引 越
moving out / moving in
(2003.01.01 wed)
2002年の3月にいちど更新停止を宣言した夜想曲が、わずか9ヶ月で再開してしまったとき描いた絵です。
何年か先になるかも、と大々的にうたっておいてコレだったので、なにか注意を逸らすためのキャッチーで気合いの入った絵が必要だったという、変な動機で描いたような気がします。
前に描いた「天使」もそうでしたが、黒背景の場合、こういう闇に浮かぶ街や部屋の一部、というのはけっこう様(さま)になります。白背景だとオブジェや人物を描くだけで、普通に立っているように見てもらえますが、黒背景でそれやると、闇の中をさまよっているように見えて恐いですからね。
たぶん、地面があると安心できるんだと思います。こういうの、天野だけでしょうか。
わたしはいわゆる「萌え絵」というのが描けないのが、ちょっとしたコンプレックスでした。
「ああっ オレも『神のティクビを描く漢』とか呼ばれてみてえっ」というちょっと間違った夢を持っていたものですが、この絵を描いて「やっぱりダメだ」と思ったものです。がんばって、やっとここまで年齢を落としましたが、あの「萌え絵」独特の「潔い媚び」が、ついに出せませんでした。
でも、この女の子はちょっと気に入ったので、ひきつづき描いていこうと思います。
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7
この絵を公開したとき、大変な賞讃を受けたのが、なぜかストーブでした。
女の子の立場がありません。
寒い時期の引越という設定で、アラジンのブルーフレームというこの有名なストーブや、ピクニックラグと呼ばれる毛布(とベルト)など、それらしいものをいくつか描き込んで仕上げたのですが、このへんの細部を描き込む作業が妙に楽しかったのを憶えています。
連続して絵を描いている時期はいいのですが、ちょっと間があくと、いつも次の絵は、上手く描けるかどうか不安になります。これは正確には「絵描きの精神状態」が降りてきてくれるだろうか、という不安なのですが、この絵が描けてすごくホッとしました。まだ大丈夫のようです。