独り言以外の何か

taler

(2005.08.10)



人家のすくない西の岬に、猫がくることはほとんど奇跡に近い。
そうでなくても、草木や水の浸食以外で、ここに接触してくる存在は、絶えて久しくなってしまった。

アルファさんはゆっくりと猫を抱き上げる。

話し相手がいなくなってしまった世界で、猫に語りかけるその言葉は、はたして独り言なのか、それ以外の何かか。

彼女は、滅んだ世界を物語り続ける。





「独り言以外の何か」というニュースサイトの管理人・Su-37さんからのリクエストで描いたアルファさんである。
リクエストのいきさつはこちらの冒頭にて。

最初は彼のサイトのトップページ用に、とのことだった。

「『独り言以外の何か』(当時は(仮)がついていた)というサイト名・アルファさん・彼の飼い猫・全身を描いて欲しい」など、リクエストのテーマ的にはよく消化できたと思う。

だが、実際かいてみると、これが彼のサイトにはどうやっても合わない。ニュースサイトとはいえ、主に取り上げれられているのは、ゲームやアニメ、一次創作、二次創作、声優、業界ネタなどなど。

そのなかに、ヨコハマ買い出し紀行のアルファさん、というのは、置いてみて吸収不可能なほどに浮くのだ。ファンであるという彼個人の日記サイトなどであればよいが、やはりニュースサイトのテーマにふさわしい絵にするべきだろう。
また、縦長の構図は最初にするスクロールに手がかかり、その下でニュースが更新されているかどうかが一目ではわかりにくい。ここはせめて横長の構図にすべきだろう。

などなどの理由により、この絵はトップページ用としては断念することになった。
だが、後に実に彼のサイトらしく「メイドさん」で一枚かきなおすことになる。これは現在採用され、アルファさんに代わって、彼のサイトのお客様を出迎えている。


製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7
実にひさびさ(2年ぶり)に描く「ヨコハマ」です。
木目はいつものとおりですが、椅子の陰が床に反射していることで光沢を表現する、足首や膝などの陰にちょっと青味をいれるなど、ヨコハマ描いてなかった時期に憶えた小技が盛り込まれてます。
アルファさんの服の色を決めてしまってから猫が黒猫と気がついたので、色的に埋もれてしまい、猫がパッとしません。やはりエプロンも白系統にするべきだったかと。
完成した絵は縦長で、本の表紙または挿絵といった感じ。ですがやはりウェブ上では横長の構図が大切なようです。















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