炭がいい具合に熾ってきた。 ハーメルが 七輪を庭に持ち出して、焼き網をのせ、しばらく待ってから秋刀魚(さんま)をのせる。 下からうちわで扇ぎ、火を強くしていると、サイザーが縁側から降りてきた。
「ううっ たまらん」 にこにこしながらサイザーが冗談ぽく言った。よだれがこぼれそうな笑顔である。
サイザーはサンマが好きだ。だが、けっして食べるのは上手では無い。 それはともかく。 秋刀魚の脂が火の上に落ちだすと、煙りがたちのぼり、うっかりすると秋刀魚にも火がついてしまう。ハーメルが、今度は上からうちわを使い、炎をおさえる。
ちらりとサイザーを見てから、ハーメルがつぶやくように言った。 「サイザー、おまえさあ....」 「なあに?」 秋刀魚から目を離さないで、サイザーが応える。 「.....ライエルのこと、好きなのか?」 「え......」 サイザーは、一瞬、茫然としたような表情になった。 つづく つづきません。 最近では、贅沢の部類に入ってしまっていますが、その昔は、七輪で秋刀魚を焼くなど、わりと当たり前の事でした。「牛乳パック」「コンビニ」などの矛盾するところもありますが、時代を明確に決めないで描いたので、まあ、お許しください。
うれしそうなサイザー。 シリーズ二作目というのは、前より面白くなくてはいけないという。 |