2002.01.30 wed「深夜バス」
 

全ての予定が終わり、東京からは、深夜バスで帰った。
新宿駅新南口から名古屋駅までを、夜中の23:50発・朝の07:00着で行くニュードリーム名古屋号(6420円)である。

途中で眠れなかったら読んでいこうと文庫本を買っておいたので、準備は万端だ。

しかし、出発後10分ほどであえなく消灯である。三列の真ん中席なので読書灯はないし、それも隣を見る限り、光量不足で読書には不向きな代物だった。
斜め前の席で、ノートパソコンを使っている人もいたが、すぐに片づけている。

深夜バスは、やはり寝ていくもののようだ。でも寝られない人は7時間も辛いだろうな、と思っているうちに、先ほど歌った「ランナー」「トレイントレイン」「フレンズ」のコンボが効いてきた。結果として、カラオケ疲れでよく寝られたようだ。

名古屋から家に帰り、久々に自分の家からネットを見る。思えば、この5日ほどはイベントや移動が目白押しで、チャットに入るのも久しぶりだった。
 
 

「あまの |> ところで、旅先の緊張からずっと便秘だったのが、帰ってきて安心したところ、通じました」

「あまの |> たぶんさっき製造された作品は、月天でたべたアナゴの天ぷらが原材料かと思われます」

「あまの |> 文月さんちでつまんだ、ハーロックの食玩についてた麦チョコが出てくるのは明日の朝くらいかな」
 
 

ひとりで三行うちこんで、退室した。

やはり旅行疲れがあったようだ。昼なのに寝転んだら眠ってしまっていた。
 
 



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2002.01.29 tue「文月さんとせっつさん」
 

東京の二日目、文月さんに会った。

私にとって文月さんは、shalさん、すなわち20年前の話題にも当然のようについてくる18才とゆー「理不尽な怪奇現象」に遭遇し、それと直接たたかったことのある戦友である。

夏以来で、今回も申し訳ない話だが無料で泊めてもらった。

昼食に寄ったファミレスで、窓際・柱の影という最高のポジションを確保して、イヤと言うほどAIRの話をしたあと、お部屋にお邪魔して、パトレイバーのDVDを見たり、ラーゼフォンを見て、ああだこうだと言い合った。
 

さらに翌日、せっつさんと会った。文月さんといっしょだ。

せっつさんとは初めてお会いする。
KanonのSSを書いていて、私はその内容に感動し、何枚も絵を描かせてもらった。

池袋駅近所のパスタ屋にて、三人でいろんなことを話した。

なぜか人工知能についての話題、AIRについて、萌えについて、コミケについて、そして作文論について。
奇しくも全員日記ライターという状況だったが、作文論に至ったのが最後の方だったのは、ちょっと残念だった。

「萌え」に関する考察などは、初めて聞く観点などがあり、両者の説はとても参考になった。私がまとめるのはおこがましいので、それぞれの書くところにまかせよう。文章を構成していく過程や、影響を受けた作品、二次創作をする際の「納得のいく帰着を求めた」など、物書きならではの話題が交わせて有意義だった。

結局、せっつさんの活動限界時間を越えるまで粘り、店を出る。
 
 

この後は、私が深夜バスに乗る夜中まで、文月さんにつき合ってもらって時間を潰した。
 

まずは「まんだらけ」である。

「あずかんな大気」(ゆ〜のす)(あずまんがのキャラでAIRのパロディ。サンプル→ 画像をひと揃い他と、安永航一郎先生の「アナルの碁」(誤解されないようリンク→ 画像)(これはこれで誤解でも何でもないかも・・・)等を買う。

今回の出費は、6350円。前回の38430円とくらべて、学習の成果が見えた。
 

そして「まんだらけ」の後にカラオケへ行く。

選びに選んで入ったセガカラには、しかし井上喜久子さんの歌(で、歌える曲)はなかった。

「くそ〜、『県立地球防衛軍』はあるのに、なぜ井上喜久子さんの歌が『おかえりなさい(モンタナジョーンズ)』一曲しかないんだ、セガ!!」

悶々としている横で、文月さんが絶好調で歌っている。

思えば近所のジョイサウンドに、やっと一曲入ったのが「御旗のもとに(サクラ大戦3)」で、これも歌えない。

『モコナの絵描き歌』なんかいれてる場合か、ジョイサウンド!!」と叫んだのは前の高山オフ会だった。

やむなく、ふつうのアニソンを歌う。
 

しかし文月さんは、あいかわらず歌が上手かった。高音域まで喉が届くので、クリスタルキングあたりに勝負をかけなければ、たいがいの歌は自在に歌うように見える。

ミスチルの「名もなき詩」や「シーソーゲーム」には聴き入ってしまった。
 
 
 
 
 

文月さんの部屋に泊まった晩、電気を消してからも、彼とは延々と話をした。好きな人のことを話した。探している仕事のことも。暗い天井とまぶたの裏だけ見つめて、疲れて意識がなくなるまで話した。
 
 
 
 
 

眠さもあってよく憶えていなかったけれど、話すことが出来て少しホッとできたと思う。
そして今も、ミスチルの歌でさりげなく励ましてくれる文月さん。

何も言わない。その作為が嬉しかった。
 

歌い終わって拍手をするころが、ちょうど10分前。文月さんが最後の曲を選ぶ。

「最後はせっかくだから『ときめきメモリアル』かな!」

・・・・はい?

「いや、実はかつてメモラーだったんですよ! 『同級生』もいいんですけどねー」

「・・・・」

「キラキラとこもれびのナカでェ〜♪」
 

金月真美持歌の「うっひゃー!」な中途半端に恥ずかしい歌詞を聴きながら

「ミスチルの歌とかも、単に歌いたかっただけなのではないか」

という疑惑が、じんわりと頭をもたげていた。
 
 
 
 
 

カラオケの後、タン塩丼をたべて、昔の仕事の話などをしながらバスの時間を待つ。
今は、ともに無職。ともにかつての激務に見切りをつけた。そしてともに、新しい仕事を狙っている。
最後の最後まで話し尽くして、文月さんとは新宿で別れた。
 

バスを待ちながら、メモラーであることはさておき、私は友人に恵まれているなと、つくづく思った。
 

「会社関係や、結婚後の親戚・近所づきあいなどの、予測される交友関係」以外という、本来は得難い人間関係を、ネットの力を借りて、私は持っている。こうして遠方の地で人と会い、別れるたびに、それをとても不思議に思う。

同じようにインターネットをやっている人でも、友人というのは得難いものだろう。
みなそうだったと思う。
 

それでもここに友好があるのは、半分は、私が友を求めたからだと思った。
 
 





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2002.01.28 mon「東京」
 

「今月の日記は、とみにマニア度が高いなあ」と考えながら東京へ行った。

すると池袋の駅で迷った。

渋谷駅と、沿線の新玉川線と、井の頭線でしか生活基盤を持ったことがなかったとはいえ、駅で迷うのも情けない話である。

いちど「びゅうプラザ」にもどろうとして、こんどは現在位置を見失う。
 

「む、さっきと場所が違う・・・。 はっ ここはまさか自動生成ダンジョン!?
 

徒歩で道に迷うのは、ディアブロ以来だった。
 
 


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2002.01.27 holy「特殊飲食店」
 

飲食店が長く愛されるには、まず料理の質が大切だと思う。

これがそこそこのものであれば、次は店内の印象である。ポイントは接客姿勢だ。

その多くは、ウエイトレスの態度などに集約されるが、馬鹿にならない要素が制服である。

「アンナミラーズ」あたりの有名どころからはじまり「神戸屋」「ラケル」そして「馬車道」など、可愛い制服を店の魅力として取り込んでいる飲食店は、いまたくさんある。
 

味・接客姿勢・制服。この三点でみた限り、それらが融合した最高水準は「馬車道」にあるだろう。あくまで私見だが。
 

ところで、このバランスのうち「制服」に極端なウエイトを置いているのが、先の「月天」であり、秋葉原にあるという「メイド喫茶 CURE MAID」といえる。ここでは「制服」から発展して、目の前で、巫女さんやメイドさんが立ち働いて、お酒やお茶をいれてくれる「シチュエーション」というポイントが発生しているのだ。これは特殊だが、対マニアとしては有効な武器である。ちなみに両方とも立地は電気街だ。
 

味・接客姿勢・制服・シチュエーション。この四点で見た場合「シチュエーション」というのは、やはり、優先順位は最低にあっても仕方がないと思われがちだ。

だが、和歌山県には、この「シチュエーション」だけを強烈に特化し、それ以外の要素(味・接客姿勢・制服)がたとえ他店に大きく劣ろうとも現実に成功をおさめ、あまつさえ見学者から高い評価まで得たズバ抜けて特殊な飲食店がある。その店こそが
 
 
 

「小学生喫茶・カーペ○ターズ(検索回避)だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問題:あなただけの小学生喫茶を想像してみよう! (2分間)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

正解:「小学生喫茶・カー○ンターズ」詳細
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ※1 上記の日記の流れに、一部、不適切な構成・展開があったことをお詫びします。
 ※2 いや、あの・・・、冗談ですよ?
 

ギャグとはいえ、さすがに不謹慎な前フリで申し訳ないのだが、ドイツの子供鉄道みたいでおもしろそうな店である。

客商売を経験していない人間は、接客業に対して無神経だと、接客業者の誰しもが、一回は思う。事情を知らない者ゆえに無理からぬと分かっていてもだ。
誰もが、一度くらいは接客業を通過して欲しいと思う私としては、この小学生運営の喫茶店というのは、とても素敵だと思った。

近所であれば、いちど見学にいってみたいものである。
 
 
 

だが「一生懸命つくったんだけどちょっぴり失敗しちゃったのおにいちゃんごめんね萌え」とかの人は行かない方が良いと思う。
 
 

料理屋の娘で小学生の女の子が、飲んだくれの父に代わって「いらっしゃいませ」は三つ指ついて「ありがとうございましたまたお越しください」はほっぺにちゅー(父母のようすをみて憶えた)してお見送りし料理の腕はやっぱり小学生レベルなんだけどとにかく一生懸命つくって飲食店を切り盛りしてがんばってるマンガ(アフタ増刊に読み切りで載ってたな)読んで「こんなんかも」と思った人も、辞めとくことをおすすめする。
 
 

「料理少年Kタロー」をシェフに擁して、キャラフェス制服部門(2001)で優勝した10才のコスプレイヤーと、11才の声優(清水芽衣とか)をウエイトレスに起用してるのか? で、制服はおじゃまじょ? と考えた人も。
 
 





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2002.01.26 sat「月天(がってん)」
 

日記を初めてから三年。

長い間秘密にしていたが、実を言うと私には「巫女萌え」という属性がある。

 

 


そんなわけで「飲食夜神・月天」という名古屋にある居酒屋へ行った。

名古屋名物のミソカツやナナちゃん人形は知らなくても、なぜか
「巫女(みこ)さんが給仕してくれる居酒屋・月天」を知らない巫女マニアはいない
という、当地では有名な店である。

今回のメンバーは、マンデリンさん、masterpieceさん、ロメオさんと私の四人。
言い出したのは私だが、誘った瞬間に一も二もなく飛びついてきたので全員同類だ。
 

「ここではお客様は神様です。なんなりとお申し付けください」

席に通されてすぐ、ホントに巫女さんの服を着た女給さんが注文を取りに来た。
妙に気恥ずかしくて、みんなメニューを熱心に読むフリをする。

だが「巫女さん観察」を最優先事項として入店した天野だけが、まずは横目で巫女装束のこまやかなスキャニングを敢行。予想していた形状との修正を行った。

巫女さんが一礼して去ると同時に、隠し持ったメモ用紙に「基本は標準的な巫女服」「単衣だが、ちゃんとインナーがあるな」「緋色の袴と同じ色の前掛けがある」「前掛けの右にポケット」など図解で猛然と記録を開始する。

「あまり巫女マニアっぷりが目に余ると、給仕してくれなくなるそうですよ」

というロメオさんのありがたい脅しは参考にするが、こんな至近距離で巫女装束を観察できる機会は滅多にない。というか絶無に近いのだ。しっかり記録しよう。学内に神社があるのに巫女さんはいなかった我が母校・國學院大學時代からくる十年来の恨みが解放されていく気さえする。どうせ行く前にIRCのボットにしてもらった予想結果は「天野さご一行を『人畜無害な集団に見せるのは可能な率』は、3%ですー」とのことだったのだ。いまさら何を恐れよう。ノートパソコンとカメラとスケッチブックと竹箒(ほうき)を持ちこまなかっただけでも最大限の譲歩だ。
 

「お飲物は何になさいますか?」

「ビール」

「日本酒」

「ロック」

「巫女さんが手を洗った水」

「はい?」

「ああ、いや、その烏龍茶」
 

もとより私とマンデリンさんはお酒が飲めないし、ここはひとつ料理も断って、純粋に巫女さんの鑑賞会にしたいところだったが、それでは叩き出されるだろうから、おとなしく飯を喰った。

しかしこれが存外うまい。
「無国籍料理」というふれこみで、アイデア料理みたいなものもあるが、基本的にどれも美味である。
料理の定評のせいか、お客さんも、割と普通の人が多いようだ。
もちろん、土曜だけに遠方から来ているマニアもいるようで、そこかしこで2ちゃんねる用語などが聞こえる。

飲み食いしながら一時間ほど観察していて、月天は、実際のところ、基本は普通の居酒屋なんだなと感じた。
この店は「ウエイトレスのコスチュームが巫女装束」というだけの料理のうまい店であり、決して「巫女萌え客専用の店」ではないのだと、いまさらながら気づく。
 
 
 

一般的な「巫女萌え客」の考える巫女さんのイメージというものを、ちょっと紹介してみよう。

巫女さんは、やはり暗い店内ではなく、晴れた屋外で深緑の木々や神社をバックに立つべきである。これが最も映える姿だ。
髪は長く、身取り(みどり)の黒髪を白い帯で結っていて、声は自動的に井上喜久子さんである。
そして、境内の落ち葉を竹箒で掃除しながら神通力で妖魔を退治する一方でお祭りの際には汗びっしょりで神楽舞である。響く巫女鈴、とびちる雫、かぐわしき巫女アロマだ。
性格は、天然ボケの世間知らずで病弱。もしくは、しっかりしてるようで実はうぶなお姉さん。あるいは、背が低くて元気な妹属性でも可。その場合は巫女服のまま、十二種類の呼び方で兄と呼んでくれること。おとなしめキャラの場合、眼鏡の着用も推奨する。
地元出身の宇宙人で職業は教師。続柄は母ならなお良いがここまで求める人はまれと言える。
巫女さんの武器と言えば、破魔弓や神剣がメジャーだが、個人的にはドリルである。ドリル+巫女、これが最強である。ぜひ「D4プリンセス」の瑠璃堂どりあ様に巫女をやって欲しいと思うのは私だけではないはずだ。
 

まあ、だいたいこれが、俗に言う巫女萌えというものである。
(今回の日記は広義において正確でない部分があります)

しかるに月天の巫女さんは、ママでもなければドリルもしていない。冷静に考えれば「それはすでに巫女ではないかも」と思えるのだが、心のどこかで期待していたのだ。

せっかくの巫女さん居酒屋なのに、上述のような愛に満ちた巫女ファン心理を反映できていないのが、実に残念である。いや、反映できたらできたで、すぐ潰れたかも知れないのは、自分でもよーく分かるが、やはり悲しい。
 

結論として、この店のコンセプトは、あくまで「巫女萌え」狙いではなく、飲食店として奇をてらうスタイルなのだと断じざるをえない。
 
 
 

巫女萌えの人は、やはり素直に神社か、それっぽいイベントか、ホンモノの催しへ行くべきなのだろう。店に入った瞬間「しまった! 竹箒もってくるの忘れた!! 一生の不覚!!」と悔いたが、薄暗い居酒屋で竹箒など装備してもらっても違和感があるだけなのだ。
 

月天はおもしろい店だったが、我々の求める巫女萌えとは、その方向性が違う。
期待が大きかった分、かすかな寂しさを感じつつ我々は(私だけ?)月天を去り、帰途についた。
 
 

家に帰ってみると、ポケットの中から、月天のアンケート用紙が出てきた。

「ご意見、ご要望ございましたら教えてください」という欄があるので、
 

給仕してくれる巫女さんに茶髪を許すくらいなら、いっそキンパツ巫女にしてください。そして、やっぱり右手にはドリルでお願いします。冬は仕方ありませんが、やはり夏には裸足で接客してください! 赤い袴に裸足で!! 裸足で!! はだしでーーっっっ!!!!!


と、ここまで書いて、よっぽど投函してやろうかと思ったが、辞めておいた。
月天に求めるべくは、やはり「奇抜な居酒屋」という位置でしかないのだ。
 
 




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2002.01.25 fri「おつかれマンデリンさん」
 

マンデリンさんは、Kanonの栞が好きである。


     美坂 栞


これは一般論だが、往々にして、ゲームのキャラクターに惚れてしまった人間は、ゲームが終わってからも、そのキャラクターとの関わりを欲するようになる。

まず、多くの人は、グッズを求めはじめる。これで部屋や愛車の内装などが一変する。さらに、ファンが書いた小説やCGをインターネットで探すなど、キャラが生きて動いている情報を求め続ける。その感覚は、ほとんど飢えに近い。

そういう人間に、いま注目されているのが「葉鍵版 最萌トーナメント」だ。「To Heart 」で有名なリーフ(葉)と「Kanon」で有名なKEY(鍵)との、二大ギャルゲーブランドのキャラクターで「最も萌えるのは誰か」を1対1のトーナメント形式でネット投票により決するイベントである。ここでは、あちこちから集められた画像やSSが応援と称してひっきり無しに掲示されるため、二次創作物を集めている人には、実にありがたい企画なのだ。最近はひいきのキャラクターが敗退してきたので熱は冷めてきたものの、私も毎日のぞいている。

そして、マンデリンさんもおなじだった。
 
 

そんな1月24日の午後10時頃、マンデリンさんがADSL回線を借りに来た。

マンデリンさんは最近、転勤を命ぜられ、ノートパソコン一台で、隣の市にある社員寮に引っ越している。そのため、ネットには携帯で接続することになってしまい、これでは課金が馬鹿にならない。おかげで最近は葉鍵板にアクセスもできないという。私はその日が「美坂栞vs上月澪」戦だったことを聞いて、快く承諾した。「この一戦だけは見逃せない!」というマンデリンさんの、なりふり構わない萌えに感動したのだ。
 

「本当にこんな遅くに、いいんですか?」

「ええ、もうぜんぜんかまいませんよ!」

そういう私の手中では、しかし同時に日記メモが起動していた。
 
 

今日も10時まで残業し、寮では着替えだけして天野の家まで飛んできたマンデリンさんは、到着するや、すぐさまLANのデバイスにケーブルをつなぎイリア(ダウンロードソフト)で応援画像を落としはじめた。ノートパソコンのハードディスクにザクザク画像が落ちていく。スクロールバーがぐんぐん短くなっていくのを、みつめるマンデリンさんである。

その目は、残業でヘロヘロのわりに異様に光っていた。

画像回収、投票結果確認(栞の勝利でした)が完了して、日が変わった午前2時。

「じゃあ、明日はふつうに出勤なんで」

晴れやかな笑顔で、深夜に帰寮するマンデリンさんを見送る。

転勤先が激務で知られる繁盛店だったため、マンデリンさんは今、残業過多の生活を送っている。肉体労働で動きっぱなしの残業というのはかなり辛く、一週間が一ヶ月にも感じるそうだ。帰宅しても荷物が何もない部屋での一人暮らしな上に、仕事にも生活にも身体が慣れてないので、いまが一番キツい時期だろう。「帰るなりばたんきゅー」というのは誇張でも何でもない。しかし

それでも、栞のために画像を回収しに来るマンデリンさんである。
 

以前から、日を追うごとにマンデリンさんのマニア度が上がっていくのを感じていたが、もしかすると、彼は転勤して、またひとつステージが上がってしまったのかもしれない。

発車するマンデリンさんを見送りながら、そう、ぼんやりと感じた。
 
 



 


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2002.01.24 thu「サバイバルゲーム・男のロマン・女のロマン」
 

部屋の掃除をしていたら、コクサイの某ガスガンが出てきた。
薬莢が金属製なのが特徴で、安全基準よりも若干高い初速が出るとかで、店頭に出されてすぐに回収さわぎのあった逸品である。(この日記はフィクションです)

むかしはエアガンが好きで、数回だが、サバイバルゲームもしたことがあるのを思い出した。
サバイバルゲームとは、エアガンを持参した参加者が、二隊に別れ、互いの陣地にある旗などのシンボルを奪うゲームだ。(細かくはいろいろバリエーションがあるが)戦勝条件は、シンボルを奪取して自陣に生還することか、相手の隊を全滅させること。戦死条件は、エアガンの弾丸が当たったとき、自己申告して、戦死者は作戦エリアから離れることになっている。要するに「戦争ごっこ」なのだが、迷彩服に、目を守るゴーグル、本物に酷似したエアガン(当時はガス圧を利用したガスガンなども流行りはじめていた)など、リアリティを求めるマニアの装備はものものしく、普通の人にはあまり見せられない姿である。だが、やっている方はとても面白い。

いつだったか、長良川グランドホテル前のフィールドでやったときに、メンバーの一人で、すこしお調子者のM木さんが、最近できたという彼女をそこに連れてきたことがあった。いま思うと痛ましい話だ。

よく「ATM」と略されるが、アニメ・トレイン・ミリタリーは、三大オタク文化である。サバゲをやるような奴は、やはり本質的に人間がオタクだ。そういう集団のなかに紅一点、というか普段着(赤色のセーター)一点というM木さんの彼女は、なんというか、異様に目立っていた。例えるなら、繁華街を迷彩服で歩くのと同じくらい目立っていた。

迷彩服(顔にも迷彩柄のフェイスペイント)のオタクな野郎共から、微妙な距離をとって、彼女は小動物のように気配を消している。我々から話しかけられないよう、警戒しているのかもしれない。能面のように表情の消えた顔には、おおきく「理解不能」と書かれているように見えた。

うちあわせも終了し、第一ラウンドの開始である。
全員で時計を合わせ、森の中へ駆け込んでいく戦闘集団を見送って、駐車場で一人きりになった彼女は、M木さんから借りたスコープ付きのライフルで、空き缶などを撃ちながら、「しゅぱぱぱぱ」と響くガス音を遠くに聞きつつ、状況が終了するのを辛抱強く待っていた。(と思われる)
 
 
 

ところで、

男のロマンというのは、得てして女性には理解されず、むしろ馬鹿にされるものである。
女のロマンというのも、得てして男性には理解されず、下らないものと一蹴されるものである。

そういう意味では、彼氏のことを、理解不能なまでも解析努力しようと戦地までついてきた彼女は立派であったと思う。

しかし、その日からほどなくして、M木さんはキッチリふられていた。

このわずかな期間に何があったか、詳しくはわからない。だが、この日の休憩中に彼女がM木さんとしていた問答が破局の原因ではないかと私は思っている。
 
 
 
 

M木さんの隣でしばらく考え込んでいた彼女が口を開いた。

「・・・ねえ、戦争が好きなの?」

「馬鹿なこというんじゃない。戦争が好きな人間なんているものか」

彼の回答が、すこしは理解できる展開だったらしく、彼女は安心した。

「戦争が好きなんじゃない。兵器が好きなんだ

だが、その理解は地平の彼方に飛んでいった。

「戦争は絶対ダメだ。美しい戦闘機、立派な艦船、そして大切な陸戦兵器が破壊されてしまうじゃないか」

「そんな理由で戦争反対するな」というツッコミができるほど、彼女はその世界に踏み込めなかった。すでに腰が引けていたようである。

「それよりも、これ(銃刀法抵触気味ライフル)見て見て。ガス圧と金属パーツいろいろいじってて、薄いブッシュなら貫通するし、上手くすればネコぐらい一発で殺せるヨ!」

ふたりは別れた。

サバゲーをカッコイイと思っているのは、やはり男性だけのようである。
 
 



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2002.01.23 wed「アフガニスタン復興支援」
 

会議は、アフガニスタン復興支援として、総額45億ドルの援助を決定した。
アメリカも、2.96億ドル(2002年中)日本も、5億ドル(2.5年で)の援助を用意している。

アフガニスタンに同情し、アメリカのことをクソミソに書いてる立場としては、日本の支援効果に期待するものである。
徹底的に燃やし尽くされたことのある戦災国として、そして過剰なほどの復興を遂げた国として、有効な支援が出来るはずなのだ。それこそ日本の使命であろうと思う。
 
 

ただ、金銭による支援に関しては、どこのニュースでも懸念されているのが

「いかに公平に、そして必要としているところに支援が使われるのか」

という問題である。

分裂の可能性を常にはらんだアフガニスタンの現状を把握し、そこに未来を切望する人間ひとりひとりが生活しているということをよく理解した、優秀な采配が必要とされることだろう。予算を不正なく有効に運用する、とても頭を使う大変な仕事になるに違いない。カルザイ議長は大変だ。
 

アフガニスタンをまとめる彼を支援するために、日本政府は金銭以外にも、生活用品などの具体的な援助物資をおくるなど、いろいろな助力をするべきだと考えたとき、ふとこんなことを思い出した。
 
 
 

去年の話で知っている人も多いと思うが、日本はパキスタンに支援物資を送ったことがある。
その中身は、現地で5000円ほどの、よりによってパキスタン製のテントだった。テント300張・他を日本からの援助として、自衛隊輸送機6機が往復7日かけて、空輸隊140名ほか計180名がかりに、燃料費など3000万円ほどかけて送ったのだそうだ。

アフガニスタン空爆がはじまった後も、日本−パキスタン間を、わずか11時間で飛んでいる「パキスタン航空(週二便)」は、無視である。

いまどき、いや、バブル期でも、こんな一万円札を燃やして足下を照らすような道楽じみた事業展開は聞いたことがない。「景気低迷」は政府の情報操作かと思うような金使いだ。
 
 
 

いくらアフガニスタンでも、これよりは有効に援助金を活用してくれるだろう。資金を得たカルザイ議長は言う。

「このお金は、みなさんが一生懸命はたらいてくださったお金です」

この泣けてくる台詞を聞いて、日本の出る幕は、ないかもしれないと思った。
 
 


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2002.01.22 tue「アメリカ合衆国・無邪気なる傲慢」
 
 

21日、アフガン復興支援会議が東京で行われた。
だが、今回の日記は、ちょっと前にかいた文章を、とりあえずそのまま載せようと思う。
 
 

アメリカ同時多発テロについて「なぜアメリカが攻撃を受けたのか」とアメリカ国民に質問すると「それは豊かなアメリカに対するジェラシーだ」と一蹴されると言う。また彼らは「世界には邪悪な人がたくさんいるから」と、あっさり言い放つ。

彼らの中には「我々は正義なので、相手は悪魔」という絶対的な公式が、無邪気な傲慢さで成立している。しかもこの確信には、揺るぎがない。
愛すべき自国アメリカの「正義」を確信している彼らにとって、それに敵対しようとする存在は自動的に「悪」となる。絶対的な正義のまえに現れる敵対勢力は、純粋な悪なのだ。悪魔は悪魔なんだから、悪くて当たりまえ、なのである。
 

なるほど、これがアメリカだ。
自国以外の国を、基本的に対等だなどと思っていない。第二次大戦のときもベトナム戦争のときも、そうだったのではないか。
アメリカ人が、アルカイダに代表されるテロリスト(下手をすると中東諸国国民全体)を人間だと思っているかどうかも、あやしいところだ。(アルカイダの収容所は、大戦中の日系アメリカ人収容所みたいだし)

宗教的な慣習が生活に浸透している、敬虔で篤実な国民を有する中東諸国にとって「キリスト教以外の宗教観=悪」としか見ていない割りに、自分の信仰生活的には堕落しきっている国家による蹂躙は、たとえ反アメリカをかかげている運動家でなくても、たいへんな屈辱であろう。

しかも国辱を甘受しているサウジアラビア諸国に対して、そこを踏みにじっているアメリカに自覚はない。自分たちは「世界の警察」であり、善いことをしに来ているとしか思っていないようだ。

いじめの悪質なところは、いじめるほうに自覚がないことだが、両者の状態はこれに近い。
 

「人の欠点は、上に置くとよくわかる。そして上に立った者は、公のためにいきなくてはならない」という言葉がある。以前は森前総理を見ていて「あーあー」と頷いていたが、アメリカの欠点が、いまむきだしになっているではないか。

自分は、日本人が縄文時代だったころ既に「汝の敵を愛せ」と教えたキリスト教を国教とするアメリカを尊敬し、そのエネルギッシュなところが好きだった。だが今は、なんて情けない国だろう、と思う。
 
 
 

9月11日。貿易センタービルに旅客機が突っ込んだ時から、アメリカがキリスト教国家をしての「敵を愛する」という高度な精神性を発揮することを祈ってきた。だが、現状を見る限り、アメリカは226才にもなる幼児性格的な国家だ。

しかも「勝ち馬に乗りたがる」という、そのとき優勢な勢力へあっさり浮動するアメリカの国民性(情報操作むちゃくちゃやりやすそう)ゆえに、国民の八割が、空爆などの戦争行為を支持しているという頭痛ものの状況である。

そのなかで希望と呼べるのは、残り二割の「それでも、勝ち馬に乗らない」人々の存在だ。
 

だいたい、八割の馬鹿が垂れた糞を、二割の人間が一生懸命ぬぐうことで現代の世界は成立している。
こんな後ろ向きの希望しかないのが、まったく残念だが、とりあえず、がんばれ二割と叫ぼう。

君らこそが、私の認めるアメリカ人だ。
 
 





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2002.01.21 mon「タカヒロ・I・脳内彼女への不倫疑惑」
 

日記・1
 

皆さんは、タカヒロ・Iという人物を憶えているだろうか。
私がよくオフ会などで会う高校生である。

彼はもともとオフ会の接点である「ヨコハマ買い出し紀行」にひかれ、アルファさん役の声優「椎名へきる」経由で「丹下桜」にはまり、その流れで彼女が「さくら」を演じた「カードキャプターさくら」のファンになった。

その後「ONE」というゲームをプレイした際、ゲームキャラクターである「里村茜」に、何か大切なものをえぐられたらしく、彼女に惚れ込んでいる。

その気持ちの冷めないまま、彼は「スパイラル」というコミックに出会い、そのなかの登場人物「結崎ひよの」に、またも心を奪われてしまった。
 

断っておくが「里村茜→」も、「結崎ひよの→」も、ゲームおよび漫画のキャラクターである。我々にとっては、あくまで架空の人物だ。

だが、彼の中には実在する。

その証拠に、チャットなどをしているとき、彼はまるで、その場に、彼女らがいるかのように振る舞い、時には、チャット上で発言をさせることもある。
その内容は、まるで彼と里村茜が恋人同士のようであり、結崎ひよのとも相思相愛であるかのようだ。

間違いなく、彼の中に、彼女らは存在する。
しかし、そうだとするとこれは二股である。

「里村茜」と「結崎ひよの」を同時に愛するということは、脳内とはいえ不倫なのではないのか。

仲間内のチャット上でも「浮気だ浮気だ」と糾弾される割りにまったく反省の色のない彼に対し、今回、この日記の場をかりて、そのたくましき妄想と、あえて同じ次元に潜り、この件を扱ってみた。

次回は、その記録である。
 

まあ、脳内では二股どころではない人がほとんどだと思うが、それはさておき、彼の脳内での不倫は、はたして裁かれるべき罪だろうか。

注目してみたい。
 
 
 

日記・2

記録小説「愛はひとつ」
 
 

私は私立探偵・白天野拓美。
探偵などと気取ってはいるが、仕事のほとんどは浮気調査という、うだつの上がらない三流だ。

そんな私のところに、ある嵐の夜、一人の少女が訪れた。利発そうな瞳に、ゆるく編んだお下げが似合っている。制服を着ているところを見ると、まだ高校生らしい。
ある人物の浮気を調べて欲しい、と少女はいう。選ぶほど儲かってはいない。私はその仕事を引き受けた。
詳細の確認と前金を受け取り、少女を送ったその直後、また客人があった。一日に二件とは、うちの事務所も有名になったものだ。
気持ちを切り替えてドアを開ける。そこに、くらい瞳をした少女が雨に打たれたまま立ちつくしていた。先ほどの少女と同年代だろうか、見事な長髪を、ふた房にわけて、ゆるく三つ編みにしている。
事務所に招き入れ、落ち着くのを待ってから、同じように詳細を訪ねる。
彼女の依頼は、またも浮気調査だった。二件続けてこんな年齢の少女が、と内心で驚く。
だが、私を本当に驚かせたのは、彼女の口から出た調査対象者の名前だった。

「その人の名は、タカヒロ・Iと言います」

その名は、つい先刻、別の少女から依頼された浮気調査のターゲットと同じだったからだ。
 
 
 
 
 
 
 
 

タカヒロ・I(以下略)「うぅーん、むにゃむにゃ(古語)・・・はっ ここは!?」

「お目覚めのようですね」

「きっ 君はひよの!? こ、これは・・・椅子に縛り付けるなんて、どういうつもりなんだい!?」

「ちょっと、お聞きしたいことがあって、拘束させてもらいました」

「き、ききたいこと・・・?」

「スパイラル2巻「魔方陣の爆弾」のシーンで、わたしに惚れた、とおっしゃいましたね?」

「え・・・。(コホン)そ、そうだよ。ボクは君に惚れたんだ」

「そうですか」

「ん? なんだい、そのルームワゴンにのせた大きなファイルは」

「タカヒロ・I自爆発言集・全27巻(夜想書房編纂)です」

「はい?」

「これによると・・・(パラ)『あかねー、そろそろ寝るから、先布団入ってて・・・・ 』

「うわー!!」

「2001/10/17(水)0:02の発言です」

「ど、どこでそんなものを」

「企業秘密です。さらに『茜は私が必ず幸せにします』(2001/12/6(木)0:28)『今年1年一文字で(表現すると)>『茜』!!(爆)』(2001/12/6(木)0:12)・・・これは里村茜さんのことですね。『ONE』というゲームで出会った」

「ちょっ、あの」

『あかねーあかねー。やっぱり茜が一番にょ』 (2001/12/1(土)1:57) 『悪いが茜は誰にも渡すつもりはないんだよ』(2001/1/8(火)0:16)!! 

「ええと・・・」

『茜は、私の胸で眠ってます』(2001/1/5(土)0:54)!!! なんですか、これは !!! 」

「ウ、ウソだー! こっ、こっ、こっ、これは何かの陰謀だー! だれかがぼくを陥れようとしているんだ! ボクのほれてるのは、ひよの、あんただけだよ! ほらこの間もカラオケで『愛はひとつ』を熱唱したじゃないか!」

「あの歌は私のために歌ったんじゃなかったんですか・・・」

「あっ 茜!?」

「非道いです」

「その手に持ってるのは・・・」

『タカヒロ・I大悪事記録全集104巻+外伝2巻』です」

「どこから、そんな・・・」

「第64巻第7章『結崎ひよのをとる奴ァ、地獄におとすぜ』序説を読みます」

「茜、いつから・・・そこに・・・?」

「『茜にはない無邪気とも言えるような動きも良いですよねー。いっこ上の先輩な感じのスルドサと、あどけなさの絶妙なバランスがひよのではないでしょうか?(爆) で、ひよのの魅力ですか? そりゃもちろん仕草や言動は可愛らしいのに、時々見せるスルドさでしょう(笑) 口ではいろいろ言ってても、ちゃんと解ってるところが・・・・ (2001/12/14(金)0:56)』う・・・うう」

「茜・・・」

「(ぱら)『ひよひよの肩を借りて眠ってみたい!』 (2001/1/5(土)0:51)・・・くっ」

「やめろ・・・」

「嫌です! こっちには・・・」

「さ、里村さん、それは私の」

「『茜はピアノが弾けるのは当然なのだ。なぜなら、そうでなければ私とアンサンブルが出来ないではないか! そして二人のスイートホーム(笑)には小さな音楽室に二人の好きな楽器が何台か置いてあって、二人で演奏を楽しんだりするのが夢だったり(爆)』って、かいてあります! 私ききました!」

「・・・・よくも『愛はひとつ』なんて歌えたものですね」

「兄さん、浮気はいけねえや、浮気はな」

「だれだ!」

「しがない探偵屋だよ。半年ほど前から、あんたのチャットログを記録させてもらっていた」

「く・・・っ」

「人間って言うのは、本来は同時に複数を愛せるようには出来ていないのさ。そんな矛盾をやろうとすると破滅するようになってるんだぜ?」

「・・・・」

「まあ俺としちゃあ、両方と縁を切るのが一番だと思うが、どうするんだい?」

「どっちも・・・手離せん!」

「おっと」

「茜には思いっきり甘えられてみたい。ひよのには思いっきり甘えてみたいィィィ!」

「本音が出たようだな」

「この場合は目の前の女の子が放っておけない心の優しさだと言ってくれェェェ!」

「まあ、自分の位置をよく考えて優しくするんだったな。よぉ、先生!」

「どうも、心理分析官の黒天野です」

「分析結果を教えてくれ」

「わかりました。では読み上げます」

「属性分析1:無表情キャラ萌え」

「・・・・」

「ふだんは無愛想だが、可愛い女の子っぽいところが実は彼女の本質で、それを自分にだけ見せてくれる女の子萌え、というドス黒い欲望を持つ」

「おい!」

「属性分析2:意外性萌え」

「いっしょにいないとみせてくれない、もう一つの顔に簡単に撃沈されます。本人の発言によると『ひよの:普段は子供っぽいところが目に付くけど、時々見せる『年上のおねーさん』とはちがう、『いっこ上の先輩』の顔が好きです。聡明で前向きで何処かキレのあるのは、茜との大きな違いですけど』とのこと。ちなみに『いっしょにいないとみせてくれない、もう一つの顔という点において、茜は言うまでもない』そうです」

「うぅ」

「この点において、彼はそれぞれの女性にひかれたと考えられます。あと、あまり参考になりませんが・・・」

「わあー!!」

抱き枕です。御自身で描かれた里村茜さんの絵をプリントする予定だったらしく、等身大サイズの画像ファイルが彼のHDDから発見されました。他に「抱き枕に電気毛布を入れると、もうたまらない抱き心地」というチャットの会話に激しく反応していたという証言などが得られています。彼の言動などから推察すると、マシンパワーと大判用のプリンターさえあれば、抱き枕の片面に「里村茜」もう片面に、新規書き下ろしの「結崎ひよの」のイラストをプリントし、電気毛布を仕込み完成させ、思いっきり抱きしめて「萌え」と叫びつつ部屋中を転がる計画だったのではないかと思われます。ただこれは実行されたわけではありませんので、浮気の資料としては保留しておきましょう」

「ぐ、ぐぐぐ・・・」

「さあ、兄さん。腹をくくりな。どっちも平等に愛していきたいって、気持ちはわかるが、それは許されねえんだ。女の子には酷だぜ」

「さあ、応えてもらいましょう」

「どっちを選ぶんですか」

「わ、わかった。ぼくも男だ。愛はひとつ。一人の女性を選ぼう。それは・・・」

「それは・・・?」

やっぱり、丹下桜さんだああああ!! 有志で桜さんにCDをつくって送る『さくさくCDプロジェクト』のとき、ジャケットのイラストを自分で描いて出したくらい好きだああああ!! 結婚してても何ら問題なし!! 桜さんは完全に別格!! STAND BY ME 萌え! 舌っ足らずなしゃべり萌え!! 身長155センチ萌えー!!! コンサートの予約もすでにこのとお」

彼の脳天には二本のツルハシが突き刺さっていた。
 
 

調査は終了した。
 
 
 
 
 

今回の記録小説は、ごく一部フィクションです。

タカヒロ・I氏のたっての希望により、痛ましいと思える資料は掲載を見合わせました。(それでコレかい) 検閲を受けていない段階では、これどころではない発言のオンパレードで、茜・ひよの両名がそれぞれが受けた愛の言葉(例「結婚できるし」「電気消して」「夫婦という枠」など膨大)を読み上げ合うという、真ん中にいる張本人には、まるで赤熱化したペンチで無限に舌べらを引きちぎられ続けるような容赦ない地獄状態であり、さらにより実用的な抱き枕の改造プランの記述などもありましたが、掲載バージョンは、それら全てを大幅に削除してありますので、安心して閲覧できる内容になっております。
 

・・・いや、タカヒロ・I氏に見せる前の出来がよかったので、ちょっと悔しいかナーって思ってもみたり。
 
 

ところで、この日記でブレイク(報道される)するひとって、たいがい既に、その人の存在自体が人間的にブレイク(こわれる)してるよなあ。
 
 

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2002.01.19 sat「真月・マッキ」
 

ここ数ヶ月の「ヨコハマ買い出し紀行」では、成長したタカヒロやマッキの姿が、読者を驚かせた。

先月・先々月のマッキの成長ぶりには目を見張ったものである。

「なんてイイところで止まっているんだ !!!」と大喜びの諸兄も多いだろう。

微妙というか絶妙な成長を遂げているマッキのつるぺたで微笑ましい体型は、一部マニアからも絶賛されているに違いない。

だが、作中世界の時間は確実に流れていくのだ。今はいい。だが、

「もう後はスレていく一方なのではないか」と心配している諸兄も多いことだろう。
 
 

男の子は、あるとき突然、男性になる。だが、女の子というのは不思議なもので、ちいさいころからずっと女性を持っている。マッキはそういうところが、昔からチラチラと見えていた。

「真月」という、この少女の名には「本物の女性」という意味も持たされているのかもしれない。
人間の少女がひとりも出てこない、今のヨコハマという世界にあって。
 

連載が重ねられた将来、すごい美人になりそうなのが、楽しみでもあり、また恐くもある。
 
 



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2002.01.16 wed「アクセス解析」
 

黒「三ヶ月後! とは言いましたが、結局12月分のアクセス解析をしてみました」

白「よーし、前回のこともあるからな。もう、ちょっとやそっとじゃ驚かないぞ!!」

「じゃあ、逝ってみましょう。「氷竜×炎竜」(やおい)、「耽美系コミック」「男の子 ボンテージ」「子供 半ズボン」・・・」

「ちょっと待て。やっぱ、もういいわ・・・」

「そう? じゃあ切り口を変えて。 「サイザー CG 18禁」「レズビアン雑誌」「ハーメルン 小説 18禁」「バスト93の娘」「プリメ 裸」「不二子 ポリゴン 胸」「プリメ 娘 裸」「メーテル セックス」「サイザー 屈辱」「バニーガール 画像」「処女喪失」「バニーガールのアルバイト」「龍咲 海 本番」「かわいい、絵 ヌード」「乳首 ミサト」「ガーダーベルト」「ボンジュール&イメクラ」「アルファさん ヌード」「伊達公子 裸」「切腹 侍女」「バリカン 奴隷」「スターシャ 乳首」「アシタカ18禁」「成瀬川 なるの18禁」「スタジオジブリ作品 18禁」「触手」「女湯 のぞける」「セイラ 入浴シーン」「おっぱい ベルダンディ」「風でスカートがめくれる」「ベルダンディ 妊娠」「 井上喜久子 バスト」「ベルダンディ、アダルト,CG」「井上喜久子 ヌード」・・・」

「てめえら死ね! 特に最後の方!」

「「メイドくん」とか「スタジオ・ズブリ」とか書いたら引っかかる人もいそうだネ! ではまた来月〜♪」

「これ、まだやるの・・・?」
 
 



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2002.01.14 mon「陰と陽・プラスとマイナス:2」
 

絵のたしなみのない人が、スラスラと筆を走らせる絵描きを見て「魔法のようだ」と驚き、それが「無から有を生み出す」と表現されることがある。

だが、実際のところ、無からは、何も生じることはない。因果律(原因があって結果がある、という科学の基本原則)により、入力のないところから、出力は決して生まれでないのだ。

「無から有を生み出す」という言葉は、厳密には誤りである。
だが、解釈のしようによっては、あながち外れでもなくなることに気がついた。
これを、ちょっと述べてみたいと思う。
 
 

先(1)の日記でも書いたが、人体のライン、光線の加減、大地の起伏など、絵描きの目に入るすべてのプラス・マイナスの情報蓄積が、彼らの内面には横溢している。

その調和した状態を「ゼロ」と呼べないだろうか。

無にして全。それはゼロにみえるがプラス・マイナスの相殺ではなく、双方が調和した状態で、欠けることなく、むしろ相互に作用しながら存在しているのだ。
 

それは、陰陽五行においてこのように表現され、またの名を太極とも言う。
図のような陰50%・陽50%は、つぶしあって合計すればゼロだが、調和して合一すれば数値的にはゼロにして、全である。

「カメラマンや絵描きの目は、普通のものではない」という。
絵描きは、その特別な目で記録した、プラス・マイナスの細密で膨大な調和的情報要素を駆使して、無地の紙上に絵を現出させる。
これを称して「無から有を生み出す」と呼べまいか。

完全な無から、何かを生み出すことはできない。だが、「調和体ゼロから、すべてのものを描き出す」というのであれば、それは的を射た表現であろう。
 
 

ところで、このよく聞く言葉の起源は、神による天地の創造にある。

よく天地の開闢を「神は無から有を産みだした」と表現されるが、これも宇宙を構成する要素、すなわち無限大のプラスエネルギーと、無限大のマイナスエネルギーが、完全に調和した完璧なるゼロという状態を、充分に認識できない人類が無(ゼロ)と勘違いしたのではないか、そう思える。

神は、無から世界を作ったのではなく、莫大なプラス性エネルギーと、膨大なマイナス性エネルギーを、それはもう使いたい放題でこの世界を創造したのだろう。
神は自身の中にある内容、二極の無限大エネルギーで宇宙を作ったのだ。
 

絵を描くもの、芸術を志すものも、クリエイターという立場は神と同じである。

絵描きが自分の内面に、どれだけの要素をもてるかが、神と同じ「創造者」としての絵描きの課題である。
大げさかも知れないが、人間の中に宇宙ほどの要素があれば、絵描きは神になれるのだ。
 

いや、大げさではない。同じことなのだ。

我々は、いまもタブレットとペインターを使って、宇宙を作っているのだから。
 
 





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2002.01.13 holy「陰と陽・プラスとマイナス:1」
 

世界は、プラス(+)とマイナス(−)でできている。
磁極としてのプラス・マイナスではなく、量的な加減という意味でだ。

もちろんこれは世界の一原理でしかないが、タブレットを擦りながら絵を描いていると、とみにそれを感じる。
 

女体ばかりを百枚以上描いてきたが、人体の美しさは、バランスのとれた「ふくらみ(+)」と「くびれ(−)」でできている。
男女の別なく、ゆるやかなふくらみと、美しいくびれ。それが人体を美しく見せている。

それにあたる光線も、然(しか)りである。
明るく照らされる部分と、影となって深みを醸す位置。このプラス・マイナスのコントラストに我々は美を感じる。

音階の上下も、色の濃淡も、物語中の静かな語らいも激しい盛り上がりも、人生の浮きも沈みも、自然にある大地の起伏も、そして宇宙の密と空も、世界はすべて、プラスとマイナスで構成されている。
片方による一方的なものではなく、プラス・マイナスの両者が調和している状態に、我々は自然の美を感じるのだ
 
 

絵描きとは、このプラスとマイナスの調和から発生する美を、いかに表現するかという作業である。
 
 

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2002.01.07 mon「冬の角川アニメ・感想」(正月企画で固めたため、日付が逆転しております)

冬の角川アニメを見に行った。
同時上映4本「あずまんが」「デ・ジ・キャラット」「スレイヤーズ」「サクラ大戦」(上映順)である。
 

「あずまんが5分のために!」と意気投合して、映画友達のmasterpieceさんと見に行ったのだが、アニメ好きな濃い人が来そうな夕方は避けよう、と充分に濃ゆい自分たちを棚上げして昼に映画館へおもむく。

ロビーにいると、白っぽいチノパン、ハーフコート、インナーはネルシャツという服装の青年が、やや前のめりで、一直線に角川アニメの上映劇場に向かって早歩きで次々と突進していく。肩掛けのカバンからは雨よけビニールに保護されたポスター(筒状)が突き出していた。髪は黒く、眼鏡着用。まったく予想通りの客層だった。
 
 
 

以下、感想である。

「あずまんが大王」

どういう事情か分からないが、5分という上映時間だった。
絵はキッチリ描けているものの、全体に勢いがありすぎの感がある。
4月からテレビアニメ化するそうだが、この調子でやっていくのだろうか。
それこそ「おじゃまんが山田君」のような、ちょっと緩めのテンポの方が、この漫画には向いていると思う。
原作のもつ、独特にして上等な「間」は、やはり映像で万民が満足するカタチとして、表現しきれるものではないようだ。どこに落着するか、という問題のようである。

そうこうするうちに、ホントに5分、一本だけのストーリーで、あっという間にエンディングであった。クレジットの声優さんは、パッと見で桑島法子と平松晶子しかわからない。(後日確認したところ、川澄綾子など、けっこう知った人はいたが)

私も、もう年か、と思った。
 
 

「デ・ジ・キャラット」「スレイヤーズ」

初めて見たデジキャラットが「夏のスペシャル」で、それ以来である。劇場の音響が良すぎて、両方の鼓膜を、でじこの声が直接ひっかいているような凄まじい聴き心地だった。本人は「劇場版にょ! 広いにょ! ワイドだにょ〜!」と、フルスクリーンに大喜びだったが、デジキャラット(というか、でじこの喋り)は、悪いが劇場に向かないと思う。

DVD全部持っているというmasterpieceさんは御満悦のようだったが、正直、どこで笑えばいいのか、よく分からない。私も、もう年か。

一方スレイヤーズは、テレビ版のキャラクター主体なので、これも馴染みは少ないが、リナとガウリィの二人に絞り、30分のテレビ枠でリメイクした方がふさわしい程度の内容だったと思うがどうだろう。上映時間が間延びして長いので、もう5〜6発、脚本で笑わせられると思うが、そこまで造り込まれていないあたりに、制作側の妥協を感じた。
 
 

「サクラ大戦・活動写真」

ゲームもテレビアニメも見たことがないので、はじめて接するサクラ大戦である。(DC版サクラ大戦3のオープニング映像だけは以前にみたが)

物語としては、こんどは削りすぎに感じた。
ゲーム自体に歴史があるため、キャラ立ちは申し分ないが、それを見せる演出や、細かなエピソードがなかったように感じる。少なくとも、はじめて見る私には、引っ張り込まれる演出が少なかった。(以下ネタバレ。でも見ても問題ないと思う)

織姫が呪縛をうち払うため自爆するシーンに、ワンカット彼女の表情を入れるだけで感情移入の度合いは跳ね上がっただろうし、音声信号を破る手を紅蘭が見つけるあたりも、対抗兵器の準備も含め伏線は張れたと思う。新キャラのラチェットが、合理主義から花組の情熱に感化されていくシーンも、細やかに、しっかりと描かれればもりあがったろう。これはmasterpieceさんの言だが。

ラストの歌劇による演出は、サクラ大戦のもう一つの極なので削るわけにはいかないと思うが、それでも違和感は大きかった。ゲームプレイの経験者には問題ないのだろうか? あと、ラストの土手をあるくサクラは何だったのだろう。釈然としない。
 

「サクラ大戦・活動写真」には、総じて構成に不満が残った。

それ以外の、個々の力の入りようが際立つだけに残念である。
 

とりわけ、テーマ曲アレンジの素晴らしさを特筆しておこう。これ一曲だけでCDが欲しくなるほどの田中公平世界である。エンディングロールで、演奏者の名前がすべて一行づつクレジットされていたのにも力の入り具合がうかがえた。コンダクターが田中公平氏なのだが、曲を聴く度に、絶好調で指揮棒を振っている様が目に浮かぶ。

キャラクターデザインの松原氏は「女神様」からの信頼もあって、藤島キャラを動かす意味では申し分なく、アクションシーンの作画レベルも、キャリアのあるベテラン声優ぞろいの演技も素晴らしい。だが、ストーリー構成という地金の貧弱さから、それらの効果・高揚感が薄っぺらい。心理描写を丁寧に行い最後の戦闘に雪崩れ込むだけで、確実に記憶に残るような盛り上がる演出効果がクライマックスには発生したはずだったと思う。

現実的な提案としては、いっそ、スレイヤーズを24分にして、サクラ大戦の上映時間を伸ばすべきだったと思うが、決まってしまった制限時間では仕方がない。次回作ができるなら、エンターテイメント+ストーリー重視で進めて欲しいところだ。
 

エンディングの配役を見ながら、サクラ大戦には知ってる声優さんが多かったことを感じる。個人的には、増田ゆきさんがチョイ役で出てて嬉しかった。

しみじみと、横山智佐も、おねえさん声になってしまったなあと思う私は、やはりもう年だろうか。それにしても、知ってる声優さんの数で自分の年を感じるのも、この道の人間独特の感慨だと思う。
 
 

ふりかえって、特に何も残らない映画群だった。あずまんが以外の三作は、事前の知識不足だったせいもある。

だが、一本の映画として勝負する丁寧な造りではなかったのは確かだ。
「こんなものを見に来る濃い口のマニア向け映画としては、いまさらキャラクターを掘り下げる必要など無いだろう」という前提にあぐらをかいている映画だったと思う。
言い換えれば、そういうマニア向きに絞り込まれた娯楽提供だったかもしれない。
 

この物足りなさは、予告編ムービー(10.2MB)を何回もみて、心の中で盛り上がって臨んだせいだろうか。「俺の頭の中のサクラ大戦の方が面白い!」という身の程知らずな精神状態で映画に対してしまったので、感じたところの評価は低い。

だが「期待して見たら期待以上だった!」という映画こそ見る価値があるというものだろう。
 
 

残念ながら「冬の角川アニメ」は、面白いと思えなかった。
だがそれは、もしかすると「はたらくお姉ちゃんカタログ」を不覚にもチェックしてこなかった私が「どこかで出るかも」と井上喜久子さんの声を、上映中ずっと耳で探していたからかもしれない。
 
 




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2002.01.08 tue「正月企画:機動戦士ガンダム」 ※今回もガンダムネタが分からない人には不思議時空です。
 

マッドニュースでも動画でも文芸ネタでも、かならずあるのがガンダムネタである。先日の「機動戦士のんちゃん」は、エヴァも松本零士もあるが、ガンダム色も濃い。つくづく、30代前後の世代に影響力を持っているアニメだなあと実感する。

マッドニュースで「一般うけしない・・・」と思いながらも一番感動したのは「伊達じゃないニュース」だし、動画なら「西にはあるんだ夢の国ンニキニン」という、この言葉の意味が分かる人だけで年代を限定してしまいそうな名前のサイトにある「機動戦士アッガイ」が、パロディとして、GIFアニメとして、とても楽しめた。「Mission4:戦場は荒野」に出てくる、キシリア旗下のニュータイプ部隊予備軍(もしくはムラサメ研究所の前身か?)のある少女が、ドラマに意外な深みを持たせていたのが面白い。

最近みつけた文章ネタは「現代文化総合研究所(ガンダム系アミューズメントパーク)」「Gキャラ名鑑」。最近という割りに、けっこう昔からあるネタらしいが。これもマッドニュースに近い面白さがある。この完璧以上のキャスティングで脳内アフレコすると、かなり恐ろしいことになる。

これをはじめ、ガンダムネタの文芸はたくさんある。だが、その中で一番おもしろいと思うのは、いまだに「月組公演:機動戦士ガンダム(ああ麗しの宝塚シリーズ)」だろうか。
 
 

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2002.01.06 holy「正月企画:GIFアニメ」
 

(注:今回もメガ単位のファイルが多いので通信環境、PCの処理速度などに難のある方は、時間と、フリーズ時の備えとしてファイル保存などの確保をしておきましょう)

前回はフラッシュの紹介をした。画像そのものを移動させて効果を生んでいるフラッシュの長所は、やはりカラーであってもデータが軽いことだろう。ソフトのバージョンアップを機に、一気に普及した。

その一方で、昔からある動画スタイルが、GIFアニメである。
原理は簡単で、GIF画像を一枚ずつ切り替えていくのが基本だ。

「やさしいおいしゃさん」

あたりがわかりやすいと思う。

描き手が「絵を動かせる」能力者だと「KYMG」「宇宙人対人間」のような凄い見せ方ができる。「マッチ売りの少女」もたいがい凄かった。
コンピュータ版のパラパラ漫画だが、描画能力があると、ここまでできるのだ。

GIFアニメは、フラッシュが画像そのものを移動させたり効果をつけたりしているのに対し、フルアニメである。
一枚一枚の画質を極限まで落とし、ぎゅんぎゅん絵を動かす。人間が、動画のタイミングをとってコマの構図を決めているので、基本的にアプリケーションに操作させているフラッシュと違い、動きがとても生々しい。よくできた作品は、昔のアニメ番組に似たテイストで、生物感のある動きを見せる。

で、その極めつけが

「機動戦士のんちゃん(QuickTimeストリーミング版)」

である。

有名な作品なので知っている方も多いとは思うが、ガンダム・マクロスでアニメに落ちて、一度は足を洗ったのに、エヴァをきっかけに復帰した人には実にうれしいGIFアニメだ。作画監督の名前を取って「板野サーカス」と呼ばれる異常に良く動く「超時空要塞マクロス」の戦闘シーンに感動し、なんどもコマ送りでオープニングのバルキリー変形や、推進剤の白煙を引いて蜘蛛の子のように飛ぶミサイル群と、それに対し熱源体をデコイに、錐揉みしながら回避するマックス機の作画に心躍らせた世代にはたまらないだろう。

「荒らし」とクラッキングの攻防を、パロディによる戦闘イメージで描いた大作だが、それにしても、個人でここまでやるとは、驚嘆の一語に尽きる。過去に見た劇場・OVA・テレビアニメを含めても、コマ送りで見直したアニメなど、実に久しぶりだ。
 

ちなみにここの原作サイトは「活動漫画館」で、古い作品から見ていくと、GIFアニメの腕がメキメキ上がっていくのが見て取れる。のんちゃんの技「酔拳」の原点などもあって「ああ、なるほど」という感じだ。
 

エヴァの次回予告で使われていたBGMで、ごく短時間にものすごいフレームが流れていく「第五話 OSクラッシャー」 これだけでも、いったい何回みただろう。

こうまで見事にアニメーションされると、さすがにうらやましいと思ってしまう。
個人の趣味でここまでできるのも、たいへんな才能だ。
 

ところでこのGIFアニメの作者は、ブラウザクラッシャーを喰らったことがあるそうだ。しかし、マックOSXが重すぎて、ブラウザが無限展開する前に楽々落とせたという話である。マックユーザーには親近感が持てすぎて、いっそ涙を誘う。
 
 




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2002.01.03 thu「正月企画:FLASH・フラッシュ」
 

(注:今回のリンク先は、メガ単位のファイルばかりなので通信環境、PCの処理速度などに難のある方は、時間と、フリーズ時の備えとしてファイル保存などの確保をしておきましょう)

黒天野「最近、FLASHという動画処理アプリのコンテンツをよくみかけます」

白天野「あちこちのNEWSサイトで紹介されてるしな」

「そのなかでも有名なのが、『つきのはしずく』でしょう!」

「これは本当に驚いた。センスに寄るところは大きいけど、個人でアニメが作れる時代になったと思ったね」

「他におすすめなのが、『プラネテス』のフラッシュ版。原作のコミックがホントにいい話ばかりで、宇宙開発ロマンが好きな人間にとっての傑作」

「まあ、これはやっぱり原作読んだ方が面白いけどね」

「あと井上喜久子さんの出てる『しまじろうとはなそう(ぼくのおかあさん)』(http://www.benesse.co.jp/shimajiro/secret/mother.html)!」

「ああっ もうトラでもなんでもイイ!!」

「リンクしようと思ったけど、ベネッセさんの方で『リンクを張ったホームページでの活動は、当社が許諾した目的にふさわしい範囲内で行うようにしてください』とあるので、絶対無理!!

「井上喜久子さんのコメント「もう、8年近くになる、一番ながいレギュラー役『しましまとらのしまじろう』のお母さんは、今一番自然に出来る役だなと思っています」だそうです」

「声優さんといえば、男声で一番好きな大塚明夫さんの声がカッコイイ『ブラックジャック』!」

「やっぱりブラックジャックはこの人しかいないね」

「でもこのフラッシュ、宇多田ヒカルの声が、寒疣(さぶいぼ)ものだけどな」

「ピノコは水谷優子だろう。代われ代われ。なに考えてるんだ手塚プロ」

「でもやっぱり個人の手作り感がいいよね、フラッシュは」

「じゃあ『マジカルかぼすちゃん』

「ま〜じ〜か〜る〜仕込み杖〜♪」

「私はこれで「よだきい」という方言を覚えた」

「海外でスゴイのが『小小作品』のシリーズ」

「タイムクライシスみたいな『小小特警(No.4)』も素晴らしかったけど『No.3』!」

「こんな棒っきれみたいな人物なのに、ものすごくカッコイイ」

「動きも、なんか「わかってる男が作った」という感じだなあ」

「あと『偽プロジェクトX』

「現実の事態が収拾したら、ほんとにエヌエイチケイ(検索回避)でやってくれないだろうか」

「この『ボクとナイフ』、とても訴えるものがある。ちょっと演出が美しすぎるけど」

「曲の『甘き死よ、来たれ』が効果的だった」「劇場版エヴァの挿入歌な」

「さっきの小小作品とは、たぶん違うけど、『カンフーゲーム』もある」

「ゲームと言えば『エアホッケー』

「これ面白かった。『リフレクション』

「正月休みの暇な時期(一部除く)にどうぞ」

「あ! あとこれ『鼻毛抜き』のゲーム!」

「・・・・」

「これ、最高!!」

「・・・おい」

「しばらく放っておくと、どんどん鼻毛が伸びてくるんだけど、それをあえて我慢する切なさ!」

「・・・ちょっと」

「つまんで抜けるかどうかギリギリのところで、あえてじらしながら、左右にひっぱるこの不愉快な快感!」

「まてまて、今回は正月企画だし、あんま下品なネタ出すな!」

「ふーん、そんなこと言って高尚な御趣味のふりをしてるけど、お気に入りの中にある『おっぱい占い』なんかはどうなんだ」

う・・・っ 自分だって『はずきちゃん・タップで変身』やりながら大喜びだったくせしやがって!」

「なんだと! 好きなんだからしょうがないだろう!! ちなみにこっちでやるとソレ専用感が強まって、心に沁みるダメ感覚もアップするネ! いや、それはおいといて・・・。くそ! 言いたいこと言いやがって! おまいが『死ね氏ねフラッシュ』ききながら『人が虫螻のようだゲーム』(ダウンロード後にIEで開くのが吉)やってる様子、ライブカメラで流してやろうか! しかも正月っから、逃げた犬まで丁寧に焼いてんじゃねえ! 人間性疑われるぞ、ホントの話が!」

「うるせえ! できもしねえこと語ってんじゃねえぞ、『ホモちゃん』みて森永乳業のネーミングセンスに失笑してた奴が!」

『衆議院議員鈴木宗男』見ながら、どこからギャグになるかずっと待ってた人に言われたくねえ!」

「く・・・っ」

「この・・・」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・やめよう、なんか不毛だ」

「かさぶた剥がし合ってるだけだもんな・・・」

「まあ、ほかにもビンラディンを扱った不謹慎なゲームとか山ほどあるけど、そのへんの紹介はやめておこう」

「政治ネタとか、あと2chネタもやめておきます」

「やっぱりフラッシュは「つきのはしずく」みたいな芸術的なものとか、単純に笑えるものがイイですな」

「そうだな、不謹慎なのはやめよう」

「でも」

「でも?」

「コレ(Lemax「にこぷん」)で一番笑ったんだろう?
 
 







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2002.01.01 tue「正月企画:マッドニュース」
 

(※ 正月企画:正月は時間があまってしょうがないという人(人類のごく一部)に送る、全部みるのにはかなり時間がかかるであろう、よそのネタへのリンク集。もしくは、無職なのに正月は忙しい天野が、苦し紛れに日記を埋めるための企画。)
 

ニュースというのは、局によって多少解釈の異なる場合もあるが、おおむね信用できるものであり、娯楽が主である放送文化の中では、ごく真面目な信頼すべき番組である。

ところで、こんなニュースがある。

 「極上本マグロ」
 

初めて聞いた人は驚いたかもしれないが、マッドニュースである。
だいたいお察しのこと思うが、ニュースの音声をつぎはぎして作られた物で、インターネットでは良く転がっている。
何を今ごろと思うかも知れないが、これをはじめて聞いたときは、こんな世界があることにビックリした。

探せばいくらでもある。
 

「箱の中身はなんじゃろな選手権」

「大相撲九州場所」

「北酒場」

「ローズ選手」

「ハットリくん」

「我慢」

「村民投票」愛と炎のものBEAN

「体育の日」

「ブスにあだ名」愛と炎のものBEAN

「スポーツ」愛と炎のものBEAN

「ラムネ工場」

「ロシアの警報とオリンピック」

「猥歌」

「死刑死刑死刑」

「遺伝子組み替え」

「ノーベル賞」

「中学生爆発」

「ものすごい大相撲」
 
 

これだけあると、もう、さすがに突っ込みきれない。

半分ほど間違いなく無編集のものもあるが、これはそういうラジオ番組の企画だったらしい。

文芸では、こちら(やゆよ記念財団)の方が面白いが、真面目に語られるという音声の破壊力がマッドニュースにはある。
落語や漫才では「笑わせる方が笑ってはいけない」という鉄則があるが、語り演じる方が真面目であるほど、聞き手は面白いのだ。
 

ざっとネットを検索しただけでも、企画のもの自作のものと、マッドニュースはたくさんあったが、個人的には

「原田大ジャンプ」

が一番おもしろかった。
 

しかし極めつけは、やはり

「花火」

だと思う。
 
 
 

※ 今回の正月企画のリンクは、基本的にリンクフリーのサイトから引っ張っています。先方とのリンクはいつ切れるかわかりませんから、気に入ったネタはダウンロードしておきましょう。一年もしたら、リンクほとんど切れてると思います(うちのプロバイダーはそろそろ容量限界なので、ファイルを置きません)
 
 


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