チャイナ・ガール

china girl

(991015fri)





「アルファさん、すてき・・・」

うっとりと、ココネが呟く。

「は、あははは・・・」

なんとなく身を退いてしまうアルファの脳裏には、ココネが酔っぱらった時のことが、まざまざと思い出されていた。


ヨコハマのお祭りに、チャイナ服で行こうと提案したのは、ココネである。
中華街の名残だろうか、チャイナ服で繰り出すのが、夏の浴衣のように流行っているそうだ。
借り物だが、アルファは赤いチャイナドレス。裾は深いスリットの入ったロングだ。
ココネも借り物のチャイナ服。下はズボンで動きやすい。

貸衣装の店から出てきたアルファを、ココネがニコニコしながら迎えている。

「どうですか?」

「なんか、歩きにくいね」

アルファは、ドレスに合わせて、ヒールの高い靴を履いている。
慣れないので、二三歩あるくたびに、アルファは足首をひねりそうになる。下り坂でなど、つい前傾姿勢になってしまうため、倒れそうになってココネに抱きついたことが何度もあった。

「あ、ここ。いつも豆を買ってる珈琲豆屋さん」

ココネの肩に捕まって、ひと休みしながらアルファが紹介する。

「どうも、はじめまして」ココネが軽く会釈をした。

特異な髪型(モヒカンの変形)をした店員が、「あい」などと言っている。

「あの、カメラのシャッターを押していただけませんか?」

あかくなって照れている店員に、ココネがにっこり笑って、頼んだ。





そのむかし、ガペケラさんにリクエストされて描いた絵です。
ヨコハマとチャイナ服、不思議と違和感がありませんね。機会があったら、また街を歩く二人を絵にしたいところです。
今回のアルファさんは、裾の長いロングですが、残念ながら絵では見えませんからね。

さて件のチャイナ服ですが、ナマでじっくり見られる機会はそうありません。細部がどうなっているのか不明だったので、ぜひ実物を見たかったのですが、ここは妥協して、ミスタードーナッツへ行き、チャイナ服を着ている店員さんを観察しました(観察するな)。

観察結果
チャイナ服って良いですねえ。
しみじみ。

純朴さと、立て襟で胸元を隠した慎ましさと、チャイナ服を着ている人が、みんな背の低い「かわいい」感じの美人さんばかり、なぜか見かけるせいで、この絵を機に、すっかり気に入ってしまいました。
その後、ネットでチャイナドレスを検索してみると、いるわいるわ。通販などのまっとうなものから、クーニャンにはまってる方々のサイトがたくさんあります。
お陰で資料にはさほど苦労せず、仕上げることができました。

制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2

原作の丸顔と、オリジナルの細面の中間をとるのに苦労しました。あと体の線も、なんだか違和感があります。
今回おもいついた技巧は、服地に浮かぶ刺繍模様の表現です。陰の所には陽の色を選択し、細いペンで模様を、逆に陽の所には陰の色を選択し、同様にします。いや、大したことではないのですが、いちおう刺繍模様にみえます・・・よ・・ね?


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