カフェ・アルファ
cafe alpha
(2006.05.24)
「ヨコハマ」には、第30話「カフェ・アルファ」と、10年の間隔を置いての第135話「CAFE・ALPHA」での「お客さん視点」でのエピソードがある。
たぶん、多くのひとが憧れた視点だろう。
ずっと以前から、これで一枚かいてみたかったのだ。
ヨコハマをきっかけに(より正確には井上喜久子さんをきっかけに)知り合った忙しい湖さんの誕生日が、連載最終回掲載と単行本最終巻発売の間にあったこともあり、そのお祝いを込めて、これを描いてみた。
誕生会へのお招き。来客数の通常から考えて絶対に埋まるはずがない席の、ちゃんとしたリザーブ。
準備をして時間を待っていた二人が、来訪に気づいて立ち上がろうとする、そんな絵である。
ゆったりと時間が流れるであろうカフェアルファを描いたにしては、誕生日会というにぎやかな予感が加わって、結果として押しつけがましい絵になってしまったかもしれない。
ヨコハマ買い出し紀行の最終巻が発売された。12年140話で全14巻だった。
12年である。3巻あたりでこれに出会って好きになり、ともに過ごしてきた。思えば、社会に出て苦労してきた期間を、ほとんどともに歩いてきた。それだけに、アルファさん、というよりはこの「ヨコハマ」自体に対して、10ヶ月おきに便りをくれる遠くで生きている知人のような、そんな慕わしさがある。
この世界で、どれだけ遊ばせてもらったか知れない。
13巻くらいから最終回までは、その全話が最終回だったと思う。
12年間で大好きになった人たちと、一人ずつお別れをしていく丁寧な丁寧なエンディング。
すべての話の最後に「さよなら」という言葉が、それでも「大丈夫」を隠して代弁されているようだった。
「ヨコハマ買い出し紀行」は、ちゃんと終わった。そんな言葉がしっくりくる。
「これ」に触れられて、ほんとうによかった。