「ヘッドホンの擬人化」という、おそらくは相当にマイナーなジャンルがある。
「ヘッドホンをつけてる女の子って、いいよネ!」という萌えジャンルならわかる。これは、イラストを中心にネットに存在していて、メジャーでこそないがけっこう散見される。
ヘッドホンをつけて陶然としている少女の姿は、外界の雑音から切り離されて際立つその内面が、おもに表情や仕草に現れているように思える。わたしも好きだ。
だが、擬人化となると、これは全くの別問題である。
音響デバイスに美少女を見いだすとゆー企画発起人のその感性と人脈にひかれて、これに参加させていただいたのだが、あらためて「ヘッドホンの擬人化」という概念を理解するのは容易ではなかった。
例によって、あちこちに相談する。
「ところで、ヘッドホンを擬人化すると、わたしの場合『双子(LとRで)』だと思えるんですが、これどうなんでしょうね」
「みみもとでささやくイメージだとそうかもですね」「そうなんですよ」
「そうすると5.1chヘッドホンとかがおそろしいことになっていそうですが」
「LRで双子理論を応用展開すると、12chのヘッドホンだとシスプリ?」
「ええと、いま聞いた話では、今度のは『私立ヘッドホン学園』というテーマで、舞台は女子校で、その学校の生徒は朝起きたらエージングするのが習慣とかそんな感じです。ヘッドホンで音を出す=女の子が歌うという風に描写するのかな」
「メーカーが家で、製品ごとにちょっとずつ性格が・・・みたいなイメージが」
「ソニーは一般向けとか」
「ナカミチさんちのヘッドホンとかみんな真面目で融通効かないとか」
「盛田さんちの子は歌が上手なんだけどなんかつまんないとか(あと病弱)」
「盛田さんちは人気者だけど実はあまり歌上手くないとか」
「こういうのは、どこに通うんでしょう。http://www.amronintl.com/diving/products.cfm?id=3141」
「軍隊用・・・?」
「軍用でする。銃声や砲声の中で耳をいためないためのイアーマフに色々とついてる感じで」
「これだと、私立ヘッドホン防衛学校になるなあ」
「もしくは『私立ヘッドホン航空学校』」
「姉妹校か」
「みんな軍服。防音命で、声は二の次」「軍事用の誇りみたいなものが魅力か」「でも、嫉妬まじりに、ヘッドホン学園を尊敬してもいるとか」
「そういう教室があってもいいと思いますよ。まあ、コンセプトはありますが、緩い縛りなので、皆さんが何を書いてくるのか楽しみでもあります」と言ってくれるのは企画発起人のすなふさん。
「じゃあ、いまいったような感じで自由に描いていいですか」
「心の赴くままにどうぞ」
そんなわけで描いてみたのが、やはり最初におもいついたLRの図。
イヤーマフ部分のふくよかさが反映してグラマーな感じになりました。
このサイレント風漫画は巻末におまけのように載せていただきましたが、発行された同人誌は、るろおさんの表紙や、一巻の「ヘッドホン刑事」につづき「AKGのアン」を書いた文月さんの文才、ほかゲストの皆様のヘッドホンへの思い入れなども相まって、一巻が即刻完売、二巻も初日完売という盛況でした。
ところで、当ページでの、3ページ目の見開きですが、やはり印刷物でページをひらいて展開されるという見せ方が、いちばん良いです。機会があったら、ぜひ現物を御確認ください。
[タイトル] [もどる]