「たくはいびんれーす」 母屋の玄関から、聞き覚えのある声が、ひらがなで聞こえた。 ココネだ。 違和感を感じながらも、嬉しくて、ドアまで、アルファは飛んでいった。 「ココネ! ひさしぶ・り・・・」 「あははははははははははははははは」 ココネは、アルファの顔を見るなり、大声で笑い出した。
「ど、どうしたの?」 もしかして、酔っぱらっているのかしら、と思っている間に、ココネはフラフラと玄関に入り、アルファに向き直った。 じっと見つめる。目が据わっていた。 「え、ええと・・・。あの? ココネ?」 アルファは、腹をすかせたライオンをなだめるような声で、ココネに手を伸ばした。
「あははははははは、アルファさん、あはははははは、あの、あのですね、あははははは」 笑いながら、ココネはアルファの手を、がっくんがっくん上下に振り回した。
「いたた・・・ちょっと、ココネ大丈夫?」 顔が間近に迫った。 アルファの頭のすぐ横に、ココネの持っていた酒瓶が、ドンとばかりに置かれた。
「ココネ、酔っぱらって・・・」 言う間もなく、ココネの手がアルファの、腿のウラあたりを撫でさすった。 「アルファさんって、本当に素敵・・・」 緑色の瞳が潤んでいる。 「ちょ・・・やめて」 愛しげに撫で上げる手を、必死におさえていたアルファは、ふとココネの顔を見て、思いっきり悲鳴を上げた。 少年画報社「スタンダード・ブルー」(宇河弘樹)より
「オーナー・・・?」 しばらくして、やっと落ち着いてきたアルファは、ココネから送信されたメッセージが、オーナーのものであることを理解した。
後日談。 自分が何をやったか、全然憶えていないようだったが、話を聞いた後は、アルファが恐縮するほど、謝るココネであった。
さらに後日。 アルファを押し倒した日から、さほど経たないうちに、またメッセージの仕事が依頼された。
なにか重いものを引きずるような気分で、ココネは「アトリエ丸子」に着いた。一度きたことがあるので、簡単にたどりつく。 「ご、ごめんください。むむ、ムサシノ運送です」 意を決して、ややうわずった声で、ココネが呼びかけた。 「ココネ? ココネれしょ?」 少々ろれつが回っていない声で、丸子が返事をした。
ココネは思いっきり悲鳴を上げた。 角川書店「モンスター・コレクション」(伊藤勢)より
ココネはいろんな意味で、この仕事の難しさを思い知った。
だが、がんばれココネ! えー。 「いっただあきまーす」のコマは、スタンダード・ブルー、煙草をふかしているコマは、モンスターコレクションからパロディとさせていただいています。 現在、様々な妄想が、あちこちからメールで寄せられています。 「や、やめてください! とか 「ココネぇ〜(原作通りならココネ・・・さん)、また上手になったねぇ〜。良かっ
とか 「最近は、コミックでも、CDでも、ビデオでも、「じか」のシーンを見ると、これが重なってしまい、困っています」という、ありがたい声もいただいています。
ところで余談ですが、最近、あまり女性からメールが来ません。
制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・WacomArtPad2 冒頭のアルファさんだけ、多少ていねいに描きました。おかげで出だしだけは、締まっています。
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