2000.03.29 wed ・ 2000.03.30 thu ・2000.03.31fri

「あなたの値段を鑑定します」というホームページがある。
いくつかの質問に答える形式で、その結果をもとに被験者の値段を割り出すしくみだ。
私がはじめて(CGIに)鑑定をしてもらったのが、1998年の12月頃だった。
このときのログによると、

(1998年12月の)天野拓美さんの値段鑑定結果
天野拓美さんの価値は1億1280万3480円です(階級は「ピカソ級」です)
なお、この階級は42階級のうち5位です
内訳  値段      割合(%)
心  2919万9509円 25.8
才能 1965万7119円 17.4
境遇 1899万1230円 16.8
人徳 2757万5719円 24.4
運  1737万9900 円 15.6
合計:1億1280万3480円

論評
あなたがもっている最も高い財産は「心」です。多くの人に愛を与え、思いやりにあふれるあなたの行動はきっと多くの人の心までなごませることでしょう。しかし、そんなことではこの薄汚れた世の中を渡るには少々心細いようです。人に愛を与えながらも、もっと自分の足元を固めていくようなしたたかさが必要でしょう。

だそうである。
試しに、今日、もう一度やってみた。

(2000年3月30日の)天野拓美さんの値段鑑定結果
天野拓美さんの価値は6047万6771円です(階級は「落語家真打級」です)
なお、この階級は42階級のうち17位です。(以下略)

大暴落である。

5割引で半値である。
閉店間際の食料品スーパーに並ぶ売れ残ったお総菜のよーな悲哀を味わうことになった鑑定結果である。

とりあえずすごいぞ! 一年前の自分! 

というか、この一年の間、私の身に一体何が・・・。




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2000.03.27 mon ・ 2000.03.28 tue

書店で接客やレジなどをしているとき、たまに
「いらっしゃいませ」
という挨拶に対して
「いらっしゃいました」
と応えるお客様がいらっしゃる。

「いらっしゃいませ」という、決まり切った、いわばマニュアル的な物言いに食傷気味なのだろう。嫌みのひとつも言ってやりたいのかもしれない。あるいは単に、からかっているだけなのだろうか。

以前これを言われたときに、実はちょっと腹が立ってしまったことがある。変なお客様だな、とも思った。接客を喜びにしている者にとっては、恥ずかしいことだ。
その反省から、今度そのようにおっしゃるお客様がいらしたら、どうお応えしようかと考え、ややあって妙案が浮かんだ。そして不意に今日、その結果を出す機会がおとずれた。

「いらっしゃいませ」
 と挨拶する私に
「いらっしゃいました」
 と、やや斜に構えて揚げ足を取るお客様。絶妙の間を取って、私は、

「お待ちしておりました」
 と、ちょっとした冗談も含めて、しかし丁寧に、そう返した。

お客様が、一瞬、きょとんとし、ついでクスッと笑う。
自分でも、何の気なしにスムーズに返せたので、内心おどろいていた。
たぶんお客様は、あちこちでこういった言動を重ねてきたのだろう。そして、こういうレスポンスを受けたのは初めてだったのかも知れない。会計、包装ののち「ありがとうございました」と見送ると、なんとなく「負けた。あんたにゃ負けたよ。俺のアプローチを、ああも上手く返したのは、あんたが初めてだった。いい勝負だったぜ」とゆー感じの満足げな笑みを浮かべたまま、お客様は退店していかれた。

もう五年近くやっているが、こういうことがあると、接客業というのは、まだまだ面白い。






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2000.03.25 sat ・ 2000.03.26 holy

ちょっと前に、大学の卒業式が、あちこちで行われていた。ちゃんと卒業できた人、留年してしまった人もいるだろう。
一ヶ月くらい前までは、単位が取れるかどうか、心配なみなさんもいたと思う。同時に、
どんな手を使っても単位を取得しなければならない事情の人もいただろう。森里螢一のように卒業まで一単位を残して留年とか。

そんな人のために(時期は完全に逸しているが)我が母校・國學院大學に古くから伝わる作戦を紹介しよう。
まず欲しい単位の担当教授のお子様と仲良くなる。時間が無い場合も、まあ、やることは同じだ。手早く誘拐し

「お前の子供は預かった。
返して欲しければ國學院大學文学部哲学科3年、天野拓美に単位を出せ!」

と脅迫するのだ。

ただこの作戦の最大の欠点は、一発で犯人がばれることだろう。




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2000.03.21tue 〜 2000.03.24 fri

うちの店でアルバイトをしている学生が、卒業・就職する時期になった。去っていく彼らの穴を埋める、補充要員が必要である。
そこで、現在「アルバイト募集」の告知が店頭に張られている。今日までにも、かなりの応募があった。その都度、面接をしているのだが、正直あんまりな応募者も多い。
転勤前を含め、そのいくらなんでもあんまりな様子を、質問ごとに記録しておこう。

質問:どういう本を読まれますか?
「え? 本ですか? あまり読みません」不採用
「ファッション雑誌をちょっと」不採用
「本はけっこう読みますよ。夏目漱石の「坊ちゃん」を読んだことがあります」不採用
本屋のアルバイトに応募してきて、これでは誰が雇うか。

質問:アルバイト先に、この店を選んだ理由、この店の良い点はどういうところでしたか?
「うーん、大きくて、品揃えが多い。それくれいかなあ
 ほおーう。
それくらいですか。
「それに本屋なら、ぼくにもできるかなって」
簡単な仕事だと思っているなら、お引き取り願おう。
ここのバイトが務まるのは、50人に一人もいない。

質問:将来の夢はなんですか?
「歌手になりたいんです」
「ほう、どんな?」
「そうですね、グレイみたいな」
「ところで、君、いま体重、何キロ?」
97キロです」
「へえー、グレイみたいな歌手にねえ」
それはともかく、不採用。

質問:自分の性格をひとことで言うと、どんな感じですか?
「私、人見知りする方なんで・・・」
うちの仕事は接客業なんですが・・・。

「自分、短気なんですよ。親や、ともだち、大概の人からも、そう言われます」
そんな人に接客アルバイトは、ちょっと・・・。

質問:どれくらい勤務できますか?
「いまは暇やけどー、四月になったら、大学があるし、週に3日くらいしか出れないな。」
質問:最近、気に入っている本は?
「パッと思い浮かばないんだ。あ、借りて読んだのがあるか。」
君、いま21才かね。
ほおーう。
で、もうすぐ30才な面接官にタメ口きくような奴が、お客様の前で敬語を使えるわけが無いですよね?
大不採用。

他にも面接中に歯につまった魚の骨か何かをずっと気にしている奴。
あまつさえそれを目の前で取って喰う奴。
面接中、ずううううっと、鼻や口元を撫でたりいじったりしている奴。
返事を「はい」ではなく「うえー」としか発音できない奴。
こんな奴に、店の看板、背負わせてお客様の前に出せるか!

しかも、納得できないと言って、半年後にもう一度面接を希望し「この店で働きたいと思った理由は?」と同じことを聞くと「本が好きと言うだけではダメなんですか?」とこちらをにらむ奴。
ケンカ売ってるのか君は。ここに何しに来たんだ。
面接官に因縁つけるような奴が、お客様にどんな丁寧な接客ができる?


こうしてシュレッダーにかけた履歴書は、もう99枚になる。
「ここを選んだ理由は特になくって、まあ、近いからかな」
「おめでとう、君でちょうど、100人目だよ」


そうそう、履歴書の段階でも、すでに印象は決定づけられることがある。書類選考という言葉もあるとおり、これはかなり大切だ。

判読不能な文字で書かれた履歴書。
いや、筆跡が汚いというのではなく、書き殴ってある。丁寧に書くという気持ち、というか常識がない。
「こ、これが・・・」
履歴書をながめながら、茫然と思う。
「これがあの有名な「ミミズがのたくる」という字かー」
お客様注文用紙を書くときにも、こんな字で書かれたら、たまりませんな。不採用。

アルバイト・就職情報誌の巻末についている履歴書(これって練習用ですよね)を、
手で引きちぎって、そのまま書き込んで裸で提出する奴。
切断面が、東北地方太平洋側の海岸線よろしくギザギザである。はしの方を思いっきり握って引き裂いたのだろう。握った指の痕跡が、紙をグニャリとゆがめている。
この男は、領収書が破れても、それをそのまま使うだろうし、包装中に本を破いても、謝りもせず、それをお客様に売りつけるだろう。不採用ー。

思えば実に様々な応募者と面接をしてきたと思う。
だが、実際、礼儀正しい応募者は、極めて少なかった。

私は、面接官として、常に、目の前の応募者が、最大限の礼儀を尽くしていると仮定する。
彼ないし彼女自身が、考え得る最大の礼節を備えて参加していると。

そして、私はこう考える。
彼らは、いま目の前にいる、その態度で、お客様の前に出るだろう、と。
つまり応募者の一挙手一投足を、常に接客業務にコンバートしてシミュレーションしているのだ。
面接官は、お客様の代身である。私は、気むずかしいお客様の立場で面接を行っている。客として少しでも気に障るようなことがあったら、こっそり面接用紙に×を書き込む。

その上で、私は、相手をリラックスさせようとして相対する。常に温和な態度で、失礼な物言いにも丁寧に相槌を打つ。「そう、それでいいんだよ。もっと遠慮なくしゃべってみたまえ」と。
リラックスした状態で、この店にふさわしいか見るのだ。
仮に採用したとして、長く働くようになれば、ひとは絶対、だれるようになる。それがリラックスしたときの姿だ。リラックスしてなお、礼儀を忘れず、話して楽しく、人を喜ばせようという心根を持つ者を、私は採用しようと思っている。

最期に、決定的に必要な条件がある。たとえ上記の全てを満たしていても、これが無ければ、落とさざるをえない。逆に、上記のいくつかのような欠点があっても、これがあれば採用の可能性はある。
それは「いろいろ教えたいと思うような素直さ」である。

素直であること。これが、いちばんだ。
店にとっても、お客様にとっても。

採用予定は、あと5人。単純計算で250人ほど面接できたら理想的だ。
上記のような人材が来ることを、切に願う。





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2000.03.17 fri 〜 2000.03.20 mon

「あれは、10年前の、凍てつくような冬だった。まだ世田谷区の砧公園でマクドナルドの残飯(中略)あのころはまだ若くて、異臭を放つようになったチキンくらいなら(中略)そして焼け付くような夏の日差しの中、竹の棒で思いっきり殴り合(中略)北朝鮮からの南侵トンネルをカレースプーンで採掘(中略)リビア時代の強制労働というのは、それは過酷で(中略)潜水艦を爆破す(中略) 今はもう、遠い記憶の(中略)あのときのプリンの味(中略)もう何もかも水に流そ(中略)いい夢みさせてもら(中略)おばちゃん、このフルフェイスのヘルメットいくら?」

そんなわけで、ヘルメットを新調した。
フルフェイスとは、目元だけが開いたヘルメットで、頭部だけでなく顔の横も、あごも守ってくれるヘルメットだ。安全性はいちばん高い。
だが、これは眼鏡をしたままではかぶれないし、かぶった後で被眼しようとすると、レンズフレームが歪む恐れがある。眼鏡の人に、フルフェイスは辛いのだ。

そこで選んだのが、システムヘルメットである。
これは、あごのガードが、こめかみあたりを軸に、ひたいまで上げられるので、装着時はジェット、走行時はフルフェイスに使い分けられる代物だ。
  
眼鏡をかけたままの脱着も可能である。
フルフェイスでありながらメットを取らずとも、缶コーヒーが飲めるのが嬉しい。
変身したまま歯が磨けるライダーマンのような痛快さだ。

だが、フルフェイスの最も素晴らしいところは、自分の歌声がヘルメットの中に、ちゃんと響いて聞こえるところだろう。うはははは。
さあ、では 歌いに 走りにいくか!




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2000.03.15 wed ・ 2000.03.16 thu

寒さがやや緩んだ感があったので、バイクに乗った。
今年初めてで、しかも半年以上の御無沙汰である。
運転の感覚は、すぐに復調した。ゆっくり、あるいは、スピードを出して長良川沿いを走ってみる。

やおら不思議な感覚に気がついた。
最初は、ガッチリとタンクをはさんだ脚が、バイクと融合したような気分だった。下半身が、バイクと一体となってバランスを取っている。やがて自分の腕は、ハンドルと一体になり、コーナーをスムーズに抜けていた。

いつしか自分は、バイクと一体になり、走っていた。
風が当たり、流れる。その中で、バイクではなく、自分が走っているような実感がある。
路面にグリップするタイヤは、足の裏の感触だ。わずかな路面のざらつきも、小さな石の存在すらも、素足で踏むように感じる。

バイクのガソリンが泡立ち、振動が自分の身体を揺さぶった。そうだ。私の身体でも、バイクと同じに血液が震えている。

私はバイクと一体になって、風を切り、あるいは風に乗って、走っている。 もう、どこから自分で、どこからバイクという境界が分からない。
まるでサイバーパンクだが、不思議な、しかしとても自然に受け入れられる感覚だった。

自分のバイクに触られることを、極端に嫌がる人がいた。その気持ちが、今はよく理解できる。
人によってバイクとは、自分の神経がとおり、己の血が通った存在なのだ。
むやみに触るのはよそう。





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2000.03.13 mon ・ 2000.03.14 tue

ローカルな話で申し訳ないが、ユニーという食料品などを中心にしたスーパーが、東海地方にはある。
どこの団体にも、マスコットというのはあるもので、ユニーにも「おとくちゃん」という、実も蓋もない名前のキャラがいる。おかっぱ頭の女の子で、バーゲン時には、テレビにも出て、うたったり踊ったりしている。

「お得と〜く、得とく〜♪ お得とくとく〜♪ ユニーは、お・と・く! 」
こんな詞の歌が、ユニーの全フロアーで、営業時間中えんえんと流れている。ここで一週間も働くと「ああ、ユニーってお得なんだな・・・」と考えてしまう、なんというか、実にベタな洗脳である。効果はあるが、従業員には辛い。平和堂のテーマソングも、たいがい強烈だったが、まだ聞ける。

そのむかし、ユニーで働いていたとき(正確には掛軸の販売をユニーで行っていたとき)、これの着ぐるみを目撃したことがあった。
おとくちゃんは二頭身なので、成人男子が中に入ることを考えて縫製する場合、どうしても頭部が火星人刑事なみになる。ウエストのあたりにおとくちゃんの首があるので、中に入る人は、頷くときには、お辞儀をしなくてはならない。身体操作の下手な人はそれで転倒することもありそうだ。単独では起きあがれないであろうから、人気のない路地で転ぶと、そのまま死に至る可能性もある。(あまりない)
店内を練り歩くおとくちゃんは、抱きつかれたり、いっしょに写真に撮られたりと、子供たちに大人気だった。

当時、その様子を見ていて、私はふと、幼少の記憶を思い出していた。

私がまだ幼稚園に通っていた頃、近所のユニーの屋上に「みつばちマーヤ」の着ぐるみショーが来たことがあった。

私は今でも、ハッキリと憶えている。
身の丈2メートルはある、みつばちマーヤ(やはり二頭身。いや三頭身か?)を。
会場に入ってステージを見た瞬間に、
司会のおねーさんが、みつばちマーヤに捕食されようとしているような錯覚
を覚え、私は息を飲んだ。着ぐるみという概念が無かったためだろう。
それは巨大な生物にしか見えなかったのだ。
あわてて逃げだそうと、振り向いた瞬間、視界を圧倒するアンゴラに阻まれ、押し戻される。会場の要所要所には、なぜか他の着ぐるみも配置されていたのだ。バレーボールくらいある目玉が、ギロリと光って自分を見おろしている。きゃああああ。自分は叫んだ。と思う。後の記憶はない。

ふっ。
自虐的に笑って、私はおとくちゃんと、そのまわりの子供たちを見つめ直した。

今でも、着ぐるみを見るとき、中の演技者が巧みだと、なんとなくそーゆー生き物に見えるときがある。
そして今でも、ちょっと恐い。
ユニーの搬入倉庫のすみで、
おとくちゃんが、あの口で犬かなにかを、頭からガリガリ食べている
のではないか。

ちらっと、そんなことを考えた。




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2000.03.11 sat ・ 2000.03.12 holy

日帝支配といって、日本が韓国を支配していた時代があった。
愛国心の強い韓民族から国を奪い、韓国独自の言語も日本語に変えさせ、侵略者のための労働を強制し、文化財を略奪し、皇族を犯し、婦女子をさらい、抗日運動家を拷問にかけ、酷たらしく殺し続けた歴史があったのだ。他にもこの手の話は尽きない。
そのどこまでが、どのていど本当かは、私には分からない。だが、少なくとも韓民族は、そういう事実があったという教育を受けている。そしておそらくそれは、事実なのであろうと思う。

ところで、わたしは、韓国の女性と結婚したMさんという先輩を知っている。
彼らは、お互いの両親が、結婚を反対していたが、押しきる形で結ばれた。
そして子供が産まれた。
すると、あれほど互いを嫌っていた両親が、孫の顔見たさに互いの家を訪れるようになり、親戚づきあいがはじまったと聞いている。
日韓の根深い恨みの歴史を知っていた私は、とても驚いた。
「家内のおかあさんは、いまだに俺とは、あまり口をきいてくれない。でもうちの娘のいうことなら、何でも聞いてくれる。義母さんの日本への恨みは、娘が晴らしてくれている。」
先輩は照れくさそうに話してくれた。

韓国と日本の間には、深い溝がある。支配・虐殺・蹂躙の歴史を教育し続けてきた国と、隠し続けてきた国の差が、さらに相互理解を困難にさせている。

そんな国同士を、一部とはいえ親戚にしてしまったMさん夫婦を、私は尊敬している。
先日やっていた、教科書問題をめぐるテレビの討論会で、いくら恨みがあるとはいえ、相手の国の悪口しか言えないようなディベーターとは、比べものにならない。彼らに任せておいても、この問題は永遠に解決しないであろう。理屈はただ問題を再認識させ、よりややこしくするだけだ。

恨みは、愛によってしか解かれえない。
そして我々は、愛し合うことが出来る。
もとは、同じ民族の兄弟なのだ。
罪の歴史が清算される日は、いつか必ず来るだろう。それは、とても遠い未来かも知れないけれど。





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2000.03.09 thu ・ 2000.03.10 fri

近所に「タナハシ」という商店がある。
ネコの置物、食器、服やアクセサリーなどが、ものすごく狭い店に恐るべき高密度で陳列されている、ネコグッズの専門店だ。

たまに覗くのだが、私のように体格が必要以上に祝福されている者にとっては、まともに通路を歩くことができないくらい両側の棚がせり出しており、商品も、かなり危なげなバランスで棚に乗っている。ちょっと振動を加えただけで、棚から落ちそうなネコの置物がたくさんあった。加藤茶がこの店に来て、くしゃみでもしたら、陳列商品は全滅するだろう。

しかし、その商品量だけに、見たこともないようなグッズがたくさんある。ネコ好きにはたまらないだろう。
はじめて来た人で、両手に持ちきれないくらい商品を買っていくお客様も、けっこういらっしゃるそうだ。
岐阜県関市にこの店はある。スリーサイズがそれぞれ110以下の人間なら入店可能なことが私によって証明されているので、ネコ好きな人は一度見に来て欲しい。






おすすめのネコグッズ






 ピアス

跳躍しているネコの胴体を真っ二つに切断したもの。耳の前後につける。重い。二つ購入して両耳に付ける、という人は、いまのところいないらしい。





 はいざら

気持ちよく伸びをしているネコの敏感な腹毛に、火のついたタバコをねじ込んで消火するもの。賛否両論。もみ消しながら「ぎゃあああああ」と声をあてている人もいるとか。購入者がネコ好きなのかどうか、よくわからないグッズ。





みずさし

ネコの口から水を注ぐもの。蓋がないのでミルクピッチャーなどの食器ではないらしい。用途は不明だが、虚ろな目がキュートなので人気の商品。でも生産停止。図はむかし見た遠い記憶。ぜひ人間版をつくって、お好み焼きの具をゲボゲボ注がせたい。





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2000.03.05 holy 〜 2000.03.08 wed(四日分)

仕事の休み時間、近所のスーパーへ行って「よし、今日は甘いものでも食べるか!」と、パンの他にプリンなど買って、ホクホクしながら帰社してみると、万引きが捕まっていた。
なぜだあ!
心で叫ぶ。
貴様、わたしのうれしい晩御飯を邪魔するつもりかあ!
そっと仕事机にビニール袋を置いて、事務所へ向かった。

春になったせいか、万引きが多い。真面目につけたら日記の三分の一が、万引き捕獲日記になるくらいだ。
以前とは店も違うせいもあると思うが、どうも多すぎる。
しばし考えて、最近は、ちょっと方針を変えた。

とにかく、ここで万引きした子には、容赦しない。
たとえ高校受験をひかえた受験生であろうと、遠い県から越してきた学生であろうと、中国人であろうと、帰化申請中の外国人一家の娘であろうと、親・学校・警察のフルコースに連絡する。できれば、そのうえで殴る。

この店で万引きしたら、大変なことになる。
という噂が立つまで、一罰百戒を狙っていこう。
だ。私は、になる。

必殺技は、真空飛び膝蹴りだ。




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(以下後半)

そんなわけで鬼になった天野だが、さっそく万引きが捕まった。
あろうことか、カードキャプターさくらの劇場板DVD(他CDなどを含む25000円相当)を万引きした19才の専門学校生である。

アニメが好きであったり、マニアであることは、決して恥ではない。

行いが恥ずかしくなければ、マニアであっても、ぜんぜんかまわないと、私は思う。

だが、行いの恥ずかしいマニアは最低だ。
しかも、よりによって「さくら」である。あれが好きで、なぜ万引きが出来るのか、不思議だ。

最初、反省の色がなかったので、遠慮なく警察を呼ぶ、しかし両親の住所を聞くと、はるかに遠い◯◯県(四国の某県)だという。仕方なく、専門学校の寮長さんを呼んだ。
一発なぐっておくか、と思って説教をはじめた頃に、警察が来た。

警察の言うことには、彼は19才で、いわゆる18歳以上であるため、私が正式に被害届を出すと、窃盗罪になるそうだ。店長さんの腹づもり次第ですよ、とお巡りさんは言う。

く。鬼になったはずの心が揺れる。
駆けつけた寮長さんから、普段は真面目な子なんです、という話が横から入る。学校に連絡が行ったら、当然、即時退学でしょう。くく、やめろ、そーゆー話を今しないでちょうだい。遠いところから、夢を抱いてここまで来た、19才の少年。まるで、昔の自分のようだ。ううう。どうしましょうか? とこちらも困ったように問う、人の良さそうなお巡りさんである。別室では、もうひとりの強面のお巡りさんが、大声出して彼を責め立てている。

「彼の様子を見て、決めます」
やっと、そう言って、彼の様子を見に行く。

専門学校生は、泣いて反省していた。
さっきまでの様子とは、たいへんな違いである。やはりお巡りさんはすごい。短時間で完膚無きまでに反省させてしまった。

お、俺はまだまだ・・・・。
「すみません、せっかくお越しいただきましたが」
あまい・・・。
「今回は、不起訴と言うことにさせていただきます」
釈然としないまま、そういうことにした。

寮長さんが米つきバッタのように、頭を下げている。
「あの、お巡りさん、彼のこと、訴えないかわりに、一発ブンなぐちゃいけませんかね?」
聞いてみたが、お巡りさんの見てる前でやると、小突いただけでも、それなりの処置(傷害罪か?)をしなきゃならん、という。そりゃそうか。親御さんに連絡した際、殴る件については父親の承諾を得てあるとはいえ、ダメかあ。

そんなことを考えているうちに、お巡りさん方は、不起訴なりの書類をまとめ、退室していった。
そして、部屋から学生が出てくる。涙で顔がベトベトである。なんだ、いい奴じゃないか、と思ってしまう。
寮長さんのお説教を、横で聞きながら、私は「よし、警察もいないし、殴ろう。殴らなきゃ筋が通らない。殴って、許す。」と考えていた。
お説教の終わったところで、そのことを告げようと思ったとき、彼がメガネを外してこういった。
「店長さん、ぼくを殴ってください」



計5発の平手打ちと、最期には拳で殴った。私の手はバスケットボールが片手で掴めるくらい大きくて、しかも太っているせいで肉厚がある。握り拳の大きさと質量は、相当なものだ。
これで、殴った。手加減しているとはいえ、殴られ慣れているとも思えない彼には、かなり効いたようだ。

泣き崩れそうになる彼を支えてやりながら、もう二度とやらないことを誓ってもらう。彼は、ちゃんと反省したらしい。だから、罰を受けたいと、本心が願ったのだ。彼自身が納得するまで殴り続けるのは、彼のためだと思わなければ、辛い作業だった。でも、お互いこれで罪の清算もできたし、スッキリしたと思う。彼の、捕獲当初はボーッとしていた態度が、にわかにシャキっとした様子を見て、そう確信した。

学校にも連絡しなかったし、警察にも不起訴。
当初の決意からは、大きく外れてしまった。

鬼になったはずなのになあ。

でも、今回に限り、これなら可か。






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2000.03.03 fri ・ 2000.03.04 sat

かつて、ラジカセやビデオは、家庭において馴染みの薄いものだった。
その当時は、タイマー録画や、ダビングなどが難しい技術とされ、家庭内でも操作できる者が、やたらと引っぱり出されたものである。

しかし、現在では、それらは簡単になったと言われている。
だが、それは違うのだ。簡単になったわけではない。常識になったのだ。
家庭にラジカセやビデオが普及し、子供の頃から慣れ親しめる環境にあったため、人々にとって、それらの操作が常識になっただけである。(そんなことを、スタパ斎藤氏が、どこかで語っていた)
常識とは、18才までに身につけた、偏見である。とかなんとか、ゲーテか誰かも言っている。

ところで、現在のラジカセやビデオに相当するものが、パソコンである。
私は、パソコンを14才の頃に使っていた。X68000より以前のシャープ社の名機「X1シリーズ」である。5インチとか8インチの紙のように薄いフロッピーディスクが、オフィス用コンピュータの記録媒体における最先端という時代だ。家庭用のコンピュータは、記録媒体がカセットテープで、ゲームソフトもカセットテープで売られていた。ダブルデッキのラジカセで、借りてきたゲームソフトの音声を、そのままカラオケ用の5分テープなどにダビングしていた。犯罪である。やがて使わなくなりパソコンは売却。その後は、ブランクが10年近くあり、ワープロくらいしか使うものもなかったが、現在はこうしてマッキントッシュを使って、CGや、HPを作っている。

同年代の人間で、パソコンがさっぱり使えない人との違いは、やはり、かつて慣れ親しんだ記憶にあると思う。私にとって、パソコンは、ラジカセやビデオのように、常識的な存在であるがゆえに、それほど抵抗はなかったのだ。

現在、インターネット人口がどんどん増えている。三人に一人という話も出た。
ほどなくして、パソコンなど使えて常識という時代が来るだろう。いま18才未満でパソコンに慣れている子供は、多い、というか、慣れていない子供のほうが、かなり少ないだろう。

「パソコンが常識」これはどういうことか。
 
つまりパソコンを使えないと言うことは、すなわち非常識となり、今で言う
 
ラジカセもビデオも使えない人と同じ認識になるだろう。
 
そして歴史は繰り返す。彼らは同じように、こういうのだ。
「なあに、パソコン(ラジカセやビデオ)が使えなくても、死にはしないさ」

※ここを見ている人は、使えるということが前提なのでいいのですが、使えない人にこういう話をすると絶望感を煽るだけなので、気をつけましょう。




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2000.03.01 wed ・ 2000.03.02 thu



外科医の写真は、残念でした。




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