2001.05.05 sat : オフ会日記
  「今回のオフ会は無理を言って休んだし、前日くらいはきちんと疲れをとっておこうと思って、定時は09:30
  〜18:30のところを、19:20に仕事の切り上げに成功しました」
  その男(書店店長)は、誇らしげにそう語った。
  いつもは夜10時や11時まで仕事に拘束されているというのに、これはすごいことだ。
  だが、その表情に、一瞬だけ無常の風が吹いた。彼は、思わずつぶやいた。
  「そりゃあ、まあ朝6時から働いてりゃあね・・・」 
  
  2001年 5月3日(木)、天野が普段おせわになっている「Private Garege」と、実はあまり面識のない「GARAGE 355」の合同オフ会が、355サイトオーナーである水谷さん邸で行われた。
  ともに「ヨコハマ買い出し紀行」を愛するネットワーカーの集まりである。実に17人が一堂に会するというヨコハマ・オフ会としては前代未聞の人数となった。俗に第二期(第二次開設期?)と呼ばれるヨコハマサイトの、そのスジの有名人があつまったのである。
  その有様を、実に久しぶりに日記を書く天野が、あますところなく、ていうか「ありもしなかったこと」とか「なかったことにしてくださいと言われた内容」までも
  必要以上に、くどく味付けして、ここに贈るものである。 
  
  題して
  「ク、クマがみごとな後方回し蹴りを!? 
    
   ああ、ご近所の通行人がジロジロ変な目で見ていくけど、ごめんね水谷さん」オフ会
  
  注1:正直もうしあげまして、初対面である355メンバーの性格をつかみきれなかったので、今回の内容は天野の印象のまんまです。 
  メモを取ってはいましたが、どういう背景をもつ誰が何を言ったのか、明確に分かりませんので、発言者は不特定になっています。 
  ここに記載された内容には、本来無かった会話もあるかも知れません。 
  ですが、天野の中ではありました。つまりこれは、オフ会で飛び交った発言、事象、そしてそれを受けて天野のこころが発した残酷なツッコミや、罪のないボケの記録集です。
  
  注2:毎度のことですが、事の真偽を問うのは不毛です。
  「これ、全部本当のことなんですか?」
  と訊いても
  「ウソです」
  と全員が口を揃えて言いますから。 
  
  
参考資料:参加メンバー(順適当)
以下、ハンドルネーム(管理サイト名) 
  
マンデリンさん(Private Garege)
COBRAさん
KAZZさん
タカヒロ・Iさん(喫茶α)
水緒さん
ザナさん(X 2 U)
天野(夜想曲)
みずにーさん(GARAGE 355)
YUKAさん
HAYさん(成層圏)
風さん(北摂商会有○会社)
綾瀬さん(てろてろちぇーん店サポートページ)
月夜見さん(LUNA)
ネモ船長(喫茶室「夕凪」)
キャシーさん
Holmes金谷さん(仮想都市「時風市」)
ばくさんのかばんさん(ひろしの部屋)
  
  そのスジの有名人というと、本来はずせないのが「ちょろぼヨコハマ」のmasterpieceさんだが、彼は、いまはインドに行っているので参加できず。その前は火星にいたらしい。あの知的な人物がシステムまで作って宣言しているのだからそうなのだろう。信じるしかあるまい。お土産に「ガンジスのなんだかスゴイ水(成分無調整)」あたりを持ってきて欲しいところだ。ところでインド洋のクラゲはカレー味と聞くが本当だろうか。まあいいやそんなことは。以前のオフ会日記で、彼の活躍の良いところを、天野がまるで書かなかったことを気に病んでいるという説もすこし有力。
  その一方で、信用できる情報筋によると、彼がこのオフ会を密かに狙っているとゆー怪情報もある。
  とりあえずこの日記が「ヨコハマ買い出し紀行オフ会参加者 謎の爆死」という新聞記事よりも先に出ていれば、それは杞憂だったということになるだろう。
  そしてロメオさん。最近会って、心からいろいろ心配してくださったありがたき理解者である。
  彼にぜひビデオの記録・編集をしてもらいたかったが、仕事で参加できず。残念。ところで、わたしの歌声は宇宙を救ったのでしょうか?
  後述するKamasuさん、最近結婚したTDMさん、会おう会おうと思いつつも、お互い殺人スケジュールに忙殺されている忙しい湖さんなど、ヨコハマゆかりの知人にも会いたかったが、これはまたいつか実現したい。
  
  めずらしく興奮して迎えた出発の朝。迎えに来てくれたマンデリンさんに挨拶し、高速で一路、名古屋市天白区へ我々は向かった。
  水谷邸の庭にターフをはってのバーベキューである。本来は河原で行う予定だったが、爆弾が埋まっているために 雨のためこのように。
  しかし、朝こそ降っていたが、昼には快晴となった。気持ちの良い、オフ会日和だ。
  「日頃の行いだね」
  とCOBRAさんが、満足げに言う。オフ会参加者へのさりげない賛美である。
  「もしくは奇跡だ」
  日頃の行いに自信のない何人かが、心で呟いていた。 
  
  「狩ってきます」
  「逝ってらっしゃい」
  バーベキューの買い出し部隊を送り出す。 
  残留組はやることがない。 誰が誰だか分からないので、名札をネモ船長が用意した。
  マジックで名前を書きながら、道路に面したところで、買い出し部隊の到着を何となく待つ。
  傍目にも異様な集団だったのだろう。通行人からはけげんな顔でみられていた。
  北海道からきた金谷さんが名古屋の熱にやられて辛そうである。天気は上々だ。
  
  やがて買い出し部隊が帰還した。 
  バーベキューのはずが、問答無用でとんちゃんである。味を知っている者、もしくは当日記で読んだ者に、文句のあろうはずがない。
  マンデリンさんが手際よく食材を切り分け、綾瀬さんと鉄板で焼く。 
  味の染みたとんちゃんに、その味を知っているメンバーが群がりだした。 
  食事がはじまる。
  「はい、とんちゃんできたよ」 
  「ああ、懐かしい味」 
  「こっちのホットプレート、焼き肉やけてます」 
  「ソーセージください」 
  「あ、なんでCOBRAさんだけ、ビール!?」 
  「金谷さんもどうぞ」 
  「名古屋くんだりまで来て、なぜ「北海道生絞りビール」なんだ」 
  「わたし長崎まで行って、コンビニでカップの「長崎チャンポン」たべたことがあります」
  「札幌から962キロかあ」 
  「何ですか、金谷さん。とつぜんに」「思えば遠くへきたもんだって顔で」 
  「ごはんもあるよ」 
  「水谷さんちでやって良かったなあ。何でも出てくる。」 
  「ごはん・・・」 
  「・・・・・」 
  「・・・・・」 
  「・・・・・」 
  「いま、誰もが一瞬「あ〜る」のネタを考えたのが、空気で分かったぞ」 
  「水谷さん、醤油ある?」 
  「水谷さん、コショウある?」 
  「水谷さん、イチゴジャムある?」 
  「・・・・・」 
  「・・・・・」 
  「・・・え?」 
  「ああ、ホントに持ってきたよ、イチゴジャム」 
  「いま、誰もが一瞬「名雪」のネタを考えたのが、空気で分かったぞ」 
  「イチゴジャムがあれば、御飯三杯はいけるよ〜」 
  「あ」「誰か不用意な発言したぞ」「ザナさんだ」「ピンチが似合う男だなあ」 
  「ほかほか御飯に、イチゴジャムです。どうぞ」 
  「せめてショウガ御飯の方が・・・」 
  「いや、しかし遠くからこうやってみると、ヴィジュアル的には筋子の醤油漬けみたいだな」
  「おいしそうだね」 
  「食べない奴が無責任なこと言うな」 
  「だから、なんでザナさん平気な顔してたべているの?」 
  「横で試しに食べてみた水緒さんが、味のある表情している・・・」 
  「これって、むしろジャムが無くなったときの方がキツいですよ」「不思議なもんだなあ」
  「ジャムだけ食べ終わってしまった。おかずがないな。あ、マヨネーズ」 
  「うわ、こいつマヨラーだ」「そういや大橋ツヨシのマンガで、弁当箱にマヨネーズと醤油のパックが着いてたから、おかずは何だろうと楽しみにしていたらマヨネーズ醤油ごはんだったって話があったな」
  「とんちゃん終了しました〜」 
  「続いて、うどんはいりまーす」 
  「うどんインストールしまーす」 
  「えー、この世界では、インストールというのは「ストールにくるまる」ことを言います」
  「ストールによる保温性よりも、萌えによる発熱の方が効果的という」 
  「マンデリンさんなんかは、もう完全にフル・インストールですよ」 
  「ある意味、カスタム・インストールかもしれませんけど」 
  「焼き肉とか、ソーセージとか、ホタテとか、ネモ船長が大活躍です」 
  「ホットプレートの前に座ってるからなあ」「すみませんね」 
  「ホットプレートで、つぎはタマゴ焼きましょう」 
  「コショウをパッパパ〜♪」 
  「へーちよ」 
  「へーちよ」 
  「誰だいま、そのクシャミしたやつ」 
  「あ、この最後にタマゴっていうの、スッキリして良いな」「セミっぽくない?」 
  「しかし、ここ水谷さんの家の庭ですよね」 
  「こんなに騒いで大丈夫かな」「やかましい上に会話の内容、けっこう尋常じゃないですよ」
  「今日は家族の方は?」 
  「いまは誰もいませんよ」「お出かけですか」 
  「・・・・今日は、お父さんもお母さんも、誰もいないの・・・」 
  「・・・・」 
  「・・・・」 
  「うわー・・・」 
  「そういう状況だったのか」
  健やかなるオタクの会話が、盛り上がりながら延々と続く。古いパソコンの話、携帯電話の待ち受け画面自慢、マッドテープ談義、パラシュートやクマの話などなど。こういうときにする話は、脈絡こそないが、とてもおもしろい。
  「「防衛戦隊・自衛官」というのがありまして」 
  「ホントに脈絡がないな」「いわゆる戦隊モノ?」 
  「陸上グリーン!」 
  「海上ホワイト!」 
  「航空ブルー!」 
  「3人かい」「サンバルカンか」「すると主題歌は「愛国戦隊ダイニッポン」が流用できるな」「したくないけどな」
  「主戦力は、90式戦車と、イージス艦「こんごう」と、F15が合体します」 
  「防衛ロボ、発進!」
  

  +
  
  +
   
↓
 
 イメージ映像 
   (BGM:渡辺宙明)
「ちょっと待て」「いや、俺は好きだがな」「こうでないと人は入れなし」「天野さん、ちゃんと絵かいて」「うう、あした会議なのに」
  
  
↓ 
   
「縮尺が合わないぞ」「中に入るおっさん、つらいだろうな」「変形合体の発想が小学生ウエポンだ」
  「ドリルは!? ドリルはないんですか!?」「これで空が飛べたら空軍の根性だな」「根性の問題か?」「どうでもいいけど、高価そうなロボット・・・」
  「これで日本の平和を守るのだ」「そう、ガキがイジメこいてたり主婦が売春したりサラリーマンがサギ商法したり政治家が私腹を肥やしたりするような平和な社会を護るのだ」
  「当然、作戦行動においても、一歩進むのには、閣議決定が必要です」
  「隊長! 右足前進の閣議決定が降りました!」「よし、次は左足だ!」
  「30分の番組枠だと、何歩あるける?」「総理大臣がゴルフ場から帰ってこないため閣議が遅れ、日本は壊滅しま」「危ない危ない」
  「それよか、予算の方が心配だ」
  「隊長! 予算が尽きました! 今後の軍事行動は、すべて来年になります!」「こんな非常口マークみたいな姿勢で、年が越せるか! 官邸に追加予算を申請しろ!」
  「ダメです! これ以上は防衛予算GNP1%を突破してしまいます!」「海自だ! 海自の人件費が高すぎる! 90式のように3人にしろ!」「イージス艦を3人で操艦するのはちょっと・・・」「F15なんか一人だぞ、一人!」
  「こんなロボットやだなあ」「雪像つくるのには使えそうだけど」「このロボットでアンパンマンつくるのか」
  「専守防衛用だからって、相手の攻撃まってたら、ぜったいやられるぞ」「敵の弾頭を「よける」閣議決定が必要だからな」
  「現場の判断で、先手を打つしかない」「攻撃は最大の防御なので、この攻撃は専守防衛です」
  「いいのか、その論法で」
  いろんな意味でヤバくなってきたので、この話題は強制終了した。そして食事も終了する。
  「水谷さん、名古屋ってゴミの分別きびしいんですよね?」 
  「そう、燃えるゴミ、燃えないゴミ、生ゴミ・・・」 
  「燃え尽き症候群の私はどちらでしょう」 
  「このKeyフェアのチラシは、萌えるゴミです」 
  「こちらは萌えなくなったゴミです」 
  「アキバにおいとくと萌える場合があります」 
  「萌〜える漢のほ〜、赤いトラクタ〜♪」 
  「萌やせー萌やせー真っ赤に萌やせ〜♪」 
  「萌えあがーれー萌えあがーれー萌えあがーれーガンダム(↓)♪」 
  「終わるな」
  どいつもこいつもどこまでもオタクだった。
  今までのオフ会でも、かなりオタクのパーセンテージがマニアっていたが、人数が倍になったというのに、薄まりもしない。
  「人生に致命的なエラーが発生しました」
  とかゆーダイアログが、ひっきりなしに出そうなオフ会である。 
  
  食後のひととき、水谷さんが自慢のバイオリンを二つ、披露してくださった。
  水谷さんは、5才のころからバイオリンをはじめている。さすがに上手い。
  バイオリン演奏を生でソロで近距離で聴くのは、本当に久しぶりである。 
  ハッキリ言って月琴がかすむ。
  水谷さんは、二台のバイオリンで、交互に曲を弾いてくれた。
  ひとつは「もみじバイオリン」コンサートマスターに就任した際に特注した品で、赤いニスを使っているため、紅葉のような鮮やかな赤である。「通常のザクの3倍、音が飛びます」とゆーギャグなど誰も口に出来ないくらいの、素晴らしいバイオリンだった。
  これで一曲。続いて「2000年バイオリン」
  この楽器は、2000年にクレモナで行われる「マイスターコンクール」に出品するために製作された一台である。しかし書類の不備により日の目を見なかった幻の一品だ。「ミの音でミサイルが出るはずです」とゆーギャグなど「ハーメルンのバイオリン弾き」を読んでいる天野以外に、誰も思いつかないくらいの、素晴らしいバイオリンだった。
  これでも、さらりと一曲。素人でも、腕と器の良さが分かる。
  誰もが聴き入り、ややあって、聴衆から口々に感想がもれた。
  「おお」 
  「すごい」 
  「タキシード着て弾いたら似合いそう」「この際、燕尾服で」「新内閣発足したし」
  「で、ミカン箱の上に立って弾けば完璧ですネ!」「何がだ」 
  「マスクを着けてタキシード仮面に」「懐かしいな、おい」 
  「ごめんね〜、素直じゃなくって〜♪」 
  「歌うな」 
  「あとはマント羽織って、できればコントラバスか何かをかついでください」「ハーメルンかい」「2000年バイオリンの立場が無え」
  「もしくは薔薇を一輪、口にくわえて・・・」「電柱のてっぺんに、腕を組んで立つ、と」
  
 
(イメージ映像)
  
  「落ちたら死ぬなあ」「うん、落ちたら死ぬ」
  「サイドカーに乗って、赤いギターを背負って登場するのも基本です」 
  「電流〜火花が、身体をはし〜る〜♪」 
  「だから歌うな」
  最終的に、バイオリン自体の話題はまったく生き残らなかった。
  水谷さんの演奏も、そのバイオリンも素晴らしかったが、聴く方の脳に問題があったのが、不幸といえば不幸である。 
  「屋根の上で弾く」とかいった一般的な話題がまったく出ないあたりに、いまさらながら文化の違いを感じた。
  この後、私やマンデリンさんや、水緒さんが月琴披露する。 
  水緒さんはさすがにうまかった。 
  
  続いて、おみやげのオークションである。 
  なにせ人が多いので、個人的な約束でのおみやげ交換以外は、全員に配れるような複数アイテムが出品された。これを希望者がいただいていくのだ。
  「はい、ではまず「Air」の絶対売れないトレカ!」「通常のトレカの9倍の大きさです」「なんで素直に下敷きって言わんのかな」「ソフトガレージ(カードの製作会社)さん〜、これ売れないよ〜」
  「ヤフーオークションで7000円の値が付いた「かのうぉ」!」 
  「そのまま右から左へ流せば、と考えるヒトは、ここにはいないと思って出品しました」「大切にしましょう」
  「「ラブひな」のレジャーシート!」 
  「これ敷物にするには小さいけど、職場の駐車場とかで車のサンシェードに使えるな。」
  「使ったら最後だけどな・・・。色々な意味で」 
  「さっきCOBRAさんも飲んでた「北海道生絞り(ビール)」!」 
  「電車のひと!」 
  「もしくは飲んでも酔わずに運転できるひと!」 
  「だめだって」 
  「ザナさんの書いた守護月天のイラスト! 名札の裏に書いたやつ! 30円から!」
  「ヒトの落書き、勝手にオークションするな! しかも安い!」 
  「20円」 
  「下がってどうする」 
  「チバラギから運んできた「マックスコーヒー」! 今回はカートンで用意しました!」
  「・・・・」 
  「・・・・」 
  「・・・・」 
  「なぜ止まる」 
  「幻の品ですが?」 
  「カートンで現存するアイテムを幻とはいわん」「東海地方では幻だけどね」 
  「じゃあ、10個がノルマだ」 
  「すると家に持って帰って「リボンのマックスコーヒーの店」?」「今年は豊作みたいッスね」
  「実用に一本、観賞用に一本、保存用に一本」 
  「ブリスターパックつけてください」 
  「これも出しましょう! 私(ネモ船長)の持ってきた「大合作1」のスクラップ!」
  「うわ、これは真剣に幻ですよ」 
  「ラリ−の乳首」 
  「文化遺産に近い」 
  「シンイチパーンチ!」 
  「非常に高度な歴史資料です」 
  「オメガーッ」 
  「というわけで、スキャナー持ってるひと〜?」 
  「水谷さんが取り込んで、後にアクロバットで配るそうです」 
  「いいのか?」 
  「しかし、こう端から見ると、グッズに群がる亡者の軍団だな」 
  「ダメ人間コンテストも佳境に入ってまいりました・・・」 
  「さっき帰ってみえた水谷さんの母君とYUKAさんの、非ダメ人間の視線が痛いような気もするなあ」
  
  その痛さもキモチよくって不思議な感じ♪ でもないが、この時間は本当に楽しかった。
  おりしも、こんな日に模擬試験を受けているとゆー、彼の先祖のいったいどんな過ちを償っているのかと疑うような運の悪いKamasuさんから入電があった。
  次回のオフ会にはぜひ参加してもらいたいものである。 
  
  「次のオフか」 
  「飛騨はともかく、聖地(ヨコハマ)・ここ(名古屋)と来たから次は関西かな?」
  「台風の予想進路みたいだな。逆だけど」 
  「そのままいくと、そのうち台湾か、ミャンマーあたりでオフ会?」 
  「いや、名古屋から、なんとか北へ進路修正して、また飛騨へ」 
  「そのまま20年したら北朝鮮あたりでオフ会が」 
  「ある意味、夢のようだな」「うん、夢のようだ」「小説のようだと言うべきかもしれんがな」 
  
  そうこうするうちに日が落ちてきた。 
  しかし、これだけのメンツがあつまる機会はそうそうありはしない。ぜひ記念撮影をしておこう、ということで庭を出て駐車場へ向かう。
  途中、水谷さんのスポーツサイクルがあった。
  「轟天号だな」 
  「何の迷いもなく、誰もがそう言うなあ」 
  「で、どのボタンでロボットに変形するんですか」 
  「あ〜るって、ホントに共通の文化だよ」「うる星やつらで生まれた莫大なマニアのすそ野が、ほとんど直結してるしな」
  あるていどのテンションをもったマニアの集団は、もう何を見ても、そっちの話題がつきない。
  したがって、スケジュールが進行しないのだ。 
  そうこうするうちに、光量不足寸前の日照環境になり、あわてて撮影する。 
  
  
 
比較的まともな記念写真
  
  その後、サイト上で並々ならぬ投入ぶりが見える水谷さんのアルピナを拝見する。ボンネットを開けてのエンジン披露だ。KAZZさんのレガシィもすごい。何がどうすごいのか私にはよくわからなかったが、両者とも車を愛していることだけは、よくわかる。エンジンまでピカピカとゆーのは、やはりちょっとスゴイ。
  
  やがて日が落ちた。残照の中、宿泊でないメンバーが、散っていく。
  「ばくさんのかばんさん、ご帰還です」 
  「特に理由はないけど、みんなで万歳して送り出そう」 
  「ばんざーい」 
  「ばんざーい」 
  「そおれ、生徒会長もお見送りじゃ!!」 
  「ばんざーい」 
  「はなして! はなしてくださいっ!!」 
  「ばんざーい」 
  「ばんざーい」 
  
  関西組も帰る。トイレに行ってたザナさんが、意図的に置いて行かれた。
  「ザナさん、車を走って追いかけてるよ・・・」 
  「風さんが、ギリギリ追いつけないヤなスピードで走ってるぞ」 
  「うわー、ピンチ似合うなあ」 
  「オモチャの至言だ」 
  「ばんざーい」 
  「ばんざーい」 
  
  やがて、飛騨勢も出発する。COBRAさんとKAZZさん、水緒さんはマンデリンさん宅へお泊まりなので、タカヒロ・Iさんと天野とゆープラガレのいつものメンバーで国道22号を飛騨へ向かった。
  名古屋駅で綾瀬さんを降ろしたころは、すでに8時近い。 
  途中で御飯となった。
  「肉まんか、アイスクリームか、タイヤキか、イチゴサンデーか、ハンバーグか、そうめんか、ラーメンセットか、カツカレーか、牛丼だな・・・」
  選択肢は完全に限られていた。
  KEYの新作が出るまではこのままだろう。 
  
  とりあえず牛丼に決定する。私とKAZZさんがいるので仕方がない。 
  道沿いの吉野屋に寄った。
  「牛丼並」 
  「牛丼大盛り」 
  「牛丼特盛り」 
  「牛丼並に御飯つけて、つゆだくで」 
  「御飯、つゆだくで」 
  「牛丼並、汗だくで」
  紅ショウガをつつきながら、ここでもONEか、Kanonか、Airの話である。
  それしかでないのだから仕方がない。
  「前から思っていたんですけど、みさき先輩の胃袋は、やはり四次元空間につながっているのではないかと・・・」
  「あれだけの薬瓶が収納されているのに、風でスカートがめくれると言うことは、やはり栞のポケットは四次元モノなのでしょう」
  「あゆに謎ジャム喰わせたらショックで目が醒めるんじゃないかと、CD聴いてて思いました(ネタバレにつき文字色変換してあります)」
  マンデリンさんは、いつもの特殊な食べ方で、ドンブリものをおかずに御飯を食べている。
  とんちゃんのボリュームをいただいたあとでも、牛丼は美味しかった。 
  舞の絵を描くために一人で吉牛を食べたことがあるが、空腹だったのに、これほど美味くはなかったと思う。舞シナリオで一緒に泣いたKAZZさんがとなりにいるからだろうか。
  あとから気がついて死ぬほど後悔したのだが、KAZZさんと「友情の証しに」と牛丼の肉交換できなかったのが残念だった。
  
  自宅まで送ってもらい、私はここでお別れになる。残りのメンバーは、これからマンデリンさんの家で二次オフ会だ。
  夏の再会を約して、マンデリンさんのミニバンと、KAZZさんのレガシィを見送る。
  この春に、マンデリンさんが事故にあったことを思い出した。 
  彼の愛車、・・・こうよべるならこれほどの愛車はあるまい・・・、であるAA63カリーナが、事故に遭遇し、廃車になってしまったのだ。
  私は、彼の悲しみが、まったく分からなかった。
  私は、彼ほど車を愛していないし、私は、彼ほど車を愛している人間を知らないからだ。
  そこまで愛した者にしか、それを失った悲しみはわからない。 
  私にとってその悲しみは、想像を絶していた。 
  
  この報を聞いたのは、彼が無事に生還してからだったが、それだけに、何もできなかったことが残念だった。
  この事故があったのが、東京。マンデリンさんの危機に駆けつけ、往復1000キロもの送迎を一夜で果たしたのがKAZZさんである。
  俺がやらなけりゃ、という使命感しか無かった、と彼は言っていた。 
  これが、本当にありがたかった。
  マンデリンさんに世話になったことがある、彼を友として慕っている多くの人間がいるだろう。だが、その自分たちは、彼がもっとも打ちのめされているときに、何もできなかった。
  KAZZさんに、我々は心から感謝している。一度、直接あって礼を言いたかったのだ。
  「ありがとう」
  水谷邸で、マンデリンさんのいないところで、深い感謝をこめて、握手した。
  「よく、私たちの代わりにマンデリンさんを助けてくれた」 
  
  青いレガシィが去っていく。
  自慢も気取りもしない立派な主を乗せた、その低いエンジン音だけが、誇らしげに響いていた。
  
  
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