まこみし文庫・総集編

(2004.12.10)


(以下、すべての製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7)






  七瀬作品への挿絵  

雲の隙間からの光は白く霞み、その場所で両手を広げている真琴と重なって、それはまるで……。




まこみし文庫・夏
七瀬友紀「両手いっぱいのたからもの」より・扉絵

 

「いやはや。真琴の散らかし癖にも困ったもんだな」
「はい。そうですね、相沢さん・・・相沢さん!?」
「はろー」
「な、何やってるんですかこんなところでっ」



まこみし文庫・夏
七瀬友紀「両手いっぱいのたからもの」より・挿絵

 

夕陽が世界を茜色に染める。そんな赤い世界の中で、それはまばゆいまでに白かった。

まこみし文庫・秋
七瀬友紀「秋風の革命」より・扉絵

 

 唐突に、ぶわっ、と言う布が捲れ上がるような音がした。
 それはとても小さな音ではあったが、祐一と美汐はニンジャのごとき聞き耳でその音を聞きつけ、疾風のごとき反応速度でその発生源に着目する。そこには、どうやってかその戒めを解いたのか、再び逃げ出そうとしている悪ガキと、そして、その手前で、先の美汐のものとと同じように、赤い世界に浮かぶ真琴の、

 白が。

「あぅ――っ!」
 咆哮が夕焼け空に響き渡る。それは羞恥心を表す声であり、怒りを表す叫びであり、そして新たなる闘いの始まりを告げる唸りであった。怒りを秘めた瞳にて真琴は敵を補足し、そして走りだす。その姿を見た相沢祐一と天野美汐の二人はのちに「あれはまさに獣の目だった。あれは真琴じゃない、まこぴーだ」と、いささか興奮気味に語ったと言う。



まこみし文庫・秋
七瀬友紀「秋風の革命」より・挿絵

 






  もりた作品への挿絵  

春が来た。
周囲に、世の中に。
でも、私にはまだ、来ない。きっと、ずっとやって来ない。

冬の、まま。

どこまでも深く、濃い闇の中。
そう、冬というより、これは闇の世界。
一時、本当に一時の、束の間。
私にもほんの少しだけ、薄日を感じた時間があった。
冬から春に変わる、ほんのちょっと前に。それは、一瞬の陽だまり。束の間の、幻。
手のひらから零れ落ちる砂のように、さらさらと……消えていった。
そして私は、闇の世界で生活をしている。
充実感も何もない、世界の中で。



まこみし文庫・夏
もりたとおる「永遠の奇跡」より・扉絵

 

ああ、聞きたい。もっと、もっともっともっともっともっともっと。
忘れてしまう前に、覚えているうちに。
でないと、また認識してしまう。

これは夢だ、という過酷な現実に―――




まこみし文庫・秋
もりたとおる「永遠の奇跡」より・扉絵

 

「…………美汐ちゃん。起きてる?」



まこみし文庫・秋
もりたとおる「永遠の奇跡」より・挿絵

 

私には欠けているものがある。
私は元々三つのパーツ、三つ揃わないと完全な私にはならない。
本当は、もう忘れたくなるぐらいの過去には二つのパーツだった。
でも、気付いた時には一つのパーツになっていた。


それが三つに分かれた。


でもそれはごくごく当たり前のように私自身納得出来ることだった。
その分かれ方が、あまりにも心地よかったから。
三つ合わさって一つになる。
なんて心地のいい、時間だろう。

私がいて
真琴がいて
そして、あの人がいる。
完全な世界はそうやって出来上がっていく。



まこみし文庫・冬
もりたとおる「永遠の奇跡」より・扉絵

 

忘れてしまっていた

こんな大事なことなのに

三つ揃わなければ意味がないということを

どうして

忘れていたんだろう

とっても大事な





大切な人だったのに―――






まこみし文庫・冬
もりたとおる「永遠の奇跡」より・挿絵

 

永遠の奇跡 ――――――― 完結編


まこみし文庫・春
もりたとおる「永遠の奇跡」より・扉絵

 

 見上げれば青い空。雲ひとつない一面の青。
 鼻をくすぐるのは伸びている草、風が運ぶその香り。
 両手に感じるのは温もり。逞しい太い腕と華奢な細い腕。
 心に宿っているのは支えてくれた人の気持ち。私を必要としている人の、私を見守ってくれる人の、決して私から離れることのない絆の証。



まこみし文庫・春
もりたとおる「永遠の奇跡」より・挿絵

 





まこみし文庫・SP もりたとおる「妖狐の御礼」より・扉絵





  摂津作品への挿絵  

 夢を、見たんですよ。
 私は……、野原で、一人ぽつんと椅子に座っているんです。闇夜なのか、周囲は殆ど真っ暗だったんですが、それでも、その場所には見覚えがありました。

 ものみの丘です。





まこみし文庫・秋
摂津葉「参列」より・扉絵

 

 彼女が、両手を前に重ねて、一歩、一歩、静々と歩く。歩くたびに、ちりーん、と音がする。
 純白のドレスを身に纏い、これまた純白のヴェールを被ったその女性は、暗闇の中で眩く光り輝いて見えました。




まこみし文庫・秋
摂津葉「参列」より・挿絵

 







そして私は光に満ちた空間の中で、自らが、どこに居るのかということに気付き、息を呑みました。

まこみし文庫・秋
摂津葉「参列」より・挿絵











  風見作品への挿絵  

「ねえ」

 真琴がこちらを向く。ふたり、向き合う。

「この鏡の中のあたし達も、幸せなのかな」

 そう言ってから、真琴は後ろを振り返る。鏡の中には、ふたりの顔が見える。数え切れないほどの姿が。

「あたしと祐一と美汐の三人で、幸せなのかな?」

 真琴が呟く。



まこみし文庫・SP
風見由大「万華鏡、くるくる」より・扉絵

 






  APPENDIX  

 

 その夜、月がとても綺麗だった。

 満月でもない、三日月でもない、中途半端に欠けたその月はけれどもしかし煌煌と光を放っていた。尤も、それは月という天体が太陽の照り返しを受けているのに過ぎないのだけれど。それでも月は陽の光は優しく穏やかに、そして冴え冴えと冷たく光っている。

 そんな、月夜の晩のことだ。




まこみし文庫・SP
せいる「Don't need to say "Lov'ing you"」より・扉絵1

 

「泣いているの?」

「なにがかなしいの、みしお?」

「いえ、いえ――理由はないんです。無いけれど。でも。少しだけ」

 私はぐすっ、と鼻をすすった。

「――お話の腰を折ってしまいました。続きを、どうか――」

 私はごしごしと拳で目をこすりながら言った。



まこみし文庫・SP
せいる「Don't need to say "Lov'ing you"」より・扉絵2

 

 一匹、また一匹と草むらに狐たちが消えて行く。

 私の隣に座っていたしっぽが立派な狐も、ぴょん、と岩から飛び降りると、あっという間に姿を消してしまった。残ったのは道案内をしてくれたとおぼしき最初の狐と、もう一匹。ぱたんぱたん、と尻尾を振りながら、彼、あるいは彼女たちが最後。

「あなたたちは帰らないのですか?」

「待っているから」

「待っているのよぅ」

「誰を? 何を待っているんです?」

 声は答えない。



まこみし文庫・SP
せいる「Don't need to say "Lov'ing you"」より・扉絵3

 

 しかし、いつも思うのだがここは北国であるのに、あんなに短いスカートで寒くないのだろうか。ちょいと動いたらぱんつが見えてしまいそうである。てか視点ちょいと下げたら見えんかね?

「……祐一、なにやってんの?」

「いや、ちょいとローアングルからの斬新な視覚効果による現代社会の隠された実情を探ろうと思ったのだが」

 ――が、見えない。
 真琴がくるりと回転しても、真琴がぴょんとジャンプしても、真琴が虚空にて四連撃を繰り広げたとしても、それは、見えは、しなかった。

「……なぜだ」

 拙僧は納得がいかなかった。アレだけ短いスカートで、アレだけの動きをして、しかし――ぱんつがちらりとも垣間見ることが出来ない。
 そんなバカな。あの動きは、明らかに人類の範疇を大きく超えている――。

「ふ。疑問に思っているようね、祐一」



まこみし文庫・春
七瀬友紀「ぱんつ見坂」より・カバー裏の隠しページ挿絵

 

美汐は正座していた座布団から立ち上がって、薄い夏用のカーディガンをそっと両手からすべり下ろした。それから美汐はワンピースのボタンに手を掛け……ふと手を止める。

「なんですか、真琴。じろじろみて」
「うーん」
「?」
「美汐、脱ぎ方が色っぽーい」
「……あのですね真琴」
「うん」
「何故下から見上げるようにはいつくばっているのですか」




まこみし文庫・SP
せいる「Summer Primary Special Pantu 2」より
カバー裏の隠しページ挿絵

 





夏用あとがき

「両手いっぱいのおくりもの」と「奇跡」の絵をかかせていただいた天野拓美です。「両手いっぱいのおくりもの」で描いた二枚はどっちも挿絵とするべき絵だったかもしれないと思ったのは締め切り当日でした。ところで、真琴のこっとんぱんつをしげしげと見つめる美汐さんの挿し絵ですが、七瀬さんのβ版原稿をみて「こ、これは描かねばなるまい!」と勢い込んで完成させたものの、いざアップという段になって確認させてもらった完成原稿では、微妙にシチュエーションが変わってまして、あわてて表情だけ修正しました。そのせいか、なにかあまり意味のない絵になってしまったような気が……。最初は真琴と、美汐さん・祐一が別行動をとっていたため、更衣室で手がかりを発見し「こ、これは真琴のこっとんぱんつ!?」と美汐さんは驚愕の表情であり、この祐一にみえねえ相沢さんも真剣な表情でした。「奇跡」はわたしも好きな物語で、なんとか挿絵を描きたかったのですが、どこにいれても無粋な気がして、扉だけになりました。この物語の背景や続きが書かれるのが楽しみです。




秋用あとがき

もりたさんの「永遠の奇跡」と七瀬さんの「秋風の革命」扉絵・挿絵担当の天野拓美です。夏でもそうでしたが、作家さんにあわせてタッチを変えてみようと思いつつ作業進行。途中、会う機会があったのでせいる氏に前々から気になっていたことを質問。まこみし文庫のテーマとは何か。彼は「幸せ」と答えた後で「ぱんつじゃないですよ?」「ぱんつじゃないですよ?」とものすげえ嬉しそうな笑顔で説得力のない否定を繰り返す。どうも彼にとって幸せとぱんつは、結婚と恋愛、串焼きとその串みたいな関係と推察する。もりたさんはシリアスながら、絶妙なやり方でぱんつテキストを混入するなど、まさにぱんつはバラエティ豊かな全編を貫くバーベキューの串。ぱんつなくばこの企画は分解してもやむなしというところか。七瀬さんの「秋風の革命」も今回スカートめくり万歳夕映え白ぱんつ最高物語で、しかも美汐さん真琴と二連発。どうしますか。これこそ目玉のシーンゆえにまさか挿絵を描かないわけにも行かず、さりとてすっぽんぽんを描くのには何の抵抗もないわりに「ぱんつ」「スカートめくり」という扇情的なナニを描くかどうかは絵描きにとって大事な一線のように思われ、どうしたものかの思案橋なところせいるさんが優しく応相談に。「いや、ぱんつ描くのに抵抗があって」「ほう」「それにまあ、資料とかないですしねえ」翌日せいるさんが「しまむら」で買ってきた幼女ぱんつ(何用のつもりか二枚)もって天野を来訪。自らレジを潜ったとゆーその糞度胸ゆえに描かざるを得なくなり、本編ごらんのとおり。縫製のでき刺繍の可愛さ肌触りと指に引っかかる木綿の感触など580円のぱんつを褒めちぎるせいる氏がなんとなく恐くなってきたので、せっかくの幼女ぱんつは実際のところあまり資料として活躍せず、今回は想像力で乗り切ることに。次回は参考にしようかと思いつつとりあえず色気のねえぱんつ万歳という気持ちが芽生えていたのを自らのゴーストに発見。まずいかも。ところで描けた絵はせいる氏に思いのほか好評。あげく一言。「資料は御用意させていただきますよ天野さんのためなら!」アイテムゲットのいい口実なだけではと疑わざるを得ないくらい大喜びなせいる氏。品書きに「資料」とさえ書かせれば何買っても恥ずかしくないということを学習してしまわれた御様子。アーメン。「じゃあ、次は中身ね」と言っておいたので冬号までの期間は真琴もしくは美汐さん本人がドアを叩いて訪ねてくるのをひたすら待つ予定。そうそう、まこみし文庫の企画が完了したらいっしょに一度も幼女のあんよにくぐられることの無かった哀れな哀れなぱんつの供養をしましょうせいるさん。とりあえず焼くって方向で。煮るのは変態なのでうちでは扱ってません。いやそれはともかく「まこみし」は絵の締め切りと天野の引越がかならず重なるという災禍に夏秋と見舞われているのはなぜでしょう。とりあえず、なんとか冬号のときには引越しないようにしたいと思います。ところで毎回ぱんつの絵かいてるのって、ひょっとしてわたしだけ? ねえ、わたしだけ?




秋(増刷版)用あとがき

「まこみし文庫・秋(増刷版)」を手にとってくださってありがとうございます。
さて、せいるさんといえば先述のように「ぱんつのひと」なわけですが、彼からその件に関しての苦情がありました。
「天野さん、初版の後書きみたいな話はやめてください! あれ以来即売会のブースでも『えらいひとはいますか』『ぱんつのひとはいますか』『ぱんつでしかもえらいひとはいますか』って、だれも名前で呼んでくれないんですよ! あのときは目の前が真っ暗になりました!」自業自得の見本である。「いや、わたし(天野)はただ、せいるさんが常日頃どんなみもふたもない痴態をさらけ出しているか『まこみし』のスタッフおよび読者に伝えるべきではないかと。リーダーが何を考えているのかって、まとまる上では大切ですから。あと、あれですよ、お米とかの袋に生産者の顔写真が載ってるじゃないですか。あんな感じです」どことなくシュレーディンガー音頭を思わせる動作で、せいるさん激しく否定。彼の発言中には筋の通った説明もあったがあとがきの文字数制限を理由に以下テキストで256行を意図的に削除(暴力の一種) 「ところで『味噌汁の日』で有名なあの摂津さんを引っぱり出したのは、せいるさんの偉大な功績ですね。ここ一年くらいカレー喰って『美鳥日記』書いてるだけの人(すごく失礼なことを書いているな私は)にあんなすごい話を書かせるなんて。わたしも絵が描けてしあわせでした」「えへへ。いやあ『ぱんつ文庫は伊達じゃない!』ってところです」「・・・・」「・・・あれ?」
彼は、やはりどこまでも「ぱんつのひと」のようである。




冬用あとがき

まこみし文庫の主催者であるせいるさんが「ぱんつ」と運命的な出会いを果たしたのは、コミケC62のことだったという。この出会いから彼の「ぱんつぁー」としての人生がはじまり、そして、まこみし文庫が生まれたのだ。「会場をうろついていたとき、栞の制服コスプレしてるレイヤーさんを見かけたんですが、それがまたよくできたちゃんとした制服で、いいなあ、と思ってみているとき、彼女が不意にしゃがんで、こう、ぱんつが・・・!」ものすげえ嬉しそうなオーラをまき散らかして猛然といいわけを開始するせいるさん。「み、見ようと思ってみたわけじゃないですよ!? 自然に! ごくごく自然に! そう、これは人間の視界が210度あるせいです!」「仕様のせいにするな」「そこに、210度の視界にチラッと! たまたま、こう白い、おにゃにょこの・・・いや、それ以前にべつにぼくがめくったわけじゃないですから、そそそそう! これは無限にひろがる大宇宙の意志です!! 間違いありません!!」
だいたいそんな感じに大宇宙の意思によって誕生した「まこみし文庫」 製作者に幸は薄いが、そのぶん真琴と美汐さんのしあわせが溺れ死にしそうなくらいに溢れている最終巻・春号はレヴォにて発売の予定です。




春用あとがき

せいるさんの生態をあまねく読者に知らしめるべく描いてきたこのあとがきに対して、キャラが妙に立っていることから「せいるさんのことを大げさに書いているのではないか」という声もあったので、今回は事実のみを飾らずに記載。某喫茶店にてせいるさんとラックラックさんに会い、出来上がった「まこみし文庫・冬」をうけとる。話は冬号でラックラックさんの描いたぱんつについて「しわの影が薄い!」「これでいいと思」「誤魔化しちゃダメ!」「そんなに違わな」「ぜんぜん違う!」「線一本いれるだけで、様式美というか」こだわるせいるさん「そもそも、なぜぱんつなのか!」「そこには布を超えた何かがあるのですよ! それ単体としての宇宙が」「具体的にはなんですか」「足から抜くじゃん!」「足首にくるくると丸まるじゃん!」「あれが、あれがッ!」「靴下といっしょに、口で脱がしたい!」気のせいか周りの客が沈黙。話題変更。せいるさんがラックラックさんの誕生日に、プレゼントとしてペインター8を買い与えたという。そして一言「だいぶ描けるようになってきたね」天野がぽんと膝をうつ「おお。つまりせいるさんはラックラック氏を、自分好みのぱんつを描かせる絵師として調教しているわけですね」ウェイトレスも近寄れない制圧半径が我々のテーブル中心に発生。「教唆というやつだ」「いや、違う、そのいいぱんつを描かせ、ああいや絵を、いい絵を描かせるために、そう、これは彼のためを思っての」「でもせいるさん、さっきテーブルの対面に座るラックラックさんの足の間に、みずからの足首をじらすようにねじ込んでた」珈琲を吹くせいるさん「図星ですか」「こっこれはほら、アレですよ? 愛らしい戯れですよ?」まこみし文庫のもうひとつの楽しみ方をご紹介。ラックラックさんがせいるさんに調教されていく様子が、四巻すべてそろえると分かるはずです。御愛読ありがとうございました。


SP用あとがき

SP版でもやはりせいるさんの痴態を報告することに偏執狂的に取り組む天野拓美がお送りする「まこみし文庫・春号」発売記念オフ会報告。某メロンブックス近くの喫茶店にて記録開始。「ただ白いだけでは反応しないんですよ。あのぶかぶか感が!」「せいるさんいきなり暴走状態だな」「いや、日常だと思う」「前から聞こうと思ってたんですけど、せいるさんにとっての理想のぱんつってどんなの?」「年下、黒い髪、そして白いこっとんぱんつ!」「いま1秒かからなかったね」「くしゃくしゃ感のあるその白布(中身付き)を、おしたりひねったり鼻の頭でフロント部分をこすったりしたい!」「・・・・」「2時間くらい!」「・・・・」「あ、でも、やっぱりうしろから!」耽溺しているせいるさんに、某氏が手持ちの18禁コミックみせながら「こんな風にハサミでぱんつ切り取るひとの気持ちはどうですか」と質問。「ぱんつもいいですが、ぼくはスク水の水抜きをじょきじょきと切りたいです」みもふたもない質問をさらに裏返すせいるさん「そっ そしてそこから手をいれておへそをなでるんですっ!」かすかなBGMを除いて、沈黙に満たされる店内。気が付くとほかの客がきれいさっぱり消失。極めて毒素の強いひとつのテーブルが、知らぬ間に一般客を駆逐。カウンター奥の店員が不自然なほどこちらを見ない。「河岸を変えますか」いたたまれなくなった一同の退出とともにとりあえず記録終了。本ができたオフ会の度に行けなくなる店がふえていくまこみし文庫、これにて完結でございます。みなさま、ありがとうございました。






注:まこみし文庫・秋(初版)には挿絵が間に合わず、摂津葉氏の「参列」には当ページにある絵は載りませんでした。絵およびあとがきは、増刷版用に用意したものです。(増刷版:2004年12月現在発行未定)




まこみし文庫

「Kanon」のゲーム中では、真琴も美汐さんも、幸せと呼べる生活はほとんど描かれなかったように思える。あったとしても、それはまさに一瞬のきらめきだった。

この二人が悲劇の上に立ってさえいなければ、あるいはそれを乗り越えた世界が存在しえるなら、それを形にしてあげたい。
あまり硬く考えることもないが、それがサイドストーリー、SSの意義ではないかと思う。
それは数多の同人誌やサイトで行われてきたことである。だが、ここまできてなお、本として出したいというのは、彼女たちの物語がたしかに存在するという証が必要だからだろう。

SSの力は、物語を書くことで、原典にあった彼女たちの人生が膨らむことである。書くことで、一度は終了した物語が、ふたたび紡がれていくのだ。

彼女たちが物語のなかでしか生きられないなら、物語のなかで幸せにしてあげたい。
彼女たちが物語のなかで苦しむのなら、それをせめて近くで、物語のなかでともに苦しんであげたい。
孤独な彼女たちの友に、その近しさがかなわないなら、せめて影で見守る親になってあげたい。

そんな気持ちで、我々はこの本を作ったのかもしれない。















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