美汐のくせっ毛に、丁寧にブラシをあてる「なお」 わたしには母親というものがわからない。 でも。 美汐は、やすらぎながら、悔しさに似た気持ちに戸惑っていた。 |
真琴シナリオで登場する美汐は、相沢祐一以前に、真琴と同族と思われる妖狐との、邂逅と別離を経験している。
だった。 だからこそ、この二人の睦まじい様子を描きたかった。 もしこの日常があったなら、美汐はたぶん悲しさと、悔しさを感じたと思う。
それを感じる間もなく、しかし「なお」は消えてしまった。 製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0・PhotoDeluxe1.0 今回絵として苦労したのは、なにより時間がかかった背景と、どうしても決まらなかった美汐の表情でした。 背景は、本来は建て売り住宅のようなイメージなのだと思いましたが、SSを読んでいて、この絵が「落っこちてきたとき」に、すでに「日本家屋のイメージごと」だったので、このように仕上げました。
苦労した点は、障子の裏側から見た質感を手描きで出すところ。透けて見える格子を、エアブラシ(細)の白い直線と焦げ茶の直線で描き、全体に影をつけ、障子の方形の真ん中だけ影を消しゴムがけして仕上げました。 背景のみ、上の方だけ、グラデーションで影を落としています。日本家屋には鴨居があるので、室内の天井付近は暗いのですが、その雰囲気を出しました。
「なお」のカラーリングは、作中の描写にあわせました。 美汐は、悔しさの表情は無しに、描きました。 最初は下のラフのように子供っぽい表情だったのですが、文月さんに感化されたのか美汐が好きになってきたために、いろいろ手を加えているうちに、くつろいだ表情になりました。
せっつ氏のSSは、わたしの読んだ中では、少なくとも私の琴線に触れるという限定条件において、およそ最高の出来です。
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