まどあかり

the light through out of a window

(2003.06.06 fri)




夜想曲での2003年・春のトップ絵です。
天使のときも、引越のときもそうでしたが、黒背景に上手く溶ける絵を描こうと考え、こういう構図を選びました。まどあかりの中に立つ影は別に誰でもよかったのですが、お屋敷然とした窓の前にいちばんしっくりくるのは、やはり、こう、メイドさんだろうと!(握り拳で) 困ったときは自分にやさしくメイドさんでいいだろうと!(机をたたいて) でも、この易きに流れる決定のせいで、この次のトップ用の絵もなし崩し的にメイドさんになってしまいました。これでよかったのか未だに分かりませんけど。

この絵は、製作過程の区切りごとに画像ファイルとして別名保存し、その都度トップにさらして更新するという、ちょっとしたイベント形式で公表していて、あちこちからリンクを張っていただくなど、わりと好評でした。



以下、公開時の画像と、その解説を。(
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7



まず、だいたいの構図を決める。

このときは、まだメイドさんにしようとは考えてなかったが、ペインターの「鉛筆」で、適当に背景と人物のあたりをつける。

背景は、大きなお屋敷のイメージ。

人物は別のレイヤーで描いている。


所要時間:15分

人物を清書。いちど「メイドさんがいいかも」と思ってしまったら、他の何でもそれに優るものは無いような気になってしまったので、このような形に。まあ、この背景で巫女さん描くわけにもいかないのでやむなし。

とりあえず、鉛筆の線を、軽くととのえた。このままこれが主線となる。
自分の場合、どうせ塗りの段階で消えてしまうので、ラフの鉛筆線は、ガイドライン程度の認識だ。


所要時間:34分

別レイヤーで、窓のそとを描く。濃淡をつけて緑を描き、それっぽく「水滴」でぼかすだけ。

最初の完成図のとおり、暗いところから明るい外を見ているので、明度は飛ばし気味に考える。そういうわけで、空は青ではなく白。


所要時間:10分

背景の基本色を塗る。
お屋敷の壁は白いつもりなのだが、光の加減などをつけたいときは、なにか色を決める。今回も緑色。我ながら緑色をよく使うと思う。実はそんなに好きな色ではないのだが、なんとなく使ってしまう。不思議だ。


所要時間:8分

窓から射すあかりを確認。影となる部分を塗る。

もともと黒背景に溶かすつもりなので、端の方は完全に真っ黒にするつもりだ。
別のレイヤーを透明度半分程度で設け、影だけを黒で塗る。


所要時間:3分

影をもう一段階かさねる。

床に反射する窓あかりの位置を決めた。サクサク行こう。


所要時間:4分

背景の端を黒でぬり、その間の部分などを「水滴」でぼかす。

「直線」指定したペンツールで窓枠の基本線を入れる。

このころになると、もうほとんど精神状態が絵描きモードに以降しているので、気を確かに持ってないと、記録など考えなくなってしまう。でも楽しい。


所要時間:22分

ガイドラインとして使ってきた主線を消す。
「直線」指定のペンで、窓に接する壁の線などをきちっと引いた後に、わざわざフリーハンドでその線をなぞる。
建物にやわらかみを出したいためだ。

後の人物部分でも書くが、これ以降で使用するペンツールは、ほとんど「エアブラシ」を1.5〜2.3くらいに絞った極細サイズのものである。ペンの類よりもなんとなく線が柔らかくなるように感じるのでこれを好んで使用している。


所要時間:24分

窓枠のディティールを書き込む。直線を使ったり、フリーハンドだったりと適当。

床のタイル目地のガイドラインを引く。「直線」で格子模様を描き、それを「歪み」で変形させた。


所要時間:29分

布の向こうにかすむ影を描いた後に、窓にカーテンをつける。これも新規レイヤーの透明度を下げたものにして、透けた感じを出した。合成方法を試行錯誤して、それらしく見える組み合わせを探す。

床タイルの線を「消しゴム」で消し、見えるかどうかくらいまで細くする。その後に絵と合成。目地に光沢と影をいれて立体的にみせる。
基本的にフリーハンド。

左の柱のみを丁寧に仕上げる。それをコピペ+左右反転し、右の柱にした。光源がまんなかにあるからできる手抜きである。


所要時間:37分

床(画像では最手前)に落ちた影が汚いと思ったので消すことにする。タイルの目地を合成する前に気がつけばよかったのだが、もう遅い。泣く泣く、手で修正する。


所要時間:20分

メイドさん着色。
このちっけえメイドさんの絵を描くために、我慢して背景を描いてきたわけだが、やはり、背景より人物の方が、描いていて楽しい。ホントに楽しい。

色指定は一般的なフレンチメイドに。黒が基本かと思ったが、茶色の床に映えるよう、紺色にする。


所要時間:10分

窓枠からの逆光を考え、メイドさん上に新規レイヤー(透明度上げ)を設け、シルエットになるよう塗る。光がもれるアウトラインやエプロンの結び目あたりのみ、消しゴムをかけた。
本来は容赦なく真っ黒に塗りつぶすところだが、それだと車田正美の敵新キャラ登場効果みたいになってしまうし、なにより不気味なので、手加減する。

床にメイドさんの影を描き、窓あかりを描き足す。これもタイルのもようが見えるように、レイヤーの透明度を上げて合成した。

床に、柱の反射を描く。急に床の美しさが映えるのが楽しい。上の絵とは質感から違ってみえる。


所要時間:33分

メイドさん仕上げ。すげえ楽しい。ここまで来たのだと感慨ひとしおである。

さっき重ねた影をメイドさんのレイヤーと結合し、その上で、メイドさんの細部を描き直す。このとき使うのは、先述の極細に設定したエアブラシ。たいていどの絵でもそうやって描いているが、このおかげで境界線がぼやけ、柔らかい感じになる。

ちなみにいままでの製作過程でも、これが描画時の原寸。このメイドさんの顔を描くのはほとんどドット絵作業に近く大変だった。


所要時間:27分

最後に、新規レイヤーを設定、緑色で全体を塗りつぶし、透明度を上げていく。
要するに一色のフィルターを重ねることで、全体の色味をまとめるのだ。

だいたい10%くらいでこんな感じにまとまる。いっこ上でも完成基準だが、やはり色調整の効果は大きく、全体にあるまとまりや、穏やかな空気感は、この最後の作業の賜物である。

このときすでに恍惚としているため、記録を忘れて前のタイムのままだが、おそらく所要時間は10分程度。

時間の記録を書いていたレイヤーを消し、完成。

いま思うと、もうすこし左右を広くとり、床の左右端まで描くべきだったと思う。

優しそうなメイドさんと、好評をいただいた。


総所要時間は
286分。
5時間弱といったところだ。


以上、なにかの参考になれば幸いである。















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