「ご飯の仕度ができたから、ちゃぶ台を出して」 台所からパンドラの声がかかる。ハーメルが飯台をはこび、茶の間で折り畳んだ足をひろげた。茶碗と汁椀、箸を三人分一度につかんだサイザーが、順にちゃぶ台にならべる。茶碗が左、汁椀が右、手前に箸をそろえ、茶箪笥から醤油さしと味塩の瓶を出しておく。
「鍋しきとってちょうだい」 パンドラがけんちん汁の入った熱い鍋を、割烹着の前を鍋つかみがわりにして、両手で持って入ってくる。サイザーがすかさず新聞紙の束をとって、ちゃぶ台のわきに置いた。
「おさかなって、どっちむきだっけ?」 「頭を左に尾を右によ。お腹を手前にね。いいかげん憶えなさい、サイザー」 里芋の煮物をどんぶりにつけたパンドラが、台所から入ってくる。これで準備は完了だ。
「はい、手を合わせて」にっこりとパンドラが手を合わせてみせる。 食事がはじまった。がつがつと、よく食べる。 里芋の煮物は、サイザーの永遠の敵だ。 「ありがとう」とサイザーのいい笑顔。 「ふん」つまらなそうにハーメルがうそぶいた。 Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe1.0・WacomArtPad2 逃避、と呼ぶべきシリーズである。先の紅葉でふっきれたので描いてみました。
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