わかれのとき

romance

(2001.04.04 wed)




「私が人間になれたら・・・」

 もう力の入らないこの手を、彼女が自らの頬に押しつける。

「・・・・あなたのお嫁さんになります」

 彼女は、そう言った。

 不思議とひとを和ませる、淡月のようなまるい顔に、涙が伝った。


ロボットとオーナーの、二人だけの暮らしのなか、老いたオーナーが死を迎えようとしている。ヨコハマの世界では、ロボットの誰もが通過しうるシーンだろう。

彼女の言葉は、いっしょに死にたい、という愛の告白かもしれない。あるいは、死後の世界でもいっしょにいたいのに、あなたは先に逝ってしまい、わたしは永遠に追いつけない、という絶望感なのかもしれない。


「キャラクターにこの一言を言わせたい」という、まさにその一言のためだけに小説やマンガ、イラストを書く、というのは結構あることだと思いす。今回は、まさにそれ。
前も後も、読み手が想像する、というのは反則でしょうか。
たぶん長く書いても、この一言に集約されてしまうので、本文はあえて書きません。
絵はココネがモデルですが、私が良く書くように「ココネの同型」という設定です。
そのくせにお洋服がムサシノ運送というのは、まあココネストのためですね。

文章だけは二年ばかり前に思いつき、ネモ船長に贈ったこともあったのですが、ようやく画力が追いつきました。

製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0・PhotoDeluxe1.0

ココネさんといえば、髪の色で悩むのですが、背景の色にあわせて茶色に。でも少しだけムラサキが入ってます。
瞳の色は緑をベースに暗くしようとしたのですが、気持ちが悪くなったので、やはり茶色をベースにうっすらと緑を。

人間の「知・情・意」は、それぞれの人種に特徴づけられていると聞いたことがあります。
白色人種は「知」を。
黄色人種は「情」を。
黒色人種は「意」を。
それぞれに、神に祝福されているわけです。(もちろん、その上で個人差は大きいのですが)

そのせいか、情感をこめる絵は、黄色人種のカラーリングがもっともしっくりくるのかもしれません。
髪はムラサキ、瞳はミドリで、どうしても合わなかったので、モンゴロイドらしく茶系で統一しました。




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