■ 2003.08.01
fri 「鉄騎・6『戦闘メカと美少女・1』」
戦闘メカと美少女。
それは成人オタク男性にとって、いずれも捨てがたい二大好奇心の果てである。
賢明な読者諸氏にはすでにオチまでみえたかもしれないが、鉄騎にあるのは残念ながら前者のみだ。
ここに後者の要素を、なんとか入れることはできないだろうか。
もっとも現実的な可能性としては、女性パイロット(ユーザー)の参戦というのが考えられる。
ユーザー同士がオンラインで小隊を運営していく次回作「鉄騎大戦」で、たとえば5人チームの場合、ひとりでも女性がいたら、隊の雰囲気も華やぐというものだ。やはりイエローとピンクまで野郎というのは、ちょっと悲しい。
だが、決して多くはないであろう鉄騎のユーザー中に、さらに絞って、女性ははたして存在するだろうか。残念ながら鉄騎のユーザーは、ほぼ100%、可能性としても99.9999999・・・と、追求すればするだけ小数点が左に吹っ飛んでいくという切ない確率で男性しかいないと思う。もっとも現実的でありながら、先述の夢は非常に厳しい。
しかし、いないとは分かっていても、女性のパイロットに憧れてしまうのはアニオタの悲しい性だ。「EGコンバット」にあこがれている人間をはじめ、純粋ミリオタでないユーザーの多くは、心のどこかで「鉄騎大戦」に思いを馳せながら「女性だけのVTチーム」というのをぜひ見てみたい、あるいはその隊長になって運営してみたい、もしくは彼女らと戦闘し全滅させられてみたい、砲弾で転倒させられてから5機に取り囲まれて思うさま足蹴にされたいとかいった、やや危険なものを含めさまざまな欲望を持ってはいないだろうか。
その欲望にこたえるために、次回作「鉄騎大戦」のボイスコミュニケーターにはぜひ男声を女声に変換するボイスチェンジャーを・・・と一瞬かんがえたが、それはそれで痛ましすぎる予感がするので、とりあえず却下としておく。
ところで「戦闘メカと美少女の組み合わせは基本!」だから、というのもあるが、そもそも、こんなことを考えたのは「鉄騎」と先述の「EGコンバット」(電撃文庫/秋山瑞人)に類似点があることを意識したからである。
もっとも「鉄騎」の方の教官は、スキンヘッドの恐そうな黒人(でも意外に優しい)だったりするが、右回り左撃ちが基本的な射撃スタイルだったり、VTにはまずマニュアル起動が必要だったりと、「EGコンバット」に共通したところがちょっとあるのだ。5人での操縦でこそないが、二足歩行の兵器というのも双脚砲台とVTで共通しているテイストでもある。
ここまで共通点を持っておいて、なぜ、鉄騎には女性による戦闘小隊がないのか。
なまじ似ているだけに、実に残念に思ったのだ。
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■ 2003.08.03
holy 「鉄騎・6『戦闘メカと美少女・2』」
女性パイロットの実在が難しくなったところで、ここはやはり、オタクらしく二次元で対処しようと思う。
その方向としては、今後の鉄騎開発段階において、自キャラとして女性キャラ(キャラデザ:相田裕希望)を選択でき、さらに女性だけのチームを運用できる「サクラ大戦」か「ピンクパンツァー」(おい)みたいなシナリオ装備の鉄騎開発が期待されるところだ。
ミリオタのみなさんには思いっきり叩かれるだろうなとは思うが、(ミリオタとアニオタは実際にはかなり住み分けられている)ありえないことではないはずだと思うことにする。
だが、いきなりそんな「鉄騎」は実現しえないだろう。ここはやはり手順を踏まねばなるまい。過程としては、まず現状ほとんど皆無の状態であるドラマ性を「鉄騎3」くらいから徐々に取り入れるところから始まる。
「俺、戦争がおわったらこいつと結婚するんだ」と野営地でこっそり恋人の写真を見せてくれた若い兵士が次の戦闘で死ぬとか、そのあたりの基本からはじまって、血に染まる大西洋とか、戦場で花開く恋とか、ビーム兵器で露店風呂を沸かすとか、爆発に巻き込まれる瞬間に戦地で花をくれた少女をとっさに庇う兵士とか、後半戦でいきなり敵が宇宙人になるとか、対抗すべくVTが巫女力とか妹力とかメイド念力とかそんな感じのものを原動力にするようになる(「バージンフリート」はどうなっちゃったのかなあ)とかいった、そういう段階を踏まえた上でこそ「ときめき☆ジーク・ジオン」みたいな「萌えキャラだけの鉄騎」とかいうありえないソフトが開発される土壌が熟成されるのだ。いわば「文化が腐るまで待つ」という、このための時間を惜しんではいけない。(レッドカンパニーあたりに作ってもらえれば最初からコレだったかもしれないが)
購入しプレイしてみて、鉄騎はゲームとしてかなりよくできていると思った。決して未来のないゲームではない。
とはいえ、先の要素が考えられ、鉄騎内に萌えキャラが出てくるまで「鉄騎」自体の変質は、上述のような変遷をとげる時間をかなり待たねばなるまい。
たぶん実現するのは「第13次鉄騎大戦〜お兄ちゃんを護りますっ☆〜」あたりだと思う。
もっとも、このころには現在の「鉄騎」の面影など、影と形くらいしか残っていないだろうけど。
それまでカプコンには脱線を前提にした加速と腐敗したまま突っ走る方向性で、なんとかあと12本の鉄騎次回作を作り続けて欲しいものだ。
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■ 2003.08.06
wed 「鉄騎・6『戦闘メカと美少女・3』」
実は先日の日記を書くときに、友人知己の何人かに「ありそうで痛そうなギャルゲのタイトル」を考えてもらった。先の「第13次鉄騎大戦〜」のあとに続くタイトルについて意見を募ったのだ。
「ええと、じゃあ『ぬるぬるメイド汁』!」
「いや、あの『鉄騎』が間違った方向に進化をとげてギャルゲ的要素がくわわった場合ってことで」
「じゃあ『はじめての鉄騎大戦』」
「『鉄騎大殲 わたしたち、お国のためにがんばります☆彡』」
「『鉄騎護国伝 おにーちゃんを守ります☆』」
「あー、それでいいかな・・・」
「☆は必須ですね」
「その場でラブコメ確定になりますよ>☆」
「『おにいちゃんどいて☆そいつころせない』」
「ひえー・・・」
「オンラインにしたらありそう・・・」
「『鉄騎少女』と書いて『あいあん☆めいでんっ』とカナをふりますか」
「『鋼鉄の巫女』とか。……どっか聞いたことあるタイトルに思えるが」
「朝でも霧でもないからOKです」
「『鉄色☆コミュニケーション』」
「いっそ『くろがね』そのままでもいいかも」
「しかしみなさん、スラスラでてきますね・・・」
「『愛玩(あいあん)ないと』えっちが戦闘エネルギーという」
「『ゼオライマー』かい」
「いや、それはちょっと夜想曲のコードに・・・」
「真面目にすると選択肢が狭まります。痛くすると夜想曲のコードに引っかかりますね」
「さあどうしましょうか」「難しい」「いえ、あの、もう充分ですので」「痛いのを連発して、感覚を麻痺させるとか?」「それがいい」「それだ」
「『○○○○妹妹』(夜想曲検閲!)」
「『○○むき』(夜想曲検閲!)」
「『ぺっと・○○○○ー』(夜想曲検閲!)」
「『穴○○○○』(夜想曲検閲!)」
「『あんよが○○○○○○!』(夜想曲検閲!)」
「『○キ大戦』(夜想曲検閲!)」
「『おまかせ☆○○○ー○』(夜想曲検閲!)」
「『○○は鉄の味』(夜想曲検閲!)」
「『○○○の日焼けあと』(夜想曲検閲!)」
「最後のは、灼熱の荒地で戦う少女兵士えろげです」
「いや、あのエロゲじゃなくて、コンシューマーでなんとか出せる程度ってことで・・・」
「第X次鉄騎大戦・第一話『えーっ? 14歳のわたしが宿屋のおかみさんっ?』」
「『鉄騎大戦〜どきどき☆ホテル・ダイアリー〜』」
「どこがどう鉄騎なんですかそれは」
「とあるところで聞いた話では『タイトルは誰にでも読めて、一発で覚えられないといけない』そうです」
「なるほどー」「ですから『萌え鉄』でよろしいかと」
「っか、それは略称な気がする<萌え鉄」
「ちなみに『萌え萌え鉄騎ちゃん戦場を往く』が正式名称です」
「いよいよ駄目な方向に」
「それは、操縦者が萌えなのか、VTが萌えなのか」
「VTが萌えの方が好きではあります」
「もしくは妹の力で動く機動兵器」
「バージンフリートみたいだなあ」
「100人の妹部隊」
「VT(バーチカルタンク)ぢゃなくて、VS(バーチカルシスター)」
「垂直妹?」
「胸のラインが垂直」
「妹はVT内にコールドスリープされていて、各機体に特有の装備があるのです」
「素直に、いっしょに操縦な方向で」
「それだと感動と背徳感がないです(きっぱり」
「うわあ」
「あと起動すると会えるので、立派な士気高揚にもつながります」
「……むだにせつないですね、それ」
「ある日突然、妹に赤紙が来るのです。で、軍の佐官当たりが来て」
「『妹はVTに載る。君はその機体に乗るかい? もちろん無理にとは言わない』と言われて、仕方なく主人公は妹を守るために、戦車兵になると」
「うわ、萌えー!!」
「載ると乗るか…」
「不幸なところがとても萌えー!!」
「そして、そのまま避けられない別れに」
「なんとなく『フロントミッション』のカレンを思い出すな」
「そしたらマシンのメインコンピュータにコードでぐるぐるまきの妹が!」
「ぐるぐるまき!」「ぐるぐるまき萌えー!」
「いや、機体内部に試験管の親玉みたいなのがありまして、そこに全裸で入れられてます」
「アウトロースターみたいになってきた」
「頭にコードを何本か付けられてると痛々しくて良いかと」
「試験管のなかでは、おにーちゃんの写真を抱いていてください」
「モニターで会話はできます」
「でも触れ合えません」
「モニタごしに手を合わせる二人」
「うわぁ。機体に乗ったまま脱走しそう」
「でも、そのまま取り出すだけだと死んでしまうのですよ<脱走」
「そうそうw」
「搭乗している鉄騎がダメージを受けると、少女の悲鳴が響く」
「戦い方によって、搭載されている少女の性格がだんだん変化するとか」
「損傷した2機体を「接続」して応急復帰させるとか」
「少女の体格(胸)に応じてペイロードが増減するとか」
「敵が、搭載少女の仲良しさんだったとか」
「双子の妹の片方だけ敵側につくとか」
「しかもそっちの妹の方が少しだけ胸が大きくてペイロードに余裕があるとか」
「だんだんたまらない気分になってきました」
「専用コントローラに『頭をなでなでするボタン』を拡張してください」
「基本コントローラーですら40コもボタンがあるのに」
「拡張によって最大108コまで操作可能! ってことで」「いろんな煩悩に対応します」
「じゃあ○○○を○○○○(夜想曲検閲っ!)・・・ああ、ダメですか」
「まとまってきましたね」
「うーん、でも何か足りないような・・・」
「基本は、妹パワーで動く鉄騎」「タイトルは『妹力駆動戦士 アイロンナイト』?」
「もう『鉄騎』はどこへ行ったのやら」
「アイロンナイトの部分にいます」
「てゆうかなんて読みますか。妹力……」
「しすたーぱわーそるじゃーです」
「やだ……そんなソルジャー……。ふつうにたたかって! ソルジャー」
「だってそのほうがすごいぱわーでるんだもん!」
「人類がヤバイので仕方ない!」
「と力説する17才の美少女博士(貧乳)(白衣)(眼鏡)も攻略可」
「そこだあ!!」
「それが欲しかった!」
「そうだったのか」
「いま、なんとなく俺鉄騎が完成した感じです」
「おめでとう」
「おめでとう」
「ありがとう! ありがとうみなさん!」
「さあ、あとはレッドカンパニーがカプコンを吸収するだけだ!」
「いや、それは無理」
※ 検閲のかかった発言の一部が、こちらで閲覧できます。
でもなんか、伏せた方がかえっていやらしく感じるのは私だけでしょうか。
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■ 2003.08.08
fri 「鉄騎・7『音響効果』」
「鉄騎」をプレイする上で、意外に大切なのが音響だ。
ごく安価なものだが、Beeさんに大須で5.1CHのスピーカーセットを買ってきてもらった。
これがなかなかいい。
5つのスピーカーと1つのサブウーファーで、けっこう臨場感を出してくれる。ちゃんとVTの脚が進むたびに、二足歩行らしく左右のスピーカーから交互に地面を叩く音が聞こえるし、なにより後ろから砲撃されたときなど、ちゃんと後方から射出された敵の弾頭が前方へ抜けていくのがわかるのだ。つまり、レーダーのみならず、音声だけでも射線がわかるのである。冷や汗がでるくらいにリアルだ。
だが、この環境が最大限に生かされたのは、じつはテレビが壊れたときだった。
当時部屋にあった25インチの大型テレビは、じつはBeeさんにもらったものである。
十年以上使っており、もともと捨てるつもりだったというそれは、今回まさしく鉄騎をするためだけに譲り受けたテレビだ。もともとあまりテレビを見ない習慣もあいまって、いまだにテレビの線もビデオのラインもつないでないという痛快な使用条件である。
さあ今日も海市島の○○○○どもを×××してやるか! と不穏当な発言をしながらXボックスとテレビの電源を入れ、当時は最新鋭だった「ディサイダー」を起動させる。作戦行動の開始だ。
橋をわたり、市街地制圧に向かう。しかし崖の上から敵の自走砲やVTがこちらに砲撃を加え、さらにビルの向こうでは敵小隊が待ち伏せているとの情報が、レーダーから読みとれた。まずは一気に走り抜けて有利な位置を獲得しなければならない。そう考えた、まさにそのときだった。
ぶちんという異音を発して、予告もなくテレビが壊れたのは。
「・・・え?」
とつぜんに画面が真っ暗になる。
しかも消灯プレイ中だったため、肉眼の視界すら完全に真っ黒だ。
テレビの奥の方から、コンデンサかなにかがカチカチとスイッチングを繰り返しているのが聞こえる。完全に沈黙というわけではないので、もしかしたら回復するかもしれない。そうは考えてみたが、Xボックスのほうは稼動しているので「鉄騎」上においてVTは作戦行動中である。
とっさに、この状況はいわばコクピット内のメインモニター故障と同様だと考える。考えてみればVTは密閉型のコクピットだ。しかも有視界運行など想定外なため、こういう状況は戦闘時において充分に有り得るのだ。
とはいえ「グフカスタムの電撃でダウンしたEz8(MS08小隊)みたいだなあ」と思ったのはだいぶ後のことである。なにせ適地でいきなり視力を失ったのだ。そんなこと妄想している余裕はない。とにかく安全地帯に逃げなければ。
モニタが落ちる直前の機体向きと、記憶にある地図の残像をたよりにVTを走らせる。少なくとも砲台の射程距離からは離れなければならない。
祈るような気持ちでテレビの回復を待ちながら、VTを走らせつつ、偶然にでもレテイクルが敵機をとらえる音を探って、エイミングレバーをやみくもに動かした。
突然の衝撃。ややあって、VT転倒時の独特の感覚。ビルか何かに衝突して転倒したようだ。あわてて機体を立ち上げ、後ずさるようにビルから離れる。とたんに響き渡るいやな警告音。それが敵機からのロックオンアラートだと気がつくより数瞬はやく、装甲をなにか重いものが激しく連打する破壊音が耳を襲った。敵弾である。しかもかなりの集中砲火っぽくあちこちから激しい着弾音が響いた。まるで容赦のない攻撃に機体がどんどん歪んでいく音がする。そしてさすが5.1CHというべきか、現在の自機がそうとうな数の敵に取り囲まれてタコ殴りにされているのがイヤというほどに分かった。
うわ、逃げなきゃとパニックになった瞬間に完全に現在位置を見失う。とたんにコントローラーのレッドがいっせいに点滅した。エマージェンシー、エマージェンシー。いまごろ脱出ボタンの点灯に気が付き、あわてて透明カバーを跳ね上げ、明滅する真っ赤なそれを押したが
戦死してしまった。
一瞬だけ「一時停止ボタン」を考えてしまった自分の甘さを呪った。
そうだよ、このゲームには、戦闘中に一時停止なんてヌルいコンフィグはついてねえんだよ! 戦場で、敵に対して「待った」なんてナンセンスもいいところだ。密閉型コクピットのモニターが戦場で壊れた。そして死んだ。そういうことだ!
ひとしきり悔いる。
ついでに、なんで脱出が間に合わなかったときに「マリアー!」と絶叫するか「う、うわ、いいいいいやだ、かあさーん!」と裏返った声で叫ばなかったのかとちょっと悔いてみたりなんかした。
さらに、ただしい対応としては、とりあえず「たかがメインカメラをやられただけだ!」と叫ぶべきだったと思ったりなんかした。
後日、とりあえず壊れたテレビは分解してみたが、直せるレベルではなかったのであきらめ、ほぼ同程度の大きさのテレビを中古で購入した。現在はこれで鉄騎を楽しんでいるが、あらためて戦場のキビシサとゆーものを思い知らされたエピソードである。
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■ 2003.08.11_01
mon 「鉄騎・8『殺戮兵器』」
87式自走対空砲という陸戦兵器がある。
むかしドイツでゲパルトと呼ばれていたものを参考に開発された戦闘車両で、見たことはないが日本でも配備されているそうだ。
ところで、じつは、この87式は人間をロックオンすることができる。
当然そんなことをしていいわけがない。
ロックオンというのは、レーダー波の一種で、強力な電磁波を放射しその反射で攻撃すべき敵機を特定するシステムだ。したがって、これを人間にあてるということは、電子レンジの中に放り込むのと類似した意味がある。しかも軍事用だけにパワーが並大抵ではない。コンビニ中の弁当を一秒でチンできるくらいには出力があるだろう。
ロックオンといっても一瞬のことなので、標的にされた人物はちょっとあたたかくなったように感じる程度だろうと思う。だが、男であればたぶん種ナシになる。
「ああ、いまのやばかったかなあ」
鉄騎でVTを操縦しながら、いくらロックオンしても反応がないのでおかしいと思っていたら歩兵だったことがあった。彼らは大丈夫だろうか。と思っているうちに対VT用のロケット砲などを撃ってくるものだから、つい滑腔砲で彼らのいるビルごと爆発させてしまった。ちなみに人間に滑腔砲を使うのも、ロックオン同様に国際条約違反である。
歩兵隊のそばにあるガスタンクを狙うと、これも大爆発するので、歩兵ではなくタンクを狙えばいいなとそのとき考えた自分がいた。
しかし、自分が彼らを殺していることは間違いがない。
生きながら電磁波で焼き殺すのと、近所をかすめただけで衝撃波のためにミンチにされるような滑腔砲で撃ち殺すのと、ビルの下敷きにして圧殺するのと、ガス爆発を装って吹っ飛ばすのとでは、どれが国際条約の精神にのっとった殺し方だろうか。
VT相手の戦闘では感じないことだが、歩兵を相手にするのは、やはりイヤなものである。
強力な武器さえもっていなければ障害ではないし、たいした軍功にもならないので放っておきたいものだ。
でも、倒すべき敵VTの中にも人はいるのである。倒せば、なかの人間も死ぬのだ。
戦争のなかで「人殺し」の感覚が麻痺するのが、ちょっとだけわかったような気がした。
ガンダムWで、ドロシー・カタロニアも言っていたが、人間というのは銃剣で殺りあうくらいがちょうどよかったのかも知れない。
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■ 2003.08.11_02 「利休さんお招き大須オフ会」
あたらしい仕事も一ヶ月が過ぎたある日、とつぜん利休さんから連絡があった。
急に休みがとれてしまったようで、明日、名古屋に来られるというのだ。
小売業でありながら連続勤務時間が50時間をしょっちゅう越えるという、わたしの関係者の中でもたぶん一・二を争う地獄の住人である彼は、今回の名古屋遠征の動機についてこう語っている。
「いや暇でしたから」
「重っ」「このひとの『暇』って重っ!」
天野が偶然にも休みだったため、急遽この日にオフ会の開催となった。(利休さんによるオフ会レポートはこちら)
利休さん、秋月さん、入江さん、天野と、まずは四人で名古屋駅にあつまり、あちこち歩いたあと大須で電気街などを回る。サンハヤトのボイスチェンジャーをやや真剣に天野が見つめたり、入江さんは自作PCの静音化に御執心なようで8センチファンを買うのもすでに四個目だとかそんな話をしながら「巫女茶屋」の前を通りかかった。
ところで名古屋と言えば、かつては「巫女居酒屋・月天」がそのスジでの定番だった。だが、はるか諸国からわざわざ参りにくるマニアも大勢いたというかの店もいまや閉店となり、現在はすっかり別のコンセプトの店になっている。
しかし名古屋に根付いた新文化を絶やしてなるかと、立ち上がったのが、よりによってというかまあ当然の流というか、メイド喫茶「M's Melody」を率いるグッドウイルであった。ほとんど「月天」とは入れ替わるような間髪入れないタイミングで、大須観音正面に「巫女茶屋」が開店。そんなわけで現在も名古屋の巫女文化は守られている。
秋葉原にいったら、とりあえず「CURE MAID」か「じゃんがららあめん」というように(いや、地方の偏見かもしれませんが)(そういえば両方とも行ったことないなあ)(ところで、じゃんがらの方はだいぶ味が落ちたとか・・・まあいいかそんなことは)、名古屋にきたらとりあえず「月天」で巫女さん、というようなコースがあったが、利休さんはどうもあまり感心がないようすだった。
「あらら、利休さんは巫女さん属性はないですか」
「いや、 僕の親父の実家、神社なんですよ」
「なんとな!?」
「小学校の頃田舎へ遊びに行くと、社務所に巫女さんがいたものです」
「しょ、小学生のころからもう、巫女のお姉さんが・・・」
「もう神主さんをちゃんとやってないらしいので、最近はいませんが」
「(*´д`)ハァハァ」
「 (*´Д`)ハァハァ」
「ハアハアいうな」
「ですから、巫女さんに興味をあまり覚えないのですよ、実は」
「なんてもったいないっっ」
「利休さん、なんか、こう甘酸っぱいエピソードとかないですか」
「んと、たとえば社務所へ遊びに行くと、巫女さんが着替えていて袴を脱いだ状態だったとか?」
「ぎゃーーー!!!」
「あの、個人的にはぬぎかけでないとだめだと思います」
「いや、そんなこと言われても・・・。他には、真夏に草むしりしていて、襦袢が汗で透けているですとか」
「うおぉぉぉおおおおぉぉぉぉ・・・・」
「天野さん、血の涙、血の涙」「拭いて拭いて」
「あー、あと覚えてるシチュエーションっていうのがあって、社務所で巫女さんがうとうとと居眠りをしている姿を見た覚えがあります。当時悪ガキだった僕は、髪の毛を引っ張って起こした覚えがあり、困っていたお姉さんを覚えてます」
「こっ」
「困っているお姉さん激萌え!!」
「なんでその表情を写真に撮っておかなかったんですか!」
「そういえば、昔本家の長男がものすごくグレてまして、勢い僕が神社を継ぐような話が出まして、そのときに『ぼっちゃん』呼ばわりもされていたような」
「巫女さんに『ぼっちゃん』…」
「微妙にメイド属性がまじっていて、こう、なんか、アレですな!」
「いろいろたまりませんな!」
「ここにあとスク水が加わればもう、世界を手にしたも同然ですな!」
「ところで、田舎で虫捕りして戦果をお姉さんに見せたりとかしませんでしたか?」
「捕まえた虫が跳ねてお姉さんの巫女服の中に入ったり、とか」
「アオダイショウ捕まえて、持って追いかけたとかいうのならありますが」
「あ、アオダイショウプレイ!?」
「おお、巫女さんとアオダイショウプレイ!!」
だいたい読めばわかると思うが、話をきいた全員がとりあえず恐慌状態になっていた。
なにか貧富の差のよーなものを強烈に感じた天野が思わず叫ぶ。
「ぶるぢょわだー!!」「かっ かえせー! もどせー!」
「あ、そうだ。以前お話ししたセーラー服、買っちゃいましたよ」
「セーラー服!? 買った!?」「まあ、資料に」
「でも、上だけなんですよね。スカートは手に入らなかったのです」
「しかし利休さん、なんでそんな古豪のアイテムを・・・」
「というか利休さんて、そもそも何やってる人なの?」
「う、うちにだって、えらいひとから贈りつけられたおにゃにょこ用ぱんつが二枚もあるぞ!」(えらいひとのサイトはこちら)
「いや、天野さん、たぶん負けてると思うなー」「なにが勝利かよくわからないけどさ・・・」
あらためて貴族と平民の差のよーなものを感じつつも、気を取り直して「とらのあな」に向かう。こういうメンツなので、だいたいお決まりの順路というものであろう。
ところで、利休さんは新刊同人誌が居並ぶかの店内を見て感動していた。
「みんなすごい。真面目だ。真面目に本を作ってる。ふつう自分で本なんてつくれないもん。すごいよ」
利休さんは、同人誌が販売されているのをまともに見るのははじめてなようである。
この点からも分かるとおり、彼はその筋金において決してオタクではない。普通の常識的な、しかし、ちょっと無自覚にも恵まれすぎな過去をもつ男である。
上記の反応も、同人誌というものに消費生活や創作生活を征服されている人種には、およそ口にしえない純真な言葉であろう。
ひととおり見て回ったあと、感心しきりの利休さんを連れて最上階へ向かう。名古屋の「とらのあな」は、ここがラウンジになっているのだ。あまりに急だったため連絡が取れなかった御当地のmanieraさんともようやく電話が通じ、ここでちょっと休憩しつつ合流をまつことに。さらにBeeさんが会社から帰ってくるのを待った。
おもむろに、入江さんがタブレットをカバンから出す。
利休さんもペルソナ持参だったので、なにか文章を書き始めた。
それにしても、利休さんのキータッチは美しい。
「でも思考と発想にタイピングが追いつかないんですよ」
「それだけ速くても、ですか」
「こういうのは、ホントは筆記したほうがいいんですよ。タイプじゃなくて」
「そういう意味では、天野さんのメモは素晴らしい」
「まず電池切れがない」
「うらやましいなあ」
「嫌味ですか」
「モバイルって、けっこう高いし、それほど使えないですよ」
「その点、わたしのメモは150円で、コストパフォーマンスも最高だ」
「おー」
「変換も一発だし、レスポンスも神経速度の速さ!」
「おおー」
「・・・何か虚しくなってきました」
「いや、でも一番現実的ですよ」
そんなことを話しているうちにmanieraさんが合流する。(manieraさんによるレポートはこちら)
利休さんの秘密とか、いろいろここでは書けない打ち明け話があって盛り上がったあと、さらにBeeさんが合流。久屋大通の「インドや」へ晩飯を食べにいった。(Beeさんによるレポートはこちら)
「みなさん、カレーでいいですか?」
「ま、わたしはカレー部だしな」
「ところで、実はガンダムのララァってものすごくカレーが似合うんじゃないかと思うんですがどうでしょうね」
「天野さん、はいメニュー」
「いや、もう決めてありますよ」「なんです?」
「『四種類から選べるナン&カレーセット』!」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・すみませんでした。『イリヤの空、UFOの夏』の感想はそのうち書きます」(でもいいかげん、時機を逸してしまったなあ)
「ところで、シェフは日本びいきのカナダ人ですか?」「じゃあ、カレーパンを注文しないと」
「どうでもいいけど、難しいギャグが続くなあ」
「あ、ぼくはこれにしようかな、『ヘルシー・ヨガ・セット』」
「おお、なんか食べたら手が伸びそう」
「同じく、火ふきそう」
「テレポートができる『ターボ』はメニューにありませんか」
「ところで皆さん、カレー作るときって、どのへんから作ります?」
「普通に野菜炒めて肉炒めて水入れて煮てカレールー入れて煮て寝かす・・・かな」
「Beeさんはスパイスから調合するんだよね」「すごいねえ。天野さんは?」
「まずジャガイモ用の畑を借ります」
「おお」
「天野さん最強」
「こ、このギャグいうためにクロカワで三ヶ月がんばりました」
「そんだけのためかい」
「インドや」の本格インドカレーは、普通に美味かった。
インドカレーは初めてという秋月さんが、衝撃の味覚体験に感極まって「すごい」「うまい」を繰り替えす。
インドのカレーは日本のといろいろ違って面白い。日本人は給食で食べたカレーのような味覚こそカレーだと思っているし、わたしも舌がそう感じてしまっている。インドのカレーはたしかに起源だが、舌の経験順でいうと新型の味なのだ。こっちのほうがバリエーションのように思えるし、まあ食べる分には、それで別にいいと思う。
おきまりのコースだが、歌の好きな人間が半数以上なので自動的にカラオケへ流れる。
いきなり「愛をとりもどせ」とか「ゆずれない願い」という高音域ソングばかり選ぶ利休さん。でもちゃんと歌えているところがすごい。
「つぎは『突撃ラブハート』?」
「おー、マクロス7か」
「主役の男が『俺の歌を聴けー!』っていうアニメ」
「そこだけ聞くとジャイアンみたいだなあ、熱気バサラ・・・」
その後、「このまま君だけを奪い去りたい」は、「ONE」の茜シナリオにあった前カレの心情だなあと思いつつ歌う。「やがて朝の光おとずれるまえに」を「永遠の世界に呑み込まれる前に」と変えるとけっこうよかった。ほかmanieraさんBeeさんデュエットの「生ゴミOH2(電気グルーヴ)」、そういえば名古屋も総本山っぽかった「残酷な尊師のテーゼ」つづいて「権力ハニー」「ジレンマ」「ヒトリノ夜」「サンフランシスコ」「氷の世界」そして、それら曲に会わせて、利休さんがタンバリンを打つ。しかし見事なリズムキープである。ホントになんでもできるひとだ。そして「太陽戦隊サンバルカン」の替え歌で「滞納戦隊」をBeeさんが歌う。督促状が何通きても公共料金振込みをつい忘れてしまい一年の半分くらい電話がとまっているとゆー、最近では「電話が通じるなんておかしい」とまで仲間内に言わしめたNTTがピクピクしそうな「らむださん」の滞納生活ぶりを歌った歌詞で、割と近所にお住まいで実体を知っている利休さんがうんうんと頷いていた。そして、想像以上に辛さと量で破壊力のあった「ヘルシー・ヨガ・セット」との戦いですっかりぐたっりしている入江さんがすでに悟った目で狂宴をみている。
もともとがKEY作品のファンの集いみたいなものなので、歌も「ZOO」のKanon替え歌(編詞:サンフェイスさん)から、どこかAIRな世界の「sweet
days」、あゆの心情そのものっぽいのでぜひ堀江由衣にカバーして欲しい「奇跡〜大きな愛のように〜」などなど。そして、順番はどのあたりか忘れたが、山崎まさよしの「One more time , One more chance」の替え歌を、往人かな、ともおもったが晴子さん中心に天野が歌った。(AIRネタバレにつき反転)
これ以上何を失えば 心は許されるの
どれほどの痛みならば もういちど観鈴に会える
One more time 季節ようつろわないで
One more time ふざけあった時間よ
くいちがう時はいつも 観鈴が先に折れたね
健気なその性格が なおさら愛しくさせた
One more chance 記憶に足を取られて
One more chance 次の場所を選べない
いつでも捜しているよ どっかに観鈴の姿を
神社への坂、武田商店、こんなとこにいるはずもないのに
願いがもしも叶うなら 今すぐ観鈴のもとへ
できないことは もう何もない すべてかけて抱きしめてみせるよ
寂しさ紛らすだけなら 保育園でいいはずなのに
星が落ちそうな夜だから 自分をいつわれない
One more time 季節ようつろわないで
One more time ふざけあった時間よ
いつでも捜しているよ どっかに観鈴の姿を
バス停前でも夢の中でも こんなとこにいるはずもないのに
奇跡がもしも起こるなら 今すぐ観鈴に見せたい
新しい朝 これからのうち できなかった「親子」の暮らしも
夏の思い出がまわる
ふいに消えた鼓動
いつでも捜しているよ どっかに観鈴の姿を
無人の駅舎、堤防の上、こんなとこに来るはずもないのに
願いがもしも叶うなら 今すぐ観鈴のもとへ
できないことは もう何もない すべてかけて抱きしめてみせるよ
いつでも捜しているよ どっかに観鈴の破片(かけら)を
からっぽの部屋、制服の影、こんなとこにあるはずもないのに
奇跡がもしも起こるなら 今すぐ観鈴に見せたい
新しい朝 これからのうち できなかった「親子」の暮らしも
いつでも捜してしまう どっかに観鈴の笑顔を
夏影の中、ゴールへの道、こんなとこにいるはずもないのに
命が繰り返すならば 何度も観鈴のもとへ
欲しいものなど もう何もない 観鈴のほかに大切なものなど
歌というのは、自分と共感できたとき初めてココロに入ってくるのだな、と思う。
聞いたことのない歌というのは、正直さいしょだけではよくわからない。でも何度か聞いていると、そのメロディの言いたいことが分かるようになってくる。最初から共感できる歌詞だと、そのへんも速い。だが、なかなかそこまで聴くに至らないものだ。カラオケで初めて聴く曲などなおさらである。
だが、ここにいる全員がAIRを経験している。こういう、同じものを愛する仲間うちでの、替え歌をまじえたカラオケというのは、いわば共通言語のバリエーションだ。
たとえばアニカラなどでも、頼んでもいないのに合唱してくれたり、必殺技の名前をハモってくれたり、素のままでは恥ずかしくて入れられない「間奏の語り」をきっちり独唱したりと、歌の世界を気取るのが許されるのは、参加者に共通する感動があるからである。
こうして歌うカラオケはいい。歌っていることが伝わっている感触がある。なにより寂しくないのがいい。
そんなカラオケも途中だったが、天野が刻限なので寂しいながらも半ばで退席する。明日は朝から仕事なのだ。
JRで名古屋駅から大垣へ向かい、そこから車で部屋に向かう。途中でコンビニへ寄って、食べ物をいくつか買った。
エレベータで9階まで上り、カバンの中の部屋鍵を探る。
今日のオフ会もおもしろかった。今日も楽しかった。
ドアを開けるまではそう思っていたが、玄関で後ろ手に扉をしめたとき、不意につよい寂漠感に襲われた。
最近だんだんと、オフ会のあとの寂しさが妙に身に染みるようになってきている。
一人暮らしも半年目。
無理もないかも知れない。
でも、日々の生活のなかにそれを感じないのは、仕事が面白いからだと思う。
ただ、その隙間に友人のありがたみや楽しさが滑り込むから、切なく感じるのだ。
仕事にもオフ会にも救われている。そんな中だからこそ、寂しいのも、決して悪いことではない。
いま感じている大切な大切な寂しさこそが、日々の楽しさの証なのだから。
今日も楽しかった。
そう反対側から実感している。
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■ 2003.08.20
wed 「鉄騎・9『ダイノバイザー』」
仕事が忙しくてなかなか会社関係以外の人と会えないことと、自然に囲まれていない環境のせいと、一人暮らしも半年目ということもあったと思う。
「うわーん、寂しいよー!! masterpieceさん、遊んでー!!」
という趣旨のメールを送りつけて、masterpieceさんに遊んでもらった。(実際の日付は8月のもっと頭の方だったと思うが)
非常に不自然なお部屋のアクセントとして存在している「鉄騎」をプレイしてもらったり、仕事のことなど話してすごす。そんな彼から、以前に話を聞いていたあるものを借りた。
「ダイノバイザー」である。
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれるウェアラブルデバイスで、風体は巨大すぎるゴーグルという感じのものだ。これを装着することで、体感120インチほどの大きさの画面を目の前(3メートル先くらいの感覚)に展開してくれるモニタ環境の一種である。原理は、内部の液晶画面(1コ)をプリズムで両目用に分け、レンズで拡大させているのだと聞いた。ボディ形状はテムジン(バーチャロン)の目の所みたいとも言われるが、どちらかというと「マイクサウンダース13世」だと私は思った。ちなみにカラーリングはエヴァ初号機っぽいムラサキである。
このHMDは、ぜひ一度ためしてみたかったモニタ環境だ。
鉄騎の世界は「ボトムズ」にちょっと似ている。かの世界の兵器であるAT(アーマード・トルーパー)はコクピット内にモニターを設けず、機体カメラからの映像情報をパイロットの網膜に直接投影するのだが、これにちょっと似ている気がするのだ。世界観の近似もあいまって、こういうのには親近感を憶える。
とりあえず、ハードからの映像出力を分岐し、ダイノバイザーにつなげて装着してみた。
ダイノバイザー装着の様子
これで鉄騎などやっている姿は、もう完全に他人には見せられない。
ATに乗っているような気分とはちょっと違うと思いつつ、それでもちょっと期待しながら鉄騎をプレイしたが
久しぶりにゲームで酔った。
戦場に立ってものの数分である。「せ、せっかく借りたんだから・・・」と無理をして装着し続けたせいか、最終的にはかなりハードに酔った。原因は「3D酔い」というより、頭を微かに揺らすだけでHMDの画面もグラグラゆれるためである。それだけに、姿勢の固定に注力し、画面に対してもかなり意識を集中させないといけない。それでもなんとか対艦戦ミッションで敵戦艦「鎮焔」を射程に捉えるところまでは、なんとか進軍した。
だが、ただでさえ緊張する鉄騎に、容赦なく集中力を要求するダイノバイザーは非常にキツかった。単純に倍ほどの疲労だと感じる。こんなに疲れてしまって大丈夫なのかと、後に説明書を読んでみたところ「30分以上の使用を禁じ、15才未満の使用も絶対に禁止」との表記があった。デバイス自体がR指定という、非常に使用者を選ぶアイテムだったのだと納得する。
ゲーム中に感じたのは、何と言っても液晶の解像度が低いことだ。鉄騎は、画面上に実に細かい表示がされる。レーダーに映る1ドットほどしかないミサイルの輝点などのために、モニタは大きければ大きい程よいし、できればS端子でみたいところだ。そういう意味では鉄騎に対してダイノバイザー致命的には向かない。
とはいえ「じゃあ、何に向いているのか」と言われれば、もっと情報表示が単純な、PS初期の3D格闘やレース物くらいしかないと思うがどうだろう。
masterpieceさんからはせっかく貸していただいたが、たぶんもう二度と鉄騎でこれを使うことはないだろうと思う。
ピントがいまいち合わないとか、バイザーが視界を完全に覆っているせいでなんとなく恐いとか、見た目ほどではないとはいえそれなりに重いデバイスを顔面上部に装着したままでいると、だんだん首の筋肉が疲れてくるとかいろいろ不向きな点は挙げられる。
だが、このゲームへの使用断念の原因としてもっとも決定的だったのは、やられた瞬間に脱出ボタンの位置がまったくみえないという、鉄騎ならではの、たいへんに致命的な欠点があるからである。
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絵描きと管理:天野拓美(
air@asuka.niu.ne.jp
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