本来、精霊は自律的に、使命のために存在する。
精霊自身のことを、思いわずらうことはないはずである。
そうでなければ、使命を果たしていくことができないから。
彼女の存在意義は「主となる人物へ試練を与えること」
だが、それはかならず否定とともにある。
彼女による、主への否定。
そして主とその家族から、彼女が受ける否定。
相手のことを知り、想い、成長させることを考えなければ、試練は与えられない。
拒絶されても、ののしられても、彼女は主に試練を与えることで仕え、愛してきた。
そこに主への愛着があるからこそ、彼女は傷ついてきたのだ。
機械のように試練を与えることができたら、彼女はどれほど楽だっただろう。
Kamasuさんへの逆リクエストで描いたキリュウである。
守護月天といえば、私にとってはキリュウだ。
ハーメルンといえば、サイザー。Kanonなら舞。
我ながら、わかりやすいことである。
コミックス10巻。
嫌われることで、自分を保持しようとしているキリュウの姿が痛々しい。
自分が試練を与える忌々しい存在であることには変わりなく、心を開けば、そのぶんだけ深く傷ついてしまうことを、彼女は恐れていた。
とぼしい表情の奥に、いつもこんな泣き顔があったのではないか。そんなつもりで描いてみた。
この巻の終盤、彼女は、正面から彼女を受け入れようとする奈々と出会い、ようやく長い自虐の日々から脱する。
はじめて見せたキリュウの涙。
「たぶん、ただ傷つくことより大切なものが、そこにあればいいだけなんだ」
そしておだやかな彼女の決意と出発。
ボーリングのスコアを条件に描くことを誓った絵だったが、あらためてこのキャラクターを理解する機会になった。Kamasuさんには感謝である。
製作環境:PowerMac G4 450・WACOM FAVO・Painter4.0
内面の描写なので、背景はまたしても黒に。他に芸がないのか自分。
背景が白であれば、本来の色である髪の赤も映えるはずなのですが、明度をあげて、まじかるアンティークなピンクにしました。
はじめて描くキャラというのは、特徴がつかめなくて苦労します。自分の絵と原作とのバランスが悪いですねえ。
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