消えた浩平が、さっきまで確かにいたベンチに座り、みさきは彼の声を待つ。
永遠かと思うような時間の後、彼女はそこを発つ決意をした。 必死に公園まで来た記憶をたどり、一人で家まで戻る。
何日も歩き通しだったような疲れとともに、みさきは、なんとか家に帰り着いた。
事情があったのかもしれない。
だが、みさきは自分では理解も整理できない感情の奔流に弄ばれていた。
ただ 彼がいなくなってしまったこと。 それだけが分かる。 だが、ただそれだけで、彼女の何もかもが失われてしまったことに、みさきは気がついていた。
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(2001.09.29 sat)
「闇に暮れ」 「ONE」の恐ろしさ ONEは、比喩でもなんでもなく、真剣に「ゾッとする」クライマックスをもっているゲームである。 やむを得ない事情ではあるが、主人公は、自分の全存在を受け止めてくれた少女の前から消えなければならない。 これが悪質なのは、少女もまた主人公の存在を、自分の全てで受け止めていることだ。
主人公である彼の消失は、彼女自身の消失に等しい。
障害と恋 たとえば目の見えない少女と恋をする物語の場合、最終的に、手術などでその少女の目が見えるようになってハッピーエンド、という結末が考えられる。現実的な物語ではそうはいかないが「目が見えるようになった」という喜びと感動で物語が締めくくられることはあると思う。 だが、ONEというゲームにおいて、みさき先輩は目が見えるようにはならないし、澪も決してしゃべれるようにならない。そのままに生きている彼女たちである。 これが良かった。 恋しい人と、同じようにコミュニケーションが取れれば、どんなに素敵だろうか、とは主人公も思っただろう。だが彼は、彼女たちと憐憫でつきあっていたわけではない。
目が見えない、話すことができない、そういう彼女を、そのままに愛している。
それが素敵だった。
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0・PhotoDeluxe1.0 最初はブルーグレイの髪、肌色、クリーム色の服と、設定そのままで描いていたのですが、もとから色がきついONEのキャラクターのせいか、テーマに合いません。
視力を失ったものの心象風景を、背景と、人物の色で表現してみました。
みさき先輩は、樋上いたるキャラの中でも実に珍しく、顔の長い絵(カツカレー喰ってるところとか)がある女性キャラです。おかげでもう、描き甲斐のあることあること。
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