風に流る

waterway in the air

(2002.12.14 sat)



目を閉じれば、空気にのって星の外周を泳ぐ「この子」の感覚がわかる。
目を開けば、背後には、空を包む無限の翼。

ターポン尾部のこの水路に身を浸すと、はるか眼下の地平と、強化ガラスの間に、厳しい風が流れているのが見て取れた。

直接は触れられない風。地上の世界とこの船を隔絶する風。この船の誰もが知らない風。

そして、わたしと、この子だけが知っている風。


風が、流れている。

「時」という、容赦のない風が。






水から上がった室長に声をかけるおばちゃん。
「こいつならひとりでも」という室長を気遣った優しい言葉がかけられたのは、たぶん室長がターポンとシンクロしたときのことを、温かく語るからなのだろう。
室長がターポンをはなれるというのは、ほんの一瞬だけ深くつながっただけのアルファさんが、声を上げて泣いたときのような、そんな別離なのだと思う。



製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7

現時点ではまだ単行本未収録の、ターポンの水路を泳ぐアルファ室長を描きました。
およぐ、というより身を浸して水底のガラスから、地上を見ているのですが、この号(アフタヌーン2002年6月号)が出てから、このヒトを「下から」描きたくて仕方がなかったです。

もう、このケースも、ミサゴ同様に、堂々とすっぽんぽんで描ける貴っ重ーなモチーフであり、やはり見た瞬間「いつか描かねば」と固く決意しました。この頃から(筆を置いたのに)ちょこちょこと絵を描きたい気持ちは吹きだしていたようです。こらえ性が無くてすみません。

本人としてはぜんぜんエッチな絵を描くような気持ちはなかったんですが、やはり恥ずかしいものでしょうか。見た人の方が何人か照れてました。

本来は強化ガラス外装の傷や、水垢などで、室長のつるりとした珠のおハダや部屋の天井などが、こんなにクリアに見えるわけがありません。また水流のあるせいで、アルファ室長も歪んで見えるはずであり、写実的にはありえない絵ですが、そこはそれ、そんな絵は描いてもつまらねえと天野が思っているので、文句のある人はあきらめてください。

完成時は、更新停止中だったため「ちょろぼヨコハマ」に贈られました。乳首もあることですしねえ。





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