咆吼する悪魔の喉

howling

(9900930thu)




君は、今夜も夢を見るのか。

体中から血を吹き出しながら、苛烈なる炎の中を、君は激痛とともに歩く。
腹蔵には、溢れるほどの憎悪と呪詛が轟々と渦をまき、ときおり咆吼となって撒き散らされる。
壊れた風車(かざぐるま)が、怨念の羽根音を、君の耳もとで絶え間なく掻き鳴らす。
世界中に自分一人しかいないような孤独感と、どこへ行けば救われるのか分からない焦燥感に、ゆがんだ体を、さらにきしませ、君は骨にとおる業火の原をすすむ。

この背中の羽根と、この三本の角にふさわしく、地獄を住処とするならば、たちまちにして世界は君を受け入れる。君は地獄で王となり、かの地の万民から、褒め称えられる。

しかし君は今も、炎の道を歩く。
「俺は人間なのだ」と叫びながら。
醜い姿をさらしてもなお、辛苦と艱難の道を。

むかし「この憎しみは、この憤りは、そしてこの、ひねりつぶされるような胸の痛みは」を描いた頃であれば、この絵はもっと恨みがこもっていたかも知れない。
だが、今はもう、そういう絵を描く必要はない。私の中の風車は、もう健やかに回っている。

この絵は、もう、かなり昔から描こう描こうとおもっていた構図でした。
ですが、すでに時期を逸しています。さほど絵に情念もこもりません。
でも、もっとこうドロドロしていた時期に描いていたら、それはそれで、大変な絵になっていたかも知れませんね。


制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2

なにせ題材が、人間と悪魔のハーフなので、体つきは適当です。
背中の羽根などは、堂々とした形状に描きました。悪魔に相応しい立派な羽根と角、これが彼を苦しめています。
炎は、適当な色をブラシで塗ったあと、水滴ブラシで広げます。孤独感を出すために背景は真っ黒にしました。でもそのせいでか、絵に動きがなくなってしまったのが残念でした。





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