2004.12.02 「アニメ版シスター・プリンセス考察大全・改訂新版」


以前にその表紙絵を公開したとき、
実に通常の10倍のアクセス数を記録したネタ「アニメ版『シスター・プリンセス』考察大全」の再販がきまった。

知らない人に説明しておくと、これはくるぶしあんよ氏が、アニメ版シスタープリンセス(こっち側で俗にいうアニプリ)という物語に対する考察をまとめたものである。

そもそも
「妹が12人いる」という「やっちゃった感」のある設定や演出・作画でいろいろつまづかれ勝ちな本作品は、未視聴時代の私にとっても「変なアニメ」という程度の認識しかなかった。
たが、その根底に流れる兄を慕う幼い愛に満ちたドラマ性と、それを貫く成長物語としてのテーマを、氏はこの考察で
見事に浮き彫りにしてみせたのだ。
初版本を入手したある読者からは「読むたびに
これは俺の知っているアニプリだろうかと思えるような、視点の違いが愉しくて仕方ないこのごろです」という感想も届いている。

愛ある視点からの、斬新であり堅実なこの考察は、氏のサイト「ページの終わりまで」にてコンテンツとして更新され、原稿がアップされるたびごとにあちこちのニュースサイトで捕捉されるという盛況であった。
そしてその実績を土台に、あんよ氏の情熱を爆発力に、これを一冊の活字媒体としてまとめたのが、件の
「考察大全」である。

同人誌化にあたり私も表紙絵を描かせてもらうことになり、発売前のサイト公開で先述のような記録的アクセス数をだしたわけだが、次いで、2004年の夏コミにおいて初めて実体として世に出た
360ページ・1500円・表紙以外オールテキストのみという何かの教典のようなこの同人誌は、そこでも実に開場60分で持ち込んだ60冊が完売したという実績を出した。

考察テキスト本としては、大成功と言える。だが、コミケの会場ではこの
分速で消えた妹姫本を入手できなかったことを悔(くや)しむ方も多く、増刷の要望が寄せられることも多かった。
そして初出から三ヶ月。品切れ後に宣言した「どうにかします」という約束の言葉どおり、このたびどうにかその再販の目処がたったのだ。

とりあえずは、そのお知らせである。



ところで、この冬コミあわせの再販本は、実はただ版を重ねただけではない。
あんよ氏による
補論が一稿追加され、全章に扉絵が追加される予定なのだ。

予想される完成品は、あまりに「初版」と様相が違ってくる(表紙はほとんど同じで「改訂新版」とだけ文字が加えられている)ために、これを「増刷版」ではなく「改訂新版」と呼ぶことにし、わたしとあんよ氏は、その作業にとりかかった。


白「で、結局その『全章』ってのはいくつあるんだ」

黒「ええとね」

白「うむ」

黒「
40章くらい?」

白「・・・・」

黒「・・・・」

白「ちょ・・・」

黒「大丈夫! まだ締切までには三ヶ月ある(当時の話だ)から!!」

白「三ヶ月か・・・。確かに、それくらいあればどうにかなるかもな」

黒「おう大丈夫だいじょうぶ」

白「じゃあ返事しとくか。挿絵のはなし了解です・・・と」

黒「まあ、日割りで計算すると、
二日に一枚かかないと間に合わないけどな!」

白「・・・・」

黒「・・・・」

「詐欺だあーーー!!!」


以後、
真剣にそのペースで描き続けることになりはしたが、同時に激しく燃えた天野の、それは地獄開幕の雄叫びだった。





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2004.12.08 「アニメ版シスター・プリンセス考察大全・改訂新版 ラフ絵の完成」

(今回の日記もシスプリャーにしかわからん内容だとは重々承知してます)





2004年8月24日 件名「シスプリ同人誌増刷のはなし」天野送信

2004年8月25日 件名「Re:シスプリ同人誌増刷のはなし」あんよ氏より着信



覚悟完了



2004年8月25日 件名「Re:Re:シスプリ同人誌増刷のはなし」天野送信・以下内容


これより我は修羅に入る。

可憐に会っては可憐を描き、
咲耶に会っては咲耶を写す。


問答無用、容赦無用。
損害にかまわず前進する所存。

具体的には睡眠時間とか。<損害







そして





236時間07分46秒経過っ!




(以下、チャットログより)

あまの「かっ」
あまの「描けた・・・」
あまの「
一気呵成に47枚・・・」
あまの「死ぬ・・・」
あんよ「わー」
あまの「め・・・」
あまの「飯・・・」
あんよ「はいでぃすの」
あまの「考察本と(アニメ版・ゲーム版シスプリの)資料集がすでにぼろぼろです」
あんよ「『戦い終わって』ですね」
あまの「いや、まだラフですよ?」
あまの「(線画にクリンナップしてトーンとかいろいろ)これから始まるんです」
あまの「思えば、これ(47枚)8時間で、しかもぜんぶ通しで描いた」
あまの「
一枚あたり10分計算かあ・・・」


8時間とあるが、それ以前の228時間に挿絵のイメージを溜めに溜めただけあってか、ラフを描き始めたら、そのまま一気に描き上げることになった。後半の方など
体力が尽きかけているのに筆の勢いがもったいなくて止められないという状態だった。たぶん、エンドルフィンとかもザバザバ出てたと思う。


あまの「まだラフ段階ですが、いちおう(あんよさんに)検閲をしてもらおうと思って。(JPEG化中)」
あまの「ところで、白雪けっこう描いたなあ。(再読してるとき、いちばんイメージしにくかったのが彼女だが、その割りに、という意味)」
あまの「あと、
けっきょく花穂は脱がせちゃったなあ」

あんよ
「え」

あんよ「それはだめえ」
あまの「かいちゃったもーん」
あまの「というか、下着花穂。これは譲れません」
あんよ
「墨塗りだー」
あまの「しかも、けっこう育ってる」
あんよ
「減らせー」
早 瀬「増やせー(煽」
あんよ
「だめーっ」
あまの「いや、私の場合ほっとくと増える(頭身が高くなって大人びた体形になる)ので、今回苦労しました」
あんよ
「がんがん削るにょ」
さくら「ぜひきょにうの方向で」
あんよ
「却下ー」
あまの「あ、そういや
亞里亞をきょぬーにしちった(いまみると別に巨乳でもなんでもないが)(でもちゃんと膨らんでる)」
あんよ
「削除ー」
あまの「押し通すー」
早 瀬「支援」
あんよ
「えぐれー」
shela「それは痛そう」
早 瀬「人でなし、否、兄でなし、と呼んでやるっ」
あんよ「胸が小さいのは妹自身のためです」
あんよ「花穂だって
『ちいさなちいさなむーねにー』と歌ってます(キャラクターソングの歌詞らしい)」
あんよ「つか、
なんでこの場所で貧乳勢が劣勢なんだ


念のために注釈しておくと、
伝統的にこのチャンネルでチャットをしてる人間は貧乳を愛する傾向にあったのだが、早瀬氏が増量の方向で煽っているために、貧乳派筆頭のあんよ氏が過剰反応しているのだ。


shela「いや、(わたしも)亞里亞をきょぬうにしたいわけじゃありませんよ」
あんよ「ひんぬーですよね」
あんよ「貧乳問答歌」
あんよ「『きみ、ひんにゅー?ららら』『そう、ひんにゅうー。るるる』」


いつも思うことだが、あんよさんはやはりちょっとおかしい。


あまの「(ラフ絵のアップロード完了)おまっとさんでございました」
あんよ「わくわく」
あまの「さて、とくと御覧ください」
あんよ「おお」
あんよ「おおお」
あんよ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
あまの「どおっすかあああああああああああああああああああああ」



ラフ絵47枚。

内訳は「第一部扉絵用可憐」「プロミストアイランドへ来る直前の妹達×13枚」「ウェルカムハウスでの生活表を自慢げに見せている四葉」「クマさんを捜しに家を出ようとしている雛子」「オリジナルのメーラーを製造している鈴凛」「十二足の靴に自分の足をならべている眞深」「咲耶のウェディングドレス」「本を読む鞠絵」「ゴーグルをかけなおしている衛・水着姿」「プロトメカ4号(潜水艦)」「いっしょに料理をする可憐と白雪」「猫を抱いた可憐」「亞里亞と老木の精霊が並んで座っている」「チアガール・花穂の笑顔」「並んで歩く春歌」「千影の寝姿」「スーパーマーケットで大量の食材を買う白雪」「オルゴール」「鈴凛とメカ鈴凛」「怪盗クローバー」「船着き場で待つ咲耶」「海を見下ろす帽子の少女」「デジカメを覗き込んでいる鞠絵と春歌」「ガルバン」「妹たちの未来像」「しゃがんでこちらを覗き込んでいる雛子」「第二部扉絵用可憐」「ウェストを測ってショックを受けている花穂」「咲耶と赤いマフラー」「コテージの階段に座る衛」「鞠絵のお見舞い」「鈴凛と四葉・ふたりでお話」「窓灯りに照らされる千影」「手をつなぐ春歌」「プロミストアイランド遠景」「ガイディングスターをもつ咲耶」といった感じ。これを一気に並べて見せた。

そして、それに対してチャットでつけられる具体的なコメントの数々。
これをもとに、上記の絵に方向性の修正が加えられる。

せっかくなので、三部ほど抜粋して紹介しておこう。




千影の寝姿(夢をみている)(花に囲まれている)


あんよ「(いきなりですが)千影の寝床は棺桶です」
あまの「ええーっ <棺桶(思えば千影はたしかにそーゆーキャラだ)」
あんよ「が、これは異世界かな」
あまの「アニプリ何話だかで、花に囲まれて寝てたような」
美 森「(あれは)かんおけの中に花がいっぱい、だったと思う」
あんよ「13話あたりで、そういうカットが入りますけど」
あんよ「あの花は、棺桶の中に敷き詰められてる」
あまの「
死んだように眠る千影。ここ勝負どころ。」
美 森「あまのさんが燃えている」
あまの「作為的にでも千影と花穂の絵をふやしたかった・・・。(考察の章構成のため、描けるキャラが偏っていたのだ)(で、個人的には千影と花穂が描きたかったわけだ)」
あんよ「
棺桶の中で寝返りうつ姿も萌えますね」
あまの「超信地展開ねがえり。<棺桶の中」
あんよ「(萌えといえば)
素麺すくう練習をする千影と花穂(千影は流しそうめんをすくうことができなかった。花穂はもともと不器用だし)」
あまの「そして、
花穂に先をこされて本気でショックをうけてる千影(とか想像すると個人的に)萌え」
あんよ「寝相悪く棺桶から足がにょっきりな千影も」




食材をスーパーで買ってる白雪。カートに缶詰とかたくさん。



あんよ「白雪、『財布の中身と相談』という雰囲気をちょっと強くしてもらえますか」
あんよ「たぶん、文月さん好み(文月さんのマイシスターは白雪である)」
あまの「ふむ」
あまの「吹き出しつけていいですか」
あんよ「だめ」
あまの「ぬう」
あんよ
「所帯っぽさを目線と口元で表現してください」
あんよ「『間に合うかしら?』と財布の中身を見つめる表情でひとつ」
あんよ「これも、第19話の顔ではないのですが(航がいるのでお金には困らない)、普段の白雪の表情を見たい。要は、経済的なものの雰囲気を白雪で伝えたいのです」
あまの「了解」
あんよ「つまり、
幼妻な白雪
あまの「そうだ、文月さんに、白雪の魅力がわかってきた気がする旨をつたえなくては」




鈴凛(左)とメカ鈴凛(右)




あんよ「メカ鈴凛は、身体ポーズをおとなしめにしてみてください」
あまの「了解」
あんよ「
メカ鈴凛は身体を、鈴凛自身は精神を抑圧しているわけですので」
あまの「おおお」
あんよ「ところでプロトメカはどこかのう(3メートルほどのロボット。重要なキャラクターである)」
あまの「プロトメカは4号(潜水艦)しか描いてないですねえ」
あんよ「1号は必須ですじょ」
あまの「表紙でアイテム系はもういいかと思ったので」
あんよ「1号はアイテムにあらず」
あんよ「詳細は第21話分考察にて熟知すべし」
あんよ「時期的には、このころに鈴凛の部屋とラボの間をぶちぬいてるんでしょうね>第2話後」
あまの「ぬう、プロトメカ1号どうしたものか」
あんよ「どこかに、プロトメカ1号の腕とか足とか一部分を入れられますか?」
あんよ「別の絵の雛子を支えているとかでもいいです」
あまの「鈴凛・メカ鈴凛の背景に脚を入れますか」

さすが、というか、あんよ氏の指示は的確である。

絵描きは、ただでさえ独り善がりになりやすいのだ。描きながらどんどんズレていくであろう原作との軌道修正は、その中心位置にある原作者にしかできない。

(挿絵を描く作業について、そのうち改めて日記に書こう)


あまの「さて、そろそろ寝ます」
あんよ「ぼくも寝よう」
あんよ「これからがたいへんなのでしょうけど。よろしくお願いします」
あまの「いや、あとは人間の仕事なので。」
あんよ「ここまでは神か」
あまの
「47枚も啓示をいただきました」
あんよ「ぼくもまた天啓を得ねば」
あまの「妹の神よっ!!」
あんよ
「悪魔でも可」
shela「妹のためなら悪魔に魂を売ってもいい、ということですね」
あんよ
「胸を1ポンド売ってもいいです」
あんよ「そしておちます」
あまの「おつかれさまー」





47枚描いたラフのうち、数枚を1ページにまとめるものも幾つかあり、結局39枚の絵を画稿として仕上げることになる。一枚一枚の描くべき形と方向修正が完了した。いよいよ、そしてここからが本番である。

線画を描き起こし、背景やトーンワークなどの効果を入れ、章のタイトルを合成し、出力形式に変換する。

これを39回。

そして、改訂新版の入稿締切まで、あと

77日 !







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絵描きと管理天野拓美air@asuka.niu.ne.jp