bond 1


月を見、星を見るたび


bond 1

(980326thu)
 



月を見るたび、星を見るたび、夕陽を見るたび、同じこの空を、北の地で娘も見ているだろうかと思う。
町で同じ年頃の娘を見るたびにふりかえり、鳥の羽音を聞くたび、サイザーではないかと外へ飛び出す。
毎年サイザーの服を仕立て直し、ハーメルのために作る服も、背中に羽根用のスリットをつけておく。
家族四人で暮らす夢を見るたび、泣いて目をさまし、サイザーが泣いている夢を何度も見ては、飛び起きる。
胸に大きな穴があいている。肘近くまで腕を突っ込んでも、なにもさわれない。広大な虚無が、胸にある。それはそこにいたサイザーを奪われた傷跡。 無限と永遠に匹敵する、娘がいた証し。
母と娘をつなぐものは、いまこの空しかない。



Macintosh Performa 5440(88MB)・Painter4.0・Photodeluxe1.0・WacomArtPad2
白い翼をみて、鳥と知りつつも、娘の姿を重ねる。
これは久々に、胸が痛くなる絵でした。距離が悔しい、愛せないことが恨めしい、パッと見はのどかですが、例によって愛別離苦の絵です。
ピンナップばかりだった最近、絵らしいものが描けたので、なんかほっとしています。仕上げは雑ですけどね。


[もどる]