■ 990331wed 「絵のリクエスト」
バレンタインに、国際便でリカさんからもらったチョコレートのお返しを、完全に忘れていたので、あわてて絵でごまかそうとする。リカさんからは、以前に絵のリクエストがあった。パンドラ、ハーメル、サイザーが、遊園地で楽しそうに遊んでいる・・・というべらぼうに難しげな絵である。
この件以外にも、リクエストというのは、結構いただいている。できるだけお応えしたところだが、構図などは、まったく「天使待ち(アイデアが浮かぶまでの状態のたとえ)」なので、ほとんど忘れて待っていて欲しいところだ。
■ 990330tue 「ケーキ完成」
ケーキが焼けた。
「ああっ女神さまっ」のOVAで、ベルダンディというか井上喜久子さんがやっていたように「たーまごーさん〜、たーまごさんー。まぜまぜしましょ、まぜしましょ〜。きょーおのケーキはどんな味〜、ひとさじふたさじ甘い味〜」と歌いながら作った(本気)。だが、できあがったケーキは、あまりふくらまなかった。
食べてくれた人は、
一口食すなり血反吐をはき、もんどりうってそのまま昏倒した。とても美味しいと言ってくれたが、失敗は失敗だ。ショックである。原因は、卵を字が書けるまで泡立てきる前に、砂糖を入れたことだろうか。
あるいは、先の歌を石塚運昇(ハーメルンのベース役、ないしベルセルクのナレーション)なみの、地獄の底から轟くような低音で歌ったからだろうか。
謎である。
■ 990329mon 「ケーキを焼く」
ケーキを焼いた。
明日の花見のために、帰宅後に作りはじめ、いまオーブンで焼いている。ラム酒にたっぷりひたしたバナナと、チョコレート、それに牛乳をやや多めに入れた、いわゆるチョコバナナケーキだ。
毎回ケーキを作っていて、しみじみと思うことがある。作っている最中につまむチョコやバナナのひとかけらって、なんでこんなに美味しいのだろう。
それに天板に移したあとの、ボウルに残るクリーム状の生地をペロリと舐めるのも捨てがたい。「これで出来上がりの味が予測できるのだ」などといいながら、大さじですくって食べる。
オーブンで、あと30分ほどで焼き上がる。だんだん、いい匂いがしてきた。
チョコレートケーキや、ただのスポンジケーキは何度も作ったが、実は今回のチョコバナナケーキは初めての試みである。はたして無事に美味しくできるだろうか。結果は30分後、そしてその報告は24時間後に!
(っておい、この日記、前後編かい。)
■ 990328holy 「ハーメルンの絵」
久々にサイザーの絵を描く。
今度は、作画中にあまり意識が飛ばなかった。集中していなかったのかもしれない。描き上がって、ふとヨコハマの、のんびりした絵が描きたくなった。「ハーメルンはしばらく止めよう」などとも思ったが、あまりとらわれず、そのとき描きたいものを、素直に追うことにしよう。まあそれにしても、そろそろだ終わりか・・・とサイザーを描くたび思う。(しかし毎度毎度日記に書くのも何だなあ。)
■ 990327sat 「寄生獣」
「風子のいる店」という漫画がある。
高校の頃、とにかく好きで、何度も繰り返し読んだ。
作者は後に「寄生獣」をヒットさせる。そして現在の最新作が「七夕の国」だ。今日、これ(全四巻)をまとめて読んだ。おそろしく緻密な演出でありながら、計算していることを露骨に見せない展開、寄生獣のときにはなかったが、風子さん以来の女の子のかわいさなどなど、自分でも判然としないが、とても引きつけられる作風である。
ハッキリと感動したところもあった。「寄生獣」でのパラサイト田村玲子の死だ。
愛など無く、ただ人間を喰らうのみと思われていた寄生生物が、子を護って銃弾を受け続ける。
いかなる説明もなかったが、私は、まるで奇蹟にでも立ち会ったような感動を覚えた。岩明均氏も、新作の待ち遠しい作家だ。
■ 990326fri 「だんご三兄弟」
団子三兄弟の歌が、本当にどこへいってもかかっている。
かくいう私の勤める店でも、流してはいないが販売はしている。丹波屋という和菓子屋は、ここを先途と死にものぐるいで串団子を売っている。
どこかのスーパーでは、近接した和菓子屋とCD屋がそれぞれ勝手に曲を流しているため、輪唱のようにあの歌が響いており、両店の間を通行しようとすると干渉波で気が触れそうになる。作詞をしたのは「ポリンキー」や「バザールDEゴザール」「ドンタコス」で有名な佐藤雅彦氏である。
かなり早い時期から「洗脳」よばわりされていた団子三兄弟だが、何かのインタビューで「ヒットするCMや歌を作るコツはありますか」という質問への回答を聞いたとき、私は、これが意図的に仕組まれた陰謀であることを確信していた。
佐藤氏は「商品名連呼です」とズバリ言い切っていた。
■ 990325thu 「万引き」
漫画の本二冊を万引きした少年を捕まえる。15才だ。
こっぴどく説教して、駆けつけた母親に引き渡した。警察にも、学校にも届けていない。人はそれを甘いという。今度入学する高校に通報すべきだ、とかもっと徹底的にやりこめるべきだ、という意味だと思う。
思い返してみると、店の商品を盗まれたことへの憤りは、それほどなかった。捕まえてから考えていることは、彼にどういう決意をさせれば、犯罪者への道を防ぐことが出来るかという、彼の将来の心配ばかりだった。
彼が反省し、もうやらないと決意したなら、それが本物なら、私は全面的にゆるす。思いっきり叱って、ときには叩く。そして日々の生活の話を、おこがましいようだが、彼を包み込むように聞き、優しく話しかけ、友達になる。
恐怖や脅しで再発を防ぐのではなく、わたしたちのいる店で、悪いことをしたくないと思ってもらう方がいい。彼が再び店に来てくれたら、私は笑顔で彼を迎えるだろう。母親と帰る彼の後ろ姿を見ながら「誘惑に負けないよう、導きください」と、神様に心から祈った。
私は甘いのかもしれない。
二度と立ち上がれなくなるくらい、徹底的に人格から否定し、罪人の受ける責め苦と辱めを刷り込み、恐怖と不安でがんじがらめにし、今度やったら少年院だとか、前科者として結婚も就職も出来なくなるかもなどと、もう後がないことをさんざん強調し、学校、警察にも通報、まわり全てが自分を罵り、軽蔑しているかのような状況におとしいれ、この店に近づくことすらできないようにしてやる・・・・という方法もある。だがこれは実は、とても安易で、簡単なことなのだ。私の好む方向は、とても難しく、成功しにくいことなのかもしれない。
でも、私はその方向で行く。
ちょうど今日発売になっていた月刊アフタヌーンで、愛天君が同じようなことを悩んでいて驚く。
なにか嬉しかった。
■ 990324wed 「しろやぎさん」
しろやぎさんと会う。
最近リニューアルオープンし、「日本最大級」と臆面もなく書かれたパソコンショップに行った。
マック用のソフト売場を見てあるく。「マックには、エッチなゲームが少ないですね」
「マックユーザーの心が、いかに清浄なものであるかが分かるであろう」
と返したら、笑われてしまった。インターネットの体験コーナーに行く。自分のHPが、他のパソコンではどう見えるのか、気になっていたのだ。 若い夫婦が体験したそうに待っているのを後目に、しばし時を忘れて絵の談義に興ずる。
モニターが液晶ということもあって、見る角度で色合いが変わってしまうのが残念だったが、自機よりもモニター性能は良いらしく、いろいろ楽しませてもらった。
帰り道に、ココネ(ヨコハマ買い出し紀行のキャラクター)の絵を描くように、詐欺同然の手口で約束させられる。「ココネがうちに嫁入りする絵」が良いと言い、「白無垢」と提案すると鼻血を出しそうに喜ぶ。うーん、不思議な人だ。
■ 990323tue 「スコラ倒産」
書店、それは誰もが憧れる神秘と混沌の世界。・・・・・。
昨日の日記を読み返すと、さすがに下品な話だと思う。今日はひとつ役に立つことを書こう。
本日きいた話で、どこまでホントかわからないが、スコラという出版社が倒産するそうだ(しました)。 バーガーコミックを出しているところなので、欲しい漫画のある方は、今、買おう。正式に倒産すると、しばらくして(返品が受けつけてもらえなくなるため)本屋から消えてしまうぞ。しかも後に注文取り寄せしようとしても、もう出版社が無いのだ。こうして、記録すべき漫画が消えてしまうこともある。これらのバックアップとして、電子出版の価値は大きいと思う。そしてそれは、けっして本屋の存続を脅かすものではない。
■ 990322mon 「便通の追求者」
母の話である。かわいそうだが、順に肉親のことも披露していこう。
女性はとにかくお通じに悩む。「便通と健康のためなら死んでもいい!(矛盾)」
という人もいるほどだ。御多分にもれず、母も通じには関心が高く、食事中にまで話題に出す。
作品製造時の音響を、口まねで必要以上に音質よく再現したり、量をわかりやすく説明するために、まだヒジキの残っている食器を持ち上げて「これに山盛りくらいでたよ」などと自慢する。とてもわかりやすい。食事中であるにもかかわらず、目に見え、音に聞こえるくらいリアルに説明してくれる。健康な便の色彩についても、手近な食材を例にヴィジュアル的な解説を披露してくれる。ほとんど精神攻撃である。その食材を、いままさに頬張っているときなど、悪意が無いことを信じるのに苦労するほどだ。
■ 990321holy 「山田康雄さんが死んだとき」
この際、死の話にする。
山田康雄さん(ルパン役で有名)が亡くなったとき、納谷悟朗さん(銭形警部役で有名)が、「お前が死んじまったら、おれはこれから何を追いかけていったらいいんだ」
と涙ながらに語りかけたという。
よく、自分が死んだときに、泣いてくれる人が何人いるだろうかという話を聞く。でも私は、亡くなって泣ける友を何人もっているか、の方がいいと思う。そして彼らの存在は、私の誇りでもある。
■ 990320sat 「同僚の死」
半年ほど前に入社した社員が、亡くなった。彼とは、ほとんど話をしたこともなかった。
通夜の前に御家族を見舞う。見るからに善い人なお父さんが、とても痛々しい。
まったく、親を残して死んではいけない。娘を喪ったときのことを思い出した。
■ 990319fri「多田かおる死去」
「いたずらなKiss」の漫画家・多田かおるが亡くなった。漫画は読んだことが無い。最近やたらと人死にに関する情報が入ってくる。
自殺未遂者を連続で助けた時期も、その昔あった。その時は人生の大きな転機だった。
■ 990318thu 「近況報告に載った」
おおっ
これは・・・。
森博嗣氏の近況報告に、載りました。 (おそらく『封印サイトは詩的私的手記』に収録)
氏の作品は、まだ一冊も読んでませんが、なんか嬉しいですね。
■ 990317wed 「自分の絵に書く解説文」
もしかして、ブラウザ上で絵の高さよりも長く解説を書いているのって、私だけなのだろうか。
長々と「十年も、一日も」の解説を書きながら思う。CGのサイトを見ていて思うのだが、みなさん絵につける文章が、とても短くて、自分がひどく異端な気がする。
でもいいのさ! 絵とドラマ、半分づつくらいの意味があると思って描いてるんだから。ドラマを見せようとする絵のサイトって、どこかに無いかなあ。
(それってつまり漫画か、ひとコマ漫画のことか)
■ 990316tue 「バルタン星人」
井上喜久子さんのCDを聞いていたら、バルタン星人の話があった。私の記憶が確かならば、たしかバルタン星人は故郷の星を失い、地球に来た、いわば難民だったように思う。
作中で移民の交渉があるのだが、「バルタン星人の人口が20億人だって!? 今の地球の人口が30億人だ(たぶん30年くらい前のこと)。移民を受け入れたら地球はパンクしてしまう! 」と言って難色を示す場面があった。
今の地球人口を考えると、なんとかなったのではないかと思う。
どうせ戦闘になるのなら「イヤなの。生理的に反発するのよ」とか素直に言った方が良かったかもしれない。
■ 990315mon 「はじめての井上喜久子さん」
井上喜久子さんのCDを初めて購入する。「月刊おねえちゃんといっしょ」をいきなり、しかも、つい二号分かってしまう。
二号も買っておいて、ついもなにもないものだ。
この日は、朝から夜の一時まで仕事をしたため、やや疲労している。
そこにあの声で「ご祝儀袋のつかいかた」を読み上げられた日にゃあ、あなた・・・。こんなCDで疲れが吹っ飛んでしまう私は、ダメな奴かもしれない
■ 990314holy 「入江のミサゴ」
ミサゴを描く。
背景とのバランスや、人物の線がうまくいかず苦しむ。だが、その人物を初めて描くとき、というのは、とても楽しい。
ただ漫然とコミックを読んでいるだけでは気がつかない、人物像にまで想いをはせて描くため、あらためてそのキャラクターと出会ったような、錯覚がある。
読み古した話が、急に鮮やかに見えてくる。今度のミサゴもそうだったが、ベルセルクのグリフィスも、最近そういう発見があった。
■ 990313sat 「仕事と絵のバランス」
先週の休みは、風邪のために絵が描けなかった。
前作「ふたりの船」は、実際には3月1日に描いたので二週間のご無沙汰である。
仕事が終わって、帰宅の車中から、もう絵が描きたくて仕方がなくなる。
「海を〜めーざーしーて、翼をひらーく〜♪(ザブングル)」
とりあえず歌ってごまかしながら、考える。
また、絵にのめり込みすぎているのかもしれない。
■ 990312fri「姉とザリガニ」
姉の話である。
私の姉は、小学校の先生をしている。昔の話だが、姉の担任していたクラスで飼育していたザリガニが、脱皮をした。
ほとんどの人は、ザリガニが脱皮する生き物だということは、知っていると思う。
しかし姉は知らなかった。ザリガニの姿を見るや姉は、「誰じゃ、ザリガニの皮を剥いてしまったのはーっっ!!」
と烈火のごとく怒ったという。(方言は標準語に変換してあります)
ザリガニは脱皮をするものだ、ということを知っている児童たちだが、姉の怒号と、圧倒的な迫力にのまれて声が出ない。
「エビじゃないんだよ! なんていう可哀想なことをするの!!?」
道徳の話がはじまってしまい、もはや真実を提言する余地もない。
児童たちはただ、成り行きを見守るだけだ。
ひとしきり語った姉は、「じゃあ、これから学校の裏庭にお墓を作りに行くからね」
と、児童たちにザリガニを持たせて、ひっぱっていく。
おい、どうするんだよ、生き埋めにされちゃうぞ。
という声が、ざわざわ鳴っていたらしいが、姉には聞こえていない。
そして裏庭の花壇のすみに、墓標までつけて、ザリガニは埋められてしまった。「じゃあ、みんなで手を合わせて、ちゃんとお祈りするんだよ」
児童たちは、冷や汗をたらしながら、神妙な面もちで手を合わせた。
彼らが何を祈ったかは、さだかではない。
ほとぼりが冷めた頃に、児童の一人が言った。
「センセー、ザリガニって脱皮するんだよ」
「うそーっ!!!」あわてて掘り返しにいったとき、ザリガニはすでに力尽きていた。
児童たちは一様に、自分がしっかりしなければ、と思い知らされたという。
日本の未来は、明るいかもしれない。
(APM Vol.3 より抜粋)
■ 990311thu 「森博嗣」
森博嗣という人にメールを出した。
知っている人もいるとおもうが、有名な小説家である。
ご本人がじかにポップを描いたと、氏の日記(おそらく『封印サイトは詩的私的手記』に収録)に書かれている。それを読んだ書店員がいたらポップを送るからというので、読んだ私はメールをだした。だが実は、私はこのひとの小説を読んだことがない。
読んだこともない小説の作家に、その小説の宣伝のことでメールを送るというのは、意外に難しかった。
まだポップがいただけるかどうかわからないが、マニア(あなただよ、あなた)には良い品らしいので、私の店に来れる森博嗣ファンは必ず来て、拝んでいくように。
■ 990310wed 「アルバイト募集中」
書店、それは誰もが憧れる神秘と混沌の世界。
四月へ向けての、アルバイト募集も終わりそうである。女性アルバイトばかり4人採用した。
いまは男性アルバイトの募集に絞っている。
応募自体はあるのだが、 なかなか書店向きの男性がこない。その日すべての面接を終えた後「ああ、本を読んで感動したことがあって、本が好きで、本に囲まれているだけでかなり幸せで、手際が良くて、愛想が良くて、身長がせめて170以上あって、見た目にもいい男で、よく働く、わたしのような 男が、応募してこないかなあ」と愚痴をもらす。
本気でつぶやいたのだが、まわりは退いてしまった。
■ 990309tue 「さぼり」
日記をさぼる。
ゆるせ、原稿のためだ (といいつつ、プリンター不調のため、間に合ったのは一枚のみ)。
■ 990308mon 「ベルセルク」
NHKのマンガ夜話で、ベルセルクが語られていた。
蝕の直前、追いすがるガッツへのグリフィスの思い、そして仲間を捧げたグリフィスの心情にも若干ふれられていた。その部分の意味がよくわからない、胸にストンと落ちないという女性の視聴者からの感想に、私は驚いた。
改めて、ベルセルクへの男女の論点の違いを感じる。
あのときグリフィスは何を思ったか、男なら、あえて差別するが男なら、これは理解できる。
とくに男にとっての最高と最低を通過したことのある人間にならば、それはさらに容易だ。だがそれは、言葉にして語るべきことではない。
■ 990307holy 「歩く少女」
今朝未明。5時頃。仕事がえりで人気のない犬山の町を走る。
不思議な光景を見た。ピンクのかわいいセーターを着た女の子が、松葉杖をついて歩いていく。中学生くらいか。
町の区画を囲うように、彼女は歩いていく。
リハビリだろうか。不自由そうな左足に固定具があてられていた。人目に付かない時間帯に、ああやって歩く練習をしているのだろう。
もう一度、自分の足で歩くために。店に来る人のなかでも、手や足の不自由なお客様がいらっしゃる。
わたしは彼らを見るとき、その姿をとても立派だと思うし、尊敬する。
ひとたびは動かなくなった足を、ここまで使えるようになるには、どれほどの苦難があったろう。ピンクのセーターに、スカートや靴がちゃんとコーディネートされている。外へ出るからには、おしゃれしていたいのだ。
わたしは信号が青になるまで、歩く彼女を見つめ続けた。
■ 990306sat 「悟空道」
悟空道の六巻を読む。
最近では数少ない(って昔からいってるが)続きが楽しみな漫画だ。「覚悟のススメ」の頃からとにかく勇気づけられる作風であり、またちょっと抵抗のある異常なセンスが、うまくブレーキになっていて、ただのキレイ事にならないようになっている。
主役の悟空も好きだが、なによりイイのが三蔵様だ。
悟空が変わり身で残していった、お猿のぬいぐるみを本物だと勘違いしてるところなど、ほとんど井上喜久子さんである。「瓜二つだ」と真剣にいってるところがまたイイのだが、「まあ、三蔵様のいうことだから、ゆるそう」と思えてしまうキャラクター自体が素晴らしい。やはり声優をアテるなら井上喜久子さんだろう。
■ 990305fri 「水谷なおき死去」
水谷なおき氏が死んだという話をチャットで聞いて、とても驚く。
2月8日、突然死。葬儀は10日に。38才だったそうだ。翌日会社であちこちに聞いてみたが、そのスジの社員以外誰も知らなかった。
漫画家の死というものは、一般的にはあまり大したことではないのかもしれない。メジャーで、ファンも多い作家が死ねば注目もされようが、この人の死は、私のまわりにとっては、ひっそりとしたものだったようだ。
ファンレターも出さなかったのが、わたしは、この漫画家がとても好きだった。
■ 990304thu「アニソン」
「きーみの地球が、きーみの平和が狙われてーるーぞ〜♪(大空魔竜ガイキング)」新スーパーロボット大戦をやっているせいで、通勤車のなかでロボットものの歌をよく歌う。
通勤時間の半分は、頭の中で仕事の段取りを練るのに使う。そして残り半分は「歌」だ。
とくにハマっている歌などあれば別だが、選曲はほとんどアニメの歌である。
聴くにはいいが、普通の歌は薄っぺらくていけない。
それに仕事の前に恋愛の歌というのもいやだ。もりあがらない。
アニメの主題歌はいい。世の中の矛盾など完全に無視した、恐るべき前向きさで歌詞がデキている。「おっとーこーのー、いーのーちを、燃やすんダーッ(マシン・ハヤブサ)」
などと歌いながら今日も仕事場へむかう。
40分も歌うと良い具合にのどが出来てきて、レジでもいい声が出る。これがラブソングだと、そうはいかない。低い声でシャウトしたい私には、やはりアニソンだ。
■ 990303wed 「書店員の接客仕事」
書店、それは誰もが憧れる神秘と混沌の世界。書店の仕事で最も楽しいのは、接客である。
「『五体不満足』という本は、どこにありますか」というお客様を、その売場に案内したり「結婚式のスピーチの本には、どんなものがありますか」と尋ねるお客様と、いっしょに本を選んだりする。
仲良くなれたり、楽しいことも多いのだが、どういうわけかお客様は、忙しい時を狙って声をかけてくる。「本を探してほしいんだけど」
「はい、ただいま」
「ここって写真の現像、やってる?」
「うちの孫の誕生日に、何かおくってやりたいんじゃが」
「店員さん、吉川ひなのってすき?」
「今年で五歳になる・・・」
「ディズニーランドへ行くにはどうしたらいいでしょうか」
「男の子で・・・」
「ねえ、店員さん、このへんにケーキを売ってるところってない?」
「わしがいうのもなんじゃが、いい子じゃよ」たとえ両方の耳に受話器をあてていても、お客様はきいてくる。
保留できるものや、後にまわせるものは回して、お応えする。
「現像はうけたまわっておりません。このへんですとコンビニでやってると思いますが」
「宝生舞のほうが・・・」
「東の方角へ500キロほど歩いてください」
「むかしあった◯◯◯◯◯屋書店がうちの売上のせいで潰れまして、いまケーキ屋になってます」
「おじいさん、それは等身大ベルダンディーの書き割りポップです。ご用件はなんですか」大忙しである。
書店員は、こうして様々な御要望におこたえすべくがんばっているのだ。
(一部フィクション)
(APM (高校文芸部のOB誌)Vol.5より一部抜粋)
■ 990302tue 「姉の料理」
姉の話である。臆面もなく肉親の話もアップしてしまうのが、日記者の恐ろしいところだ。いつか姉の手料理を食べたことがあった。それは、ローソンの烏龍茶以外、すべて手作りという豪華さであった。
諸君は、不器用な女の子の失敗した料理を食べた主人公が「だー」っと吐いてしまうシーンを、漫画などで見たことがあると思う。姉の料理は漫画のようにまずかった。
母の料理が上手く、自分でもそこそこ作れるため、これほど深刻なダメージを与える料理には、それまで遭遇したことがなかった。世の中にはこんなにもまずいモノがあるのだなあと、心のかなり底の方から感動する。
我慢して食べるのだが、次第に自分がなにを食べているのか、いや、そもそもそれが「食べて良いもの」なのか分からなくなってくる。姉は「おいしいやーん(岐阜県美濃地方の言語。「美味ではありませんか(感嘆)」の意)」などと意味不明の言葉を吐きながら、その悪魔の実験結果にしか思えない物体をパクパクと処理している。
姉の料理を食べさせられる旦那が不憫で、泣けてきた。
ローソンの烏龍茶だけが、地獄に仏という美味さだった。
■ 990301mon 「ネモ船長との出会い」
三日ほど日記をさぼった。
手から光線がでるくらい忙しかった(むつかしいギャグだ)のだ。仕方あるまい(そのわりにチャットなどしてる)。ヨコハマ買い出し紀行の関連サイト「喫茶 夕凪」の管理人、ネモ船長と初めてチャットで会う。
前の日にアップしたヨコハマのCGを見て「あまのさん
いや、SS読みました。
すごい!CGも文章もすごいです。脱帽しました。
サンドウィッチっていうのはいいですよね。ココネらしいし。
それに、あのCGの入れ方・・・かっこいいですよね。」とのこと。
いい人だと確信する。
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