お風呂のかえりみち
for home
(2004.02. upload)
(2003.06.18 finished)
ざっと雨が降った後の、かすかに涼しい夏の午後。
蜩(ひぐらし)が泣くまでには、まだちょっとだけ時間がある田舎の町。
姉妹の笑い声と、下駄の鳴る音が、空までひびいている。
お風呂がえりの美凪とみちるです。
最初は楚々と歩く美凪さんだけのつもりだったのですが、どうしてもみちるが欠けている気がして足してしまいました。これはいわゆる「ターンエーガンダムの絵を描くときには、一緒にカプルがいないと寂しい」のと同じよーな現象ではないかと思います。
往人に会う以前の夏に、遠野家から持ち出してきた浴衣で銭湯に行くような、こんな思い出があったかもしれません。
そしてそのときには、やはり美凪の横にはどうしてもみちるにいてほしいと思うのです。
描いた当初の状態は全体に色が強烈で、アップにあたり誤魔化すのに苦労しました。(あまり成功してませんが)
「焼き鳥」の文字がフォントそのままなため、妙に平板な感じで納得いかなかったのですが、ペインターで文字の両側を縮小して遠近感を出すとかの手法がついに分からなかったので、「いいや」と思って完成させてしまいました。
なにもかもが浮きまくっていて失敗作な感のある絵ですが、もっとも違和感を爆発させているのが、このポテト。この毛玉生物が図らずもリアルに描けてしまい、むしろ戸惑った憶えがあります。
実に半年前に描いた絵で、さらに「AIR」をクリアしてからずいぶんたつ今日ですが、それでもかのBGM、とくに「伝承」や「ふたり」そして「夏影」を聞いていると、こうしてテキストを書いていてまだ胸が熱くなります。
「遠野美凪の肖像」では、彼女だけを描きましたが、どうしてもこの絵にはみちるを描かないわけにはいきませんでした。この空気の中にいるのが美凪ひとりでは、寂しくてたまらなくなるのです。
そう思うだけに、あの別離を乗り越えた美凪は本当にすごいと思います。