ひそやかな出発

city scape

(2006.11.19)





眼下にスフォルツェンドの城下街がみえる。
この国をめぐり、二次にわたる人間と魔族の戦争があったのがまるで嘘のように、スフォルツェンドは復興していた。

もとは、魔族を迎撃するために発展した城塞都市だが、現在は王城を除き、外郭部分はすでに形骸になっている。街はどこまでも広がっていた。

北の都において、魔族と大魔王を打ち倒した最後の決戦から一年。

王城の目立たない回廊で、英雄となった天使と、若き女王が、誰にも話せない胸の内を語り合っている。
この二人が、この都市と立場を離れる決意をするまでには、それほど時間はかからなかった。

えー。
蔵出し第一弾です。(ハーメルンはこれで終わりですが。あとは、サイザーの入浴シーンのラフぐらいしか・・・)

この絵のラフが書かれたのは、ファイルの作成年月日をしらべたところ2003年2月17日でした。
当初は気に入らなかったのでお蔵入りとしたのですが、三年も寝かしてみると私のこだわりもいろいろ抜けたようで、二人の服装(2003年の時点では、非常に地味だった)をわずかに手直しこそしましたが、背景などはそのままに、このたびの発表となりました。

復興した街を見つめながら感慨に耽る二人。大戦の英雄として城に住んでいた二人が、それぞれライエル、ハーメルと旅立とうとする決意を話しあう。
二人はこの後、アンセムとスタカット村に移り家庭を持つわけですが、サイザーはともかく、フルートは苦労したでしょうね。いったいどうやって「人類の女王」という立場から降りることができたのでしょうか。おそらくクラーリィやパーカスが、最終的に手助けをしたのだろうとは思いますが、フルートを慕っていたクラーリィには、辛いことだったでしょう。

余談ですが、ミクシイの方で、10年後のフルートたち(ハーメル一家)はどうやって暮らしているのだろう? 収入は? という話題がありました。「元女王」という立場によって王宮からの支援もあるのだろうか、という話が出ていたと思います。

わたしは、10年後のあのフルートは、完全に自活しているのだろうな、と思いました。

どんな風に王宮の面々を説得したのかわかりませんが、結果としてフルートは女王の立場を降りることができたわけです。 そのとき当然、女王位によって得られるあらゆる財産や権利も手放しているわけです。となれば、フルートが女王としてどんなに慕われていたとしても、それでも仕送りを受けることはできないでしょう。

それに、そういう通すべき筋以外に、フルートは(王宮にたよらず)自分たちで生きていく道を選んだ以上、何が何でも自活していくんじゃないでしょうか。そういう娘だったと思います。

ただ、苦労してることでしょう。
ハーメルが街で、音楽で稼いできた金があっても、家に帰る前に、自分でほとんど使ってしまうでしょうし。
家族全員(ハーメルのぞく)で内職しながら、ここで一円、あそこで二円と節約してるんでしょう。きっと。


さて。
サイザーの向こうに見える部分をはじめ、城壁はアンボワーズ城(フランス)を資料に描きました。
城下町は、遠くの方では、山の斜面に沿ってせり上がるように住居が見えるはずなのですが、そう描いてみたら単なる地盤隆起にしかみえなかったので、御覧の通りに誤魔化しました。建物をもっとソレっぽくできれば善かったのですが、手すりのあたりが上手く描けた段階で満足してしまったようです。しかしすげえ発展してますな、スフォルツェンド。

二人の服装は、あまりに地味だったので蔵出しの段階でなおしました。
サイザーは例によって羽根が出てないとだめなので、ものすごく寒そうな格好に。フルートの方は普通にケープマントです。



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