天 使

mournful angel

(981123mon)




不条理なほどの、圧倒的な破壊力で、街を破壊する紅い天使。
何年もかけて作られた建物を鎌のひと振りで切り崩し、逃げることもおぼつかない老人をまっ二つにし、泣いて慈悲を乞う老婆の首を切り取り、激しく叫ぶ赤児の柔らかい腹を刺し、悲嘆に狂乱した死児の母の号泣を、その喉笛ごと刈り取る。
ハーメルンの紅い魔女。
その名の罪科は、重い。

何もかも白く埋め尽くしてくれる、白い雪。
降りしきるその雪の向こうを、あるいは、積もった雪の下にある罪を、サイザーは見なければならない。
雪に逃げてはならない。雪にごまかしてもらっては、ならない。
その姿が如何に清く見えようと、彼女は罪深い女なのだ。
「過去のこと、充分に苦しんだ」とは被害者の前で加害者が思って良いことではない。
その手で雪をかきわけ、かつて自身が浴びた量の千に倍する血を見なければならないだろう。

大魔王を倒した後、サイザーは、贖罪の道を歩む。
その肩に、しかしオカリナの姿はない。


わたしは、このサイザーというキャラクターを、こよなく愛している。
だが、もし彼女の罪を身近に感じる者がいたとしたら、その人に対し、とても彼女を弁護する舌はもてない。

わが子の棺に取りすがって哭く母親の肩に手を置いて、彼女は騙されていたんです、彼女が悪いわけではないのです、などととても言えない。大鎌で、愛娘を五体バラバラにされた老父に、大魔王の血がそうさせたのです、殺戮が楽しくてやめられなくなるそうですが、それもこれも魔族のせいです、彼女を許してやってください、などと気安く語ることなど無理だ。

ハーメルンのバイオリン弾き、ギャグ漫画でなかったら、大変な作品になるところである。




製作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe1.0・WacomArtPad2

最近はサイザーの絵を描こうと思っても、連載でのオカリナの事がひっかかって、どうしても泣き顔しか思い浮かべられません。そのまま描くのは来月号を見てからにするとして、今はドラマではなく、絵画としてのサイザーを一枚描いておこうと思いました。

降りしきる雪をかきわけて飛翔する天使、という絵。
何枚目かのヌードです。毎度の事ですが、美しさがエロスを駆逐するように抑えました。成功しているでしょうか。

不思議な話ですが、髪でお尻を隠した絵も描いてみましたら、絵が狂って見えるのです。

「やはり、お尻を出すのは基本かっ!」

疑問に思ったら、指で隠してみてください。絵がだれます。

羽根を加えたときに、突然きがつきました。

「はっ これは森永エンゼルパイのマーク!?」

タイトルに使う時、「このホームページは森永乳業とは一切関係ありません」とか書こうかと思いましたが、黙ってれば分からないですよね。

CGをはじめて一年、この絵がひとつの区切りになりそうです。

案内の下に、作画サイズの画像を。



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mournfull angel  (full size)