋼の錬金術師」では、演技が真の意味で素晴らしすぎて、以来この人を尊敬するようになった) そして、何度みかえしてもテレビ放映できたこと自体が奇跡のような、青少年にあたえる悪影響とかに関して遠慮とかまったくない血飛沫。 こうして列挙しても、主人公がひたすら撲殺すること以外に共通点がない。 なぜコレをバックに、こういう絵が生み出されるのか。 つくづく絵という魔法は、原理不明である。
■ 2005.05.06 「メイド喫茶」 去年のことだと思うが、メイド喫茶に行った。 ああ、ついにか、と思われる方も多いと思うが、その通りである。 だが、ひとりでは行ったわけではなく、せいるさんと風見さん、ラックラックさんもいっしょだ。 岐阜駅の近くにできた「ぱんだらんど」という店である。岐阜にもこんな店ができるようになったのかと感慨深い。 風見さんの誕生祝いと、なにかの御苦労様会だったと思うが、そもそもの動機はネタとしてだ。 昨今、電気街を中心にメイド喫茶・メイド居酒屋は林立している。だが、その多くは普通に居酒屋をやって、そこにエッセンスとしてメイド服やメイドスタイルを取り込んでいるだけ、という店が見受けられる。外から見ている分には、もうちょっと店の造りとか本格的にやったらいいのに、と思わないでもない。 それがどうも中途半端な感じがして、天野はメイド喫茶にひかれないのだ。 この日に目撃した「ドアのノブにエプロンがひっかかってわたわたしてるメイドさん」はたしかに萌えたが、やはりなんか違う。二次元のほうが安心して萌えられるというのが正直な感想だ。 メイドさんの高度な存在様式が「生活の中に、あたりまえのように存在する」という位置にあるなら、それはやはり居酒屋風の客商売では存在しえないのだろう。それはメイド服を着て「御主人様」と呼んでくれる少女が実物で目の前にあっても、やはり「エマ」などで示された本格的なフィクションの方が理想に近く、魅力的に思える。 とはいえ、そもそもネタなのだ。適当に楽しもうと気を取り直してメニューを見る。 普通のお酒やソフトドリンク、あとは居酒屋っぽいメニューがあるなかで メイドおにぎり そして メイドオムレツ というイカニモなアイテムが目についた。 どうみてもレンジでチンしたレトルトとしか思えないようなカレーが980円くらいするのがこういう店の相場だと聞く。それと比べれば良心的だが、ただのおにぎり、ただのオムレツとは明らかに値段が違った。なんらかの付加価値があるのだろうが、それほど大したモノではあるまい。これは話のネタとかに用意されたものであり、甘い罠の一種なのだろう。だが、いったい「メイドオムレツ」とか「メイドおにぎり」にはナニが入っているのか。気になる。 くっ 罠とは分かっているが・・・・ひっかかってしまいたい!! 全員の顔にうかぶだいたいそんな感じの表情。 そんななかで、せいるさんが平静を装ってメイドオムレツを注文した。 ややあって運ばれてくるちいさなお皿。正式には「幸せのメイドオムレツ」というらしいが、それは何の変哲もないプレーンなオムレツだった。 だが、もってきたメイドさんがケチャップを両手で捧げ持ち、くりくりした声で曰く 「御主人様のために、お好きな言葉をかかせていただきます」 ああ、なるほど。そうかそういう可愛らしいサービスなのね。 と、やや諦めに近い納得をした次の瞬間、このオーダーがせいるさんのものであることに場の全員が思い至った。 轟然と注目されるオムレツと、せいる氏の次の言葉。 思えば壁には店内マナーおよび注意書きとして、写真撮影やメイドさんへのセクハラめいたことを禁じる旨が貼ってある。 当然、このオムレツに放送禁止用語や放送禁止用語を想起させる言葉、そこまでいかなくても何らかのセクシャルな言葉を書かせることも、この規約に抵触することになるだろう。 だが、ここにいるのはせいるさんである。 ここ(おりはさんの日記)で お(おりはさん)「最近、普通に書いてるものにぱんつ分が多いって言われることがあって凹むんですが。私そんな意図してないのに、自然に増えてるみたいで」 せ(せいるさん)『それはほら、ぱんつぁー騎士叙勲。昇進』 お「いやちょっと待ってください」 せ『ほら、ぱんつはかぶったりするとネタが下りてきますから』 お「……そういうものですか?」 せ『そうです(きっぱり)。こう、天からぱんつの神様が』 こんなことまでアドバイスしている男が、メイドに捧げてもらう言葉はおおよそひとつしかありえない。 私と風見さんは、惑うせいるさんにブロックサインで「ぱ」「ぱ」「ぱ」と繰り返し信号を送り続ける。 「なんとお書きしましょうか?」 無邪気に聞いてくるメイドさん。 冷や汗を滝流ししているせいるさん。 ややって、ゴクリと唾を飲み込むと、せいるさんは言った。 「ゆういち」 このヘタレがッ!! とメモ用紙いっぱいに記述する天野。 いや、ここはホラ、せっかく忙しいなか来ていただいたお二人に迷惑がかからないようにという、個人の趣味を排除したごく利他的な行動で、決して日和ったわけではなく、むしろぱんつの 順調にケチャップで文字をかくメイドさんを尻目に、目だけで訴えるせいるさん。 メイドさんが去ったのを見計らって問いつめる。 「せいるさんともあろう人が、なんて情けない!」 「いや、だって恥ずかしいじゃないですか!」 「そんな感情どこにのこってたんですか!」 「ひでえな天野さん」 「ちっちがいますよ! 最初からそんなの書かせたらダメに決まってるじゃないですか! 真の言葉は徐々に! そう、ゆるされる常連レベルになってからです!」 「・・・あなた通うつもりですか」 ちなみに「メイドおにぎり」は、目の前で手ずからおにぎりを握ってくれるというものだった。 気恥ずかしいが、食べてみると普通にうまかった。 わたしはこの一回しか行かなかったが、せいるさんと風見さんはすでに数回行っているそうである。 スタンプカードがいっぱいになったころ、あの約束された勝利の言葉を彼が書いてもらえたら、この場でも紹介しようと思う。 新たなる伝説の記録として。
■ 2005.05.06 「メイド喫茶」 去年のことだと思うが、メイド喫茶に行った。 ああ、ついにか、と思われる方も多いと思うが、その通りである。 だが、ひとりでは行ったわけではなく、せいるさんと風見さん、ラックラックさんもいっしょだ。 岐阜駅の近くにできた「ぱんだらんど」という店である。岐阜にもこんな店ができるようになったのかと感慨深い。 風見さんの誕生祝いと、なにかの御苦労様会だったと思うが、そもそもの動機はネタとしてだ。 昨今、電気街を中心にメイド喫茶・メイド居酒屋は林立している。だが、その多くは普通に居酒屋をやって、そこにエッセンスとしてメイド服やメイドスタイルを取り込んでいるだけ、という店が見受けられる。外から見ている分には、もうちょっと店の造りとか本格的にやったらいいのに、と思わないでもない。 それがどうも中途半端な感じがして、天野はメイド喫茶にひかれないのだ。 この日に目撃した「ドアのノブにエプロンがひっかかってわたわたしてるメイドさん」はたしかに萌えたが、やはりなんか違う。二次元のほうが安心して萌えられるというのが正直な感想だ。 メイドさんの高度な存在様式が「生活の中に、あたりまえのように存在する」という位置にあるなら、それはやはり居酒屋風の客商売では存在しえないのだろう。それはメイド服を着て「御主人様」と呼んでくれる少女が実物で目の前にあっても、やはり「エマ」などで示された本格的なフィクションの方が理想に近く、魅力的に思える。 とはいえ、そもそもネタなのだ。適当に楽しもうと気を取り直してメニューを見る。 普通のお酒やソフトドリンク、あとは居酒屋っぽいメニューがあるなかで メイドおにぎり そして メイドオムレツ というイカニモなアイテムが目についた。 どうみてもレンジでチンしたレトルトとしか思えないようなカレーが980円くらいするのがこういう店の相場だと聞く。それと比べれば良心的だが、ただのおにぎり、ただのオムレツとは明らかに値段が違った。なんらかの付加価値があるのだろうが、それほど大したモノではあるまい。これは話のネタとかに用意されたものであり、甘い罠の一種なのだろう。だが、いったい「メイドオムレツ」とか「メイドおにぎり」にはナニが入っているのか。気になる。 くっ 罠とは分かっているが・・・・ひっかかってしまいたい!! 全員の顔にうかぶだいたいそんな感じの表情。 そんななかで、せいるさんが平静を装ってメイドオムレツを注文した。 ややあって運ばれてくるちいさなお皿。正式には「幸せのメイドオムレツ」というらしいが、それは何の変哲もないプレーンなオムレツだった。 だが、もってきたメイドさんがケチャップを両手で捧げ持ち、くりくりした声で曰く 「御主人様のために、お好きな言葉をかかせていただきます」 ああ、なるほど。そうかそういう可愛らしいサービスなのね。 と、やや諦めに近い納得をした次の瞬間、このオーダーがせいるさんのものであることに場の全員が思い至った。 轟然と注目されるオムレツと、せいる氏の次の言葉。 思えば壁には店内マナーおよび注意書きとして、写真撮影やメイドさんへのセクハラめいたことを禁じる旨が貼ってある。 当然、このオムレツに放送禁止用語や放送禁止用語を想起させる言葉、そこまでいかなくても何らかのセクシャルな言葉を書かせることも、この規約に抵触することになるだろう。 だが、ここにいるのはせいるさんである。 ここ(おりはさんの日記)で
お(おりはさん)「最近、普通に書いてるものにぱんつ分が多いって言われることがあって凹むんですが。私そんな意図してないのに、自然に増えてるみたいで」 せ(せいるさん)『それはほら、ぱんつぁー騎士叙勲。昇進』 お「いやちょっと待ってください」 せ『ほら、ぱんつはかぶったりするとネタが下りてきますから』 お「……そういうものですか?」 せ『そうです(きっぱり)。こう、天からぱんつの神様が』
こんなことまでアドバイスしている男が、メイドに捧げてもらう言葉はおおよそひとつしかありえない。 私と風見さんは、惑うせいるさんにブロックサインで「ぱ」「ぱ」「ぱ」と繰り返し信号を送り続ける。 「なんとお書きしましょうか?」 無邪気に聞いてくるメイドさん。 冷や汗を滝流ししているせいるさん。 ややって、ゴクリと唾を飲み込むと、せいるさんは言った。 「ゆういち」 このヘタレがッ!! とメモ用紙いっぱいに記述する天野。 いや、ここはホラ、せっかく忙しいなか来ていただいたお二人に迷惑がかからないようにという、個人の趣味を排除したごく利他的な行動で、決して日和ったわけではなく、むしろぱんつの 順調にケチャップで文字をかくメイドさんを尻目に、目だけで訴えるせいるさん。 メイドさんが去ったのを見計らって問いつめる。 「せいるさんともあろう人が、なんて情けない!」 「いや、だって恥ずかしいじゃないですか!」 「そんな感情どこにのこってたんですか!」 「ひでえな天野さん」 「ちっちがいますよ! 最初からそんなの書かせたらダメに決まってるじゃないですか! 真の言葉は徐々に! そう、ゆるされる常連レベルになってからです!」 「・・・あなた通うつもりですか」 ちなみに「メイドおにぎり」は、目の前で手ずからおにぎりを握ってくれるというものだった。 気恥ずかしいが、食べてみると普通にうまかった。 わたしはこの一回しか行かなかったが、せいるさんと風見さんはすでに数回行っているそうである。 スタンプカードがいっぱいになったころ、あの約束された勝利の言葉を彼が書いてもらえたら、この場でも紹介しようと思う。 新たなる伝説の記録として。
■ 2005.05.07 「板の道」 久しぶりに利休さんが名古屋に来るというので、せいるさん・風見さんと四人でオフ会となった。 利休さんは「まこみし文庫」の愛読者であり、あと「さんばいはやいひと」を見てみたいというのが動機らしい。それにしても行動力のある人だ。 路線の関係もあり、まず江南駅でせいるさんと天野が合流する。 「こうしてファンの方と作家さんを結びつけられるとは、及ばずながらも『まこみし文庫・秋』からせいるさんのプロパガンダを続けてきた甲斐があったというものです」 「ぼくはあの(一連の日記の)せいで毎晩まくらを濡らしてますが・・・」 「ええー」 「大きな飲み会とかに行くと言われるんですよ『綿ならなんでもいいんでしょ?』とか『そこまですごくありません』って否定しても、全員の顔に『またまた』と半笑いが!」 「あー。あの日記のせいなのはたしかにそうかも。せいるさんの実物が目の前にいても、視覚野が電脳化もされてないのに日記テキストにバイパスされてるみたいだからなあ」 「もう、天野さんのせいですよ!」 そうこうするうちに名古屋駅に到着。JR中央改札で利休さん風見さんと合流し、とりあえずラケルへ落ち着いた。 「せいるさん、今日は『さんばいはやいひと』いますか」 「うーん・・・。(こめかみに両方の人差し指をあてて)・・・残念です。いません」 「・・・わかるんですか」 「そりゃもう『ぼくのさんばいはやいひと』ですから? こう電波で、ね」 初対面である利休さんの前でも変わらぬせいるさんの様子を見てると、ぜんぜん天野さんのせいでは無いような気がするがとりあえず、天野はチョコパフェを注文。 到着した品は花火つきだった。 ただでさえ女性客ばかりの店でひときわ注目が集まる。 「こちらでよろしいですか?」 「違うと言いたい!」 と頭を抱えつつも、おいしくいただく。 3時間くらいだったろうか。ラケルの角の席で、まこみし文庫の感想や裏話など、いまさらながら楽しく話せた。 「ところで利休さん、実際に会ってみてせいるさんの印象はどうですか」 さっきはああ書いたが、利休さんの目的の何割かはせいるさんの実物を見物しにきたという感じである。 「天野さんの日記を読んで、あれ話半分でも酷いな、と」 「酷いな、といいますと」 「話半分ととらえても天野さんの書き方は酷いし、 話半分ととらえてもせいるさんのアレはちょっと酷いな、と」 「あはは」 「ところでせいるさん。今日のラケルには、午後からも『さんばいはやいひと』はきてませんか」 「きてません」 「どうして振り向きもせずにわかるんですか」 「ほら、そこはアレですよ。電波ですヨ。こう『ぼくのさんばいはやいひと』がくるとわかるんですよ。てぃりりりりりりりぃんっ!(注:ニュータイプ音) って」 天野さんの書き方は、そんなに酷くないような気もするが、シフト的にも彼女は来ないようなので、河岸を変えて「ビストロ教会」へ移る。 ここは、外観が教会風の建物で、なかはボックス席が鉄格子で囲まれ監獄風の内装という、実はかの「月天」と系列は同じ無国籍料理の居酒屋だ。 「あー、できればウェイターも看守風のコスチュームで、席に案内するときも『きりきり歩け!』とかメニューに『臭い飯』とかあると嬉しいけどな」 と勝手なことを呟きながら席につく。 コースに加えて好き勝手に注文。ゲテモノ好きな天野が、とりあえずワニ料理とカエル料理をオーダーした。 ワニはオイスターソースで、素材の味が絞め殺してある。たぶんすごく臭いんだろう。 カエルの方はみずっぽいササミの唐揚げといった感じに調理されていた。 「うまいけど、このコリコリするのって顔の軟骨とかかな」 「やめてえ」 風見さんはゲテモノ食が苦手なようだった。 ところでせいるさんはエビマヨが好きらしい。どこにいっても注文してる気がする。 ここでも二時間くらいガチャガチャと話をして、お開きとなった。 いろいろ裏話とか聞けて、天野としても楽しかった。 利休さんも満足されていたと思うがどうだろう。 帰りの電車も、天野とせいるさんはいっしょである。 ところでせいるさんは、このGWはイベント盛りだくさんですごい過密スケジュールだ。たぶん移動だけでもヘトヘトになることだろうし、その後の飲み会でもあんまり酒に強い人ではないのでちょっと心配だ。とりあえずストレートに聞いてみる。 「せいるさん、死なないでね」 「大丈夫。死にそうになったら天野さんがぱんつ絵を描いて生き返らせてくれると信じているから・・・。それまでがんばるよ」 「うん、がんばれ」 「それにぼくには、天野さんの爪研ぎ板としての使命もあるしね・・・」 「なんか、わたしがぱんつ絵を提供することを条件に毎回切り刻んでは貼り替えしてるみたいだな・・・」 まこみし文庫で絵を書くことを代償に、日記やあとがきを好き放題かかせてもらった有様を思い返す。 「ぼくが『板』として天野さんに必要とされているなら、ぼくは生きていけるさ・・・」 かなり自嘲気味である。 「大丈夫ですよ、せいるさん。私たちの関係はすでに、ネコと爪研ぎ板の関係からさらに上昇してます」 「どんなふうにですか」 「ええと、そうたとえるなら・・・」 「たとえるなら?」 「ドクロちゃんと桜くんの関係」 「酷くなってる! 酷くなってるよ天野さんっ!」 「そうですか?」 「あと、それってぼくが一方的に撲殺されてるってことですかねえ!?」 「ほら、ちゃんとその犠牲は日記で生きてるし」 「天野さん! いいですか。ぼくはイベントとかでははしゃいだりハジケたりしてますけど、ホントは寂しがり屋なんです! ひとりのときは壁のちかくでブルブルふるえながら寂しさに耐えてるわけですよ! そこに天野さんが『よしよし』とばかりに現れて、釣り竿の先にぱんつ絵をブラさげて『これをお食べ』って言ってくれるからぼくは『わーい、あまのさんがきてくれたあー♪』って無邪気なこどものよおに飛びつくんですよ! でもその瞬間に返す刀でズバズバッと十字にツメで切り裂かれて『うぎゃーっ!!』と叫びながらゴロゴロゴローっと転がるのを『あー、せいるさんはおもしろいなあ』って満足そうに微笑んでそのままフォローも無しに帰っちゃうのが天野さんなんです! でもかまってほしいからぼくは今日も部屋のすみっこで天野さんを待っているわけですよ!」 「なんか私すげえ酷いヒトみたいだな」 「今回もそうです! ローゼンメイデンのイベント(5/4にあった)の同人誌を、すなふさん(サークルのリーダーの方)が天野さんとこに宅急便で届けてくれるっていうのに『家が近いから』っていう理由で代わりに運ぼうとしてるわけですよこのGWに! むしろわざわざ切り裂かれるために! それも天野さんのストレス発散の役に立てれば、という動機で! どうですか、こういう健気なぼくの姿を見てどう思いますか!!?」 「むしろ燃える」 「うわあああーーん!」 二人の関係は、当分このままのようである。
■ 2005.05.07 「板の道」 久しぶりに利休さんが名古屋に来るというので、せいるさん・風見さんと四人でオフ会となった。 利休さんは「まこみし文庫」の愛読者であり、あと「さんばいはやいひと」を見てみたいというのが動機らしい。それにしても行動力のある人だ。 路線の関係もあり、まず江南駅でせいるさんと天野が合流する。 「こうしてファンの方と作家さんを結びつけられるとは、及ばずながらも『まこみし文庫・秋』からせいるさんのプロパガンダを続けてきた甲斐があったというものです」 「ぼくはあの(一連の日記の)せいで毎晩まくらを濡らしてますが・・・」 「ええー」 「大きな飲み会とかに行くと言われるんですよ『綿ならなんでもいいんでしょ?』とか『そこまですごくありません』って否定しても、全員の顔に『またまた』と半笑いが!」 「あー。あの日記のせいなのはたしかにそうかも。せいるさんの実物が目の前にいても、視覚野が電脳化もされてないのに日記テキストにバイパスされてるみたいだからなあ」 「もう、天野さんのせいですよ!」 そうこうするうちに名古屋駅に到着。JR中央改札で利休さん風見さんと合流し、とりあえずラケルへ落ち着いた。 「せいるさん、今日は『さんばいはやいひと』いますか」 「うーん・・・。(こめかみに両方の人差し指をあてて)・・・残念です。いません」 「・・・わかるんですか」 「そりゃもう『ぼくのさんばいはやいひと』ですから? こう電波で、ね」 初対面である利休さんの前でも変わらぬせいるさんの様子を見てると、ぜんぜん天野さんのせいでは無いような気がするがとりあえず、天野はチョコパフェを注文。 到着した品は花火つきだった。 ただでさえ女性客ばかりの店でひときわ注目が集まる。 「こちらでよろしいですか?」 「違うと言いたい!」 と頭を抱えつつも、おいしくいただく。 3時間くらいだったろうか。ラケルの角の席で、まこみし文庫の感想や裏話など、いまさらながら楽しく話せた。 「ところで利休さん、実際に会ってみてせいるさんの印象はどうですか」 さっきはああ書いたが、利休さんの目的の何割かはせいるさんの実物を見物しにきたという感じである。 「天野さんの日記を読んで、あれ話半分でも酷いな、と」 「酷いな、といいますと」 「話半分ととらえても天野さんの書き方は酷いし、 話半分ととらえてもせいるさんのアレはちょっと酷いな、と」 「あはは」 「ところでせいるさん。今日のラケルには、午後からも『さんばいはやいひと』はきてませんか」 「きてません」 「どうして振り向きもせずにわかるんですか」 「ほら、そこはアレですよ。電波ですヨ。こう『ぼくのさんばいはやいひと』がくるとわかるんですよ。てぃりりりりりりりぃんっ!(注:ニュータイプ音) って」 天野さんの書き方は、そんなに酷くないような気もするが、シフト的にも彼女は来ないようなので、河岸を変えて「ビストロ教会」へ移る。 ここは、外観が教会風の建物で、なかはボックス席が鉄格子で囲まれ監獄風の内装という、実はかの「月天」と系列は同じ無国籍料理の居酒屋だ。 「あー、できればウェイターも看守風のコスチュームで、席に案内するときも『きりきり歩け!』とかメニューに『臭い飯』とかあると嬉しいけどな」 と勝手なことを呟きながら席につく。 コースに加えて好き勝手に注文。ゲテモノ好きな天野が、とりあえずワニ料理とカエル料理をオーダーした。 ワニはオイスターソースで、素材の味が絞め殺してある。たぶんすごく臭いんだろう。 カエルの方はみずっぽいササミの唐揚げといった感じに調理されていた。 「うまいけど、このコリコリするのって顔の軟骨とかかな」 「やめてえ」
風見さんはゲテモノ食が苦手なようだった。 ところでせいるさんはエビマヨが好きらしい。どこにいっても注文してる気がする。 ここでも二時間くらいガチャガチャと話をして、お開きとなった。 いろいろ裏話とか聞けて、天野としても楽しかった。 利休さんも満足されていたと思うがどうだろう。 帰りの電車も、天野とせいるさんはいっしょである。 ところでせいるさんは、このGWはイベント盛りだくさんですごい過密スケジュールだ。たぶん移動だけでもヘトヘトになることだろうし、その後の飲み会でもあんまり酒に強い人ではないのでちょっと心配だ。とりあえずストレートに聞いてみる。 「せいるさん、死なないでね」 「大丈夫。死にそうになったら天野さんがぱんつ絵を描いて生き返らせてくれると信じているから・・・。それまでがんばるよ」 「うん、がんばれ」 「それにぼくには、天野さんの爪研ぎ板としての使命もあるしね・・・」 「なんか、わたしがぱんつ絵を提供することを条件に毎回切り刻んでは貼り替えしてるみたいだな・・・」 まこみし文庫で絵を書くことを代償に、日記やあとがきを好き放題かかせてもらった有様を思い返す。 「ぼくが『板』として天野さんに必要とされているなら、ぼくは生きていけるさ・・・」 かなり自嘲気味である。 「大丈夫ですよ、せいるさん。私たちの関係はすでに、ネコと爪研ぎ板の関係からさらに上昇してます」 「どんなふうにですか」 「ええと、そうたとえるなら・・・」 「たとえるなら?」 「ドクロちゃんと桜くんの関係」 「酷くなってる! 酷くなってるよ天野さんっ!」 「そうですか?」 「あと、それってぼくが一方的に撲殺されてるってことですかねえ!?」 「ほら、ちゃんとその犠牲は日記で生きてるし」 「天野さん! いいですか。ぼくはイベントとかでははしゃいだりハジケたりしてますけど、ホントは寂しがり屋なんです! ひとりのときは壁のちかくでブルブルふるえながら寂しさに耐えてるわけですよ! そこに天野さんが『よしよし』とばかりに現れて、釣り竿の先にぱんつ絵をブラさげて『これをお食べ』って言ってくれるからぼくは『わーい、あまのさんがきてくれたあー♪』って無邪気なこどものよおに飛びつくんですよ! でもその瞬間に返す刀でズバズバッと十字にツメで切り裂かれて『うぎゃーっ!!』と叫びながらゴロゴロゴローっと転がるのを『あー、せいるさんはおもしろいなあ』って満足そうに微笑んでそのままフォローも無しに帰っちゃうのが天野さんなんです! でもかまってほしいからぼくは今日も部屋のすみっこで天野さんを待っているわけですよ!」 「なんか私すげえ酷いヒトみたいだな」 「今回もそうです! ローゼンメイデンのイベント(5/4にあった)の同人誌を、すなふさん(サークルのリーダーの方)が天野さんとこに宅急便で届けてくれるっていうのに『家が近いから』っていう理由で代わりに運ぼうとしてるわけですよこのGWに! むしろわざわざ切り裂かれるために! それも天野さんのストレス発散の役に立てれば、という動機で! どうですか、こういう健気なぼくの姿を見てどう思いますか!!?」 「むしろ燃える」 「うわあああーーん!」 二人の関係は、当分このままのようである。
絵描きと管理:天野拓美( air@niu.ne.jp )