「じゃ、こことここに署名を。」 − ぺたぺた −(廊下を歩く音) 「あんたに預ける娘、陽子って言うんだけどね、いい子だからちゃんと守ってあげてね。」
このお話は、masterpieceさんにいただきました。 ロボットのオーナーになる資格や、条件、そして使命は、どういったものがあるのだろう。
だが、オーナーの使命を考えるとき、不思議な点がある。
姿が見えず、その口からも「オーナー」という言葉が語られないとはいえ、ココネさんや、丸子さんにも、名字があることを考えると、やはりオーナーがいたのだろうと思う。「研修所で自分の名前を決める」というイベントがあるほどなので、(何年在籍するのかわからないが)幼年期を過ごす研修所だけで、人間の全てをロボットが理解し、社会に適応できるとも思えない。 やはり、オーナーとともに暮らす中で、人間というものを理解していくのだろう。 ロボットの姿が変わらないことを考えると、もしかするとココネさんのオーナーは、老いて死んだのかも知れない。だが、主を失い、はぐれロボットになったとすると、その後の社会適応は、不自然なほどスムーズだ。なんのかげりも見えない。カメラを届けたときも、彼女には、オーナーを思って泣くアルファさんを不思議そうな顔で見ている。オーナーに対する意識の違いを感じているのだろう。
アルファさんも含め、彼女たちのオーナーは、どこへ行ってしまったのだろう。
その後のココネさんや丸子さん、アルファさんの自立ぶりをみていると、彼女らのオーナーは、彼女たちを、一個の社会人として世に送り出すことに、いちおう成功しているように思える。
最初の、ともに暮らす時期を経た後、オーナーは、離れたところで、ロボットを見守るだけになるのだろう。
アルファさんがオーナーを慕い、待ち続けることは、そうだとすると実はオーナーの本意ではないのかも知れない。 ロボットの自立という要素を考えた場合、現在のアルファさんの旅は、この物語がちゃんと動いている証拠であると思う。 しかし、泣くほどオーナーを慕うアルファさんは、その個性として情が深いのか、オーナーがべったり愛していたのか。なんにせよ、ちょっと特殊なケースに思える。
「オーナー自慢」について 本編中では何の記述もありませんが、A7M3型機の皆さんは、研修期間の後に、それぞれのオーナーが決まり、そこへ嫁ぐように、お世話になりに行くのだと思います。まあ、ホームステイのようなものでしょうか。里親のようなものかもしれません。
普及型というからには、顔や髪型、支給される服装などは同じなのだろうと思います。この時期、同型機においては、性格的能力的に極端な違いはなく、それぞれの経験による差異が、価値観や判断に出てくる程度でしょう。
オーナーが決まる日。 制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・WacomArtPad2 普及型の(ってなんかこだわるな、おい)ロボットの研修所というと、おそらくはもう決まり切った課程をすすめる施設として確立されているような気がするので(masterpieceさんからの文中の設定とは、違いますが)着ているものは、なんというか、ださださのシンプルなものであろうと考えました。まあプライベートなシーンなので、ルームメイトの三人が、下着姿で談笑しているのだとも考え、こんな感じに。
絵の手順ですが、正直、これを描いたのが三ヶ月も前なので、忘れました。(てへっ)(←あっ)
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