目の正月

holy spirit

(2000.02.02.wed)




妖鳳の兵を率いて、サイザーが天を駆ける。

敵軍に相対する最前線に踊りだし、拮抗する戦力比を、一気にひっくり返すべく、サイザーは一騎当千と言われるワルキューレを召還した。

「うおおーっ 目の正月ーっ」
途端に前線の兵から歓声が上がる。御存知のように精霊を召還する際、サイザーは完全なる天使の姿に戻るため、要するに服が消えるのだ。

「眼福、眼福ーっ」
敵兵の中にさえ、両手で拝んでいる者もいる。

笛の音に合わせ、ゆらめく陽炎のように、ワルキューレがサイザーの背後から現れる。勝利を確信してか、後方の部隊までもが前線になだれ込んできた。

「援護に来たぞーっ」
叫ぶ援軍は、全員カメラ持参である。

「やめんか、貴様らーっ」
オカリナが鳳凰千破を撒き散らしながら、カメラを没収していく。サイザーが戦うたびにこの調子なので、毎回大変だ。
ほどなくして戦闘が終わり、サイザーはオカリナと合流した。

「? なんだ、オカリナ。その重そうな風呂敷は」

「え、いえ、なんでもありません。あははは」


妖鳳軍を引退したら、カメラ屋を開こう。
城で、一本一本フィルムを潰しながら、オカリナは、そんなことを考えた。

がんばれオカリナ。サイザーが恥じらいの心を知るまでの辛抱だ。




最近は、ワルキューレを呼ぶときも、あっと言う間もあらばこそ、ひとこまも例のシーンがないので、ライエルが鼻血を吹く隙もありません。
というか服のまま、ワルキューレを呼んでます。やはり多少はライエルの目とかも、意識しているのでしょうか。

だったら、ワルキューレを呼ぶとき、ちらっとライエルを見て「やっぱり、やめる」と赤くなった顔をそらすシーンとか欲しかったですな、渡辺センセー。

今回の絵(というかエピソード)は、まだ妖鳳王だったころのサイザーの話です。のんきな兵士どもですなあ。





制作環境:Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe・WacomArtPad2

腰のところで、ややひねりがあるので、下腹部の面取りに、やや苦労しました。
絵のポイントは、足首です。これが綺麗に描けたので、絵が締まりました。苦労したのは、アイテムの鎌です。しなっている感じが出ない上に、太さもおかしくなってしまいました。3DCGでやるのもイヤなので、長い曲線を描く訓練が必要です。

線画が出来たときは、主線が太かったので、エアブラシや消しゴムで細く修正しました。主線を無くしてしまっても良かったのですが、背景と溶け込んでしまいそうだったので、このままに。

最後に、水彩で、背景の象徴である緑色を、全体に薄く塗り、人物と背景の違和感を無くします。その上で、人体の光の当たる位置のみ、色を消していきます。

あとは、もう適当にジャカジャカ描くだけです。
ただ、マシンの調子が悪く、一回の保存に30分以上かかるという、苦労した絵でした。

案内のしたに、ほぼ作画サイズを。




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