階段メイド

maid on the stairway

(2004.02.14 upload)
(2003.06.18 finished)




夜想曲で、2003年・夏〜2004年・冬のトップを飾った絵です。
例によって黒背景です。このメイドもので第三弾もやろうかと考えましたが、条件黒背景で思い浮かばなかったので、これがずいぶん長い間トップでした。

自分でも謎なシチュエーションの絵ですが、お屋敷のあまり人が来ない階段とかを私的に占有して休憩してるメイドさん・・・といったかんじ。鉄瓶があったり茶筒があったり牛乳パックがあったりコンビニ袋があったりなので設定は現代っぽいですが、小道具かく楽しさに流されるままやっつけたので、当方なにも考えておりません。ただメイドさんの表情に罪悪感とかないので、正当な休憩のようです。先輩が見かけて声をかけた場面と考えると

「あんた、ホントにこの階段すきねえ。ほこりっぽくない?」

「あ、でもここって涼しいんですよー」

状況こんな感じ。背景も人物も小物も描くのが楽しかった絵です。

この絵も、製作過程の区切りごとに画像ファイルとして別名保存し、その都度トップにさらして更新するという、ちょっとしたイベント形式で公表。


以下、公開時の画像と、その解説を。(
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter7


実は以前にラフだけ描いたことのある絵(そのときは「ラブひな」のしのぶだった・・・時代が偲ばれるなあ)の流用で、おおよそ構図はできていた。

人物のポーズとか若干の変更を
加えた程度で、もと絵を目でコピーしつつラフ線画を完成。

右上にある黒丸は、線画の色サンプル。ペインターの機能としてパレットに保存することは簡単にできるが、スポイトツールを使う方が抵抗がないため、こんなやり方をしてる。

すでに記憶が定かでないが、人物・小物・階段・手すり・黒丸と日時の五枚程度のレイヤーで描きはじめた。




所要時間:78分
 
ゴチャゴチャした感じを出したかったので小物を思うさま書き足す。手近なものに目がいってしまい、スーパーの袋と牛乳パックが追加されたが、このため一気に設定があやふやに。

これを描いてたころに住んでいたクロカワという地方は、6月にやっとコタツを片づけるという寒冷地で、この時期でも一枚上のようにメイドさんは長袖だったが、今後の季節(描いてたころは初夏でした)のことを考えて半袖にする。

ついでにカップを持つ手と、あと靴と靴下も修正。やはり三つ折りが基本である。ついでに頭身を考えて足の長さを修正。



所要時間:70分
 
階段のディティールを中心に、小物や手すりも線を描き込む。

いつものことだが、線画でありながらラフという位置なので、階段などはハッキリと直線で描かず、着色の際までこのまま。



所要時間:12分
 
背景の線画がゴチャゴチャしてたので人物だけ浮き立たせてみる。
工程上たいした意味はないが、背景と人物を分けて考えたかった。
ここから階段の色彩を考える。


所要時間:5分
 
階段線画の下にレイヤーを作って、ごく大雑把に着色。茶色っぽいグレーを中心に光沢、影、黒い影と色分け。

消しゴムツールで窓の明かりを表現。これで絵全体の、だいたいの見当がついた。


所要時間:27分
 
塗り分けた影を「水滴」で溶かす。
その後、位置的に奥の方からディティールアップ。まず窓とレンガ壁を描いた。

所要時間:12分
 
手すりを除く背景の主線を消し、窓枠の細部を塗る。
おおざっぱに盛って成形した粘土をすこしづつ削って形を整えていくような感じの行程である。

階段の両端などは直線ツールで処理。エアブラシを1.2くらいまで絞って描いている。角の部分は手描きで丸く。

各段は主線を消す前に軽く線を描いておいたが、あまり意味がない。

所要時間:40分
 
階段の各段を直線処理し、壁の板張りをディティールアップする。

所要時間:29分
 
直線処理で描いた階段の各段を、わざわざフリーハンドでなぞる。「これで正確な直線に裏打ちされた階段の柔らかさが表現できるのだ」などという大義名分もあるが、単にこういう何も考えないで行える細かい作業が好きなだけ。すげえ楽しい。

手すりも直線処理で描き、主線を消す。

色塗り全般に関しての行程は、ほとんどエアブラシで行っている。


所要時間:25分
 
小物に着色する。
この手の絵ではよくやるのだが、まず光の状態など考えず、イメージ通りに思うさま着色する。このままだと画面上では浮いてしまうので、そこに背景の基本的な色のフィルターをかけ、色彩をととのえる。これで背景と小物が、比較的違和感なく一体化できる。

最初は茶色の線で描いたが、背景に対して浮いてしまうので、すでに黒い線に修正している。着色後に主線を消しゴムで徐々に細く削ったり、書き足すことでいい感じに主張が薄れる。

メイドさんが白くなってるのはただの遊び。


所要時間:59分
 
待ちに待ったメイドさんを大着色。これも先述の小道具のように、思うさま着色した後ごく薄い茶色のフィルターをかけてある。
はみだすのもかまわずガシガシ塗る。

どうでもいいが、このときかなり意識は飛んでいる。ほとんど記憶がない。


所要時間:17分
 
はみ出した色を消し、フィルターとは別に、もう一色だけ茶色の影を足す。


所要時間:16分
 
主線を消しゴムツールで細く削り、ときには描き足して人物の細い主線を描いていく。
背景の主線は黒にしたが、人物は暖かみがほしいので、初期のまま茶色の主線だ。

ある程度できたら色のレイヤーとさっさと結合してしまい主線+色の状態で細部の修正を行う。

表情から靴まで、上から下へ何度も往復しながらメイドさんを描き込んでいくのだが、この段階で、ほとんど自覚のある思考は何も行われていない。かなり長い時間集中していたと思われ、ヘトヘトになった。
だが、ここが一番たのしい時でもある。



所要時間:99分
 
素材としてメイドさんが完成したあとで、背景になじませるために影をつける。適当に影になる部分を黒く塗り、そのレイヤーをフィルター状態にして、ソフトフォーカスでぼかす。
スカートや下段の積んだ本にかかる影はそんな感じ。

顔や膝などにも茶色で影をつけたと思う。


所要時間:16分
 
上の絵とほとんど変化がわからないと思う。わたしも更新している今になって見るとサッパリ分からない。

だが、わたしがやりそうな行程を考えると、おそらく全体にごくごく薄いフィルターをかけ、最後に色味の調整をしたのだと思う。

日付を見る限り、2週間ほど寝かせてからそう判断したのだろう。


所要時間:8分
 
時間の記録と黒丸を書いていたレイヤーを消し、完成。

半年以上たってコメントを書くといろいろ粗もみえるし、この間には手厳しい意見も色々いただいた。

ことに人物の描き方に関しては、自分の課題である。


だが、

一番上に表示してあるまっくらな背景のなかで暖かく光るこの絵を見なおしてみる。

この愛すべき空間がちゃんと描けたことだけは、わたしは満足しているのだ。



総所要時間は
513分。
8時間半で、だいたい三日ほどかけて描いた。


以上、なにかの参考になれば幸いである。














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