彼女が求めていた「探しもの」。
それが見つかったとき、しかし祐一には、すでに愛する人がいた。

「ボクのこと、わすれてください」
とも言わず、あゆは祐一のもとを去る。

そして、ひとかけらの奇跡の権能を、自分のためではなく、祐一の幸せのために捧げる。

さよなら。
大好きだよ。

(2001.01.03 wed)



 
 
 
 
 

美しい愚かさ
 

もし、あゆシナリオと栞シナリオが同時に進行していたら・・・と考えていたことがあった。
栞に奇跡の復活を捧げて、あゆは、自分が消える道を選ぶ。

しかし、あゆは、最後に一度だけ祐一に会う。

「祐一君が、ボクのことを、わすれますように」

あゆは、彼の記憶を消していく。7年前の事故のことも、いまのあゆとのことも、全て。それは、あゆの持てる奇跡の一部としてはたらく。
しばし自失する祐一。そのまま、彼を見つめながら、あゆは、露が消えるようにいなくなった。

栞が回復してから初めての冬。
「お、タイヤキの屋台が出てるな」
「おいしそうですね。でも冬はやっぱりアイスクリームにかぎ」
「おじさん、タイヤキ二つ」
 ・・・。
「美味しいですね」
「ああ、タイヤキは焼きたてにかぎ・・・る・・・」
「・・・祐一さん?」
「あれ・・・」

祐一は我知らず、涙を流していた。
「なんで、俺、ないてんだ・・・?」

こんな話もできただろう。
ひとつのバッドエンドとして組み込まれたら、面白かったと思う。

ところで、ドリームキャスト版では「天野美汐」の声をあてていた坂本真綾の歌で「光の中へ」という曲がある。
彼女のアルバム「Hatch Potch」もしくはエスカフローネのサントラに収録されているので、あゆシナリオと、栞シナリオを通過した人は、ぜひ聴いて欲しい。
栞シナリオにおける、あゆの心情である。この歌の方が先なので、意図的ではないのだが、ここまであゆの心情に合致する内容をもつ曲は、他にあるまい。


 
 
 

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