おつかれココネさん

in the train

(2001.08.29 wed)



電車の定期的なゆれにあわせて、居眠りしているココネの首がふらふらとゆれている。
仕事の帰りだろうか。胸に、大判の封筒を大事そうに抱いていた。

これは、実はある作家先生のナマ原稿である。「達人一片」という、久々に更新しましたというからどんな内容かしらんと思ったらリンクと頂き物の登録だけだったという先生が、メトロポリスのDVDを見ながら、左手で20分で書いたという「マジカル☆ココネ 第186話『美女殺し屋が街に消えた!』」のシナリオ原稿である。

こととん、こととん、と単調なリズムを刻む電車が、カーブにさしかかった。
ココネの上体がゆらりと泳ぐ。その瞬間、首の骨がへし折れそうな勢いで、ココネの頭が思いっきり落ちた。

ぐっき。

異音とともに、ココネは目を醒まし、はっと驚いてよだれを拭いた。
あわてて原稿を確認する。無事なようだ。

ほっと胸をなで下ろす。

よだれでできたシャツのシミが冷たくなっていた。




宅配業のココネさんに、僻地に住む作家が原稿を預け、運送してもらっている絵です。
一部では、彼女を編集者に設定していろいろ綴られているSSまであるくらい作家さんとの関係は切れません。
この「達人一片」という作家は、きまってある特定の人物を想起させますが、その通りです。

『美女殺し屋〜』というのは、ある漫画から引用しました。

製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0・PhotoDeluxe1.0

電車の背景がひととおり描けた瞬間に、ひさびさにマックがフリーズした辛い絵でした。
再起動後に現れた絵は、線だけというこの痛さ。
背景は、全体に淡泊な色彩で抑え、ココネさんだけ光っている感じに仕上げました。



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