カーニバル・ナイト

little angel

(2001.05.23 wed)




オカリナが楽しみにしていた、お祭りの日が来た。
アンセムの村からの道は、三人手をつなぎ、横に連なって歩けたが、町にはいると、大通りすら満足に進めなくなる。大変な人出だ。ライエルが人をかき分けて進むが、真ん中のオカリナは大人の背中やお尻ばかりしか見えない。ときおり、何かの催しだろうか、人のどよめきや歓声が聞こえてくる。だがオカリナには、やはり人混みで遠くが見えない。ぴょんぴょんとジャンプしたり、顔を真っ赤にして小さな羽根をハチドリのようにはばたかすが、足が浮かない。それでも、声のする方を、なんとか見ようとしている。

不意に、ぐいっとサイザーに脇を持ち上げられた。
「わ・・・」気がつくと、オカリナはライエルの肩の上にまたがっていた。
座りが悪くてひっくり返りそうになるのを、サイザーが支える。

サイザーは、夫の頭にかぶりついて、祭りの景色に目を奪われている娘の背中を見上げた。
空を飛ぶには、まだ小さな羽根である。

オカリナは、天使の四世だ。大魔王の三世でもある。
オカリナは、なかなか空が飛べない。サイザーが、ちょっと買い物に行くにも空を飛んでいくのを、寂しそうな目で見上げているときもある。

すぐに飛べるようになるわ。

ひょこひょこと落ち着きなく動くオカリナの羽根を見ながら、サイザーがつぶやく。その口調には自信がこもっていた。

彼女に空の飛び方を教えたのは、在りし日のオカリナだったから。



masterpieceさんの60000ヒットリクエストは「自分の子を高い高いしているお父さん」そこから肩車に派生し、なんとなくライサイ一家の絵になりました。

すみません。別でまた、ちゃんと「高い高い」描こうと思ってましたけど、最近あきらめました。ああああ。
ココネ絵で、なにかリクエストにお応えする予定です。すみませんすみません。

それはともかく「なんとなく」から軌道修正しなかったのは、この一家の絵を、ちゃんと描いておきたかったからです。前作の「ちいさな花」ではライエル無視されてましたからね。
オカリナは、最初、もっとちいさな、それこそ「ちいさな花」の頃くらいの背丈だったのですが、ひっくり返りそうになるということで手足を大きくスイングさせたら、急に発育が良くなってしまいました。しかも男の子みたいですね。女の子にもてそう(笑)。




製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0

最初こまったのはライエルとサイザーの服の色でした。もうワンパターンなのですが、ライエルのパーソナルカラーはグリーン、サイザーは赤です。でもそれをモロに描くと、この絵の雰囲気ではなくなってしまうのです。そんなわけでこれもワンパですが水彩で薄茶を被せました。色が誤魔化せたところで、全体のトーンも薄茶で統一します。

この世界は、魔族との最後の決戦から、10年後のさらに数年後です。いちおうオカリナ8才くらいにみえるので18年後ですか。

ライエルを描くのは、いったいいつ以来でしょう・・・。結婚して子供もできて、たくましく成長したパパとして描いてみました。ピアノ弾きだからでもありませんが、彼の手は意図的に大きく描いています。腕もたくましく。

サイザーは、幸せの中ですっかり落ち着いた雰囲気を。怒るとそれはもうはいあの恐いのですが普段はキレイで優しいお母さんです。

オカリナは、ボーイッシュになってしまいましたが、これはこれでまあ善し。ああ、でもこの子は学校で、羽根のことでいじめられたり、お母さんの悪口言われて、泣きながらケンカしそうな気がします。でも戦闘能力が母親譲りなので、かるく撫でただけでも相手は半死か。

ハーメルんとこの、強烈ないとこ連中に可愛がられて、あとワルキューレに色々吹き込まれながら育つのでしょうね。
この子は。どんな子になるのでしょう。でも最終的には、ライエルとサイザーの両方によく似た子に育つと思いますから安心。これは間違いないでしょう。




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