ぎゅーっと抱きしめない。

何も訊かない。

ただ、胸に頭を預けさす。

(2000.10.27 fri)






苦しみの眠り
 

名雪はよく眠る。
朝は並大抵のことでは起きてこない。

それが、突然のように変わる。
祐一に告白された、その翌日から、彼女は祐一よりも早く、スッキリと起きるようになった。

名雪の中で、祐一への思いが届かなかったことが、どれほどの痛みとなっていたのだろう。
そのストレスを補うために、無意識的に睡眠を欲していたのだと思う。

祐一への思いが通じ、昇華されていくことで、突然に寝起きが良くなり、行動的になる。
彼女の中で、くすぶっていた長年の鬱屈が、スッキリと解けていくのがよく分かった。
 

名雪が祐一のことを、どれくらい思っていたのか、よくわかる。

ずっと想っていたのだろう。
ぐっすりと眠れないくらいに。
 
 

名雪とあゆのシナリオは最後まで分岐しない。
祐一にとって、あゆは思い出の少女であり、名雪は、現在を共に生きる少女である。
どちらの少女を選ぶか、が最大の選択肢になるという三角関係のシナリオだとしても面白かっただろうな、と名雪・あゆのシナリオをクリアして思う。

だが、捨てられた方は悲惨だ。

Kanonは、各個にシナリオ分岐し、他のキャラとは深く関わらない内に、関係自体が切り捨てられて進行するというスタイルである。
これは、同時進行の途中で誰かを選ぶ、という行動のせいで、他の誰かが、あきらかに不幸な目に会っていくのを、見せないようにするためではないだろうか。

現在の状態でも、祐一が選ばなかった少女がどうなっていくのか、想像するだに恐ろしいが。
 
 

製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0・PhotoDeluxe1.0

秋子さんは、伏し目がちに、慈しむように名雪を見つめ、名雪も素直にその視線に応える。
この母娘には、そんな絵が自然かもしれない。

だが、
祐一に拒絶された名雪が、傷心のまま帰ってくる。
それをつつむ母。
そんな感じの絵が描きたかった。
 
 

秋子さんの髪は本来ムラサキ色ですが、今回は名雪にあわせました。
髪の青と、ソファー・服のベージュの二色で統一されています。
目線が別を向いていても、二人がひとつになっている雰囲気を出したいと思い、実験してみました。

しかしKanonは、毎度毎度、髪型が難しいキャラクターです。ちょっとでもポーズをつけると、どこがどうなるやら見当がつきません。


 
 













 

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