何年か前、私のオーナーは、私に店をあずけて、いきなりどこかへ行ってしまった。
どこにいるやら、何やってるやら。いつかは帰ってくるのかしらね。
私はロボットでよかったと思う。
いくらでも、待っていられるからね。
(ヨコハマ買い出し紀行より)
「このカメラは、写した時からの時間が長ければ長いほど、容赦なく、リアルな昔へ私をひきもどす。」
写真を見て目を開けたとき、時間だけが、圧力すら感じる衝撃を持って、頭の中を一瞬に駆け抜けた。
いつから待っているのか忘れてしまうような時間感覚の中で、このカメラだけが、正確にすごした時を思い知らせてくれる。
「こんなに待っている」
その実感が、残酷である。
うっかり昔の写真を見てしまい、そして現在までの時間の隔たりを感じて、疲れたようにテーブルに突っ伏すアルファさんです。
彼女はたぶん、いつまででもオーナーを待ち続けることができると思います。(いまは旅に出ていますが)
待っている時間を忘れることができるから、人は誰かを待ちつづけることができるのでしょう。その時間を実感してしまったら、これは辛いです。一瞬でも、待ちくたびれてしまった・・・。そんなシーンを描いてみました。
制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2
「安心の場所」で描いた絵に良く似ています。テーマが違うのでリメイクというわけではありませんが、絵的には現在の技術が出せたと思います。
原作のふっくらしたアルファさんではなく、天野版のアルファさんです。頬や顎が細いのが特徴(笑)
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