あの海

flash back

(2002.12.09 mon)




消えていく観鈴の生命。追いすがる晴子の腕。
走っても走っても追いつけない悪夢のような一瞬。

晴子が、自分の魂を斬られたような絶叫をあげる。

それでも、抱きとめたこの腕をすり抜けていく魂は、どうしても掴み取ることができなかった。








製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7

AIRのフラッシュをつくった。
中島みゆきの「時代」という曲が、AIRによく合うと思ったのがきっかけである。

内容は、曲に乗せて画像がフェードイン・アウトしていくだけのものであり、コンセプトとしては「たくさんの思い出がある。他にはなにもいらないくらい」で書いた解釈をもとにしてつくった。

フラッシュの素材のほとんどは、AIR本編のCGを流用したが、TINAMIというCG作家ギルドのキャラクターサーチでよそのCGサイトからも幾枚か拝借した。しかし、それでも欲しい絵が見つからない場合がある。

最初に必要だった絵は、「ゴール」した瞬間から、観鈴の表情までの間のカット。
抱きついた後、崩れ落ちていく観鈴を必死に抱きかかえようとする晴子の絵だ。

これは、自分で描こう。そう思った。

「夜想曲を閉じはしたが、自分はまだ『AIR』を描ききっていないのではないか」

そんな気持ちがずっとあったからだ。

シナリオの解釈は、充分に文章にした。だが、自分はまだ納得のいく絵を、このいまだにチクチクと痛む胸の想いを、絵にしていない。

最初は、この一枚を描けば、ひとつ整理されるのではないかと思っていた。
だが、久々に筆をとり、霞んで消えそうな観鈴の目の線と、焦慮に灼けつくような晴子の眼差しを描きあげたとき、分かったことがあった。
AIR本編で何度も泣いたのに、いまだに涙として湧き出てくるこの悲しみ。そうだ。

私は、まだ、晴子さんと観鈴の死を悲しんでいたかったのだ。


この気持ちは、後に更新する「どこをさがしてもきみはいない」に結実する。


注:

素材としての完成を急いでいたせいもあって、下の方は、フェードアウトするので描くことを惜しんでいます。

なお、フラッシュに使った素材は、よそのCG作家さんの分は了承を得ていますが、中島みゆきさんにもKEYにも許諾など得ていないので、個人で楽しむ分をでることはできません。もし見たいという人がいたら、メールで個人的におしらせください。















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