大魔王の血肉と、天使のそれをもつサイザー。 彼女は、ひとつの人間の中に、神と魔という相反する矛盾した性相をあわせもっている。
22巻でヴォーカルは、サイザーの体から魂を抜きだした。 その後の反魂の法により、ヴォーカルの創った魂に、魔族に血と肉が相対して、魔女としてその体は再生してしまった。 魔族の魂という、正統な主人を得た大魔王の血肉が動き出す。 ところで、その再生は完全ではないと私は考える。 23巻で、すがるオカリナと、とめるフルートを、サイザーは本気で斬った。かつて赤い魔女の名を馳せた殺傷能力なら、まっぷたつになっていたはずである。重傷どころではない。
そして戦いがはじまる。彼女自身が戦い続けた、自らの葛藤に、そのとき初めて決着がつく。
この絵はそういう絵です。今まで、殺戮の衝動や、破壊する喜びをわかせる血が、魂にべったりくっついていて、どうすることもできませんでしたが、魂だけ抽出して、しかも残った血に魔族の魂を与えて人格として具現化させたなら、あとは天使サイザーの魂が、それに打ち勝てばオッケー♪ と考えていたので、23巻のできごと自体を、さほど悲劇とは受け止めませんでした。 カマのアレンジが思いついた瞬間に、できあがった絵です。ちなみにこのカマは折りたたむことができます(笑)。 前に描いた「漆黒」以来、脚のきれいな女性をみると、つい観察してしまいます。 「はっ いかんいかん」 と思っていても、目はラインをとったり、影の付き方を克明に憶えたりしています。絵や写真や、ビデオなどの動画とは、ぜんぜんちがう情報が、脳に入ってきます。
絵としての魅力をすさまじく発揮しつつ、さわれるような質感を表現できる画家がいます(寺田克也氏とか)。二次元ばかり見ていては、こういう絵は描けないのだなあと、しげしげ脚をながめながら、思いました。 |