その激情を隠すために、つねに冷静な表情でいたサイザー。冷酷になにかを見下すような目が鈍く光る。
その中に僅かに灯る、憂悶の色を見て取れるものは、肩に止まることを許されたオカリナ以外、誰もいなかった。
それ以外の近づくものは、すべて彼女自身が斬り捨てきたのだから。
長い孤独の果てに。
原作では、もうすっかりふにゃふにゃになってしまいましたが、サイザーの魅力の一つは凛々しさでしょう。
女戦士として甲冑をまとい、魔族の中に一大勢力をもつ妖鳳軍の軍王として君臨するその姿に、ひかれる人は多いと思います。
そんなわけで、凛々しいサイザーを描こう、と思って出発したのですが、やはり、もう一つの魅力である内面の脆さが絵に出てしまい、冷酷な表情の中に、ともすると泣き出しそうな脆さ、凛々しさの中に、情の幼さが混在した不思議な表情になりました。
というか、なんだか中途半端です。
サイザーの内的世界に関しては、もう、なんというか語り尽くした感があって、絵はまだ描けそうですが、文章の方はワンパターンになりそうです。またコミックを読み返してみようかなあ。
制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2
甲冑は、いまだに原作のソレがよくわからないので、オリジナルにアレンジしました。
生物感を出そうとしたんですが、色が色だけに蟹のようです。顔の色塗りにちょっと実験がありますが、それ以外はふつーに描きました。
羽根は適当な色でズラーっと描いて、ところどころにピシピシとディティールを加え、羽毛をチョイチョイチョイチョイと偏執狂的に描き込み、発光のためにブリーチを使いました。あーもー特に技巧も何もありません。
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