^{タカヒロが遊びに来た。}

^{「ねえアルファ」}

^{「ん？　なあに？」}

^{「ピザって10回言ってみて」}

^{「え？　ピザ？　ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」}

^{「腕の真ん中のここは？」}

^「ひざ」

^{「ひじだよ」}

^{「わあーん」}

^{「じゃあアルファ、ヒマラヤって10回いってみて」}

^{「ヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤ」}

^{「世界一たかい山は？」}

^{「ヒマラヤ」}

^{「エベレストだよ」}

^{「ひい〜ん」}

^{「今度はアルファ、カレーライスって10回いってみて」}

^{「うう、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス・・・ところでカレーライスって、なに？　ドイツのカメラメーカー？」}

^{A7M2型機、通称アルファ型。}

^{そのスペックは、いまだ我々には明らかにされていない。}

^{何日か後、ココネが遊びに来た。}

^{「ココネ、ちょっといいかな」}

^{「はい？」}

^{「ピザって10回言ってみて」}

^{「え？　ピザですか？　ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」}

^{「腕の真ん中のここは？」}

^{「ひじ、ですか？」}

^{「・・・・・」}

^{「どうしました？」}

^{「じゃあココネ、ヒマラヤって10回いってみて」}

^{「ヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤヒマラヤ」}

^{「世界一たかい山は？」}

^{「エベレスト、ですよね、たしか」}

^{「うう・・・」}

^{「あの・・・？」}

^{「ごめんココネ、カレーライスって10回いってみて」}

^{「はあ。カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス、カレーライス。はい十回」}

^{「陸上１００メートルの世界記録保持者は？」}

^{「モーリス・グリーンでしたっけ？　え？　あれ？　あの、アルファさん？」}

^{私って、いったい・・・。}

^{アルファは、机に突っ伏していた。}

^{A7M2型機、通称アルファ型。
そのスペック、他機種との明確な違いは、いまだ我々には明らかにされていない。}

^{人間は、経験をつむと判断が速くなる。
それに対しコンピュータは、データが多すぎると、適切な回答を出すまでの時間が長くなる。すべてのデータを検証するからだ。}

^{たぶんアルファさんは、なにか考えたり判断するとき、いちいちデータベースを見に行っていない。
人間同様のロボットの設計には、この問題をいかにクリアするか、という課題があると思う。}

^{人間らしい間違いもするようなロボットができたら、先のような遊びも、試験に組み入れられるだろうか。}

^{制作環境：Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2}

^{今回は、ネタだけが先に出来ていました。絵はおまけです。
緑の髪、というのには、いつも悩まされます。今回は、夏らしい清涼感を含め、あお色を混ぜてみました。
背景も服も、そんなわけで青系統です。}