せっつさん(せっつWorld!)のSS「少女、月下に戦い」に付けさせてもらった絵です。
いろいろと絵につけるテキストを考えてみたのですが、結局このふたりにかける言葉はありませんでした。
絵の方で描き切れていないときは、その不完全感を言葉で補おうという気持ちが働くのですが、今回は無しです。
氏の感想掲示板に投じた内容の転載なのですが、私は、ゲームの舞シナリオ中で、舞が祐一に依存することに釈然としませんでした。
舞をかわいいと思う保護欲のままにゲームの終わりを喜ぶのですが、舞自身の課題が解決されたわけでなく、違和感があるのです。
この不鮮明な部分が、これほど見事に昇華されているSSは初めてでした。少なくとも舞シナリオを描いたSSとしては、最高のものだったと思います。
ただ、この作品は、明治時代のような文体と、時代小説の如き言葉遣いで描かれています。
最近よく見る、セリフと効果音ばかりが目につく、漫画のネーム以下のSSに食傷気味だった私には、とても小気味よく読ませてもらいましたが、それゆえに、このSSが敬遠されがちなのは、ある意味で当然のことだと思います。ぬるま湯で溺れ死にしそうなSS群の中で、この「少女、月下に戦い」が、異彩を放って見えるのは仕方がないことでしょう。
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0
「月のプリズム」というタイトルは、Vガンダムのエンディング歌詞からとりました。
劇中の舞台は、別構成の編を除いては、この月光に照らされた草原のみです。そして、夜を象徴する黒い背景でSSが書かれているためか、行間に絵が垣間見えます。
久しぶりに、読んでいてガッツンガッツンと絵の降ってくるSSでした。
舞は、おそらく卒業の一年後くらい。19才でしょう。せっつさんからいただいた言から、ボディーガードっぽい、黒を基調とした動きやすいスーツスタイルにしました。描いてるうちに、こちらのイメージは中国系の殺し屋という感じに変化、絵への影響はロングスカートになったことでしょうか。
かわいい制服から機能的なスーツへ、というイメージの変化から、髪型も変えてあります。
長かったサイドは短く、リボンで束ねていた髪も、髪ゴムで簡素な感じに。もう、ぜんぜんゲームの舞じゃありません。
これは私が一番感動したラストシーンを描いているように、母子の絵です。
そして十年の時を経て、やっと安着した両者の思いを受けとめるために、ふたりを三角形の構図にしました。
子を抱いて大地に安定する母の姿というのは、じつは三角形で描かれるのが基本のようです。背景のおおきな月、夜の草原、地平のかなたに見える雲、ほぼシンメトリーな構図にあって、月光をうける三稜玻璃(プリズム)のように見える母子。
タイトルの意味はここにありました。